旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

アニメの麻生 其の六 

2009-06-30 07:26:47 | 政治
■麻生コロコロ首相は或る時、『ゴルゴ13』を高く評価する発言をしたとかで、それを聞いた大勲位の中曽根さんが秘書に全巻揃えさせて熟読したという話が某週刊誌で紹介されていましたぞ。オチは全巻を読み通した大勲位の一言で、「麻生君はバカだね」。勿論、『ゴルゴ13』という作品は高く評価されて然るべきだと思います。しかし、一国の宰相が「国際政治を学ぶ教科書」みたいに高く評価するのは如何なものか?という話になりましょうなあ。

■問題の『国立メディア芸術総合センター(仮称)』に関しては、展示内容も発信すべきコンテンツも未定なのだそうですが、物事には陰の部分が必ずあるもので、マンガだからと高を括っていると大変なことになりますぞ!


少女を含む女性3人をレイプして妊娠や中絶をさせるという内容の日本製のパソコンゲームソフトに海外で批判が高まっている。日本での販売中止を求める抗議活動を国際人権団体が始めた。このゲームは2月に英国の国会で問題になり、ビデオ・書籍のネット販売大手「アマゾン」が扱いを中止した。しかし、児童ポルノなどの規制が緩い日本では今でも流通している。

■事ほど左様にお国がわざわざ『国立メディア芸術総合センター(仮称)』などと大仰なハコモノを拵えて発信などしなくても、グローバル化とインターネットの時代なのですから、日本製のアニメ関連の商品や情報はずっと流れ続けているわけであります。それもほぼ垂れ流し状態で……。


このゲームは、未成年と見られる女子2人とその母親を電車内で痴漢した後にレイプし妊娠や中絶をさせるまでを、コンピューターグラフィックスを使った画像で疑似体験するという内容。横浜市のゲームソフトメーカーが2006年に売り出した。

■痴漢→強姦→妊娠→中絶というストーリー自体に首を傾げてしまいますが、これをリアルな画像にして疑似体験している人間の方も心配であります。


今年に入り海外の人権団体で問題視されるようになり、英国ではこのゲームをアマゾンで入手できることに驚いた国会議員らが同国内での流通に反対する動議を提出した。こうした動きが英国などのメディアで報じられ、英国アマゾンは2月にこのゲームの取り扱いを中止。米国のアマゾン本社も取り扱いの中止を公表した。しかし、日本では児童ポルノなどの法規制が緩く、日本の「アマゾン・ジャパン」は最近、このゲームの販売を中止したが、ほかの通信販売では今も入手できる。

■続報で当該のゲーム作品は販売を中止したという話ですが、英国の国会で取り上げられるようなコンテンツを野放しにしている日本が『国立メディア芸術総合センター(仮称)』を建設するより前に為すべき事がたくさんありそうですなあ。


抗議活動を始めた国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・ニューヨーク)は「女性や少女への暴力をテーマにした産業が日本で高収益を上げ、『ロリコン』と呼ばれる少女の児童ポルノ市場も巨大化している」との声明を発表。「日本政府はなぜレイプを奨励するかのようなゲームの流通を止めないのか」と政府の対応にも批判を向ける。同団体は6日、このゲームを含むレイプ、監禁などの性暴力ゲームの制作会社や販売会社、麻生首相ら日本政府の要人らに抗議文を出すように、160か国の会員3万人に呼びかけ始めた。国内の人権団体の関係者なども、こうした活動を機に、販売会社などへ働きかけを行っている。……
5月8日 読売新聞

■「児童ポルノ」という分野?は、仄聞するに相当にディープな領域にまで進化?しているようなのですが、文化の多様性やら個人の趣味の問題にも関わりますから、一概に厳しく規制すればよいというものでもないのでしょうが、東京都の某所で「飼育」「監禁」「性奴隷」などの奇怪な妄想を生身の女性に押し付けて悲しくもおぞましい殺人事件を起こすようなIT男が出現したりしますと、やはり野放しにしておくのは危険だなあ、と思ってしまいます。物事には限度というものがあり、暗い妄想を楽しむのなら時と場所を選ばねば趣味も文化も成り立ちません。現実世界と妄想との間に境界線が無くなってしまったら非常に危険なことになりますが、アニメ技術が紡ぎ出すのはこうした危険な部分も含めたコンテンツだという事を文化庁のお役人は御存知なのでしょうな!?

アニメの麻生 其の伍 

2009-06-30 07:26:33 | 政治
■先に引用した大前研一さんの文章の中に以下のような部分もあります。

日本の農業は、農林水産省を頂点に全農(全国農業協同組合連合会)や農協(農業協同組合)などの組織があり、その傘下に農民がいる。その仕掛けのなかで補助金がバラまかれたわけだが、実際に恩恵を受けたのは中間で利権を得る全農や農協の職員、地方自治体の農政担当者、あるいは種苗、肥料、農薬、農業機械などを売っている業者で、当の農民たちは守られるどころか、どんどん疲弊していったのである。食料確保が農民保護にすり替わり、その農民保護は利権団体の維持に変貌し、農政が歪んだのだ。……

■麻生コロコロ内閣が組んだ補正予算で、この農政の歪みは正されることなく、あと数年間は確実に放置されるわけでありますなあ。農業分野に限らず「整備費」というのが曲者で、ほとんどは役所のつかみガネだという話もあるようです。実際に3兆円の予算が盛り込まれた『施設整備費』が可決されたので、4省庁から提出された86の施設(箱モノ)をつくる計画が認められたことになるそうで、 その中で脚光を浴びているのが『国立メディア芸術総合センター(仮称)』というわけであります。

■もっと詳しく『整備費』の中身を見てみると、2009年度補正予算は14兆7756億円で、その中に公共事業費の1兆8364億円と並んで『施設整備費』の2兆8969億円が含まれているのですが、何を整備するのか?というと中央官庁が地方に作っている出先機関などのハコものを整備するのだそうですなあ。政治家が役人に丸投げしているから、公共事業費よりも1兆円も多い『整備費』などが上がって来るのでしょうなあ。実は先に可決された本予算にも『施設整備費』が入っているのですが、何故か総予算額はたったの?6492億円だそうです。

■補正予算で2兆2千億円も上乗せして「整備」するのですから、相当にあやふやで絵に描いた餅も同然の計画もたくさん含まれているのは想像に難くないところです。『国営マンガ喫茶』という蔑称(別称)が定着した「国立メディア芸術総合センター」の117億円が目立ちますが、少なくとも「情報発信拠点」にするという大目標が立てられている点だけは認めましょう。何せ日本政府は戦後60年間、世界に向けてまったく情報を発信してこなかったのですからなあ。でも、初めての試みには大失敗が付き物なのですが……。

■独立行政法人の「科学技術振興機構」にも725億円の予算が付きまして、産学協同の研究施設を47も作る計画なのだそうです。日本全国各県に1個ずつという実に平等の精神に溢れた計画なのですが、不思議なことに現時点で16か所に施設が建っていて、無駄が目だって仕方がないので小泉改革の中で成果が出ない物は廃止すると閣議決定されているというのですから、見事に小泉改革路線を引っくり返して天下り利権を肥え太らせた役人たちは高笑いしているでしょう。

■テレビ朝日のワイドショーが糾明したところによりますと、独立行政法人の「国立女性教育会館」という聞いた事も無い施設に対してICT(情報コミュニケーション技術)活用を名目に18億6100万円。という予算が付いていて、その内訳を見ると冷暖房施設更新に9億5000万円、防災設備更新の費用が2億2000万円、照明・LANの更新のために4億4000万円という具合で、本来のICT目的に使われるのは2億円だけだとか……。露骨に天下り組織の延命と膨張のために「施設整備費」を分捕ったのが文部科学省だったというのは意味深な話で、最新の『週刊文春』7月2日号に「亡国の文科省 教育予算3兆円を天下り3千人が喰い尽す」という恐ろしいレポートを掲載しております。

■そう言えば、「ゆとり教育」が取り沙汰されるようになった頃から、学校で使用する教科書にマンガが氾濫し始めたような気がしますなあ。頁数ががくっと減っているのにグラビア頁や人気アニメのキャラクターが印刷された頁が増えれば内容は際限も無く薄まって行くのは当たり前。『国営マンガ喫茶』にはマンガが満載された歴代教科書も展示されるのでしょうか?

アニメの麻生 其の四 

2009-06-29 06:51:56 | 政治
■『アニメの殿堂』が予算化されたことを文化庁の役人は大いに喜んでいるそうですが、秘かに万歳三唱をしている多くの役人OBたちが存在することの方が問題でありましょう。以下は民主党の菅さんと与謝野大臣との間で交わされた国会での議論です。

菅氏 今回の補正予算でいくつ基金がつくられ、いくらのお金が積まれるのか。

与謝野馨財務相 46基金で総額約4兆3600億円。そのうち新規の造成は30基金で、既存基金への上積みは16基金だ。

菅氏 (予算を執行する)態勢が整わないので、とりあえず基金に積んでおこうというものが相当多く含まれている。

財務相 複数年度をカバーする施策を円滑に実施するために盛り込まれた。

■補正予算の2割近くが天下り財団に流れて行くのだそうですが、そこから経済を活性化させられる場所へとカネが流れ出すのはずっと先のことになります。「緊急経済対策」という看板には大きな疑問が付きますなあ。


政府が追加経済対策を計上した2009年度補正予算案で、総額4兆3000億円に上る46種類もの「基金」をつくることが明らかになった。地方自治体などにお金をプールし、複数年度の支出を確保する狙いだ。ただ予算が過剰に積まれたり、お金の使い道が不透明になるなど財政規律を損ねる懸念がある。……民主党の細野豪志衆院議員の質問主意書に回答するため、1日に閣議決定した答弁書で判明した。……46基金のうち22が農林水産分野で計7000億円を計上。1兆円の農水予算の7割を基金方式に頼った計算だ。競走馬の種馬を生産する農家向けの基金に50億円を積むなど、各事業に「薄く広く」予算を計上した。社会保障は、非正規労働者への再就職支援(7000億円)など11の基金に計2兆8000億円を盛り込んだ。……

■「農業」という魔法の言葉は実に便利に扱われるもので、政治の世界では「教育」や「医療」などよりも強い説得力があるようです。何かと便利に使われるカロリー・ベースで計算した食糧自給率の低さを示す数値がありますが、考えてみれば2007年度で「40%」と言いながら、それまでに政府の農業政策は間違っていたのではないか?という議論にはならず、もっと予算をつぎ込まねばならない!という理屈が先行してしまうのが不思議です。

■雑誌『サピオ』の昨年11月26日号に、大前研一さんが「内向き農政」を批判する文章を書いていました。なかなか面白かったのですが、なかなか引用する機会がありませんでしたが……。以下に要点をまとめてみましょう。


1965年~72年に始まった『土地改良長期計画』による農業基盤整備事業費は既に累積投資額が75兆円。中でも93~06年に実施された第4次計画の総額は41兆円。

そのカネがあれば世界中の農地と穀物メジャーが買える。カーギルやコンアグラなど世界の4大穀物メジャーを全社買っても8・8兆円。

日本は年間に1000万トンのコメを消費しているが、それを生産するための水田はオーストラリアなら200億円で買える。これは埼玉県の1年間の農業補助金とほぼ同額。

世界一肥沃な土壌チェルノーゼム(黒土)で知られるウクライナで最大の食料会社ランドコムも200億円で買収できる。

……日本の農政に無駄に注ぎ込まれた税金を、もし効率的に使っていれば、世界の農場や穀物を支配できていたはずなのだ。……

■といった内容なのですが、今回の補正予算で農業分野に対して行われた手厚い大盤振る舞いは、明らかに昔ながらの農村票を当てにしての選挙対策なのでしょうが、疲弊し続ける日本の農村からは自民党に騙され続けた!という悲しい悲鳴が上がっているようですから、農業関連に注入される予算は自民党の票集めには役立たないかも知れません。まあ、民主党の所得保障政策にも大いなる疑問があるわけですが……。

アニメの麻生 其の参

2009-06-28 18:55:24 | 政治
■ベランメエ口調を売り物にしている麻生コロコロ首相は、一見、何事も公明正大に堂々と主義主張を述べて自分の信念を押し通すような印象があったものですが、実際には裏に廻ってこそこそと動き回っているようですし、思い付きで重大な決意をしたかと思えば、外に情報がちょっとでも漏れると「そんな事は言っていない。考えたことも無い」とあっさり否定してしまうので、ブレているぞ!と野党からばかりでなく身内の自民党内からも不信がられているようです。

■ほとんどの人がすっかり忘れてしまっている「厚生労働省の分割」という橋本内閣で準備されて森内閣で実施された省庁再編を御破算にしてしまうような、それこそ未曾有の政治決断をして見せたのも、実は厚労省を分割すれば閣僚ポストが1つか2つ増えるから、新閣僚を任命するついでに内閣改造を行って政権を延命させようとの浅はかなアイデアが元だったという話があります。そんな姑息な手しか考えられない首相だから、とても選挙は戦えない!という悲鳴が党内から上がるのでしょうなあ。

■早々と「政権交代」の後に関して民主党の鳩山代表はあれこれと獲らぬ狸の皮算用ならぬ、空手形になり兼ねない安請け合いをして歩いているようですが、『アニメの殿堂』の建設計画を白紙に戻して予算を小泉改革で削られた母子加算を復活させるために使うぞ!と公約しているそうであります。野党側としては麻生コロコロ内閣は弱点だらけで非常に叩き易い相手なのでしょうなあ。

■話は若干古くなりますが……。
 
塩谷立文部科学相は9日の閣議後記者会見で、文化庁が今年度補正予算に計上した国立メディア芸術総合センター(仮称)の建設事業を、自民党の無駄使い撲滅プロジェクトチームが不要と判断したことについて、「大変遺憾。(事業の意義を)ご理解していただいていないのかなという気がする」と述べ、今後、事業の必要性を丁寧に説明する必要があるとの認識を示した。

■あったら良いかも?程度の施設をどさくさ紛れに緊急経済対策を目的とする補正予算に混入するから、身内からも反発されるのでありましょうが、次の選挙で落選の可能性が高い議員の立場になれば、自分だけはドロ船から飛び降りて何とか岸まで泳ぎ着きたいと思うのは当然のこと。選挙がいよいよ近づいている中で支持率が釣瓶(つるべ)落としに急落している内閣に反旗を翻しておくのは何よりの保険ですからなあ。


また、補正予算成立後に与党内から批判が出たことに関しては「問題とは思っている」と指摘。その上で「(アニメなどのメディア芸術分野は)新たに成長できる産業だと思っているので、強く理解を求めていかなければならない」と述べた。同センターはアニメや漫画などを収集展示する施設で、今年度補正予算に建設費117億円を計上しているが、野党から「国営漫画喫茶」などと批判を受けている。
6月9日10時55分配信 時事通信

■手回しのよい事に完成予想図だけは早々と発表されているのに、肝腎の展示内容や所蔵ソフトの選定方法などは何の決まっていないようですから、本当に役人が描いたような「成長産業」の育成などという大きな目的に利する施設になるのかどうか……。

チャイナの国内問題

2009-06-28 14:58:12 | チベットもの
■「人間万事、塞翁が馬」と申しますが、何が幸いするか分かったものではありません。米国のリーマン・ショックに始まる世界的な金融危機があっと言う間に実体経済を収縮させて世界中に不況の風が吹き続けておりまして、日本の総理大臣などは「100年に1度の未曾有の危機だ!」と言い出して、解散総選挙を先送りにする大義名分にしたものの、付け焼刃は脆いもので、慌てて組んだ補正予算は評判が悪く、得意だと自画自賛していたはずの外交分野でも業績は上がらず、次々と側近が辞任して裸の王様状態。
 
■その点、「世界最大のマーケット」という金看板を立てているチャイナは、過剰生産の最終的な消費地となって貰わねば世界経済は持たないというわけで、いつの間にやら人権問題や少数民族の問題は棚上げになり、6月4日の第二次天安門事件「記念日」を力で抑え込んでも何処からも責められもせず……。本当に世界が期待しているような毎年8%の経済成長を続けて行ったら、ますます国内の経済格差は広がり続けて行くのでしょうし、民主化要求の声もどんどん大きくなって多少の弾圧などでは抑え切れない事態になるような気がしますなあ。


2009年6月23日、広東省韶関市の玩具工場で漢民族とウイグル人の従業員による乱闘騒ぎが発生、118人が負傷(うち16人が重傷)、2人が死亡した。……26日、韶関市共産党委員会は同事件に関する記者会見を開いた。舞台となった工場は外資系の大型工場で、従業員は1万人以上いたという。救急車が延べ48台も出動し負傷者を搬送する騒ぎとなった。

■異民族間の暴力沙汰などは日常茶飯事で、広いチャイナのあちこちで似たような騒動は起こっているに違いなく、大体は政治的に決着させる強い力が働いて少数民族側が泣き寝入り、何事も無かったことにされて御仕舞いというシナリオがあるようです。今回は余りにも規模が大きく死者まで出たので報道されたのでしょうが、これも沿岸部と内陸部との経済格差に加えて少数民族が暮らす広大な貧困地域の問題が絡んだ深刻な国内問題から発生した事件と言えるでしょう。


……「今年5月にウイグル人従業員約600人が採用されて以来、漢民族の女性従業員に対する暴行事件が相次いでいた」「漢民族の女性従業員がウイグル族の寮に入ったところ暴行を受けそうになった」などの噂が伝えられており、ウイグル族への差別が高まっていたことがうかがえる。

■わざわざ遠方の貧困地域から従業員を採用している理由は、小平時代には最大の武器だった人件費の安さが様変わりしてある程度熟練した労働者は高い賃金を求めて転職したり独立してしまうようになり、どんどん奥地に人材を求めるようになっている背景が浮かび上がりますなあ。それこそ腹いっぱい飯が食えて幾許(いくばく)かの金銭を故郷に送れれば、相当に劣悪な労働条件でも耐えて働きたいと思っている若者は数知れず。妙な優越感を持っている漢族の間には、職を奪われる恐怖感が広がっているでしょうから、ちょっとした噂が火種となって日頃の逆恨みが爆発してしまうのでしょうなあ。


120人が病院で治療を受けたが、新疆出身者が81人、広東出身者が39人となっている。死亡した2人はいずれもウイグル人だった。汪洋省委員書記は26日午後に韶関市の病院を訪問、ウイグル族の負傷者を見舞った。汪書記は「現在、香港企業を中心とした東部地区の企業は積極的に西部地区の少数民族を従業員として受け入れようとしている。こうした事件でこの動きが停滞し民族の団結に影響するようなことがあってはならない」と訓示した。
6月28日 Record China

■ウイグル側の被害は2倍以上で死者も出ているのですから、仕事が終わって休息している宿舎が急襲されたという別の報道が正しいのでしょう。一方的に濡れ衣を着せられて奇襲されたのですから、ウイグル人側としては何が何だか分からないうちに犠牲者が増えてしまったのでしょう。39人を「返り討ち」にしているところを見ると、もしかしたら有名なウイグル製ナイフが物を言ったのかも知れませんなあ。でも、襲う側もウイグル族の戦闘能力の高さは計算しているでしょうから、小さなナイフなどでは対応出来ない得物(えもの)を用意していた可能性もありそうです。

■出稼ぎや国内留学で沿岸地域に出て来る少数民族が、謂れのない差別を受けたり暴行を受けるのは珍しいことではなく、ウイグル人ばかりでなくチベット人が酷い目に遭わされる事件も多発しているようです。民族融和の美名の下で単に安い労働力を漁(あさ)りに西部地域に手を伸ばして荒らしていると、もっと大きな騒ぎや事件が表沙汰になるかも知れませんなあ。本当に、あの北京五輪は何だったのでしょう?
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イランと北朝鮮、そして日本 其の弐

2009-06-22 07:40:37 | 外交・情勢(アジア)
■誰が言い出したのか、今となっては知りようもない「100年に1度の経済危機」という麻生コロコロ首相が愛用した決まり文句がありましたが、それが本当ならこれまでの100年間にどれほどの戦乱と殺戮が繰り返されたのかを思わねばなりますまい。20世紀の前半は領土争いと植民地の争奪戦とが混ぜこぜになって二度の世界大戦が起こりましたし、戦後はイデオロギー対立が先鋭化しましたが、元を質せば経済問題を武力(暴力革命)で解決しようと誰かさんが決心した時から大戦争が起こったようなもので、それこそ未曾有の世界恐慌が撒き散らした貧困と絶望が多くの国を戦争に駆り立てて行ったのでした。

■飢餓と貧困が常態化しているのに武器と軍人だけは腐るほど蓄えているような国が、冷戦時代の置き土産のように日本の隣に残っているのですから、経済危機を矛盾だらけのバラマキ補正予算で乗り切ろうと頑張っている背後から、唯一の資源となった武力で自国の存続と繁栄を手に入れようとする暴発が起こる可能性を忘れてはなりますまいなあ。
 

米シンクタンク「国際政策センター」のセリグ・ハリソン・アジア研究部長は17日、下院外交委小委員会で証言し、「北朝鮮との戦争があるとすれば、北朝鮮が攻撃するのは韓国ではなく日本だ」との見方を示した。

■このように分かり易く説明して貰うと、日本の立場がよく分かります。ソマリアの海賊兄ちゃん達を相手にするにも雁字搦(がんじがら)めの法律で身動きが取れない日本の自衛隊は、北朝鮮の暴走に際して一切の攻撃権の放棄を意味する「専守防衛」に徹して迎撃ミサイルに国の運命を託さねばならないのでしょうなあ。


ハリソン氏は今年1月に訪朝し、北朝鮮の政府や軍部高官と会談している。同氏は「金正日総書記が病気で日常の公務を減らしてから、海外経験のない国粋主義的な若手将校たちが指導部で強い立場にある」と指摘。これらの将校は、金総書記が2002年、訪朝した小泉純一郎首相(当時)に日本人拉致問題を認め、謝罪したことに憤激していたと述べた。さらに、国連安保理制裁によってこれらの若手将校が一層立場を強め、「日本との戦争になった場合の北朝鮮の軍事力について、非現実的な分析を行っている」と警告した。
6月18日 時事通信

■戦前の日本で起こった「2.26事件」を思い出さねばならないようです。そして、備蓄燃料が底をつく前に米国を攻撃しよう!と後先考えずに広大な太平洋を戦場にしてしまった昔の日本とも重なるような話であります。このところ北朝鮮側から飛び出す文言が「戦争」に向かって前のめりになっているのも、「海外経験のない国粋主義的な若手将校」が作文を書いているからかも知れませんぞ。

■気になるのは彼らが熱中しているらしい「非現実的な分析」で、これまた戦前の日本が客観的なシミュレーションの結果を持っていたのに、それを握り潰して「清水の舞台から飛び降り」る決断をし、絶望的に戦線を拡大して自滅同然に敗れた歴史が思い出されますなあ。エネルギーも食糧も圧倒的に不足している国状を無視して妄想に駆られて戦争を始めたら、あっと言う間に飢餓が広がり悲惨な「戦後」を国民に押し付けることになるのですが……。まあ、憲法9条を金科玉条にして絶望に狂った北朝鮮の暴走に対処しようとしている日本も方にも、相当の被害と犠牲者が出そうではありますが……。
 

イランと北朝鮮、そして日本 其の壱

2009-06-21 07:55:32 | 外交・情勢(アジア)
■中身と実態はどうであれ、選挙制度があるイランと最初から民主的な選挙の必要を認めない北朝鮮、その両国が足並みを揃えているように見えるこの頃であります。どちらもウラン型原爆をせっせと作り、ミサイルの性能をどんどん向上させているそうで、その発射ボタンを押せるイランの大統領は怪しげな選挙で圧倒的な支持を集めて再選され、一方の北朝鮮では将軍様の三男坊への世襲が本決まりになったようです。そして、両方の相手をしなければならない米国のオバマ政権としては、少なくとも北朝鮮問題を解決するためには日本の全面的な協力が必要となりそうです。

■選挙運動中に「主戦場はアフガニスタンだ!」と言っていたオバマ大統領の戦略が変更されるようなことになると、日本はまたまた右往左往させられそうですし、米国の逡巡(しゅんじゅん)に付け込んで世界中で物騒な事が頻発しそうで心配ですなあ。


イラン国内に滞在している北朝鮮の核やミサイルの専門家が、イランから出国する準備を進めていることが20日、分かった。……北朝鮮の専門家はイラン国内の複数の施設で、イラン側と協力しミサイルなどの開発に携わっている。北朝鮮専門家たちは不測の事態に備えて、個人の所持品に加えて、コンピューターなどの機密関係の機器、書類などを整理し、出国に備えているという。両国間の協力関係に変更はないものの、「イランとの核やミサイルでの協力関係が発覚しないようにするための予防措置とみられる」(同筋)という。

■沈没する船からはネズミが逃げ出すという伝説がありますが、大統領選挙の不正疑惑で国内が混乱しているイランではありますが、大急ぎで逃げ出さねばならないほど緊迫しているとは思えませんが……。核兵器とミサイルを一緒に開発している物騒な運命共同体に対して米国が「対話から圧力」へと舵を切ったと北朝鮮が判断したのか?あるいは、世襲に絡んで兄弟喧嘩が始まっているらしい本国から引き上げ命令が届いたのか?最も恐ろしいシナリオは、北朝鮮の核兵器とミサイルの技術が進んでイランの陰に隠れている必要が無くなったという理由で専門家が帰国し始めたという筋でしょうなあ。


……イランでは、大統領選の結果をめぐり、「不正が行われた」と訴える改革派らが抗議デモを行い緊張が高まっている。

■大規模な「抗議デモ」というものを知らない北朝鮮の専門家たちが、今のイランで繰り広げられている民主的な反政府運動に驚いて過剰反応しただけならばちょっと笑える話ではありますが、長く続いた「革命政府」による圧政に命を懸けて抗議する群衆の熱気が、新型インフルエンザのように自国の専門家に伝染しては大変だ!と平壌の誰かさんが心配したのかも知れませんなあ。


北朝鮮とイランのミサイル分野での連携をめぐっては、オライリー・国防総省ミサイル防衛局長が今月中旬の講演で、「何年にもわたるもので、(協力は)続いている」と語った。イランの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」は、北朝鮮「ノドン」をもとに開発したとされている。
6月20日 産経新聞

■イランのミサイルは間も無く欧州全域を射程内に収めると考えられており、迎撃態勢を整えたい米国とそれを嫌うロシアとが激しく対立し、勿論、標的になる欧州各国からはイランに自重を求める声が上がっているわけですが、とうの昔に列島全部が「ノドン」ミサイルの射程内に取り込まれている日本では、何とも呑気な政局が展開されているというのですから、何とも浮世離れした話であります。

党首討論? 其の弐

2009-06-17 23:33:01 | 政治
■北朝鮮に対する制裁措置の強化に関しては「友愛」の民主党も賛成しているそうですが、小泉プレスリー首相がやってのけた一切の公式文書を残さないなどという近代国家としては考えられてない非常の手段で強引に進めた外交政策の遺産を受け継いでの政権交代となったら、友愛政権成立を祝うかのように日本海か太平洋の「公海」ぎりぎりのポイントにキノコ雲を立ち上らせるような一発が飛ばされたら、友愛政権は手も足も出なくなるのではないでしょうか?政権交代が必要だと思うほどに、こうした絵空事が実際に起こってしまうことが心配になります。

北朝鮮は米韓の前政権時代、対北強硬路線のブッシュ前米大統領と融和路線の盧武鉉前韓国大統領の姿勢の違いを利用してきたが、オバマ大統領と李大統領は今回、両国の結束を内外に示した。ワシントンにある戦略国際問題研究所のニコラス・セーチェーニ氏は「短期的には、今回のメッセージは非常にパワフルであり、米国と同盟各国と間にブレがないというシグナルを地域に送るものだ」と一定の評価を下した。しかし、その上で「圧力から対話への振れは常にあり、他に多くの選択肢がある訳ではない」としている。

■日本も「対話と圧力」の看板を掲げならが、結局は「圧力」として使える手駒が無い!という現実に苦慮したのですから、イラクで泥沼にはまったブッシュ前政権を悪しざまに罵るわけにも行きますまい。比較の対象にはなりませんが、ブレにブレてブルブル状態の麻生コロコロ内閣の対北朝鮮制作だけが「ブレがない」とは言えないはずですから、いよいよ解散総選挙の日程が固まるのを待って本気で起死回生の「外交の麻生」を気取ってトンデモないパフォーマンスでもやらないか?と次期選挙での当選が心配な自民党議員は気が気ではないでしょうなあ。まさか「ゴルゴ13に依頼したいくらいだ……」などと麻生総理は口走らないでしょうなあ?!


国連安全保障理事会は先週、北朝鮮の2回目の核実験に対する制裁決議を全会一致で採択。米韓両国と日本は、同制裁決議をまとめる中心的役割を果たした。一方、北朝鮮は、制裁決議採択を受け、ウラン濃縮作業とプルトニウムの兵器化を再開する方針を明らかにしている。……専門家らは、北朝鮮の挑発行為について、向こう数週間で新たな動きが出てくる可能性があると指摘。38度線や海上境界線での限定的な軍事行動も有り得るとみている。

■ソマリア沖での海賊退治でも、地道に法律改正が必要となるような平和信仰の日本ですから、遠い昔の「神武景気」などを思い出して、38度線で日が噴くのも悪くないかも?などと愚かしく考えている財界人は皆無だと信じたいところですが……。仮に第二次朝鮮戦争が38度線で勃発しても日本の陸上自衛隊には何の関係も無い話でしょうし、半島西の黄海で境界紛争が起こっても、海上自衛隊には何の関係もないことになっておりますから、日本は「挑発行為」の餌食になる覚悟が必要なのかも知れませんなあ。


北朝鮮が最近行った一連の挑発行為に対しては、これまで同国への制裁措置に消極的だった中国やロシアからも非難の声が出ており、オバマ政権の北朝鮮政策には理解が得られやすい環境となっている。……シンクタンクのセンター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティは最新の報告で、米国はアジア地域での同盟強化のほか、北朝鮮船舶の臨検強化、対立の先鋭化を回避するための地域主要国との協議が必要だと指摘。同時に、北朝鮮を交渉テーブルに戻すために圧力と支援を組み合わせた対話への「入り口」を作る必要があると提案している。……「この先に交渉がなければ、米国と同盟各国はリスキーで犠牲が大きく、かつ不確かな方法で北朝鮮の核兵器能力を破壊するという課題に直面することになるだろう」としている。
6月17日 ロイター

■本来なら、対話への「入り口」を準備するような仕事こそ、日本の外務省が得意とすべき話なのでしょうが、米国も韓国も国家の面子を懸けて北朝鮮の火遊びに対処するのなら、結局は「カネで話をつけましょう」としか言えない日本は、やぱりお呼びでないのでしょうなあ。米国では懐かしのメロディよろしく、ノーベル平和賞受賞者のカーター元大統領を、またぞろ平壌に派遣しようとする動きがあったそうですが、あっさりと拒否されたとか……。それなら「俺が!」と小泉元首相が田中均さんを引き連れて三度目の平壌訪問?という絵空事はあり得ないのでしょうなあ。次男坊の「世襲選挙」で大忙しのようですから……。でも、ポスターも貼らずネット上にHPも開かず、親の七光りだけで議席が転がり込むのを待っているようでは当選が危ういぞ!というような憶測が飛び交ったら、互いに「世襲」に悩む父親同士、将軍様の(何番目?)息子と日本の元首相との電撃的な茶飲み話が実現するかも?

■政界だけに限って見ると、何だか日本と北朝鮮との違いがどんどん無くなって行くような気もしますなあ。
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党首討論? 其の壱

2009-06-17 23:00:30 | 政治
■今年の梅雨は荒れ模様になりそうな気配が漂う関東平野でありますが、政局はいよいよ正真正銘の荒れ模様のようであります。誰が注目していたのかは分かりませんが、大手マスコミが枕詞に「国民注目」を謳う党首討論が開催されているのですから、日本の首相は国内に足止め状態になっていたわけですなあ。中東情勢を大きく左右するイランで不思議な大統領選挙が実施され、最も気になる北朝鮮では日本が大好きな国連を無視した断末魔としか思えない「メッセージ」が日々刻々と流れ出しております。
 
■北朝鮮を「核保有国」と認めるか認めないか?そんな議論には金輪際、参加できない宿命を後生大事に守っている日本国は、ちまちまと「経済制裁」のボルテージを上げるくらいが関の山……。既に日本から吸い取れる資金と資材と人材は、とうの昔にゲップが出るほど手に入れているとの話がありますから、今更、日本が(独自に)ジタバタして見せたところで、どれほどの効果があるのかないのか?


オバマ米大統領と韓国の李明博大統領は16日、ホワイトハウスで会談し、米国の「核の傘」を含む「拡大抑止」による韓国防衛への決意を明記した共同宣言で合意した。拡大抑止の概念を首脳レベルで確認したのは初めて。両首脳はまた、北朝鮮の完全かつ検証可能な核放棄の実現に向け、米韓日中ロの5カ国の枠組みで新たな方策を協議する方針で一致した。

■事がここに及んで「核の傘」の存在を米韓政府が改めて文書化している場所に、どうして日本政府の首相が不在なのでしょう?米韓二国が「5カ国の枠組み」を打ち出すよりも、日韓米の3カ国が団結している姿勢を見せるべき時ではないのでしょうか?いよいよ支持率が下がってジリ貧状態に追い込まれた「外交の麻生」総理としては、讀賣新聞に一面広告などを(税金を使って)掲載している暇があったら、「こんな事が民主党に出来るのか?」という実績を示す(選挙前の)最大のチャンスだったような気がしますぞ。やっぱり、いよいよ「アニメの麻生」という政治家としては屈辱的な名跡を巨額の赤字国債に刻み付けて消え去るだけなのでしょうか?

■福田ホイホイ首相の政権が誕生した時にも書きましたが、一体、「誰がこの人を首相にしたのだ?」と多くの有権者が思っていることでしょう。大昔の皇位争いでもあるまいし、どんな位階や家名を背負った人が次期総理を選んでいるのやら……。大きな勘違いをしている(老い先短い?)元気な老人が、寄ってたかって政治を玩具にしていると、数は減り続けているとは言うものの国民の半数を占める若い世代が想定外の動きを見せるかも知れません。それにしても、マスコミ業界と政界には妙に元気な(生涯現役)の老人が多いようですなあ。でも、少なくとも


両首脳の会談は4月2日にロンドンで行われて以来2回目。北朝鮮が直後の同月5日に弾道ミサイルを発射、5月には核実験を実施するなど挑発行為を拡大させていることを受け、米韓同盟を一層強化させていくことを鮮明にした形だ。オバマ大統領は会談後の記者会見で、「北朝鮮の核・弾道ミサイル計画はアジアと世界の安全保障に重大な脅威を突きつけている」と強調。両首脳が朝鮮半島非核化への決意を再確認し、国連安保理の制裁決議の履行を徹底していく方針で合意したことを明らかにした。また、李大統領は「(北朝鮮を除く6カ国協議参加国の)5カ国が北朝鮮に効果的に核放棄を説得していくための新たな方策を協議していく」点で両首脳が一致したと述べた。6月17日1時33分配信 時事通信

■オバマ大統領が強調している「アジアと世界の安全保障」の中核に日本国が存在していたはずなのですが、川開きの花火みたいに長短取り混ぜてミサイルをぶっ放し続ける構えの北朝鮮に対して、最も自国の「安全保障」を考えて行動しなければならないのは日本のはずなのですが……。60年以上も日本の領空・領海に張られているという米国の「核の傘」には破れや穴は無いのでしょうな?!


……オバマ大統領は記者会見で「北朝鮮はこれまで、攻撃的な姿勢を取ることで食糧支援や燃料、条件の緩い借款などのあらゆる種類の利益を享受してきた。われわれからのメッセージは、そのパターンが今後通じなくなるということだ」と述べた。

■「攻撃的な姿勢」の虚仮脅しが効かなくなったら、(威力と精度は問題外として)原爆しか対外的国家資産が無い弱小破綻国家が時代錯誤の「世襲」による国家体制の存続を企図しているのなら、6カ国協議の参加国の中でもっとも呑気に構えている国が交渉の材料か「餌食」にされても仕方がないかも?などという物騒な相談が何処かでまとまりつつあるのではないか?と心配にもなります。世界有数の質量ともに優秀な労働力を供給して汗水垂らして働き続けて日本の庶民と、それを(短期間ながら)上手に誘導して集約して見せた官僚群……、それはテレビのドラマで「今更ながらに」リメイクされるような大昔の思い出話になってしまったとか……。

■朝鮮戦争が終結していない歴史的な事態を肌身に感じている米国と韓国が、今のところ考え難い「38度線恐慌突破」やグアム島への核弾頭発射などの仮説的な有事に備えて首脳会談をしている足元で?200基とも300基とも言われる中距離(核も載せられます)ミサイルの射程圏内にとっぷりと納められて久しい国が、どっちもどっちとしか言いようのない「党首討論」を公共の電波に乗せて民意を問う解散総選挙に向かってコロコロと転がって行くというのは、実に困ったことでありますなあ。本気で「外交の麻生」と「友愛の鳩山」がガチンコ勝負で討論するのなら、絵空事とは承知の上で、「ワシントンでやってくれ!」と言いたくもなりますなあ。どちらの党首も不思議なことに「英語力」には自身があるそうですから……。

アニメの麻生 其の壱 

2009-06-11 07:00:39 | 政治
■ちょっとブログを休んでおりましたら、日本列島は梅雨入りしました。今年はどんな梅雨になるのかまだ分かりませんが、今のところは気象庁泣かせの異常気象ではなさそうです。この数年、梅雨入りも梅雨明けも事後発表が多かったようですし、雨量の予想も大きく外れることも多かったような気がしますなあ。

■梅雨入りは例年より10日余り遅かったそうですが、日本の政治の方では、じりじり、だらだらと解散総選挙を先送りしている間に、北朝鮮のお世継ぎ問題が背景となっているらしい原爆実験が行われて米朝関係が緊張し、あっと言う間に「外交の麻生」の金看板は何処かに仕舞い込まれてしまったようです。御本人も匙(さじ)を投げて自らの能力の限界を正直に示しているようですから、総選挙を先延ばしする唯一の理由にした「未曾有」の経済危機に対処する仕事に一意専心!大急ぎで役人に組ませた支離滅裂な補正予算をコロコロと成立させたまでは良かったのですが……。補正の内容があれこれと取り沙汰されるようになると、これでは選挙を戦えない!という不埒が声が自民党内に湧き上がって来たようです。

■その標的となっているのが「アニメの殿堂」という不思議なハコモノであります。本当に誰がこんな施設を求めているのでしょうなあ?第二の「わたしの仕事館」になるのは目に見えているに……。これを選挙の争点にされたら致命的だ!と野性の勘が働いたらしく、自民党内からも予算の執行停止を求める声が上がっております。


政府は最近、平成21年度補正予算で計上されたアニメの殿堂について、「麻生太郎首相の一存で決めたものではない」との反論を展開し始めた。正式な施設は「国立メディア芸術総合センター」。日本が世界に発信できる漫画やアニメ、ゲームを収集・展示する美術館として、117億円の事業費が計上された。だが、民主党は麻生首相のマンガ好きをとらえて「首相肝いりの施設」「国営マンガ喫茶」などとこき下ろしていた。

■思い出せば、福田ホイホイ前首相から政権を託された麻生コロコロ首相は、「選挙の顔」になれるからという理由で担ぎ出されたのでした。その頃はアキバ系だのオタク系だの、これまでにない支持層が膨らんでいるかのような浮ついた報道も目立ちました。一種の聖地のような扱いを受けていた秋葉原を象徴的な政治活動の拠点にでもしそうな勢いがあった就任当初の麻生コロコロ首相でしたが、「誰でも良かった」惨殺事件が起こってからは演説会も開かれなくなってしまったようです。従いまして、当時「秋葉原に集まるオタクの皆さん!」などと楽しげに語り掛けていた麻生首相の姿を覚えている人には、この緊急でもなく経済効果も期待出来ない施設の建設が「緊急経済対策」という大義名分で組まれた補正予算に潜り込んでいるのは、首相が残せる唯一の記念物にしたいと御本人が切望しているからだろうなあ、と短絡的に想像してしまいます。


これに対し、与謝野馨経済財政担当相が5月29日に「安倍晋三内閣から始まって、福田康夫内閣の時代に決まった話だ」、河村建夫官房長官も1日に「平成19年2月に閣議決定され、補正予算に突然出てきたものではない。『マンガ喫茶』と言うのは遺憾なことだ」とそれぞれ発言した。……だが、今ごろになって反論し出したことから、「経緯をよく知らなかったのではないか」(政府関係者)との見方も…。
2009年6月1日 産経新聞

■「100年に1度だ」「未曾有だ」と政府のエライ人達が騒いでみても、何をどうしたら危機を脱するのかは誰にも分からないようです。景気回復が自分の使命だ!という理由で解散総選挙を先送りしたからには、補正予算を組んで緊急事態に即応して見せねばなりません。総理から閣僚を介して官僚に命令が下り、予算の策定過程そのものが緊急だったそうで、組みあがった予算は複数の省庁で重複している物も多く、無駄と無理と無意味が絡まり合ってしまっているという話もあります。確かなのは赤字国債が大きく積み増されることだけ。

■やはり、このアニメの殿堂を象徴的な意味で取り上げて、いろいろ考えておかねばならないようです。

4日間のお休み

2009-06-06 07:05:16 | お知らせ
第二次天安門事件の「記念日」について考えようかと思っていたら、四川省成都で爆発!不満と批判を抑えれば何処かで火を噴く今のチャイナであります。米国のオバマ大統領はエジプトのカイロに乗り込んで、またまた歴史的な演説を行い、洋の東西は大きく揺れております。日本はひたすら解散総選挙を先送りし続けている間に、政府の内外で小さな波紋が広がってはうやむやの内に消えておりましたが、悪評高い「裁判員制度」が始まった途端に最高裁の判断が完全に覆される大冤罪(えんざい)事件が発覚!「17年間を返せ!人生を返せ!」という被害者の悲痛な叫びを裁判員の立場で聞かねばならない恐ろしさをよくよく考えねばなりません。そして、日本の大学が変だなあ、と感じる奇妙な事件が続発しているのも気になります。そんなこんなを考えねばならない時ではありますが、旅限無は数日間、インターネットが使えない場所に行くことになってしまいました。来週の半ばくらいまで、新しいエントリー記事は掲載できないことになりそうです。読者の皆様には、前に書いた北朝鮮関連やチャイナ関連の記事などを中心に、読み漏らした分をのんびりと?読み返して頂ければ幸いです。何やら東京都下では結婚式の2次会・3次会で新型インフルエンザに感染する「事故」が起こっているとか……皆さまにおかれましても、油断は禁物、こまめに手洗い・うがい、発熱を感じたら早めの受診を心がけましょう。

弔電と原爆 其の四

2009-06-03 12:13:47 | 外交・情勢(アジア)
北朝鮮が25日に2回目の核実験を強行したことを受けて、政府は25日午後、首相官邸に関係省庁担当者を集め、連絡会議を開き、国連安全保障理事会での今後の対応などを協議する。……気象庁の地震計測装置が25日午前10時前、北朝鮮北東部咸境北道付近を震源とする不自然な地震波をとらえ、核実験の可能性があるとみて解析を開始した。米韓情報筋からも「核実験の可能性が高い」との情報を得たという。北朝鮮は4月5日の長距離弾道ミサイルの発射実験を強行。4月29日には北朝鮮外務省報道官が「核実験を辞さない」とする声明を発表したため、政府は警戒を強め、情報収集にあたっていた。
5月25日12時35分配信 産経新聞

■事前に日本政府がどの程度の情報を入手していたのかは、軍事機密に触れるので半永久的に秘匿されるべき話なのでしょうが、確度の高い情報が得られていたのなら、先手を打って「もしも核実験を強行したら……」と釘を刺すコメントを出しておいても良かったかも知れません。まあ、その後に「米国に言いつけちゃうぞ」としか言えないかも知れませんが……。

■舛添厚労相が新型インフルエンザの流行に対抗して「水際作戦」を実施していた時、「国民の生命を守るのが政府の責務だ」と何度も語っていましたが、既に拉致犯罪の被害者が出ていて中には生命を失った人もいる可能性があっても、日本は大きく譲歩した内容の『平壌宣言』を書かねばならなかった経緯があります。被害者のタカが問題ではありませんが、闇夜に紛れて不審船で密入国して将軍様の注文通りに人攫(さら)いをするのとは比べようもない規模の被害が想定される核とミサイルですから、この脅威を本気で除去するのなら、為政者は国民に相当の覚悟を迫らねばならなくなるかも知れませんなあ。


自民党の安倍晋三元首相は25日、福岡市内で講演し、北朝鮮が2度目の核実験を実施したことについて「(日本政府は)時にはリスクをとって孤立を恐れない外交をしなければならない。北朝鮮の核保有、核武装を認めるわけにはいかない。断固たる経済制裁を行うべきだ」と述べ、独自に制裁を強化すべきだとの考えを示した。

■安倍元首相ご自身も「孤立を恐れず」政権を維持するべきでした。いよいよ危機管理と安全保障の問題を歴史の闇を利用して米国に丸投げしていられなくなった時に、真っ当な話を持ち出しても何となく負け犬の遠吠えにしか聞こえない悲哀があるのが残念です。


具体的措置として(1)輸出入全面禁止と、これに反した外国人の再入国禁止(2)金融制裁と不法なカネの動きの監視強化-などをあげた。安倍氏は、対北朝鮮外交について「圧力に重点を置いた『対話と圧力』しかない」と指摘した上で「民主党の鳩山由紀夫代表は『友愛外交』なんてことをいう。何を意味するか分からないわけで、友愛外交が絶対に北朝鮮に通じないのは間違いない」と語った。

■(1)に記されている「外国人」の定義によっては戦後の歴史を大規模に清算することになるかも知れません。北朝鮮との怪しげな輸出入を日本の法律に反して続けようとしている「外国人」の存在を浮かび上がらせるには、「再入国禁止」という措置で異様な出入国を繰り返す人物を狙い撃ちしようという意図が見えます。まさか北朝鮮のミサイルや原爆の開発に日本から供給された資金と人材が投入されているとは想像もしていない人にとっては、何の事やらさっぱり分からない「圧力」の話でしょうなあ。

■今になっても(2)に「不法なカネの動き」があるというのも困った話で、本来ならば日本政府の税収となるべき莫大な円が、昔は露骨にゲンナマをダンボール箱に詰めて特定の船に運び込まれていたと言われていますが、グローバル化とITの時代ですから、悪知恵の働く輩は巧みに法の網を掻い潜って送金しているぞ!と安倍元首相は言いたいようです。鳩山さんの「友愛外交」を持ち出すのは選挙運動の一環なのでしょうが、余りの素人臭さに国家存亡の危機を訴えるには逆効果になってしまっているような気がしますなあ。まあ、それだけ自民党全体として政権交代が現実味を帯びているということなのでしょう。


……福岡市内で記者団に「北朝鮮のミサイルは性能を上げている。そして核実験をした。われわれはその備えをしっかりしないといけない。ミサイル発射基地を攻撃する能力も具体的に検討していくことは当然だ」と述べ、敵基地攻撃能力保有の議論をすべきだと強調。核武装論については「安全保障にかかわる議論は自由であるべきだ」と指摘した。
2009年5月25日 産経ニュース

■どうやら、北朝鮮が目指している「盛強国家」の中身は堂々たる?核保有国として21世紀の世界に登場し、それに相応しい待遇を得ることのようです。平壌市内に奇妙な建築物を並べたり、畢生(ひっせい)の映画作品を制作したり、本家も驚くほど精巧な偽札を製造したりしても、世界からは軽蔑を反感しか返って来ない。それならば冷戦に勝利して唯一の超大国となった米国が最も恐れる究極のテロ兵器となる原爆と長距離ミサイルを闇市場ではなく、表の商売道具にしてしまえる実力を持っている事を見せつけよう。と、まあ、そんな短絡的なシナリオを映画好きの将軍様が描いたのか?あるいは軍部が将軍様好みの絵空事をデッチ上げたのか?

弔電と原爆 其の参

2009-06-01 20:51:40 | 外交・情勢(アジア)
■前大統領の自殺と地下核実験は「無関係」だと言い張っても、韓国内が激しく動揺しながらも喪に服している時に核兵器を炸裂させたのは紛れもない事実ですから、政治的な敵対関係にあった人も含めて死者を弔おうという時に、「臨戦態勢」だの「警戒レベル上昇」だのと血生臭い騒ぎを起こしている元凶は北朝鮮であります。右手で弔電を送って左手で核爆発のスイッチを押したようなものですから、国民葬の会場でも将軍様からの弔電は披露されなかったようです。
 
北朝鮮の朝鮮中央通信などが25日、地下核実験を「成果的に」行ったと報じた。……「共和国(北朝鮮)の自衛的核抑制力を方々に強化する措置の一環として、2009年5月25日にもう1回の地下核試験(核実験)を成果的に進行した」と伝えた。「今回の核試験は爆発力と操縦技術において、新たな高い段階で安全に進められた」と主張している。……「試験結果、核兵器の威力をさらに高め、核技術を絶え間なく発展させられる科学技術的な問題などを円満に解決することになった」と伝えた。
5月25日12時21分配信 YONHAP NEWS

■実験の2時間半後に配信されたのが上のニュースでしたが、ここに出て来る「自衛的核抑止力」という表現は、実に味わい深いものがありますぞ!何せ「自衛的」なのですからなあ。日本の自衛隊も「自衛的」なので軍隊ではないことになっております。それなら、『非核三原則』やら『武器禁輸』やらを守りつつ、日本も自衛的巡行ミサイル・自衛的長距離爆撃機・自衛的航空母艦・自衛的原子力潜水艦などなど、いろいろと自衛的に装備したくなる人も出て来そうですなあ。何はともあれ、「自衛的抑止力」という将軍様のお言葉はよく覚えておきましょう。
 
 
韓国青瓦台の李東官報道官は25日午前11時半、記者会見し、「本日午前9時54分、咸鏡北道吉州郡豊渓里(ハムギョンプクドキルジュグンプンゲリ)付近でマグニチュード4.5内外の人工地震が感知された。核実験の可能性があるとみて韓・米情報当局が分析し、状況を注視している」と述べた。……日本の外務省幹部によると「日本でも地震計で揺れを確認した」と話した。こうした事態を受け、韓国の李明博大統領は25日午前、緊急安保関係閣僚会議を招集した。

■こうして今回の核騒動が始まったのでした。テポドンが日本列島を跳び越した後に気が付いた日本政府は慌てて米国製の迎撃ミサイルを入手したのですが、通常弾頭でないノドンが混ざった「飛翔体」が群をなして発射される事態に備えて何か手を打つのでしょうか?それとも日本海の何処かにキノコ雲が湧き出すまで次の手を打たずに待つのでしょうか?世界の耳目を集める道具が親子二代かけて作り続けた原爆とミサイルしか無い国を相手に、その原爆とミサイルを廃棄させようというのですから、太平の夢を貪り続けた日本にとっては手に負えない仕事でありましょうなあ。


北朝鮮の核実験は、06年10月9日以来2回目。……北朝鮮は、過去に核実験を実施したインドやパキスタンなどの事例に従い、短期間に核実験を繰り返すことで兵器の性能を高める目的だったとみられる。1回目の核実験は、爆発の規模がTNT火薬換算で1キロトン以下と推定され、長崎型原爆(約20キロトン)などに比べ、極めて小規模。実験場所は同道吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)付近の地下とみられる。米メディアなどは最近「追加実験の兆候がある」と報じていた。……
5月25日12時33分配信 毎日新聞

■米国から「兆候」の報道が出た時、日本は新型インフルエンザの騒ぎの真っ最中でしたから、マスコミはとても小さな扱いしかしませんでしたなあ。

弔電と原爆 其の弐

2009-06-01 20:51:08 | 外交・情勢(アジア)
■米国のオバマ大統領がチェコのプラハで歴史的な演説をした時には、「唯一の被爆国」であることを平和憲法の護持に直結させようと思っている人達は大いに感動したものですが、憲法前文に謳われている「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という信頼が崩れたら、多少は「われらの決意」も揺いでしまうのは仕方のないことで、同じく「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会」とはまったく異なる国際社会の闇が広がっている現実を見せ付けられると、『非核三原則』の建て前を守っていてもよいのかなあ?と不安になるのは人情でしょう。

■憲法前文を何度読み返しても、もしも「専制と隷従、圧迫と偏狭」の権化みたいな恐ろしい国家が国際社会に現出していた場合、それを「除去」する大変な仕事は、「国際社会」に丸投げしていれば済むという意味しか汲み取れません。その精神に則って湾岸戦争の時に「カネだけ出した」のでしたが、信頼していたはずの「国際社会」からは総スカンを喰ったのでありました。すべての軍事オプションを投げ捨てて丸裸になることで「名誉ある地位を占めたいと思」った日本は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」してしまえた時代があったのですが、それは1946年11月3日でしたから、東西冷戦も朝鮮戦争も起こっていない段階での話でした。

■そう言えば、あれよあれよと言う間に施行されてしまった「裁判員制度」という恐ろしい制度も、実際に運用されていないうちから「憲法違反」の疑いが有る!と言われていますなあ。民主的な法治国家で憲法に触ることをタブーとしている珍しい国ならば、当然のことではあるのですが……。「裁判員制度」の次はなし崩しに憲法解釈を広げて海の向こうの他国を攻撃できることにしてしまおう。という声が出て来るのも、根っこは同じ問題なのでしょう。いよいよ政権交代か?と騒がれても、憲法改正は一向に俎上に乗りませんなあ。これは余談。

■朝鮮戦争は敗戦で疲弊した日本に空前の好景気をもたらし、実際には多くの同胞が戦場に赴いていた事を知らん振りして、軽武装経済国家の建設に一路専心して高度成長の神話を生み出したのですが、目と鼻の先に伸びている半島には冷戦時代の遺物として最後の分断国家が放置されていても、まったくの他人事で日本は別世界に住んでいるんだと、誰が仕組んだか知りませんが共同幻想(ちょっと古い表現で恐縮ですが……)の中で60年の平和を楽しめたのでした。幕末には「太平の眠りを覚ますジョウキセン……」と言われたペリー提督が率いる米国太平洋艦隊が江戸湾に侵入して砲声を轟かせるまで、太平の夢を見ていた日本と同じ様に、広島の平和公園に「あやまちは決して繰り返さない」と主語の無い碑文を立てて平和を祈ることで、絶対に三発目の原爆は落ちて来ないと信じ込んでいるような気がします。

■ペリー艦隊の外輪船が装備していた大砲よりも、遥かに恐ろしい中長距離ミサイルがぽんぽん発射されても、何故か「大丈夫だ」と思えるのが日本の特性で、弱毒性の新型インフルエンザでは大騒ぎするのに隣国の先軍専制国家が原爆実験しても平気で日常生活を送っております。昔は北朝鮮に招かれて、熱っぽく現地リポートを書き散らした日本人も居たようですが、今では内部事情はほとんど分からず、隣の韓国でさえも真偽不明の情報に振り回されることが多く、世界一の情報機関を持っている米国も現地で何が起こっているのか皆目見当がつかない模様です。それならば見ざる聞かざるの日本など簡単に情報操作されてしまいそうであります。


北朝鮮・祖国平和統一委員会のウェブサイト「わが民族同士」は30日、韓国の盧武鉉前大統領の自殺について、李明博政権が「死に追い込んだ」と主張した。北朝鮮が盧氏の死に関して現政権を批判したのは初めてで、韓国内で再燃しつつある保守派と進歩派の対立をあおる思惑があるとみられる。……盧氏が自殺した2日後の25日に核実験を実施……。同サイトは、盧氏の自殺直後に核実験を行ったことを韓国の与党ハンナラ党などが批判していることについて、核実験と盧氏の死は「何の関係もない」と反論した。 
5月30日 時事通信

■これとまったく同じ口調で韓国の現政権が責められているというのは、地理的に半島が分断されているだけでなく韓国の国内にも大きな亀裂が入っている事を証明しているのでしょうし、プロパンガダた謀略に関しては圧倒的に北朝鮮が優勢だという証左にもなるのでしょう。少なくとも韓国に同調する勢力など北朝鮮国内には影も形も無いのですからなあ。そして、日本国内にも……。