旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

お役人様協同組合 其の弐

2006-03-11 17:32:29 | 政治
■お役所は書類が大好きなものですが、国連の書類マニアぶりは異常なようです。絶対に誰も読まない分厚い書類をせっせと作っては、それを各国語に翻訳し続けるのだそうですから、資源の無駄遣いも良いところです。冷暖房完備の小奇麗なオフィスで、こんな中高生でも出来そうな仕事をして偉そうな給料を貰っているのですから、一度やったら止めるもんですか!

報告書は、国連を舞台にした相次ぐスキャンダルを受け、アナン氏自ら組織改革の指針を示すもの。米国は事務局合理化や事務総長の権限強化を以前から主張しており、報告書を支持する立場だ。一方、国連総会の過半数を占める途上国は、予算や人事での主導権を事務総長や先進国に奪われるとして反発している。業務の外部委託についても、リストラの対象となる事務局職員の反対は必至で、提案の実現までには曲折がありそうだ。3月8日 読売新聞

■出身国に碌な仕事が無い!という国から出稼ぎに来てニューヨークに暮らせるようになったお役人は、絶対に祖国になど帰りません。その程度の祖国愛しかない連中が集まって「世界平和」や「貧困撲滅」などの作文を書いているのですから、何も改善されないのは当然ですなあ。碌な仕事が有る国に変える努力を先にしろ!「昔、植民地だったので…」などと泣き言を言っている内は、いくら援助資金を与えても絶対に一人前の国にはなれません。今世紀中に、「独立返上」国家が出現するのではないか?と疑っているのですが、さて、大阪市と何処かの「失敗国家」とどちらが先に破綻するのか、愚劣な競争が始まっているかも知れませんぞ。


アナン国連事務総長が経費削減のため国連の一部業務を外部委託することなどを盛り込んだ事務局改革案を発表したことに対し、国連職員組合は9日、アナン事務総長ら幹部に対する不信任決議案を圧倒的多数で採択した。拘束力はないものの、身内から反旗を翻されたアナン氏は改革案実現に向け、困難な対応を強いられそうだ。
毎日新聞 - 3月10日

■アナンさんは、貧困国仲間からも、国連職員仲間からも、「裏切り者!」と呼ばれて石を投げられて当然です。息子も国連援助資金からピンハネしていたのがバレても、事務総長の「再選」運動をしていたというのですから、余ほど、見入りの良い楽しい仕事のようです。特別な権限も無く、何を言っても誰も話を聞いてくれない職業なのですが、きっと、常任理事国の一つから選出されれば、もう少しマトモな仕事が出来るかも知れません。それこそ、常任理事国の首脳を経験した事の有る者が順番に国連事務総長を務めた方が、各国の裏事情も知っているのですから、話は随分と早く進められるような気がします。どうせ、アジアやアフリカから選出されても、常任理事国の意向を汲んで動くだけなのですからなあ。

■一度完成した国家や国際機関は、お役人によって管理運営され続けるので、その腐敗が進んで暴動や内乱が起こるまでは、お役人が生き延びるために組織自体が利用される事になります。その害悪を最小限に留めて被害を減らすには、やはり、「人員削減」「組織の縮小」しか無いのでしょうなあ。

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お役人様協同組合 其の壱

2006-03-11 17:31:41 | 政治
■我が国の小泉総理は、任期が切れる前に行政改革の仕上げとして、御役人の数を各お役所一律5%削減する法案を出すのだそうです。しかし、一説には諸外国に比べて日本で多過ぎるのはお役人様の数ではなく、地方自治体の議員さんと国会議員さんの数なのだそうですなあ。「小さな政府」とは言っても、「小さな議会」とか「小さな新聞社」とか「小さなテレビ局」などという話は全然出て来ないのは、情報発信する側に一種のギルドが出来ているからでしょうか?

■平成の大合併に反旗をひるがえした福島県の矢祭町では、徹底的なコスト削減と業務内容の見直しを断行したそうです。その指揮を執った町長さんは名言を吐きましたぞ。曰く「民間企業なら一人で済む仕事を役所は三人でやっている」これはとても分かり易い発言です。どうして税金は高くなる一方で、国家予算が赤字を積み上げて行くのか?その謎を解く鍵がここに有るような気がしますなあ。ですから、御役人の数を一律5%削減するのではなく、「無能な役人」を一掃してくれた方が良いのです。有能で「人の三倍」働いて下さるお役人様は大歓迎ですぞ。外務省などという、看板しか無いのに何故か偉そうなお役人様が、裏金の勘定に忙しく、ろくな国際情報も手に入れられず、マトモな外交交渉も出来ないなどと言うのは、断固、お役所の廃止!から始めねばなりますまいなあ。

■お役人の取り扱いが難しいのは日本に限りません。隣のチャイナはもう絶望的に汚職が蔓延し、文官は勝手に税金を考案してしまうし、武官は世界一の軍隊を作るのに一生懸命です。


ブラジル連邦警察は10日、複数の国の外交官やブラジル外務省職員から成る高級品密輸組織を摘発したと発表した。地元紙の報道などによると、一味はイラクやシリア、アンゴラなど中東・アフリカ諸国の外交官22人を含む28人。外交官特権を利用して、酒や香水、高級装飾品を無税で首都ブラジリアに持ち込み、原価の数倍で地元の富裕層に売りさばいていた。この3年間で300万ドル(約3億6000万円)以上の売り上げがあったという。他国の外交官は不逮捕特権があり、拘束できないが、ほかの6人は逮捕された。 
時事通信 - 3月11日

■国名と人数が明記されていないので詳細は不明ですが、先頭を切ってイラクとシリアが並ぶのは、さもありなん、という話です。将軍様に貢物を用意するのに必死で密輸に鋭意努力しているという北朝鮮の外交官は、既にあちこちで逮捕されたり追放されているからでしょうか?ここには出て来ませんなあ。噂では日本の外交官の中にも、せっせと小遣い稼ぎに精を出しているとか…。まあ、この点はムネオ議員にお任せしておきましょう。要するに、外交官などと言っても、談合の取りまとめをして天下り先を確保する腐った役人と変わりは無い!という事でしょうなあ。


米農務省の食肉検査官が勤務中にコンピューターゲームをしたり、検査対象の食肉処理会社から肉製品の提供を受けるなど、「不適切な行為」をしていたことが10日、同省監査局(OIG)の報告書で明らかになった。BSE(牛海綿状脳症)の危険部位が米国産牛肉に混入した問題に続き、米国の検査態勢のずさんさを示す例として注目される。時事通信 - 3月11日

■何としても日本に牛肉を輸出したい米国政府は、探せばいくらでもいる無能な役人の首を幾つかちょん切って、日本の世論を納得させる事にしたようですぞ!日本の国会内でも、「テトリス・ゲーム」に熱中している馬鹿議員が居るのですから、四六時中牛肉の塊(かたまり)を眺めている単調な仕事に飽きて、「不適切な行為」をしたくなる人も居るでしょう。それを承知の上で、様々な「認定証」や「保証書」を扱わねばならないというのが、一般庶民の自己防衛策でしょうなあ。


アナン国連事務総長は7日、業務の肥大化や非効率性が指摘されている国連事務局の改革に向け、一部業務の外部委託や移転の検討を求める報告書を加盟国に提出した。報告書には事務総長の人事、予算面での権限強化も提案されており、改革を推進する米国と「守旧派」の途上国の間で新たな火種となりそうだ。報告書は、事務局業務の大半が人件費の高いニューヨーク、ジュネーブの本部で遂行され、合理化が進んでいないことを指摘。業務の外部委託に制約を課した2000年の国連総会決議のため、包括的検討や試算が行われていないとした。

■政治家と御役人の共通点は、「恥知らず」という一点ですから、自分の家族まで参加して国連汚職をやっていたアナンさんは、自分が責任を取って辞職する事などまったく考えずに、国連の「行政改革」をやるのだそうです。そんな事をやるよりも、国連専用の「検察局」を創設して、アホ役人をびしびし逮捕してしまった方が効果的だと思いますがなあ。そして、汚職事件を起こした馬鹿者の出身国には、援助資金の削減などのペナルティを与えれば、「失敗国家」の大掃除も早まるのではないでしょうか?


そのうえで、報告書は国連総会に対し、外部委託や移転の損得勘定の検討を認めるよう要請。具体的対象として、翻訳や印刷、出版、経費計算などの業務を挙げた。国連では決議や報告書、議事録などの公用語6か国語への翻訳に多くの予算が費やされており、人件費の安い中国などに外注する必要性が提起されている。報告書はまた、個別の事業執行や人事について、事務総長が国連総会の承認なしに弾力的に進めることができるよう提案。副事務総長の権限を強化し、事務総長のデスクワークを軽減するなど、指導部による管理体制の強化を訴えた。

惻隠の情と危機管理 其の参

2006-03-11 13:07:39 | 外交・情勢(アジア)
■隣の台湾でもトバッチリを受けて大いに迷惑しているようですなあ。

台湾の外交部(外務省)は10日、台湾で高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染例はないのに、世界保健機関(WHO)のウェブサイト上の地図で、中国と同様に感染地域に色分けされたとしてWHOに強く抗議、修正を申し入れた。台湾が問題視したのはWHOがこのほど掲載した「今年初めからの感染確認国」など2地図。外交部は「不当な表示は(中国の)政治的な圧力に屈した結果だ」としてWHOを批判した。台湾では昨年10月、中国から密輸された鳥からH5N1型ウイルスが検出されたが、鳥、人とも感染例は確認されていない。共同通信 - 3月10日

■台湾にとってはトンデモない濡れ衣を着せられたものです。日本の統治下に入ってから島全体がすっかり清潔になったまま、戦後の台湾も悪性の感染症には襲われていないのですからなあ。交流を深めれば望まない物まで一緒に流れ込むのは仕方が無いのですが、根も葉も無い悪評は困るでしょう。WHOのお役人にも、北京政府はしっかりと工作をしているという事でしょうなあ。台湾もご苦労様なことです。


10日付の中国系香港紙「文匯報」によると、中国人民解放軍総装備部の汪致遠中将は9日、同紙に対し、中国初の国産空母の建造計画が進んでいると明らかにした。汪中将は「計画は3年や5年で完了するものではない」としているが、具体的計画の発覚により、中国の軍備増強への日米などの懸念が一層強まるのは確実だ。汪中将は空母の意義について、「大国が海洋権益を守る際、極めて重要な道具」との認識を示した上で、「長い海岸線を持つ中国の海洋権益保護のために空母保有は絶対に必要」と強調した。同紙によれば、既存の中国軍機を改造した艦載機や護衛艦艇の開発は間もなく完了するという。同紙は、空母が中国の石油輸入ルートにあたる南シナ海を担当する南海艦隊に配備される可能性があるとしている。中国は1980年代に空母保有に向けた研究を本格化させたとされる。
読売新聞 - 3月10日

■団体競技が苦手な国が、絶妙のチーム・ワークが無ければ運用できない航空母艦を持とうと言うのですから、これは見物ですなあ。先の大戦中も、航空母艦を中心とする機動部隊を運用できたのは英米と我が大日本帝国だけでした。船と飛行機さえ有れば空母が操れるというものでもないそうですなあ。腕の良いパイロットを育成しても、それを上手に発艦させ、更に難しい着艦までさせるのは波と風を読む高度な操艦技術を持つ乗組員ですからなあ。お互いに罵り合っていれば、必ず飛行機は海に堕ちるか甲板に激突して炎上しますぞ!まあ、ただ艦載機を並べて台湾の周りをうろつくだけでも役に立つのでしょうが、機動部隊まで整備できるかどうか、これは大いに疑問です。


中国の国政助言機関、中国人民政治協商会議の委員らが10日、北京で記者会見し、都市部で肥満や体重超過の子供や若者が25%に上り、中国の4大生活習慣病である肥満症、脂肪肝、糖尿病、高血圧を患う成人が延べ約6億2000万人に達することを明らかにした。中国では、経済発展に伴い食生活が変化し、肥満や生活習慣病を患うケースが急増。「日本が40年前から推進してきたように政府の指導が不可欠だ」と指摘した。

■一人分ずつお膳を仕立てて宴会をする日本と違って、飲めや歌えの大宴会の後に卓上の皿や床に残飯が大量に散らかっているのが良い事とされるお国柄ですから、ちょっとばかり小銭が入ったらあっと言う間に喰い過ぎて肥満になりますなあ。列車で現地を旅しても、野別幕無し、ずっともぐもぐぱくぱく、良く食べる人達ですし、鮮度が怪しい食材を大量の油でジャージャー炒めてしまう調理法ですから、太らない方が可笑しいのです。かつて、「中国の人は皆スタイルが良いのは中華料理と茶に秘密がある」などというヨタ話を売り物にしていた日本人もいたようですが、皆が痩せていたのは食糧が不足していたからですし、もっと酷いのになると、「中国で眼鏡を掛けている人が居ないのは、漢方治療の特殊な指圧をしているからです」などと、小中学生向けの学習雑誌にも書かれていましたからなあ、単に眼鏡の生産能力が無かっただけなのに……。

■オリンピックが終わったら、肥満対策と感染症対策で大忙しになるのは明らかなようです。しかし、それが本当に解決できるのかどうか、日本のODAで何とかしましょう、などと寝言は言わない方が良いでしょうなあ。

 
委員によると、都市住民では肉や油の摂取量が増え、逆に穀物類の消費量が世界保健機関(WHO)の基準を大きく下回り、栄養のバランスが崩れている。このため、日本が(1)牛乳の摂取量を増やして体格を向上させた(2)減塩対策など生活習慣病防止の知識を普及させた-ことを挙げて「日本の経験に学ぶべき点は多い」と強調した。
共同通信 - 3月10日

■学ぶのは良いのですが、別に日本に招待までして学んで貰う必要は有りませんぞ。「牛乳の摂取量」を無闇に増やしたら、内モンゴルやチベットの草原は過放牧で砂漠になってしまうではないか?!トンデモない事を言う人がいたものです。穀物は全部豚に食べさせて肉食に走っているのですから、肉食を制限するしかないでしょう。その内米国がマックの大安売りでも始めるでしょうが、それに負けずに頑張って貰うしかないでしょうなあ。日本も毎日牛丼を食べたり、マックでおやつを楽しんで、偶の贅沢は中華料理などと言っている場合ではありません。御飯に具沢山の御御御付け、御新香に焼き海苔、焼き魚で幸福感を味わう生活に戻った方が良いのでしょうなあ。それはそうと、我が海上自衛隊はいつ頃航空母艦を建造するのでしょう?

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惻隠の情と危機管理 其の弐

2006-03-11 13:07:09 | 外交・情勢(アジア)
■オリンピック前に会場周辺を清潔にしようと、汚い排気ガスを出す車を締め出したり、汚水処理を進めたりしているようですが、それでは止まらぬ汚染もあるようです。

北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、エイズ予防の観点から管理売春の必要性が提案され、議論の行方に注目が集まっている。今のところ売春が合法化されることはないとみられるが、中国ではエイズ患者がすさまじい勢いで増えており、提案はエイズ問題が全人代で管理売春まで議論せざるを得ないほど、大きな問題となっていることを浮き彫りにしている。

■汚染と並んで感染症の統計資料の信憑性は低いので、本当は何が起こっているか分かりません。日本からも気楽に観光旅行に行く人が随分と増えているのですから、困ったお土産を貰って帰国している人が皆無とは思えませんなあ。何でも「安い」のが良いと思い込んでしまったデフレ慣れした日本人が多くなったので、それに加えて「旅の恥は掻き捨て」の伝統文化を継承しているオジサンたちは危険ですなあ。


提案したのは遅夙生・黒龍江省代表。30人の代表の支持を集めた上で「性産業従事者は健康検査を義務付け、性病およびHIV感染拡大防止を講じなければならない。この意見は伝統的倫理や道徳とは衝突するだろう」と述べた。さらに「HIV感染したまま売春を行う女性が多く、社会の脅威となっている」などと強調した。この提案は、中国メディアでも報道され「売春婦自身が公にレッテルをはられたくない」「ニセの証明書が出回るから意味がない」「税収増につながる」「西洋でも合法化しているところは多い」と、賛否両論がネット上に寄せられている。最近のネット・アンケートでは売春の合法化賛成が64%、反対が28%という。

■「上に政策有れば、下には対策有り」の国ですから、検査だの証明書だのと言ったところで、どれが本物か現地の人でも分かりません。同じ証明書を安く作って売る人は幾らでも居ますからなあ。怪しげな証明書を持って客引きされたら、逆に気味が悪いでしょう。


中国では、売春婦は政府系シンクタンクの推計によると、600万人とも1200万人ともいわれ、組織的な斡旋(あっせん)売春は最高で死刑となるが、農村女性にとっては貴重な現金収入を得る手段だ。ただ、今年1月の衛生省の発表によると、雲南、四川省などのエイズ蔓延(まんえん)地域では、売春婦の100人に1人以上が感染者とされる。産経新聞 - 3月11日

■雲南省や四川省は観光開発に力を入れているので、日本からも多くの観光客が行っている場所ですぞ!感染率1%というのは凄まじい話ですが、今更そんな事を言われても困るぞ!とこの記事を読んで怒っているオジサン達は物悲しいですなあ。早めの検査がお勧めです。とにかく、帆掛け船の時代に欧州中に梅毒が蔓延するのに数年しか掛からず、世界中に広まるのに100年も掛からなかったそうですから、この種の感染症は足が速いのです。飛行機が大量に運び込んだら止めようが有りませんからなあ。北京オリンピック前に北京市自体が汚染地域になってしまったら、大会は大失敗か前代未聞の中止になってしまいますぞ。(其の参に続きます)

惻隠の情と危機管理 其の壱

2006-03-11 13:06:31 | 外交・情勢(アジア)
■3月11日の読売新聞によると、北京で開催中の「中国人民政治協商会議」に、委員を務めている映画監督のチャン・イーモウと有名女優のコン・リーが揃って映画撮影を理由に欠席したのを、新聞やお偉方が怒っているそうです。でも、2280人もいる委員の120人がしっかり欠席しているとの情報も添えられています。政治協商会議は、中華人民共和国の建国史にも重要な意味を持っている組織なのですが、民主的な設立目的とは裏腹に共産党支配の添え物になっているのも事実です。全国人民代表大会にしても協商会議にしても、「シャンシャン総会」ですから、まさに座席を埋める為に出席するだけの事なので、銭稼ぎに忙しい「時はカネなり」のプロフェッショナルな人達にとっては、ただ座って決められた時に拍手をするだけの退屈な会議場になど行っている場合ではない!というのが正直なところでしょうなあ。

■120人も欠席しているのも驚きですが、そもそも2280人も委員がいる組織というのが、何とも異様です。報告やら演説やらをする数人は会場を埋め尽くした人の数が快感なのでしょうが、予め印刷物が配られている馬鹿長い文章の朗読を聴かされる方は堪ったものではないでしょうなあ。共産党全盛の頃は、拍手のタイミングが遅れたり早めに止めたりするとエライことになったそうですから、よほど掌の皮が厚くないと耐えられない催し物のようです。本音丸出しの銭稼ぎに走り出してしまったら、こんなに無駄な催し物が軽く見られるばかりか、不要なものと思われるのは当然なのに、何せこれだけに命を懸けているような人も多いので、止められないのは辛いですなあ。


中国国家体育総局(スポーツ省)と中国卓球協会が、今月5日に神戸で行われた卓球アジア杯男子シングルス決勝の際、陳●が取った態度を問題視し、陳とチーム関係者に異例の厳罰処分を下したことがわかった。10日付けの中国各紙が報じた。陳は、5日の決勝で同僚に0―4のストレートで敗れると、怒りをあらわにし、ラケットを放り投げたり、いすをけ飛ばすなどの行動を取った。各紙によると、体育総局は陳のこの行いを中国の名誉を傷つける行為と見なし、陳本人に<1>年収の10%没収 <2>1週間の軍隊訓練 <3>貧困地区での労働奉仕 <4>メディアを通じた国民への謝罪――の各種処分を下すことを決定。さらに、監督責任を問い、ナショナルチームの劉国梁監督に2万元(1元は約15円)の罰金などを課した。…中国では現在、2008年北京五輪に向けて、国を挙げてマナー向上運動を展開中。その時に、外国でこうした行動を取ったことが、国家首脳部の逆鱗に触れたようだ。(●は王ヘンに「己」)
読売新聞 - 3月11日

■「一人っ子政策」と「愛国反日教育」で育った我儘息子が、オリンピック強化選手になって大きな人参を目の前にぶら下げられているのですから、日本を会場とする大会で負けたら傍若無人の振る舞いをするのは当たり前です!本番の北京で何が起こるやら、共産党幹部は心配で夜も眠れないのではないでしょうか?今の内から、しっかり「一罰百戒」で締め上げて置かないと大変な事になりそうですなあ。でも、衆目の前に出て来る選手はともかく、何やかにやと肩書きを持った役員や委員というのがうようよしているので、そんな輩が選手をダシにして自分の出世を目論むのは何処も同じで、今回のトリノ・オリンピックでも日本の選手団と同じくらいの有象無象が「観光旅行」に同行したそうですなあ。それが1党独裁の国となったら、どんな役員がいるのやら……。「手段を選ばず金メダル!」と手下や選手に厳命している幹部が居るのでしょうなあ。もしかすると、「トリノの日本になるな!」と付け加えているかも知れません。


中国最高人民検察院(最高検)の賈春旺検察長は11日、全国人民代表大会(国会)で05年の活動報告を行い、収賄や横領の汚職事件などで逮捕された公務員が全国で4万1447人(前年比5.28%減)、起訴人数は3万205人(同1.89%減)だったと発表した。報告によると、収賄や横領の金額が10万元(約150万円)以上の汚職事件で逮捕されたのは8490人。閣僚・省長級幹部の逮捕者は前年11人から8人に減少した。収賄や横領の総額は74億元(約1110億円)余に達し、前年の45億6000万元(約684億円)から大幅に増加した。また、犯罪発覚を逃れるための国外逃亡も増えており、逃亡先での逮捕は703人(同14.5%増)だった。

■逮捕者も起訴された者も減少しているのが、汚職自体の減少を意味しない事は誰でも知っていることでしょうなあ。手口が巧妙化しているだけでしょうから、被害額は驚くような増加傾向にあるのでしょう。汚職で稼いだ金が日本の株やら土地や不動産に化けている可能性も高く、香港あたりでジャブジャブと選択したカネがドボドボと日本に流れ込んでいるのを景気が良くなったと喜んでいるようでは、とても国境交渉など出来ませんなあ。


地方の炭鉱事故や化学工場爆発、環境汚染などの重大事件11件についても、責任者ら52人を逮捕した。一方、最高人民法院(最高裁)の肖揚院長は11日の報告で、05年に地方の裁判所で扱った知的財産権に関する事件は3529件(同28.28%増)だったと発表した。
毎日新聞 - 3月11日

■現地の水や道路の汚さを考えれば、この検挙数の少なさに唖然とさせられますなあ。「知的財産権」侵害を本気で摘発し出したら、中国中の商店や市場から品物のほとんどが消えてしまうはずですし、それを承知で売っている貧しい商人達は即座に暴動を起こすでしょうなあ。(其の弐に続きます)

亀田君、『坊っちゃん』を破かないでくれ!

2006-03-11 02:25:47 | 日記・雑学
 ■文部科学省も首相官邸も、「感動した!」とは言えない「浪速の狂犬」が元気です。渾身のストレートかアッパー・カットを見たかったのですが、全勝を続けたのは立派でしたなあ。関西地区の皆さま、オメデトウございました!普通、有名になると「出身校」の担任やら校長やらが、美辞麗句を並べてマヌケな太鼓持ちを嬉しそうに演じるものですが、さすがに「狂犬」を自称する若者の担任やら校長やらには出番は無いようですなあ。まあ、誰が見ても学校やら文科省の「御指導」「御鞭撻」の賜物とは思えない活躍ですからなあ。

■あの「父ちゃん」は、アニマル浜口さんとはまったく違ったキャラクターですから、文科省は恐ろしくて連絡も出来ないのでしょう。試合後の蟹股歩きが素敵でしたなあ。


視聴率でもカリスマや! 人気ファミリー「亀田3兄弟」の長兄、WBA世界フライ級4位・亀田興毅(19)=協栄=が9月にも予定する世界初挑戦が、東京ドームで行われるプランが浮上した。6回KO勝ちした前日のプロ10戦目(両国国技館)を放映したTBSテレビの視聴率が平均24.8%、瞬間最高31.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に達したことが9日、わかった。次戦は5月5日、有明コロシアムに決定。急カーブを描く右肩上がりの注目度に、超ビッグな舞台が用意される?!

■例えが古くて恐縮ですが、彼は「平成の大場政男」ですなあ。学歴も職歴も関係なく、コブシだけで世界一になってやる!大場は事故死するまで、生まれてから一度も腹いっぱいのメシを喰った事が無かったと言われた天才ボクサーでしたが、亀田ファミリーは大場の悲壮感が無いところが違いますなあ。


…前日のプロ10戦目。初めて午後9時からのゴールデンタイムで中継したTBSテレビの視聴率は、グングンと伸び、平均24.8%を記録。瞬間最高は、WBC世界フライ級13位カルロス・ボウチャン(メキシコ)を攻め立てた5回終盤を映していた午後8時42分、31.8%にまで達した。亀田はそんな茶の間の熱視線に応えるかのように、6回、ボディーアッパーでキャンバスにキッチリ沈めてみせた。

■ガードの固さに手間取った亀田兄ちゃんは、ちょっとだけ怪しい場所にパンチを入れていたようですが、まあ、プロの興行ですから、あれくらいで文句を言っては行けません。試合前のパフォーマンスで、可愛い装丁の『坊っちゃん』を手土産にしていたそうで、「怖くて眠れなかったら、これでも読めや」と言ったとか、相手の名前がボウチャンなので、それに引っ掛けたのでしょうが、こういう分かり易いところが人気の理由なのでしょうなあ。誰でも思いつく詰まらない事を大真面目にやって見せるところに素直さが感じられるのでしょう。ガラの悪いサングラスも小道具で、髪型も目付きも全部商売用、時々漏れる本音が「親孝行」ですから、ヤッサンの息子のような不祥事を起こす心配も全然無いので、安心してヤンチャ坊主を日本中が応援しているようですなあ。

■『坊っちゃん』がテレビで大写しになった時に、拙著の『チベット語になった「坊っちゃん」』を献本しておけば良かったなあ、と冗談を言っていたのですが、次の場面で「こうしてやる!」と『坊っちゃん』と思しき本を亀田兄ちゃんはカメラの前で八つ裂きにしてしまったのを見て、「ああ、献本しなくて良かった」と変な事に安心したのでした。学校の勉強なんか、自分の住所と名前が書けてファイト・マネーの計算が出来れば十分や!ぐらいの事を言っても良いのですが、本は破らないで下さいね。お願いだから!

■文句を言いたげなのは、TBSにしてやられた他のテレビ局の関係者だけでしょう。ぞろぞろと用でも無い大選手団をトリノに送り出してメダル一個貰って帰って来たウインター・スポーツの皆さんは、文科省からの予算と天下り役人に守られているのでしょうが、一匹オオカミで「大言壮語」を「有言実行」にしてのし上って来た若者一人の前に、すっかり影が薄くなってしまいましたなあ。


プロ無傷の10連勝から一夜明けた亀田はこの日、都内の協栄ジムにサングラス姿で現れ、鼻高々。「カリスマのひと言やな。ゴールデン(タイム)やし、15%くらいと思ってた」。同時間帯に放映された他局の人気ドラマを完全制圧する恐るべき数字。自らの予想もはるかに超える結果に、満足顔。平成に入って同局が放映したプロボクシング番組では5番目の視聴率。すべて日本人がらみの世界戦の中で唯一のノンタイトル戦で、亀田フィーバーのすさまじさを際立たせた。

■学校の成績は最低や、と父ちゃんは笑っていたようですが、なかなか数字の感覚も良く、本まで出しているのですから、立派なものです。しかし、視聴率をしっかり稼ぐこの若者が、5月5日の金曜日に次の試合をするとなれば、プロ野球の皆さんはどうするのでしょう?テレビで実況放送されたら、巨人戦を観る人など居ませんぞ!放送権を取れなかったテレビ局は、「星占い」やら「前世占い」の特別番組でも放送するのでしょうか?まあ、犬か猫の番組になるでしょうなあ。


さぁ、これが世界戦となったら…。放映権を持つ同局関係者は、「ノンタイトルの試合でこうなんだから」と半ばあきれ顔。そこで、すぐさまビッグプランを口にした。世界挑戦にもっとも慎重派だったトレーナーでもある父・史郎さん(40)も、前日の試合内容をみて9月の世界初挑戦にゴーサインを出したことで、「東京ドーム」が会場の候補に挙がってきたというのだ。東京ドームといえば、当時、統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)が2度防衛戦を行い、その前座で辰吉丈一郎(大阪帝拳)らが出場したことはあるが、日本人選手がメーンで登場となると史上初の快挙。それだけでも話題性は十分。協栄ジム・金平桂一郎会長(40)は同日、世界前哨戦となる次戦を5月5日、東京・有明コロシアムで行うと発表した。相手は未定だが、世界ランク上位を予定する。中継するTBSテレビも、再びゴールデンタイムで放送する調整に入り、「東京ドーム」実現への最終データの取り込みにかかる。

■大場政男がシボレー・コルベット・スティングレーで首都高で若死にしなければ、後楽園球場でのタイトル・マッチくらいは実現していたかも知れませんが、これは大変な事になりましたなあ。六本木ヒルズに住むのが憧れだという若者が多いそうですが、こういう若者が持っている爽快感には勝てないでしょうなあ。『フォーブス』の長者番付に名前が出るのも大したものでしょうが、ボクシングの世界チャンピオンというのは別格ですぞ。野球の世界一も立派なものでしょうが、貧しい国の少年も出来るサッカーやボクシング、特にたった一人で練習出来るボクシングは、本当の世界一を感じさせます。ルールもとても簡単で、常に死を予感させる単純な殴り合いですからなあ。タイソンみたいに噛み付いては行けませんよ。蹴っても駄目です。


亀田は「世界戦はヤバいな。(視聴率)40%はいくで」。次戦へ向けて、早くも13日から再始動。いよいよ頂点獲りへ。人気者にふさわしい舞台が、手招きをする。サンケイスポーツ - 3月10日

■本当に40%を越えるかも知れないですぞ。彼が見せてくれるのは、見世物の喧嘩ですから、こんなに面白い物は有りません。どうか、高級車やら生意気なバイクなどを買って命を粗末にしないで欲しいと思いますなあ。でも、目標が「親孝行」ですから、引退後のジム経営や芸能界デヴューまで考えながらぶん殴りあっているのでしょうなあ、この若者は。楽しみな事です。この先10年は、女の子はフィギュア・スケートで、男の子はボクシングが流行るのでしょうか?青白くぶよっと太った身体でテレビ・ゲームに熱中して成人病予備軍になるよりも、遥かに良い趣味でしょうから、大いにボクシング・ジムやスケート場が増える事を念願しますぞ。早速、ピント外れの文科省も、体育の正規授業にスケートとボクシングを組み込むのでしょうか?それは止めた方が良いでしょうなあ。大きなお世話ですから。

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イランは要らんとも言えないし… 其の弐

2006-03-11 01:44:48 | 外交・世界情勢全般
■アハマディネジャド大統領という人も、相当に偏った教育しか受けていない人らしいので、どこかズレている所が目立ちます。このところ、平和のシンボルの「オリーブの苗」をイラン各地に植樹して回っているそうで、日本の皇室の真似でもありますまいが、「苦痛」というのは単なる原油を売ってやらないぞ!というだけの事なのかも知れませんなあ。でも、あの思い詰めた目付きを見ていると、イラン全土どころかペルシャ湾を火の海にして、沿岸諸国にもたっぷりとトバッチリを喰わせて世界を石油パニックに陥れるつもりではないか?と心配になりますなあ。

アンカラ発タス通信が9日報じたところによると、イランのデブレタバディ駐トルコ大使は、イランのウラン濃縮活動と使用済み核燃料処理について「トルコ領内で行うことを今後、同国と協議するつもりだ」と述べた。イランのウラン濃縮問題に関しては、ロシアに委託する案を両国間で協議したが、最終合意に至っていない。
毎日新聞 - 3月9日

■ロシアとイランが仲が悪いように、ロシアとトルコも仲が悪いのは確かです。しかし、イランとトルコは間にクルド人居住地域を挟んで常に国境線で対峙しているので、決して仲は良く有りません。万一、両国が手を結ぶとすれば、クルド人虐めをする時だけでしょうなあ。近代化を進めて政教分離をした上にEU加盟まで希望しているトルコをイランが信頼などするはずはないのです。ですから、この「トルコ領内」の話は、単にロシアに対する嫌がらせとしか思えませんなあ。余りロシアを挑発すると、チェチェンのゲリラを深追いした振りをして、イラン国境を破って進攻して来ますぞ!そういう事が得意な国なのですから、昔から!


ライス米国務長官は9日、議会の公聴会で、イランの核開発計画を阻止しようとする米国主導の努力にもかかわらずイランが核兵器を保有するに至った場合、同国は中東における米国の国益に対して主要な脅威になるだろうとの見解を示した。同長官は、イラン政府はイラクへの干渉や反イスラエル武装勢力を支持することによって重大な脅威となっており、おそらく米国にとって最大の難題だと述べた。

■才媛のライスさんは、学生時代から「ロシア政治史」の専門家として有名だったそうですから、イランに関する見識も高いはずです。だとすれば、イランと事を構える場合にサウジと向かい合うペルシャ湾を戦場にするよりも、ロシアと手を結んで北方からの攻撃オプションを取るかも知れませんなあ。そうなれば、少なくともトルコは不介入を決め込んで知らん振りでしょうから、イランはそれを先読みして、「お前も関係者なんだからな!」と因縁を付けているとも考えられます。同じイスラム教の国同士、余り露骨に見棄てるとトルコの国内からも怨嗟の声が上がるでしょうから、イランの立場も分かるけれど…と外交辞令を急いで用意してるでしょうなあ。

 
さらに「こうした脅威を数百倍にしたら、核兵器を持ったイランが地域にとってどれほどの脅威になるか想像できる」と述べ、イランの脅威がさらに増大する可能性があると付け加えた。イラン政府は核開発プログラムは発電を目的とした平和利用だと主張し、対立する西側諸国に対して一切妥協しない姿勢を示している。米政府は、国連安全保障理事会による対イラン制裁を視野に厳しい対応を提唱しているが、同じく安保理で拒否権を持つロシアと中国は制裁に消極的な姿勢を崩していない。米政府関係者は、イランに制裁を発動するには国連の枠外で諸外国と協力する必要があるかもしれない、と発言している。ロイター - 3月10日

■ロシアは歴史的にカスピ海沿岸を侵略した過去が有るので、イランが勢いに乗って「失地回復」運動でもされたら、瞬く間にチェチェンと共同戦線を組まれて厄介なので、何とか火の子が飛んで来ないようにしたいところですし、中国は子分の北朝鮮をダシに使ってミサイル技術を売りつけていた裏のアルバイトが表沙汰になるのを怖れているでしょう。石油とのバーターや優先的な輸入枠などと交換に、相当ヤバイ技術を売り飛ばしているようですから、万一、イランが小型の原爆を手に入れたら、メイド・イン・チャイナの中距離ミサイルの頭に付けて、イスラエルどころか欧州の半分を射程に収めるのですから、今回は「新しい欧州」と「古い欧州」の分裂は起きそうもありませんなあ。


ライス米国務長官は9日、上院歳出委員会の公聴会で証言し、イランの核兵器開発の決意は固いとの見方を示し、同国を米国益への最大の脅威だと位置づけた。イランが核問題を「米国対イラン」の構図にして対米批判を強める中、同長官はイランを「テロの中央銀行」と呼ぶなど、両国の言葉による威嚇合戦はエスカレートしている。ライス長官は「イランは米国が期待する(民主化された)中東とは正反対の中東を目指している。米国にとってイラン以上に大きな挑戦はない」と語った。その上で、「イランは国際社会に挑戦し、核兵器開発を決意しているようだ」と述べ、事態を「国際社会対イラン」の対立だと訴えた。

■「テロの中央銀行」などと、辻元さんの「疑惑の総合商社」みたいな下卑た表現まで使って、ライスさんともあろう方が、ブッシュさんとの付き合いが長くて、少々影響されてしまったのかも知れませんなあ。ひどく軽薄な感じのする表現です。それに「国際社会VSイラン」という構図も、ブッシュ大統領好みの「米国=世界」にぴったりの表現ですなあ。日本は当然、「国際社会」のリストに載せて貰っているのでしょうが、イラン側に名乗りを上げる者が出て来たら、ライスさんはどうするのでしょう?


イラン核問題は来週から国連安保理で本格審議が始まるが、米国は中露などの反対もある現時点では制裁を求めず、段階的に圧力を強化していきたい意向だ。今回の審議で議長声明を採択し、それでもイランが態度を変更しない場合は、制裁が可能となる決議の採択を目指すとみられる。ライス長官は制裁について「いくつかの可能なステップがある」と指摘し、一般論として資産凍結やビザ発給制限などに言及。制裁を求める場合も「標的を絞った制裁」から徐々に強化することを示唆した。毎日新聞 - 3月10日

■何だか、「対話と圧力」で北朝鮮と同じ構図になりつつありますぞ。「イラク内戦は無い」と言っていた米国なのに、ラムズフェルドさんが急に「内戦になったらイラク軍が対応するんだ」などと、「丸投げ」発言までして、ブッシュ大統領は小泉さんの影響を受けているのでしょうか?しかし、米国の面子を考えれば後々世界中から「無責任だ!」と言われようと、「売られた喧嘩は必ず買う」のが米国大統領で、ひどい時には、自分が売っておいて「売られた」事にする名人までいますからなあ。もう、イラクは眼中に無くなっていると考えた方が良いですぞ。そうなれば、「後は日本の自衛隊でも出来るよな?」と小泉さんの所に電話が掛かって来るのは時間の問題です。多分、イラン攻撃に参加しろとは言われません。しかし、イラクでの尻拭いはしっかりと押し付けられるでしょうなあ。

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イランは要らんとも言えないし… 其の壱

2006-03-11 01:44:14 | 外交・世界情勢全般
■もう誰もイランを止められない、と考えた方が良いかも知れません。ここまで話がこじれて進んでしまったら、イランと米国の両方の面子を保って話をまとめる方法は無さそうです。

エルバラダイ事務局長は会議後の記者会見で、イラン核問題審議の場が国連安全保障理事会に移ることについて、「IAEAが失敗したとの解釈は誤りだ。安保理(関与)は外交の新しい段階に過ぎない」と強調し、外交による解決への希望を改めて示した。事務局長はもともと安保理付託に消極的だったが、「安保理はIAEAに重みを与え、イランに対し緊密な協力と必要な信頼醸成措置を促すのに役立つ」と述べ、安保理の権威を背景とした査察権限の強化は歓迎する意向ものぞかせた。事務局長はまた、「IAEAは検証活動を続け、安保理では政治的見地からどうしたらすべての当事者が交渉の席に戻れるか検討が行われる」と指摘し、IAEAと安保理が補完し合っていく必要性を訴えた。

■北朝鮮にしてもイランにしても、イラクと同様にIAEAなど存在していないように振舞っているのですから、エルバラダイさんの言葉は非常に虚しく響きますなあ。もしかしたら、日本の新聞だけがこの人物を大きく扱っているのかも知れませんぞ。武器で脅されたら何も出来なくなる組織が、国際社会の裏で何でも好き勝手な事をやっているような物騒な国を相手にして何かが出来ると期待する方がどうかしています。


 一方、イランの国家安全保障最高会議のバイディ副書記は協議終了後、記者団に声明を読み上げ、「どんな場合も研究開発(の濃縮)活動は続ける」と表明。安保理付託の直接的な原因となった濃縮活動の停止を受け入れない姿勢を鮮明にした。
読売新聞 - 3月9日

■IAEAは、「どうしてこの世界に核武装しても良い国と、しては行けない国が有るのか?」という交渉の入り口を塞いでいる問題に解答を与えなければならないのですが、エルバラダイさんにはその用意も資格も力も無いでしょうなあ。イランは、公然と「米国と戦争する」と宣言しているようなものですから、核武装は攻撃用にも防御用にも必須アイテムになっています。このままでは、米国が核で脅迫して来たら屈服しろと言うのと同じですから、イランは米国に対する以上にIAEAを目の敵にして責めるでしょうなあ。


マクレラン米大統領報道官は8日、国連安全保障理事会がイランの核開発問題に対して行動した場合、米国も「損害と苦痛」を受ける可能性があるとしたイランの声明について、挑発的として退けた。同報道官は、記者団に対して「米国は、イランが国内でウランのいかなる濃縮作業もすべきでないという見解を明確に示してきた」としたうえで、声明について「挑発的だ。イランは、ますます国際社会から孤立するだけだ」と述べた。

■挑発的なのではなく、露骨な「挑発」をしているのです。イランがどんな報復を考えているのかは分かりませんが、世界中のシーア派信者から決死隊が選ばれて出撃するのかも知れませんし、イラクのように下手な引き込み作戦など取らずに、米軍に敵対的な動きが出たらさっさと攻撃を仕掛けて派手な撃ち合いをして見せるつもりなのかも知れません。ホメイニ革命以来の鬱屈した思いが凝り固まっていますからなあ。火を点けると直ぐに爆発するような連中がうようよしているはずですぞ。

 
ロイターが、ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の定例理事会の会場で入手した声明によると、イランは「米国には損害と苦痛を与える力があるかもしれないが、一方で損害と苦痛の対象ともなり得る。従って、米国がその道を選びたければ、そうすればいい」としている。前日にはチェイニー米副大統領が、「イランは国際社会に背を向け続ければ大きな代償を払うことになる」と述べていた。ロイター - 3月9日

■何となくチェイニーさんの発言の方が正しいような気がしますが、「国際社会」にはアルカーイダやら各種の武装闘争を続ける人々は最初から含まれていないのですから、イランと米国の間に対話は成立していない事を見落としては行けませんなあ。


イランの核開発問題は8日、国連安全保障理事会に舞台を移し、常任理事国5カ国が協議を開始した。外交筋の間では、安保理が、イランに国際原子力機関(IAEA)の決議を順守するよう勧告する声明を出すとの見方が大勢。しかし声明の内容はまだ固まっておらず、拒否権を持つ常任理事国5カ国は来週この問題が安保理に付託されるのに先立ち、10日に再協議する予定。IAEAは8日、理事会を終了。その後、エルバラダイ事務局長は2月27日のイラクに関する報告書を安保理メンバーに送付した。ロイター - 3月9日

■所詮はIAEAもお役所ですから、今頃「イラクに関する報告書」なんぞをまとめているのですなあ。とても非常時に対応出来る組織ではありません。常任理事国=核兵器独占国なのですから、イランがこんな面子の「談合」を認めるはずもなく、IAEAは危なくなったら職員を引き上げるお役所ですから、本気でイラン危機を回避する仕事など考えてもいないでしょうなあ。


イランのアハマディネジャド大統領は9日、同国西部ポルドフタルで国民向けに演説し「敵はイランに核開発を断念させることはできない。イランは決して奴隷状態にはならないからだ」と述べ、欧米を激しく非難した。国営イラン放送が伝えた。イランの核問題をめぐり、国連安全保障理事会の本格協議を前に、欧米を「敵」と明確に位置付け、国内の引き締めを図る狙いがあるとみられる。イラン学生通信によると、大統領はこの日、別の演説で「欧米はイランを必要としており、これ以上の打撃を与えることはできない。今回の行動(安保理の本格協議入り)でさらに苦痛を受けるだろう」と警告。さらに「核兵器を製造し、核実験をしている国々がイランを脅すのは、こっけいでばかげたことだ」と批判した。
共同通信 - 3月9日 
(其の弐に続きます)