旅限無(りょげむ)

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冗談も過ぎるとホラーになる 其の四

2012-03-01 15:28:59 | 政治
■2月の末日に党首討論が行なわれたそうですが、きっと事前の「密談」が発覚しなければどこのマスコミも大きく取り上げることなどなかったと思える面白くも何ともない時間とカネの無駄としか言いようの無い見世物だったようであります。支持率が急降下中の野田ドジョウ首相と支持持率が停滞したままの谷垣総裁が、近頃流行の「第三局」に漁夫の利を占められないように共倒れを避けて「消費税増税」と「話し合い解散」で合意して手打ちをしたのではないか?という憶測が永田町を駆け巡っている由。

■選挙にさえ持ち込めば誰かさんと組んで政権与党に返り咲けると妄信している谷垣総裁も、震災からの復興も原発事故対応も加速できない野田ドジョウ首相も、どちらも総理大臣の資質を欠いているような気がしてなりません。そんな二人が財務省辺りが描いたシナリオに沿って手を握っても共倒れを避けられる筈もないのですが……。原発問題や年金制度の問題は自民党に大半の責任がありますから、それを改善できない無能な民主党ばかりを責めるのは酷かも知れませんが、沖縄の普天間移設問題は間違いなく民主党が自民党の努力と苦労を水の泡にしたのですから責任は重大でありましょう。そんな二つの政党が裏に回って密談したところで政権担当能力が無い民主党も反省の足りない自民党も有権者から見棄てられるだけではないでしょうかな?

■それにしましても1923年(大正12年)9月1日に起こった関東大震災の時には翌日から帝都復興省・帝都復興院の検討を開始して9月27日には時の山本権兵衛内閣が復興院を設置したというのに、今回の東日本大震災に際しては「復興庁」の設立に11箇月も要した民主党の責任は歴史に深く刻まれるべきでしょうなあ。その裏事情は笑うべきもののようですが、被災地で長い厳しい冬を耐え忍んだ皆様にとっては決して笑って聞ける話ではありませぬぞ。そして、東京直下型地震に怯えて暮らす1000万人以上の人々も東海・東南海連動地震を心配している人々にとっても決して他人事ではなく、もしも被災したら最後、愚かで無能な政府に翻弄されることになるのかいなあ、と密かに嘆いているに違いないのであります。大震災も津波も原発事故も、明日は我が身ですから、少しはまともな政府と制度を作っておかないとエライことになりましょうぞ。


「常に遅い、遅いといわれたが、強い叱咤激励ととらえている。真摯に批判は受け止め、しっかり取り組んでいきたい」
復興庁発足を受けて記者会見した平野達男復興相は、昨年3月11日の東日本震災発生から11カ月後という極めて遅い門出を、こう釈明した。
復興庁の設置構想は、永田町の政争に翻弄された。自民、公明両党は震災発生直後から復興庁構想を提唱してきた。公明党の山口那津男代表は10日、「われわれが復興庁を提案したのは昨年の3月22日。今日に及んでやっと発足というのは遅きに失する。責任を政府・与党が自覚しなければならない」と記者団に語った。
実は政府内にも当初から同調する動きがあった。枝野幸男官房長官(当時)は昨年3月22日の記者会見で「一つのまとまった機能を果たす組織は考えなければいけない」と、前向きな姿勢を示していた。ブレーキとなったのは菅直人首相の存在だ。
菅氏は「作り方を間違えると二重行政になる」と構想に難色を示していた。自らが本部長を務める復興対策本部に野党を引き入れることで、当時、支持率の低迷にあえいでいた政権の基盤強化をもくろんでいたのだ。それでも民主党は党主導で野党と協議を進め、復興庁について「1年以内の法制上の措置」を講じるとの復興基本法案の修正に応じ、6月20日に成立させた。ただ、既に事実上の退陣表明を行っていた菅氏が8月末まで居座った上、首相交代時の混乱もあって、復興庁設置法が成立したのは12月9日だった。……
2012年2月10日 23:07 産経ニュース 

■既に民間事故調が福島原発の原因を追究した結果を公表し、近いうちに英訳もされて世界に発信されるとのことです。未だに審議不明の「東京電力、全面撤退」を自ら本社に乗り込んでターニングポイントを作ったと記されて、にやにやしながら「認めてくれて感謝します」とコメントを発表した菅アルイミ前首相ですが、間も無く世界中で史上最悪の愚かな指導者として有名になるでしょう。そして大震災からの復興も邪魔していたとなれば、民主党政権にとって命取りにもなり兼ねませんぞ。一体、あの人は何のために総理大臣になったのでしょうなあ?事故調の結果発表に合わせて各テレビ局が当時の菅首相の声や姿を再放送してくれておりましたが、愚かしくも滑稽な道化役として笑えばよいのか、怒りの眼差しで睨み付けたらよいものやら、どんな顔をして画面を観たらよいのか迷ってしまいましたぞ。でも、やはりあの映像は恐ろしい悲喜劇の記録になったのだだと考えるしかないかも知れませんなあ。

■震災からの復興も原発事故の対応も遅れに遅れている原因は菅アルイミ前首相という憲政史上稀に見る異常な人格だけではなさそうです。以下は産経新聞が掲載した『第11部 前へ進むために(1)地に足つかぬ政治 ボランティアで自己満足』の抜粋です。被災地の皆さんは、もしも解散総選挙があった場合、誰に投票するのでしょう?


……岩手、宮城両県警は2月23日、東日本大震災で新たに身元が分かった犠牲者2人の氏名を公表した。同月27日には5人、28日は3人。震災発生から1年が過ぎようとする今もなお連日のように亡くなった人の身元が判明している。死者1万5854人(2月29日現在)に上る大震災は、なお現在進行形のできごとであることを思い知らされる。一方、東京・永田町は、すっかり「日常」を取り戻している。与野党攻防、党内対立、○○降ろし…。いつもの風景だ。そして今、議員の関心事は「いつ衆院解散があるのか」の一点に絞られつつある。

震災発生直後はそうでなかった。産経新聞社が昨年7月に実施したアンケートでは回答を寄せた336人のうち、実に92・9%に当たる312人が「被災地を視察した」と答えた。……だが、永田町に戻った彼らはどうだったか。
「炊き出しで満足する『ボランティア政治家』が増えている」。自民党のベテラン議員は、若手議員の話を聞くたびに、こんな複雑な思いを抱いている。東日本大震災という未曽有の事態を前にした国会議員の仕事は、まず、復旧・復興策が実行できる態勢を速やかに整えることだ。そのうえで、震災は日本中どこででも起きうると認識し、自分の目で見て、肌で感じた被災地の実態を踏まえ、国全体の施策にどう反映させるかだろう。…… 

■原発事故対応の最大の障害は菅アルイミ前首相の選挙向けパフォーマンスだった事が徐々に照明されつつありますが、子分達は親方を見習うのは当然でしょうから民主党議員の多くも取り敢えずは現地に税金を使って出掛けて行き、野党も負けてはいられないと顔と名を売りにやっぱり税金を使って視察に行きました。中には落選中の議員や公民権停止中の某氏なども何がしかの動きを見せていたようでしたが、野党自民党の地元選出の議員は政府の対応を地元の酷い実態を踏まえて鋭く批判していたのは特に印象的でした。でも、菅アルイミ首相は何もしないまま「やるべき事はやった」と意味不明な自画自賛の言葉だけを残して官邸を出て行ってしまったのでした。


……復興の前提となる復興基本法が参院本会議で成立したのは、発生から3カ月以上が経過した昨年6月20日。17年前の阪神大震災の際の基本法成立は約1カ月後だった。復興の司令塔となる復興庁の発足に至っては今年2月まで待たされた。震災発生時の首相だった菅直人氏も在任中、被災地に「足しげく」通った。そして、昨年4月21日、視察した福島県田村市の避難所を立ち去ろうとした際、被災者の夫婦に「もう帰るんですか」と語気鋭く、とがめられた。だが、この夫婦の怒りの矛先は菅氏一人だけだったのか。政治家すべて、政治そのものへの憤りと受け止めた国会議員は、何人いるだろうか。 

■あの避難所に響いた若い御夫婦の「無視するんですか?!」という鋭い声と、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で立ち止まって振り返った菅アルイミ前首相の引き攣った卑屈な表情を捉えた映像は永久に残りますし、「別に無視したというわけではなくて……」と政治家らしからぬシドロモドロの弁解をしていた姿は実に実に情けなかったのでありました。あれが原発大事故からの避難場所でなければ大笑いの種になったのですが……。

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1 コメント

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Japanese mentality (noga)
2012-03-02 04:24:34
日本語には未来時制がない。
日本人は理想の世界 (未来の世界) を脳裏に保持できない。
だから、その現実対応策も場当たり的なものになる。
時流に流されて迷走する。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/


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