旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

切羽詰まった「ゆとり」の話 其の壱

2010-06-07 22:25:40 | 教育
■私事ながら、何かと忙しい日々を送っている間に鳩山サセテイタダク首相はクラッシャー小沢と「抱き合い心中」の格好で辞任、世界で最も危険な普天間基地の移設問題の写し絵のように「最初からそうしておけば……」という代表選挙による管代表・総理大臣の誕生という壮大な茶番劇がありました。可哀想なのは現在も発売中の『週刊文春』最新号に「参議院選挙前の辞任はあり得ない!」とディープな取材記事を書いた上杉隆氏でありましょう。ブッシュ大統領の時代、『朝まで生テレビ』なる番組でバクダッド攻略戦は無い!と断言した当時売り出し中の国際ジャーナリストの言動と姿が重なってしまいますが……。
 
■余り先走らず、衝撃的な?「抱き合い心中」W辞任劇を跡付ける論評がマスコミでは目立っているようですが、どうしてもクラッシャー小沢の存在が軸となってしまうのは、例の「官房機密費」などの影響かも?などと邪推したくもなるのですが、郵政を所管する総務大臣として「連立が第一」の小沢幹事長の意を受けて団栗眼(どんぐりまなか)を見開いて頑張った原口大臣が陰のキーパーソンだと、年齢とギャラの高さ故にテレビ朝日から追い出されたはずの田原総一郎さんが日曜日に、古巣番組の後番組に「ゲスト」として登場して「9月の代表戦」をネタに原口大臣を昔ながらの手法でフレーム・アップしていたようです。

■その原口大臣が何を言うかと思ったら、文科相でもないのに今の日本政府にとって最大のテーマは「一に教育、二にも教育、教育こそが最大のテーマだ!」と、全盛期の英国ブレア前首相の発言を恥ずかしげもなく真似て悦に入っている場面を偶々見てしまった旅限無は、その前日に管・新代表総理が鳩山サセテイタダク首相の「思い」を継承して改革の「タイマツ」を受け取った!と1960年代の米国ケネディ大統領の就任演説から単語を剽窃してしまった場面を重ねて思い出していたのでありました。何となく年代順に英国のブレア、米国のケネディと既に各種の書籍でその本性が暴かれているというのに、いざとなると御自信が感銘を受けた他国の有名人の口吻(こうふん)を真似てしまいたくなるようですなあ。

■「天に唾して」日米関係を傷付け沖縄県民の心情を御丁寧にも付不用意にずたずたにして「覆水盆に還らず」の内外の政治状況を作り出し、やっと「綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)」の意味が分かって鳩山サセテイタダク首相が辞任したのかと思いきや、そんなタマではなかった事が辞任直後からぽろぽろと御自身の口から漏れたり噴出したりしているようですなあ。「嗚呼、やっぱり、そういう人だったのだなあ」と、うっかり政権交代に夢を託した貧しき我ら庶民は、巨大な銀の匙を咥えて生まれた赤ん坊は、毎月1500万円ほどのハシタガネの動きなど「まったく知らない」まま、無理な借金をお願いできる故に御神輿に乗せて貰っていることを知らず、誰も「聞く耳を持っていない」念仏かお題目のような「友愛精神」に党内の賛同が集まり、先の総選挙では「とうとう国民全体に友愛精神が浸透した!」と本気で勘違いしてしまったようです。

■御自身も管新代表総理にも縁(ゆかり)のある東京工業大学で、形式上は総理大臣であった最後の時を歴史に残るような一人でボケとツッコミを演じる際どくも味わいのないジョークを鏤(ちりば)めながら、気楽な「放言」をしたようであります。1年に満たない首相在任中、あんな調子で国難に立ち向かっていたのかいなあ、と講演内容を見聞きした国民は怒る気持ちにもなれずに改めて呆れていたのではないでしょうか?やっぱり「独り言」しか言えない人なのではないでしょうか?

■件の講演には気楽な「放言」が次々に飛び出していたようですが、殊、教育に関して以下のような壮大なホラ?を吹いていたのが気になりましたぞ。少しばかり、鳩山サセテイタダク首相の「最後っ屁」に拘ってみたいと思います。

パンドラの箱の蓋 其の壱拾弐

2010-06-01 06:20:40 | 政治
首相の求心力が完全に地に落ちたこの日、参院民主党や小沢グループの一部メンバーは呼応するかのように、党内の有力議員らに電話などで「参院選のために、鳩山さんに名誉ある撤退をしてもらおう」と、党内世論作りを猛然と始めた。「鳩山降ろし」の事実上の解禁である。ただ、首相には普天間問題で退陣する気は一切ないようだ。首相に近い関係者は「首相は『県外移設は失敗したが、沖縄のことは自分が一番考えている』という不思議な自負がある。加えて、『まだまだ、やるべき使命がある。この程度のことで退陣できない』という反発心もある。やはり宇宙人なのか、批判をそれほど気にしていないようだ」と語る。……
2010年5月29日 産経ニュース

■事ここに至っても鳩山サセテイタダク首相には「名誉」が残されているのか?!退陣を要求する側も変ですが、沖縄への「思い」と「他の使命」を自信たっぷりに語ってしまう辞めない首相側はもっと変です。どちらが本当に変なのか?それが判明する前に「どちらも変だ」という選挙結果が出るでしょう。これだけ沖縄問題がぐちゃぐちゃになって米国にもたっぷり不信感を植え付けてしまったからには、おいそれと次期総理になりたがる奴は出て来ないだろう、などと恐ろしい我田引水の理屈を捏ねていないでしょうな?!

■既に無党派層を形成する有権者の多くは民主党以外に投票したい衝動に駆られ始めていることでしょう。「鳩山ヤメロ」「小沢もヤメロ」、ついでに「平野もヤメロ」、おまけに「赤松もヤメロ」などと次々に支持率低下の責任をなすり付け合っている民主党に対して、「みんな辞めろ!」というメッセージを送るためには大切な1票をどのように使ったらよいでしょう?やっぱり、あの党に賭けてみるしかないかなあ?いやいや、こちらの党に入れた方が民主党は身に滲みるだろう、などと考えて投票しなければならないのは実に不健全なのですが……。

■ずっと自民党を支えていた諸団体を根こそぎ奪うか根絶やしにしてしまうか、クラッシャー小沢の選挙戦術は苛烈を極めて一時は自民党が早々に消滅してしまうかとも思われたのでした。経団連という団体も小沢幹事長の軍門に下ったやに聞いていたのですが……。


……総会は27日午後2時、東京・大手町の経団連会館でスタート。新会長に選出された米倉氏が就任スピーチを行っている最中に、鳩山首相が現れ、すぐに首相のあいさつが始まったという。あいさつの内容は、米軍普天間飛行場移設問題や朝鮮半島情勢の緊張化などが大半で、経団連にとって興味のある経済政策の話はほとんどなし。「高い技術力と知恵で世界をリードしてほしい」と述べるにとどまった。10分ほどあいさつした首相はこの後、東京・平河町で開かれていた全国知事会議へ移動することになっていたが、……首相が会場を後にしようとしたため、そのことを出席者に知らせようとした米倉新会長の口から出てきた言葉が「総理はご多忙中につき、退任されます」。米倉氏は最後まで間違いに気づかなかった様子だったという。会場にいた約500人の経団連会員らの多くは「退任」発言に凍りついたが、会場の一部で失笑も漏れた。……
2010年5月30日 産経新聞

■5月27日の午後は、経団連で背中に「退任」の声を聞き、アリバイ作りの全国知事会では石原都知事に怒られて、夕方には1時間だけ衆議院本会議場に入って野党4号が共同で提出した民主党の近藤昭一総務委員長の解任決議案を否決して、翌日の郵政改革法の強行採決を待つばかり、という流れだったようです。6時間余りのなおざり審議だけで採決に持ち込んだのも、連立与党の国民新党様様に対する「思い」からのことだったのでした。さてさて、普天間問題で意地と筋を通した改選社民党と郵政改革を逆転させた人の国民新党、どちらも改選3議席の参議院選挙で議席を守れるのでしょうか?沖縄・ワシントン・宮崎・東京と次々とパンドラの箱をぱかぱかと開いてしまった鳩山サセテイタダク首相は、蓋も閉めずに「続投」の妄念に凝り固まりつつ、参院選を他人事のように口先だけの「謝罪」行脚はするでしょうが、結果はケ・セラ・セラの高みの見物となるのでしょうか?
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パンドラの箱の蓋 其の壱拾壱

2010-06-01 06:20:23 | 政治
民主党内で、鳩山由紀夫首相の退陣を求める声が本格的に出はじめた。……見識なき、場当たり的な政治手法に、週明け発表の報道各社の世論調査では「退陣水域」といえる内閣支持率10%台が並びかねない状況。“頼みの綱”の小沢一郎幹事長も首相と距離を置きつつあり、「鳩山降ろし」の風が急速に吹き始めた。

■とうとう民主党内のパンドラの箱も開いてしまったようですなあ。誰が担いでいるのか分からない奇妙な神輿に乗った鳩山代表ですから、よくぞここまで蓋が閉まっていたものだと感心すべきかも知れません。政権交代から今まで、ただの一度も「友愛精神」に基づいて政府が動いた形跡は無く、鳩山政権だからこそ出来たと賞賛されるような業績も見当たらず、かと言って次期代表(総理)を狙う意欲を誰かが示したこともなく、寄り合い所帯の体質を改善する工夫をするでもなく、何となく小沢幹事長の虚像が重石になって中堅幹部は押し黙り、圧倒的多数の新人議員は気圧されて萎縮していたことで、党内は気にが悪いほどの無風状態が続いていたのでした。


「残念ながら(福島氏には)理解をいただけなかった。結果として罷免せざるを得ない事態に至った。厳しい決断だった。(基地問題の)全面的な解決に向け、命がけで取り組んでいかなければならない」28日夜の記者会見。首相はうつろな表情でこう語り、続投を表明した。官邸の会見場には、首相の「命がけ」という言葉が空しく響いた。……首相に近い民主党幹部は28日、「参院(民主党)で、ただならぬ空気が流れている。もう、『今日、明日にも鳩山は辞めろ』と…」ともらした。

■普天間基地の移設問題には「職を賭ける」と言ったはずで、大恥を掻いて元の木阿弥となったからには、約束通りに「辞職」するのが筋でありますが、前言を撤回するでもなく、またまた「あれは個人的な思い」だとしらばっくれるでもなく、今度は「命がけ」だそうですから、きっともっと大きな混乱が起きようとも自殺する心配は皆無でしょう。こうなったら、参議院選挙の陣頭に立って鳩山サセテイタダク首相がどんな応援演説をするのか、是非とも聞いてみたいような無責任な興味が湧いて来ますぞ。小沢幹事長の発言も楽しみですし、選挙戦の中で日に日に反小沢勢力が増えて行く様子もさぞや見ものでありましょうなあ。


社民党幹部も同日開かれた党の会議で「鳩山さんは参院選(の敗北)でみんなを道連れにするより、今のうちに辞めた方がいい。それが名誉の撤退になる。民主党内にもそういう動きがある」と報告した。この社民党幹部が「鳩山降ろしに動いている」と名指ししたのが、小沢氏と二人三脚で党運営にあたる「参院のドン」こと、輿石東参院議員会長だという。輿石氏は26日の参院議員総会でも、首相が大迷走の末、普天間飛行場の移設先を名護市辺野古に戻したことについて、「国民にはマイナスの面しか見えてこない。『このまま参院選でいいのか』との声もある」と、公然と首相を批判した。厳しい選挙情勢に苦しむ改選議員からも、「このままでは選挙を戦えない」「(支持者の中では)『鳩山首相は駄目だ』という声が圧倒的に多い」「官邸には危機感を持ってほしい」などと不満の声が続いた。ちなみに、輿石氏自身も改選組である。

■「5月末日」が近づいた某日、北海道の日教組から闇献金を受けていた女性議員がひっそりと辞職を決意していたようですが、余りにも沖縄問題が大きくなってしまい、「政治とカネ」も労組問題も日教組問題も何処かに消えてしまっていましたから、山梨県の日教組を支持母体としている輿石参院会長としてはちょっと安心したのかも知れませんが、日教組問題を隠す煙幕にしては普天間問題は大きくなり過ぎたようです。壁の傷を煙幕で隠そうと木屑に火を点けたら母屋が燃え出してしまったようなものでしょうか?


小沢氏が、首相と距離を置きつつあるとの情報もある。福島氏を罷免する前日(27日)、首相は公邸にひそかに小沢氏を呼び、今後の対応を相談したという。ところが、「小沢氏は『普天間は政府の仕事だから』と言い、まともに取り合わなかった」(官邸周辺)というのだ。その一方で、小沢氏は28日夜、社民党幹部らに電話を入れたとされる。……小沢氏は福島氏に「政府の対応はなっていない。あなた方の言っていることが正しい」と言い、社民党の重野安正幹事長にも、「誠に申し訳ない。だが、これまでのよしみもある。選挙(協力)はよろしくお願いします」と呼びかけたという。

■クラッシャー小沢の「生活が第一」はウソで本当は「選挙が第一」なのだろうと何度も書きましたが、小沢幹事長にとっては首相(代表)も党さえも選挙に比べたら紙くずみたいなものだと改めて分かるような話であります。外交も安全保障政策も、これまた選挙に比べたら大した問題ではないようですから、根っからの選挙屋なのですなあ。その辺が師匠の田中角栄さんとは違うところですが、変に社民党(旧社会党)と馴れ馴れしいところは可愛がってくれた金丸信さんに似ているのかも知れません。

パンドラの箱の蓋 其の壱拾

2010-06-01 06:20:03 | 政治
■決壊した巨大なダムから流れ出す大量の水や、大噴火を起こした火山の火口から流れ出す溶岩のように沖縄は怒りに震えて燃え上がっているようです。紅蓮の炎を噴き上げて燃え上がる巨大な木造建築ならば焼け落ちてしまえば鎮火もしましょうが、人の心に燃え上がった怒りと怨みの炎を消すのは不可能に近いと思われます。選挙戦での応援演説で口が滑ったとは言え、鳩山サセテイタダク首相は確信的放火犯みたいなものですから、自らの身をその炎で焼いて詫びるしか方法はないでしょう。

■辞任の二文字しか残されてはいないはずなのですが、実に不思議なことに「誠心誠意お詫び」すれば、米国は喜んでくれるし沖縄県民も許してくれる。連立与党も自分の党も、何と潔い態度なんだ!と感動して褒めてくれて、これからも総理大臣の椅子に座っていられる、と大真面目に思い込める神経は凄い!


……「民主党がダメ、首相の優柔不断さがダメという声が圧倒的に多く、毎日批判を受けている。実績を訴えても聞いてもらえる雰囲気ではない」26日、参院議員総会で改選議員の小林正夫氏がこう悲鳴を上げると、堰を切ったように執行部批判が噴出した。事業仕分けで脚光を浴びている蓮舫氏さえも、「仕分け第2弾で税金の浪費をあぶり出した(選挙対策の)材料があるのに、生かされないのはおかしい」と不満をぶちまけた。……改選組の桜井充政策審議会長は記者団に、「県外にするとか、腹案があるという首相の言葉が混迷の度合いを深めた。言葉の重みを理解してほしい」と強調。自ら「愚かな首相かも」と言い切り、「民主失速」に拍車をかけた首相の言葉の軽さを痛烈に批判したのだ。参院幹部も「いい加減、首相の発言だけはチェックしてほしい」と首相周辺に怒りの矛先を向ける。

■何を今更、遅かりし由良之介」であります。自縄自縛の「5月末日」という期限に何とか辻褄を合わせた鳩山首相と同様に、いよいよ選挙戦が本格的に始まるという時になって、8箇月間も黙って見ていた人たちが騒ぎ出すというのは如何なものでしょうなあ?口々に吐き出す不満はいちいち御尤もなものばかりですが、言い始めるのが余りにも遅過ぎました。同じ穴の狢らしく、みんな仲良く煙で燻り出されて枕を並べて討ち死にならぬ落選するしかないでしょうなあ。


一方、「政治とカネ」を引きずる小沢幹事長と距離を置く「七奉行」の一人が動いた。玄葉光一郎衆院財務金融委員長ら党内の中堅・若手が26日、消費税率引き上げで財政再建を目指す勉強会の初会合を国会内で開いたのだ。玄葉氏らによると、初会合には代理を含め計180人(本人115人)が出席。党所属国会議員約420人のうち4割超が参加したことになる。小沢氏と距離を置く安住淳、小宮山洋子両衆院議員らが参加する一方、小沢氏側近議員も参加しており、民主党筋は「参加者すべてが反小沢というわけではない」という。 ただ、玄葉氏は小沢氏批判を展開する「民主党の黄門様」こと渡部恒三元衆院副議長に近いだけに、周辺は「『小沢支配』に対する危機感、反旗の意味合いがある」と明かす。……
2010年5月27日 産経新聞

■「政治とカネ」の問題など、ギリシアに端を発した財政危機の恐ろしさに比べれば、有権者にとっては物の数ではありますまい。選挙前にあれだけ盛り上がった年金制度改革の話はどうなったのか?農家への戸別所得補償制度の話も、宮崎県の口蹄疫に対する政府の無為無策ぶりに驚いている国民にとっては最早どうでもよい事のように思えるでしょう。そして「13年間、杭一本も打ち込めなかった」辺野古沿岸に、民主党政権は誰かさんを人柱にしても小石一つ投げ込めないかも知れず、本当に首相一人がアホだったのが悪かったのか?首相周辺に集まった仲良しグループが無能だったのが悪かったのか?はたまた人相が悪い幹事長の金権体質が悪かったのか?誰か一人に責任を押し付けて血祭りに上げたら支持率が急上昇するほど、国民はバカではないと思いますが……。