旅限無(りょげむ)

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そんなに偉いか野党第1党 其の弐

2006-03-01 21:40:52 | 政治
■自分たちは「野党第1党」として、正しい事をしているつもりなのですから、手が付けられません。

しかし与党は永田氏が記者会見でメールについて「偽物」との明言を避けたことに「何を反省し、誰に謝罪すべきか全く分かっていない」(武部氏)と強く反発。問題が尾を引く可能性もある。民主党両院議員総会では執行部への批判が相次ぎ、前原氏の求心力低下も加速しそうだ。共同通信 - 2月28日

■裏では選挙資金を援助して貰ったり、時には選挙区内の協力までしていた自民党と社会党の蜜月時代を清算するには、まったく新しい発想と行動が必要なのですが、「万年野党」の残党と自民党の成れの果てが合体した最悪の体質を持ち合わせている民主党は、本気で自民党と喧嘩をする覚悟も能力も無いのです。小泉さんが、前畑代表ににやにやしながら大合同を言い寄ったのは本音を見透かされたも同然だったでしょう。だからこそ、懐かしの55年体制の茶番劇を再現できると思って、疑惑メールに飛び付いたに違いないのです。


衆院議院運営委員会は1日午前の理事会で、「送金指示メール」問題をめぐり、与党が提出している民主党の永田寿康衆院議員の懲罰動議の取り扱いを協議し、速やかに結論を得る方針を決めた。理事会終了後、佐田玄一郎委員長は記者団に、「一両日中に衆院懲罰委員会への付託を決めたい」と語った。自民・公明両党も1日昼、幹事長・国会対策委員長らによる協議を行い、「永田氏の謝罪は不十分だ」として、2日の議院運営委員会で付託の結論を得て、懲罰委員会で永田氏に厳しい懲罰を科すよう求めることで一致した。永田氏と民主党幹部の記者会見では、メールの信憑(しんぴょう)性などについて、認識の違いが表面化している。…懲罰は重い順に、除名、一定期間の登院停止、陳謝、戒告の4段階がある。
読売新聞 - 3月1日

■既に自民党の方針は、民主党を「活かさぬように、殺さぬように」と決しています。民主党は半殺しの生殺しの状態に耐えねばなりません。前原代表は、あの無表情のまま顔を固めて半年過ごせるかどうか、後ろ盾が思い付きでうろうろする鳩山さんですから、もう俎板の上の鯉です。下手に動いても皿の上か煮え立つ鍋の中に飛び込むだけですから、じっと干物になるのを待つしか有りませんなあ。


民主党は1日、ライブドアの「送金指示」メール問題が永田寿康衆院議員の謝罪会見で「一応のけじめが付いた」(国対幹部)として、国対役員会を開くなど、国会対応をめぐる態勢の立て直しに全力を挙げた。前原誠司代表は辞表を受理した野田佳彦国対委員長の後任を早急に選び、反転攻勢の糸口を見いだしたい考えだ。野田氏は同役員会で「質問に際して事前チェックの甘さと判断ミスがあった。武部勤自民党幹事長と二男に結果的に礼を失した追及になり、深くおわびしなければならない」と重ねて謝罪した。これに先立つ国対役員懇談会では「ここはぜひ踏みとどまって、民主党国対を支えてほしい」と要請。後任人事に関しては国会開会中であることを踏まえ「速やかに決めてもらえると確信している」と述べた。民主党は1日の衆院予算委員会理事会で、メール問題に関する国政調査権の発動要求を取り下げた。共同通信 - 3月1日

■「調べれば埃(ほこり)は出る!」と前原代表も野田議員も確信していたでしょう。何故なら、自民党は金権体質によって生存している政党と信じているからです。その「信仰」と「刷り込み」に従って暴走したのでしょうなあ。与党自民党は金権体質で、野党第1党はそのスキャンダルを嗅ぎ回るのが仕事、それが55年体制の茶番劇でした。それは決して「二大政党制」などとは似ても似つかない代物だったと、誰も教えてはくれないのでしょうなあ。


自民党の武部幹事長は1日午前、TBSテレビの番組で、「送金指示メール」問題に関する民主党の対応について、「昨日の記者会見で、前原代表は公式に私や二男に対して謝罪をしてくれたが、これから国民がどう判断するか。国民の目線にたって、出処進退も含めてしっかりやってもらいたいと思う」と述べた。前原氏の代表辞任が必要になるとの考えを示したものだ。読売新聞 - 3月1日

■選挙の総責任者だった武部さんの動き方は、非常に怪しいものなのですが、如何せん、証拠がまだ出て来ません。ライブドアが動かしていた想像も出来ない巨大な資金の流れが、奇跡的にその全貌が明らかになれば、自民党につながるパイプが見つかるかも知れません。しかし、「国策捜査」である以上は、それを出して良い状況になるかどうか、それが問題でした。民主党のスットコドッコイ・トリオの御蔭でそれがダメになったでしょうなあ。永田議員は、「民主党を愛している」のだそうですが、あの台詞は社民党の辻元清美さんの真似でしょう。永田議員も辻元議員も、所属している政党などどうでも良いほど、自己愛の強い人のように見えますから、某週刊誌では辻元さんが選挙前に「社民党の公認は邪魔や 」と言ったとか言わないとかと書かれるのでしょう。永田議員も、閣僚ポストを餌にされれば何処の政党にでも飛び込んで行きそうですからなあ。

■政党が、結党目的を「政権交代」にしているようでは、日本の政治は良くならないでしょうなあ。自民党を押し潰すだけの政策が無いまま、「政権が欲しい」と叫ぶのは、相手もいないのに「結婚したい。結婚させて下さい!」と吼えているのと同じでしょうに!政権と相手が見つかってから、世間交代や結婚を考えるのが常識ですぞ。

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そんなに偉いか野党第1党 其の壱

2006-03-01 21:40:01 | 政治
■月が替わって与党からの民主党苛めは陰険な喜びの色を帯びて、「どうしてくれよう」と楽しんでいるようにさえ見えます。経歴を調べ、繰り返しテレビで流される過去の映像集に見える顔から判断して、永田議員という人は、生まれてこの方誤った経験が無いのかも知れません。一流大学卒と呼ばれる最終学歴を持ち、大蔵官僚に採用された永田議員にしても、同じような学歴を持って松下政経塾に入った議員も、何故か自民党には加わらずに「二大政党制」の妄執に青春を燃やした経歴を持っています。まだ一度も政権交代を実現していない民主党は、イデオロギーや政治思想をまったく異にする政治家が「数」だけ求めて集散した奇怪な政党です。

■彼等が手本とするモデルは、大正時代から昭和の初期の短い期間の日本の歴史に少しだけ存在しますが、おそらく民主党の中堅世代が縛られているイメージは、ロッキード事件当時の「社会党」なのではないかと思えてなりません。若手議員にとってはリクルート事件の方が生々しいかも知れませんが、自民党の巨頭と呼ばれるような時の首相を金銭スキャンダルで追い詰める野党の姿が、頭の奥底に刷り込まれていると思われます。これが間違いの元なのですが、三つ子の魂、百までと申しますように、政治家を志した当時に身に付いたその呪縛から逃れるのは至難の業でしょうなあ。


民主党は1日、「送金メール」問題による混乱の収拾に全力を挙げた。党執行部は、謝罪会見でメールを「偽物」と認めなかった永田寿康衆院議員と連絡を取り、虚偽と認めた党声明などとの食い違いについて調整を急ぐ方針。一方で、引責辞任が決まった野田佳彦国対委員長の後任には、国会対策の経験があるベテランから起用する方針を固め、具体的な人選に着手した。 
時事通信 - 3月1日

■解党してしまった方がすっきりすぐ程のダメージを受けている事を民主党議員の多くは、まだ気が付いていないらしく、「後任人事」などに血道を上げているのですなあ。首脳部がごっそり辞任すれば再起の道も拓かれるのですが、まったく悪い事をしたとは思っていない人達が「謝罪会見」などするから、話がどんどんややこしくなるばかりです。彼等が金科玉条としている「二大政党制」や「政権交代」の裏側に、与党の金銭スキャンダルを探し出して追求し、その大混乱に付け込んで政権を奪取するイメージしかないのなら、それは実に不健全な「二大政党制」でしかありません。万一、今回の疑惑メールが本当のスキャンダルから湧き上がったものだとして、そして万一、スットコドッコではない老練な野党議員が、遠まわしの逆説手法を駆使して与党の幹事長をじわじわと締め上げていたら、もしかしたら大スキャンダルが噴出した可能性は、確かに有ります。

■しかし、それが実現しても素人集団によって組閣された新政府は、かつての細川内閣よりも脇が甘く、党としての方針もまとまらないまま迷走するでしょう。そこへ野党となった自民党があちこちに広げた情報網から吸い上げた大小のスキャンダルを怨念を込めて次々と投げ付けるはずです。第二のスットコドッコが、うっかり失言をしたらそれで新内閣は右往左往した揚げ句に瓦解して御仕舞いでしょう。そんなこんなで数年もの貴重な時間を浪費している余裕など日本には残されてはいないのですから、万事を官僚に任せて政治家は醜悪なスキャンダル合戦を繰り返すことになるでしょうが、これでは軍部の暴走を許した昭和初期の議会とまったく同じですぞ!国民が野党第一党に期待しているのは、疑惑究明の猿芝居ではありません。

■おそらく民主党の中堅議員が夢見ているスキャンダル国会の理想とされるロッキード事件にしても、米国の国内事情から飛び出した謀略に近い奇妙なアクシデントだった可能性が高く、今頃になっても田中首相の「無罪」を主張する本が出てくる始末です。ロッキード社から流れた5億円を受け取った事自体は違法ではなく、外国為替法を無視した遣り取りだけが裁かれただけでしたなあ。そもそも田中軍団を維持するのに要した政治資金は、ロッキード社から流れたとされる金額など比較にならないほど桁違いのものでした。そして、後にその田中金脈からのオコボレを、相当数の野党議員が美味しそうに食っていた事も暴露されたくらいですから、政権交代など起こりませんでした。

■長らく野党第1党の地位に居座っていた社会党は、最終的には社会主義革命の旗を密かに降ろして巻き、憲法9条と政治資金の規制しか商売道具が無くなってしまいました。その揚げ句が拉致事件の隠蔽と解決の遅れの原因となった北朝鮮との「太い」パイプに足元を掬われ、一度は冗談のような総理大臣まで出したのに、最後まで政権政党になれなかったのが社会党です。社会主義と平和がイコールで結び付けられていた知的怠慢の時代に胡坐をかいて、国会の議席を労働組合のお偉方の最後のアガリに宛がっている内に耐用年数が尽きたのが社会党でしょう。奇怪なマドンナ旋風などが一時は吹きましたが、その残務整理が大変でしたなあ。素人が国会で碌な仕事も出来ずに時間を浪費して、肝腎の女性労働者の問題もまったく改善などされませんでした。

■思えば、パチンコ文化人の土井たか子さんは、選挙区で落選して比例名簿で復活したゾンビ議員になってしまい。まるで国会のミイラみたいになってしまいましたが、今回のスットコドッコイも若い美空で、同じようなゾンビ議員なのでしたなあ。


民主党の永田寿康衆院議員(比例南関東)は28日午後、ライブドアの送金指示メール問題をめぐり、国会内で記者会見し「信ぴょう性を立証できなかった」と陳謝した。永田氏は議員辞職せず、民主党は半年間の党員資格停止処分とし、野田佳彦国対委員長、藤村修同代理が引責辞任。「メールは本物ではない」との党声明を発表した。前原誠司代表も「武部勤自民党幹事長、武部氏の二男、国民に党を代表しておわび申し上げたい」と謝罪、口座情報に基づく国政調査権の発動要求を取り下げる考えを表明した。

■前原代表がスットコドッコイに肩入れしたのは、大好物のスキャンダルの臭いを感じたからでしょう。そんな腐肉の臭いよりも、新鮮な新法案を山積みにして欲しいのに、ロッキード国会の際限を目論んだのですから、最後まで反省も謝罪もするはずがないのです。

若者よ、絶望する勿(なか)れ 其の弐

2006-03-01 19:34:43 | 教育

就職を真剣に考える若者の第一志望は公務員で、その中でも高待遇の「地方公務員」は大人気で、それ専門の学校も繁盛しているらしいですなあ。まさか、こんな「役得」を当てにして熱心に試験勉強に励んでいるわけではありますまいな?!


公社側は、元役員らが元経理担当主幹、千田郁司受刑者(48)=懲役14年が確定、服役中=1人に10年以上も経理を任せたうえ、公印や通帳をずさんに管理し、税理士によるチェックを実施していなかったと主張。「元役員らが職務を果たしていれば横領は防げた」として、歴代の役員19人に、1人約1億1500万円から約16万円までの賠償を求めていた。これに対し、元役員らは管理過失はなかったとして、全面的に争う姿勢を示していた。

■反省しない民主党の議員に負けず劣らず、10年間もアニータに翻弄されていた御老人達が、今更、「管理過失は無い!」と叫んでいるのは醜態です。アニータさんから礼状でも届いているのではないでしょうか?


千田受刑者は横領した約14億円のうち、約8億円をチリ人妻のアニータ・アルバラードさん(33)に渡していたとされる。千田受刑者の横領事件の青森地裁判決では、当時の公社の人事管理や内部監査の不備を指摘、「上司の落ち度ははなはだしく、被害が拡大した一因」と指摘していた。

■「どうして止めてくれなかったの?」と言うのも情けないが、管理職が新聞読んでお茶を呑んでいる以外にどんな仕事をしていたのか知りたいものです。職業柄、別段の営業成績を上げる必要も無く、競争原理の欠片もない田舎のお役所ですから、遣り甲斐も何も有ったものじゃない職場だったとは想像出来ますが、公金を扱っている意識さえ無くしていたのなら、厳罰に値するのは当然でしょう。


公社はこれまで、損害穴埋めのため計7981万円を回収した。だが、国内外の弁護士費用などに回収額を上回る8264万円を費やし、現在は280円余の赤字。損失の回復は絶望的な状況だ。回収額のうち、最も大きいのは、アニータさんの豪邸の競売で得た7286万円。千田受刑者から逮捕時の所持金500万円や銀行預金36万円のほか、公社の福利厚生団体の掛け金17万円まで回収した。

■ライブドア騒動で、すっかり金銭感覚が麻痺している目には、「銀行預金36万円」とか「掛け金17万円」という記事の金額が直ぐには実感できなくなっていますが、弁護士費用で赤字になっているという事後の対応ぶりが現役時代の能力の程度を示しているでしょうなあ。絵に描いたようなお役所仕事です。まともな金銭感覚を持っていたのは、少々悪質では有っても、アニータさんだけだったようにも思えますなあ。千田受刑者は、証言の中で「マリア様のような…」などと、どんな宗教を信仰しているのか怪しまれる事を言っていたと記憶しますが、8億円もお賽銭箱に投げ込むほど神々しかったのでしょうか?横領額から差し引いた残高の6億円は何に使ったのやら……。人知れずこれだけの大金を使いきるには、全額株か博打に放り込んで一瞬にしてスッテしまう以外に方法が思いつきませんが、普通の使い方をしたら派手な使いっぷりで直ぐに怪しまれるはずなのですが……。


青森市内の自宅は平成15年9月に950万円で売却されたが、複数の金融機関の抵当権が優先し、公社が受け取ったのはわずか29万円。千田受刑者から回収できた総額は583万円にとどまった。16年3月には、千田受刑者が知人女性に贈り、その後、公社が回収したカルティエの時計や、ダンヒルなどのライターが競売に掛けられ、110万円が入ったが、「焼け石に水」だ。さらに、チリでの回収に6444万円を使ったほか、千田受刑者に対する訴訟に782万円、今回の訴訟には弁護士費用などに1037万円かかっている。産経新聞 - 2月28日

■どうやら、御付き合いするなら名古屋の女性よりも青森の女性の方が人情味が有りそうですが、競売に掛けても583万円にもなるのなら、購入時には驚くべき高額商品だったはずですぞ!そんな遊び方を10年もしていて誰も気が付かないとは面白い土地ですなあ。自宅に抵当権が設定されているという事は、そんな借金までして貢いでいたのでしょうなあ。ここまで来ると、頭が下がる思いもします。若者たちは、この事件からどんな教訓を得るのでしょう?付き合うなら青森の女性、ではなく、せっかく勉強に努力するなら地方公務員よりも「弁護士」の方が確実に儲かりそうだ、女性なら水商売でアホな男を騙すに限る、という教訓は人生を棒に振る可能性が高いので採用しない方が良いですぞ。

■逆に女性を占いや超能力のヨタ話で脅迫して貢がせていたオジサンも逮捕されてしまったので、男子学生諸君は女性に貢がせる方法などを考えるよりも、世間の裏表を教えてくれる良い本を読み、美しい作品や素晴らしい人生を知る努力をするべきでしょうなあ。現在も過去にも、人として生まれた甲斐の有った立派な大人も居ますから、もしも身近に目標とする大人が居なくても絶望する必要は有りません。手始めに、近くの図書館にでも行ってみるのですな。但し、毒にも薬にもならない困った本も増えているので、それは、ご用心、ご用心。

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五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

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若者よ、絶望する勿(なか)れ 其の壱

2006-03-01 19:34:01 | 教育
■暦の上では春も間近、いろいろと新しい事が始まる4月が近付くと、マスコミでは「希望に胸を膨らませて…」とお決まりの作文を愛用するのでしょうが、何だか、そんな使い古された表現はうそ臭くて誰も相手にしなくなるかも知れません。

成績、友人関係、異性との交遊などに「希望」を持つ日本の高校生が、米国や中国、韓国と比べかなり少ないことが1日、日本青少年研究所(東京)の比較意識調査で分かった。半面、「特に悩みがない」と答えた生徒の割合も1位の米国に近づいた。同研究所は「日本の高校生の意欲の低さと勉強離れの傾向が出ている。ゆとり教育との関係なども分析したい」としている。 
時事通信 - 3月1日

■勉強もしたくないし、友達と付き合いのも面倒臭い、色恋沙汰の練習も草臥れる。では、若い日本人は何をしているのだろう?と考えると、アニメやコンピュータ・ゲーム・ソフトを日本の代表的な文化として世界に発信しよう!などという政府の空元気が聞こえて来ます。誰とも話さず、暴力や性を描いた漫画や動画を凝視しているか、ゴールが決まっている夢想的なゲームに没頭していれば、精神年齢が上がって行かないのは目に見えていますなあ。しかし、若者よ!人気の漫画家でも思いつかない、笑える事件が現実社会では起きているのだよ。と、元気付けにもならない大人が増殖しているから、若者は希望を持てないのかも知れませんなあ。しかし、スポーツや芸術に全力を尽くして情熱を燃やせるのは若い時期だけなのに、そんな貴重な時間を、特に何もしないで心身ともにブヨッとしているのは勿体ないと思いますなあ。

■人間が動くのは、前方に色々な意味での「人参」がぶら下がっているか、後方から強制する力が与えられるからだと考えれば、後ろには正体不明の「ゆとり」がどんよりと滞っていて、前方には尊敬できないアホな大人がうろうろしているのでは、動くに動けないのかも知れませんなあ。「ああはなりたくない」と言われそうな日本人が、随分と増えたのではないでしょうか?


大手食品メーカー「敷島製パン」(名古屋市)の健康保険組合の保険料を着服し、愛人17人との交際費などに充てたとして、業務上横領罪などに問われた元健保組合事務長、松林正明被告(56)(愛知県豊橋市)の公判が1日、名古屋地裁であった。検察側は「健康維持に使われるべき貴重な財源を、自らの欲望を満たすために充てており、組合員の怒りは想像を絶する」として、懲役12年、罰金3000万円を求刑した。判決は4月26日。検察側は論告で、松林被告が、着服が発覚した時点で、愛人の1人の口座にあった2300万円のうち、1000万円を手切れ金として愛人に渡し、残った1300万円は捜査に備え、自分の保釈金や弁護士費用に使おうと保管していたことを明らかにしたうえで、「規範意識は完全に消えていた。罪悪感という言葉すら知らなかったのではないか」と、厳しく指弾した。

■この松林被告は、親族の死に接して「生きている間に可能な限りセックスしよう!」と決心したと証言した人だと思いますが、人の欲望は決して満たされる事は無いので、「もうセックスは存分にしたので、どうにでもしてくれ」と思える時は死ぬまで訪れないでしょう。何でも、20億円近いお金をセックスしたいと思った17人のオネエチャンに貢ぐだけ貢いで、結局はその16人には見棄てられ、たった一人残ってくれたオネエチャンと、またセックスをしようと決意しているとの報道も有りましたなあ。男として見上げた根性だと言うべきか、上半身と下半身が逆に接合された奇怪な生物と考えるべきか、反面教師としても若者には見せたくはない大人である事は確かですなあ。


最終意見陳述で松林被告は「命ある限り、少しでも被害弁償に充てていこうと考えています。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を述べた。起訴状によると、松林被告は、事務長だった2000年12月25日から昨年5月13日にかけ、健康保険料などを管理する3つの金融機関から531回にわたり、計約9億7900万円を払い戻して着服した。時効分も含めると、横領したのは、約19億円に上る。
読売新聞 - 3月1日

■この人は本当に精力絶倫の特殊体質なのかも知れませんが、求刑通りに刑が執行されたら、出所する時には70歳も目の前ですぞ。それから20億円の大金を「弁償」するつもりなのでしょうか?既にホリエモンの『100億稼ぐ…』本などを熱心に読んでいたら笑えますが、若者が人生の目標とすべき人物像ではありませんなあ。健康保険料の積立金が消えてしまった社員の皆さんはどうなるのか心配ですが、日本でも特に景気が良いともっぱらの噂になっている中京地区ではありますが、名古屋という場所には1人当たり1億円も貢ぎたくなるような魅力的な女性が多いのかも知れませんが、彼女たちは一銭も返還しないで貰い得と思っているのでしょうか?奇妙な話ですなあ。中高生の中にこんな話を参考にする女子生徒が居ない事を祈るばかりです。


青森県住宅供給公社の元職員による約14億円の横領事件で、同公社が歴代の役職員19人に管理責任があるとして約9億円の損害賠償を求めた訴訟で、青森地裁(斉木教朗裁判長)は28日、「充(あ)て職以外の職員には管理責任が認められる」として、当時の専務理事ら5人に、計約4200万円の賠償を命じる判決を言い渡した。職員の横領行為に対する上司の管理責任を損害賠償請求で問う訴訟は異例。

■唖然とする名古屋の事件が発覚するまでは、この青森の事件が前代未聞の「貢ぎ犯罪」でした。不況に苦しんでいると悲痛な叫びが上がっている地方都市にも、お金は有る所に有るものだ、と日本中を呆れさせた事件でした。

エイプリル・フールにはまだ早い 其の参

2006-03-01 16:15:20 | 外交・世界情勢全般
■しかし、同じニュースも別の書き方をすると随分とニュアンスが違って来ます。

米情報機関トップのネグロポンテ国家情報長官は2月28日、上院軍事委員会で証言し、北朝鮮が保有する核兵器数について「われわれが持つ知識で(判断は)難しい」と述べ、分析は困難との見解を表明した。長官の発言は、北朝鮮を対象とした人的情報が不足する中、米情報機関が具体的な数値を示すことに従来よりも慎重姿勢に転じていることを示唆している。長官は「北朝鮮が主張するように、恐らく核を持っているとみている」としながらも「事実関係は分からない」と言明。「数字を論じることには気乗りしない」と述べた。米情報機関は北朝鮮の保有核兵器数に関して、今回の核問題が発生した2002年以前は「1-2個」と分析。
共同通信 - 3月1日

■この共同通信の報道では、北朝鮮の核については「分からない」とネグロポンテさんは言っているのです。北京政府やロシアは知っているはずですが、今のところは有るのか無いのか分からない方が、何かと便利だから黙っているのでしょうなあ。軍学者の兵頭二十八さんは、「絶対に無い」と断言していますが、ロシアには「核廃棄物を弾頭に詰めてミサイルで打ち込む」危険を指摘する人も居るようです。思い詰めるとトンデモないことを平気で実行する前歴を持つ国ですから、油断は禁物です。それにしましても、毎日新聞の記事は、冗談が過ぎるのではないでしょうか?


北朝鮮外務省の報道官は28日、核兵器は自国の技術と資金を使って製造したと述べ、偽造通貨が核開発の財源になっているとの米国の主張はこじつけだと非難した。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は、通貨偽造やマネーロンダリングの違法行為で北朝鮮に関与した疑いのある企業に対し、米国が制裁措置を講じたことなどを受け、北朝鮮側が再開を拒んでいる。同報道官は朝鮮中央通信社(KCNA)の質問に答え、「われわれは技術・資金・原材料を含む何から何までを自国で調達して核兵器を製造した。北朝鮮は経済や金融で米国にまったく依存しておらず、米国の制裁措置は何の効果も発揮しないだろう」と述べた。

■本家本元の冗談が一番笑えるのは当然なのですが、何だか可哀想にもなって来ます。「何から何までを自国で調達」したとの発言は、日本も自国領に含めているのでしょうか?原材料のウラン鉱石は旧ソ連が鉱脈を徹底的に調べ上げて、なかなか豊富な埋蔵量が確認されているそうですが、技術・資金となると、日本の公安関係者が大笑いしているでしょうなあ。


その上で「何度もはっきりさせているように、『マネーロンダリング』や『偽造紙幣』といった違法行為と北朝鮮の政策には一切関係がなく、米国の主張は北朝鮮のイメージを傷つけることだけを意図したでっちあげにしか過ぎない」と語った。ロイター - 3月1日

■本当の事を「でっちあげ」と言うのが癖なのでしょうが、余り繰り返していると誰も相手にしてくれなくなるでしょうなあ。平壌に偽札専門の工場が存在するという情報は、随分前から出ていますし、もっとパクリ技術が優秀ならば、日本製品の偽物を作って売り捌きたいと熱望しているのかも知れませんが、現金を刷ってしまうのが一番手っ取り早いというのも、当たっていますが悪い冗談です。


北朝鮮の外務省報道官は28日、偽造100ドル札問題に関連し、米国に「正常な国際金融活動に参加することを妨害せず、協調すべきだ」と求めていることを明らかにするとともに、金融制裁の解除をあらためて要求した。また、偽ドル札は現金取引の中で紛れ込んだものだとし、「われわれは偽造紙幣の製造と流通の被害者になっている」と主張した。朝鮮中央通信が伝えた。北朝鮮はこれまでも100ドル札偽造の国家的関与を全面的に否定しているが、貿易取引で偽ドル札が紛れ込み、これにより製造やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いをかけられた「被害者だ」と公式に表明したのは初めて。3月7日にニューヨークで予定されている米朝協議を前に、国家としての潔白を強調、金融制裁解除につなげようとの狙いがあるとみられる。共同通信 - 3月1日

■その内、米国と共同で偽札製造の真犯人を一緒に探しましょう!と言い出しますぞ。平壌政府が被害妄想に襲われているのは有名な話ですが、本当の「被害者」はこの寒空で将軍様の誕生日を祝わされたり、毎日の食い物の心配をしている人民でしょうなあ。拉致問題だけは、冗談では済まされませんが、次々と冗談ばかり打ち出してくる国と、日本の政府は本気で「国交正常化」をしようと思っているのでしょうか?巡り巡って、日本の外務省が一番レベルの低い冗談を披露していることになるのかも知れません。とうとう、裁判所に「外務省には機密費は要らない」と言われてしまった外務省は、既に司法から通常の外務省とは認められないとの裁定を受けたも同然で、この判決はなかなか味のある冗談でしたなあ。どうせなら、来月の一日にこの判決を出して欲しかったと思いますぞ。

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雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
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エイプリル・フールにはまだ早い 其の弐

2006-03-01 16:14:42 | 外交・世界情勢全般
■ブッシュ大統領は米国のリーダーですから、本気で心配しているのは米国企業の儲けです。他国がどうなろうと関係有りません。

有力企業176社で構成する米印ビジネス評議会のロン・ソマーズ会長は「インドは通常型の発電所を1億キロワット、原発を2000万キロワット整備し、戦闘機を126機購入する。米産業界には、これらの事業参画に強い関心がある」と具体的な数字を挙げて期待感を表明した。……「グローバル核エネルギー協調」構想の第1弾となるもので、米国製原子炉の売却という狙いと表裏一体をなす。米印間の貿易額は2001年の135億ドルから昨年は268億ドルに倍増。対中貿易との比較では10分の1の水準にとどまるが、近い将来にインドの人口が世界一になる事が予測されるため、両国の貿易は今後も伸びる可能性がある。…読売新聞 2月28日

■パパ・ブッシュが自動車会社やら電機会社の代表をぞろぞろ引き連れて来日した事が有りましたが、息子はインドに売り込みに行くようですぞ。自慢じゃないが、社会インフラがほとんど整っていないインドは公共事業の宝庫でもありますから、ニューオリンズの復興なんか放り出してインドに売り込みというわけです。こニューオリンズは貧困層の黒人が戻れず、白人の町になるそうですから、これはブラック・ユーモアの1つでしょうなあ。景気の良さそうな国に武器を売りつけるのは欧米の癖ですが、最新鋭の戦闘機を126機も購入したら、隣国のパキスタンは青ざめることでしょう。カシミール地方の制空権を完全に奪われたら、パキスタンはしおしおと撤退するしかなくなります。地上戦では何度もインドに敗れているパキスタンですから、陸軍部隊の突入は躊躇われるでしょうから、何事かが起これば核攻撃になるのでしょうなあ。嫌な冗談です。

■腹黒い米国商人は、インドに原子炉が並べば、格好の標的になるから、新発売の中距離ミサイルをパキスタンに売りつけるかも知れません。インドとパキスタンとの間が緊張すれば、黙っていないのが中国です。ちゃっかりカシミール地方の一角に出しゃばって来ているのは、積年の希望である「インド洋への回廊」を手に入れる布石でしょう。ちゃんと手下が暴れ回っていますぞ。


インド警察当局によると、中部チャッティスガル州ダンテワラで28日、多数の住民を乗せたトラックが地雷で爆破され、22人が死亡、40人以上が負傷した。AP通信は23人が死亡、ロイター通信は50人が死亡したと報じた。極左武装組織インド共産党毛沢東主義派による犯行とみられる。PTI通信によると、60人以上が武装グループに拉致されたもよう。PTI通信によると、トラックは計5台で、計100人以上が乗っており、政府が主催した反毛派の集会に参加して村に帰る途中だった。爆発後、現場に向かっていた警察車両が毛派の発砲を受け、付近で銃撃戦が起きた。毛派は現在、貧農層を中心に構成され、同国東部から中南部で動きを活発化、地主や対抗勢力の殺害、治安当局への攻撃を繰り返している。共同通信 - 2月28日

■毛沢東派の武装集団はネパールが本場ですが、世間を騒がせるたびに北京政府は無関係だ!と言い続けていますが、スターリンのコミンテルンを見習ってあちこちに手下を養っているのは明らかです。日本のマヌケな援助資金が、ネパールやインドの虐殺に流用されていたら、外務省はどうするのでしょう?


インド東部チャティスガル州南部ダルバグダで28日、トラックの通過中に地雷が爆発し、荷台などに乗っていた少なくとも24人の市民が死亡、35人以上が負傷した。死者は50人以上に上るとの報道もある。犯行声明は出ていないが、同州などで活動する極左過激派組織・インド共産党毛沢東主義派の犯行とみられる。警察当局によると、死傷者は毛派の活動に反対する市民グループのメンバーで、爆発は近くで行われた反毛派集会に参加した帰りに起きた。毛派は爆発後、別の車両に乗っていた市民を拉致した模様。1日にはブッシュ米大統領が訪印するが、訪問妨害を狙った犯行かは不明だ。インド毛派は政府が貧しい農民を搾取していると批判、武力による共産主義国家樹立を目指す。活動範囲はインド東部と、南部の一部で、政府施設や治安部隊をたびたび襲撃している。
読売新聞 - 3月1日

■地図を見れば一目瞭然ですが、インド毛派が暴れ回っている場所は、中国国境からベンガル湾への最短距離を確保する地点に当たります。うまく分離独立運動でも起こって共産主義政権の地方政府が立ち上がれば、喜ぶのは誰でしょう?周恩来とネルーの「平和五原則」などという悪い冗談が一世を風靡した時代も有りましたが、あの頃はチベット「解放」戦争の直後で、要は互いに「内政干渉はしない」との約束ですから、露骨に「チベットはオレの物だから手を出すなよ」という話し合いでしたなあ。日本の知識人の中には、「平和五原則」に大感動したうっかり者が沢山いたそうですが、チベット人に聞かせられない恥ずかしい話ですなあ。

■所変わって、日本の近所に関しても米国政府内から性質(たち)の悪い冗談のような話が出て来ています。


ネグロポンテ米国家情報長官は28日、上院軍事委員会に提出した書面で、北朝鮮の核問題について「北朝鮮が宣言した核兵器保有はおそらく本当だ」と分析し、「北朝鮮は核兵器を朝鮮半島に展開する米軍や韓国軍を抑止し、体制の安全保障を確実にすることができる最短の方法とみている」と指摘、核放棄に簡単には応じないとの見方を示した。同長官は北朝鮮が通常兵器をアフリカやアジア、中東に、弾道ミサイルを中東諸国に売却していると述べ、北朝鮮が核兵器を「経済的な収入のテコ、体制の威厳の根源」とみなしていると指摘した。また、長官は「北朝鮮は麻薬を生産し、米紙幣を偽造して海外に持ち出している」と批判。ニューヨークで3月7日に予定される米国による金融制裁措置をめぐる米朝協議を控え北朝鮮側をけん制した。毎日新聞 - 3月1日

■情報を管理する最高責任者が、「おそらく本当だ」と発言するのは酷い話です。北朝鮮が武器の闇市場で安売り王になっているのは本当のようですし、核保有を急いでいるのは「体制の威厳」を求めているのも本当でしょう。しかし、「経済的な収入のテコ」とは穏やかではありませんぞ!あちこちに核技術や核兵器を売り捲くろうとしている、という話になりますぞ。麻薬や偽札でも大いに迷惑しているのですから、核兵器の通信販売などされたら堪ったものではありませんなあ。(其の参もあります)

エイプリル・フールにはまだ早い 其の壱

2006-03-01 16:13:42 | 外交・世界情勢全般
■米国の東アジア外交が良く見えなくなっているようです。ライス国務長官は中東を歴訪し、ブッシュ大統領はインドとパキスタンを訪問するという具合で、西アジア方面に精力を傾注しているとも見えますが、支持率が最低の30%に下がってしまったとの報道を受けて、御本人は「楽観主義者だから気にしない」と言っているのだそうです。支持率低下の原因が、国内の災害や経済問題ならばともかく、対テロ戦争に失敗していると国民が判断しているというのは重大な変化を示しています。既に、次期大統領は史上初の女性になるのならないの、なるならライスかクリントンか?などと話題になっている米国は、任期2年の大統領に飽き飽きしているのかも知れません。

■その大統領はやむにやまれず、軍産複合体の圧力も有ってイラク攻撃に踏み切ったものの、情報と見通しに大きな誤りが有って、どうしようも無くなっているようですなあ。既に「統一か分裂か」を決めるのはイラク国民自身だ!などと、仲良しの何処かの国の総理大臣みたいに「丸投げ」発言までする始末です。これは悪い冗談としか思えませんなあ。そもそも、イラクという大英帝国とフランスによって生み出された人造国家に「国民」が存在するかどうか、大いに疑問です。イラク人自身に治安を任せられるようになったら本格的に撤収するのだそうですが、仮にスンナ派の警官がシーア派の犯罪者を荒っぽく逮捕したらどうなるのでしょう?まして、スンナ派の公安維持部隊がクルド人地域で無事に任務を果たせるようになるのでしょうか?まったく米国は世界の多様性に鈍感なままです。

■占領された国が何処でも日本みたいに大人しく米国好きになると思い込んでいるとしたら、太平洋での戦争は米国に大きな勘違いをさせてしまった事になりますなあ。


サウジアラビアの治安関係者によると、サウジ軍が27日早朝、24日に発生したサウジ東部アブカイクの石油施設攻撃に関与したアルカイダ系と見られる5人の武装集団を殺害した。武装集団はリヤド東部の裕福な地域にある別荘に隠れていたが、サウジの治安部隊が別荘を包囲し、銃撃戦が起きたという。目撃者によると、大きな銃撃音が聞こえたほか、迫撃砲も発射されたもよう。治安関係者は、銃撃戦が2時間で終わり、別荘内部から5人と見られる死体が発見されたとしている。ある関係筋は、武装集団は、インターネットの監視を通じて追跡されていたとしている。ロイター - 2月27日

■アルカイーダが活動しているのはアフガニスタンとパキスタンの国境地帯だと言われていますが、本拠地はサウジアラビアでしょう。いよいよ、王政打倒のテロ作戦が実行に移されたようで、この事件でもサウジの富裕層の中に協力者が存在する事を証明しているとしか思えませんぞ!イラクが宗派間の報復合戦をエスカレートさせて行くと、中東全域に引かれた国境が溶解現象を起こすでしょう。西欧が「定規」で引いた不自然な国境線を必死で守っているのは各王家です。ビン・ラディンが憎悪しているのは聖地に駐留してイスラム同胞を攻撃した米国よりも、それを自己保身の為に許したサウジ王家です。メッカを中心として世界中に広まるイメージを共有するイスラム世界と、欧州生まれの近代国民国家はまったく相容れないものです。

■ビン・ラディンにとって、アフガニスタンもパキスタンも区別は無く、ましてイラクもサウジも同じ空間に含まれて居なければならないわけですから、国境で区分けされた地域ごとに対応を変える米国よりも有利な立場で戦えるとも言えるでしょう。つまり、ブッシュとビン・ラディンは、互いの世界観を「悪い冗談」としか思っていないのです。イラクの後始末という頭の痛い問題と、そもそもの発端となったアルカーイダの殲滅とビン・ラディンの逮捕も暗殺も成功せず、アフガニスタンは完全な無法地帯になってしまっているのですから、ワシントンの主要な外交テーマは中東とパキスタンに集中しなければなりません。しかし、ブッシュ大統領の任期中に2つの目標が達成されるとは誰も思っていないのが今の米国のようです。では、一体、今イラクで米国がやっている事は何なのでしょう?誰も頼まず、望まなかった米国によるイラク占領ですから、今更、他国に協力を要請するのは「悪い冗談」です。同盟国の日本も、「非戦闘地域」などという「悪い冗談」のような屁理屈で土木工事と水の浄化作業に参加したのが限界です。

■米国の軍部からは、中国の脅威が指摘されますが、バブル崩壊の危険を孕みながらも経済成長を続けている中国市場は、米国企業の稼ぎ場所には違いないので、きな臭いテーマは暫くの間は封印する事にしているのかも知れません。在日米軍の再編成という大きな課題が動き出したかと思ったら、早速、日本政府が沖縄は先頭に地方自治体との折衝に躓いてしまったので、これも様子見という事になっているのでしょう。余り強引な事をすると、昼寝しているようにしか見えない日本の国民が突然目覚めて反米デモが起こる可能性は残っていますからなあ。2月28日の読売新聞によると、ブッシュ大統領のインド訪問には露骨な商売の話が絡み付いているようです。/font>

…ブッシュ大統領は今月22日、アジア協会主催の集会で講演し、インドとの主要協力分野として①テロとの戦い②世界の民主化推進③自由貿易の拡大④環境対策⑤エネルギー問題――を列挙した。特に③の経済分野に最大の力点を置き、貿易・投資の拡大に強い意欲を示した。

■インドを相手に、「民主化」を掲げるのも余り趣味の良い話ではないでしょうなあ。イラクのフセイン支配を破壊するよりも、インドのカースト制度を無くす方が遥かに難しいのですが、ブッシュ大統領は独裁者が居なくて選挙が実施されれば及第点を付ける心算なのでしょう。(其の弐に続きます)

誰も聞いてくれない 其の弐

2006-03-01 00:47:25 | 外交・世界情勢全般
■民主党が赤っ恥をかいた疑惑メールの扱いよりも、この稚拙な外相会談は重大です。一方的に言い負かされて御仕舞いではないですか!それも新聞報道と何も変わらない表面的な状況認識を基礎にして、生っちょろい質問などするから「平和利用だ!」の一言で何も言い返せなくなってしまいます。これではイランの言い分を日本が飲んだと思われても仕方が有りませんぞ!民主党のスットコドッコは、「カネで魂を売った」と武部さんを名指しして啖呵を切りましたが、これでは「石油と核武装とのバーター取引」と同じです。何処かの誰かさんが使いもしない原油の先物を買い占めようと欲張って原油高にはなりましたが、トイレット・ペーパーが無くなる!というような悪質な流言飛語が出ない程度に、日本も多少は大人になっているのですから、外務省も、もう少し勉強しても良さそうなものです。

■自民党が作った憲法の改正草案にも核兵器に関する条項は盛り込まれていないようですが、アイゼンハワー大統領が言い出した「原子力の平和利用」をどうするつもりなのか、世界で唯一の被爆国と言いながら、余り明確にはなっていません。将来の核武装を想定しているのかいないのか、世界でも類を見ない技術でロケット開発を続けている真意は何処に有るのか、国民にはまったく知らされません。放射性廃棄物の処理方法も、それに必要な費用の試算さえも出ていないのに、技術屋さん達は核融合まで夢を膨らませていたり、世界中の各先進国がが諦めたプルサーマル計画を意地になって実現しようと頑張っている真意も分かりません。このまま放射性廃棄物を貯め込むと自動的に核武装を計画していると思われるので、廃物利用が急がれるという理屈は一応認めるとしても、本当にこの技術を世界に先駆けて完成させる心算なのかどうか、国会での議論にもならないのは困りますなあ。


小泉純一郎首相は28日午後、来日中のイランのモッタキ外相と首相官邸で約30分間、会談した。小泉首相は「イランに期待していることは国際社会の信頼をぜひ勝ち得てもらいたいことだ」と間接的にウラン濃縮関連活動の再停止を求めたが、モッタキ外相は原子力の平和利用の権利を主張して譲らず、議論はかみ合わなかった。会談で小泉首相は「日本は資源がなくてもここまで発展できたから、資源のあるイランは国際社会との協力があれば大きく発展できる」などと述べ、核関連活動を停止するよう再考を促した。これに対し、モッタキ外相は原発建設に日本企業の参加を求めるなど、ウラン濃縮に固執する姿勢を変えなかった。

■敵も然る者引っ掻く者で、日本の原子力政策をしっかり研究していて足元を見ているのが良く分かる議論です。電力会社とゼンコン、それに鉄鋼メーカーやセメント会社など、原発で大儲けしている財界の有力メンバーと自民党との切っても切れない関係を知っていれば、日本のあちこちで起こっている原発反対運動に困り果てている業界が、「イランに仕事が有るよ」と聞けば、政府に巨大な圧力を掛けて受注に奔走するのは目に見えているところです。既に、インドの原発は米国資本の手に落ちますし、中国はあちこちに色目を使っていて日本が割り込む余地が無いようですから、石油を売った金が有るイランなら、支払いが滞る心配も無く、多少は高い設備を売りつけても商談が成立しそうですからなあ。

 
またモッタキ外相は日本企業が開発権を獲得したアザデガン油田開発について「重要だし、日本の成功を期待している」と述べ、小泉首相のイラン訪問を招請した。毎日新聞 - 2月28日

■小泉政権の期限が切れますから、その次の首相が日本の技術援助で完成したイランの原発の落成式に出掛けてテープカットでもし兼ねない話ですなあ。地球温暖化を予防する切り札として大いに気を吐いている原発業界は、原発は買え!原爆は作るな!と歴史を逆転させるようムチャな主張を後進国に押し付けます。原爆が最初で、原子力発電所や原子力潜水艦はその後に完成した物です。漫画雑誌からテレビ・ドラマになったバットマンが乗り回していた「バットマン・カー」も原子力エンジンで走っている事になっていますぞ!

■世界の外交の現場では、核兵器が一番物を言う道具だというのは常識で、原爆は反対だけど原発は大好きなどという国が存在する事自体が不信の目で見られるようです。拉致事件でも領土問題でも、もしも日本に核兵器が有ったなら、と考えると新しい可能性が広がって外交官の皆さんも常任理事国の一員となって大きな顔が出来る事はよくご存知のはずで、自分達が裏金作りや不正蓄財に熱心になるのも、軍隊や核兵器もない経済大国などというややこしい国の形が原因なのだ!と言いたい幹部も居そうですなあ。今の外務省に核兵器など与えたら政権与党のうっかり者と一緒になって、何を仕出かすか分からないので核武装はよほど慎重に考えねばなりません。しかし、核武装もせずに国の命運を米国に任せっぱなしで半世紀を生き延びているような日本が、南北をロシアとサウジに挟まれ、東西にはパキスタンとイラクが居る中で、シーア派の雄として生き延びようとしているイランの耳に入る言葉など、日本には無いのですなあ。

■同日深夜、TBSのニュース番組に筑紫哲也さんは問題のイラン外相を招いて、好き放題な事を言わせていましたが、ご本人は一切のコメントを付けずに放送を垂れ流したようですぞ。言っても無駄だとの高い見識をお持ちなのでしょうが、それなら始めからゲストに呼ばねば良いのではないでしょうか?日本の言葉に耳を傾ける国がまったく無いというのは、とても悲しい事ですなあ。

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誰も聞いてくれない 其の壱

2006-03-01 00:46:25 | 外交・世界情勢全般
■半月刀で話をつけるアラブ・ペルシャの流儀を捨てて、話し合いで決着を付けられると思う人が居る、と言うよりも、そう言い張らねばならない職務に就いている人がいるようです。そんな事で話が着くなら米国の若者が無駄に命を捨てる必要も無いのですが、報道には無駄な努力のニュースも紛れ込んでいるようです。

国連のアナン事務総長は25日、イスラム諸国会議機構(OIC)、アラブ連盟の各事務局長らとカタールの首都ドーハで会談し、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画について「表現の自由は責任を持って行使されるべきで、憎悪の扇動や深い信念を侮辱する口実とされてはならない」などとする共同声明を発表した。
毎日新聞 - 2月26日

■紙面の関係で字数を削ったので、何んだが綺麗ごとで丸く収まりそうな話になってしまっているのは毎日新聞のご愛嬌です。家族を上げて国連の銭をせっせと裏の蓄財に回していたアナンさんが、レーム・ダックごろこか、百舌(もず)が枝に突き刺して忘れて干からびたトカゲ同然になっているのは国際社会の常識でしょう。国際面にアナンさんの記事が載っているのは日本くらいなものかも知れませんなあ。同じ記事でも共同通信ではニュアンスが違います。


イスラム教預言者ムハンマドの風刺漫画掲載問題で、国連のアナン事務総長はカタールの首都ドーハで25日、イスラム諸国会議機構(0IC)のイフサンオウル事務局長やアラブ連盟のムーサ事務局長らと会談。メディアが信仰の侮辱に使われてはならないと非難し、人権を守るために「関連法の厳格な適用」を求める共同声明を発表した。宗教への中傷行為は人権侵害だとして法規制や処罰を求めるイスラム諸国の主張に沿った形で、表現の自由を尊重する欧米社会からは異論も出そうだ。共同通信 - 2月26日

■「関連法」と言うのは何を意味しているのでしょう?これにイスラムの「シャリーア」やコーラン原典が含まれると大変な事になるはずなのですが、衛星放送の海外ニュースを観ていてもアナン発言を大きく取り上げている国は無いようです。国際検察庁特捜部が無いものですから、不正蓄財をしていても逮捕されないのが国連の良いところなのでしょうか?加盟国が一律に「一票」持っている総会の規則にしても、発足当時は国家と呼べる組織が数えるほどしかなかったのですから、そのまま冷戦時代にソ連と米国が意地になって傀儡国家をにょきにょきと作ってしまった後の国連は、誕生当時の組織とは根本的に違います。日本人の中で「国連で働きたい!」と熱望する人は変わった人と、やっと思われるようになりましたが、欧米諸国では随分と昔から、国連の職員になりたいと希望する人は珍しい人だったようです。

■たまたま、アナンさんが何を言っても誰も相手にしなくなっていたのが幸いして、イスラムの怒りが燃え上がる事態には至っていないようですなあ。燃え尽きる直前の焚き火の前で、天を仰いで「超能力」を演じるペテン師みたいなものですなあ。アナンさんはちょっと前までは「再選」を画策して、常任理事国の首脳におべっかを使っていたようですが、裏金疑惑が表沙汰になっては、もう誰も話を聞いてくれません。


麻生太郎外相は27日午後、来日したイランのモッタキ外相と都内の外務省飯倉公館で会談した。麻生氏はイランの核開発問題について、ウラン濃縮活動の再停止を強く求めると同時に、ロシアが提案している濃縮活動を同国内で実施するという案の受け入れを強く求めた。しかし、モッタキ氏が濃縮活動の再停止を拒否し、説得は不調に終わった。小泉純一郎首相も28日午後にモッタキ氏と会談する。

■民主党のスットコドッコイが雲隠れしたり入院したり、そんな国際ニュースになどなるはずのない馬鹿馬鹿しい話に国民が夢中にさせられている間に、こっそり麻生さんはロシアを信用してイランの原爆監視を任せる事に決めてしまっていますぞ!スットコドッコイが過労だろうが脱水症だろうが世界の大勢にも、日本の政界にも何の影響も有りませんが、互いに歴史的な怨念と「食欲」を抱いたままイランとロシアが手を結ぶような危なっかしい取り引きを始めているのは、世界を根底から動揺させるほどの大問題です。いつの間に日本の外務省はロシアをイランの後見人として公認したのでしょう?北方領土問題ともからむ重大な決断と思えるのですが、何処のマスコミも知らん振りしませんかな?


麻生氏は、国際原子力機関(IAEA)が今月初旬に核問題を国連安全保障理事会に付託したことに言及し、「イランが濃縮活動を再停止することを強く求める」と述べる一方、「イランへの信頼が回復されないなかで、国内での濃縮活動に固執するのは問題解決を困難にするだけだ」との考えを表明。また、ロシアとイランが協議している合弁企業を設立して濃縮活動をするという案について説明を求めた。モッタキ氏はこれに対し、「イラン国内で行われているのは実験室規模の研究開発活動であり、再停止することはありえない」との考えを示すとともに、「イランは核兵器を追求しているわけではない」と述べ、あくまでも平和利用が目的との立場を強調した。また、ロシアとの協議について、濃縮活動を行う場所や期間などについて結論が出ていないことを明らかにした。
産経新聞 - 2月28日