旅限無(りょげむ)

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民主党はもっと血達磨になれ! 其の弐

2006-03-06 23:54:19 | 政治
マヌケな雀の空中戦で自爆墜落した後で、今度は地に足を着けようと寝業師・渡部恒三さんを起用したものですから、ますます雀の合唱団の軽さとマヌケさが際立っておりますぞ!それにまだ気が付かずに、前原オタノシミ代表の元側近の若造が、まるで他人事のようにマスコミに登場して能書きを言っているようですなあ。時が来れば、小沢さんの豪腕で首の骨を折られるのでしょうが、それまではチュンチュンやっていれば良いでしょう。

■民主党が謝罪して訂正して土下座しなければならないのは、チンピラが偽造したメール一本だけですが、社会党とまで手を組んで政権にしがみ付いて来た自民党が、これから国民に謝罪しなければならない罪業は、永田スットコドッコイ議員の失敗などとは比べようもない程に巨大なものです。北朝鮮による拉致事件を四半世紀も放置した事もそうですが、田中角栄さんの時代から対中国外交を間違い続けた罪は、スットコドッコイどころの騒ぎではありません。園田外相の小平との茶飲み話も酷かったのですが、宮澤ヨーダ元首相は、誤報か勘違いだった教科書問題を火柱が上がるような大問題にしてしまった張本人ですし、首相時代には準備不足のままに天皇皇后の訪中を行なってしまいました。手下になってハシャギ回っていたのが不死身の河野洋平衆議院議長と、YKKの片割れの加藤紘一議員でしたなあ。河野洋平さんは「強制連行」だの「慰安婦問題」などと新しい歴史用語を日本の教科書に掲載する道を拓いたり、北朝鮮に美味しい新米を沢山贈って自分の外交手腕に陶酔するような人でした。

■「村山談話」は頭のおかしい他所の政党から借りて来た結果だった!と言い張れば、罪は半減するかも知れませんが、今の尖閣諸島の問題も竹島問題も、北朝鮮問題も、全部自民党の外交政策の失敗から起きている事ばかりです。民主党はあと半年でも血みどろになって、その傷が癒えたら、その時にもどうせ先送りされているはずの、4点セットの残りを責めつつ、こうした戦後の大問題に関連して自民党政権に対して、謝罪と前言撤回を求める戦いをするのです。その時こそ、永田スットコドッコイ議員が、議場に仁王立ちになって、「謝り方を教えてやる!」と体験に基づいて吼えれば良いのです。その時まで議員バッジを付けていたら、の話ですけどね。


八千代市に事務所を置く民主党の永田寿康衆院議員(南関東ブロック、党員資格停止中)が……メールの真贋(しんがん)論争を繰り広げたが、結局は「ニセモノ」と断定して謝罪する「全面降伏」となった。永田議員は党員資格停止だけでなく、衆院懲罰委員会にかけられ、最悪の場合は政治生命を奪われかねない状況。同じく県内選出(4区)の野田佳彦衆院議員も、2度目の国会対策委員長職の辞任に追い込まれた。03年11月の衆院選で小選挙区13候補中12人が当選した民主党は、昨秋の衆院選で大敗したばかりか、本県選出の議員を震源とした混乱で結党以来の危機に瀕(ひん)している。
 私は1月下旬から先月中旬まで千葉を離れ、東京社会部でライブドア事件取材班の一員に加わっていた。派遣後、最初に取材に行ったのは、沖縄県内のホテルで遺体で見つかったエイチ・エス証券の野口英昭副社長(享年38)の葬儀だった。巨大な事件の闇は、時に人を死に追いやる。雪が降りしきる東京・増上寺の境内で、そんな重苦しさを感じた。国政を巻き込む疑惑を追及するというのなら、自分の発言の重みを自覚し、十分な裏付けが必要となるのは言うまでもないことだ。

永田スットコドッコイ議員と同じく千葉選出の吉岡宏二議員の発言ですが、ここまで良いのです。ここまでは!


過去何度も懲罰動議を受けながら、果敢に「政治とカネ」の問題に切り込む永田議員の姿勢に注目していただけに、残念でならない。
毎日新聞 - 3月6日

■「懲罰動議」を受けるのを勲章か何かと勘違いしているようでは、日本に二大政党など絶対に生まれません。こんな勘違い議員が事件後にもこんな寝言を毎日新聞に掲載するようでは、民主党の出血はまだまだ足りないようですなあ。永田スットコドッコイが、懲罰動議を4回受けた、5回受けた、と得意になっていた段階で、頬に三つもビンタを食らわせて目を覚ましてやっていれば、こんな事にはならなかったのではないですかな?永田スットコドッコイは騒々しい目立ちたがり屋としては有名でしたが、特段の鋭い質問や、恐るべき調査能力や情報収集力が目立ったことなど有ったのですかな?「強姦事件を起こすくらい元気な方が良い」の一言で選挙に落選した人もいたでしょうに!「懲罰動議が出されるくらい元気な方が良い」などと言っていられるのは、万年野党を決め込んで、裏で与党のオコボレに与っているような馬鹿者だけですぞ!

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民主党はもっと血達磨になれ! 其の壱

2006-03-06 23:53:40 | 政治
■返す返すも残念なのは、永田スットコドッコイ議員の自爆ですなあ。本日3月6日の参議院で、世が世ならば女性の戦いに民主党が凱歌を揚げて、世の中を舐めきっている猪口泣いてオネダリ・ドラエモン大臣を議場を揺るがす野次と怒声で号泣させられたのに!少子化問題担当大臣などと、産休やら臨時休業やら取り放題の「暇な大学教授生活」の中で双子のお子さんをご出産になったというキャリアを見込まれて、ご自慢の国際政治学とは何の関係も無い「産めよ増やせよ」担当大臣などという、下品な表現ならば「やり手婆さん」大臣みたいな、どうでも良い役職に付いたのを、大きく勘違いして居られたようですなあ。

■永田スットコドッコイ議員の御蔭で、すっかり大チョンボが霞んでしまっていたのですが、予算決定権までオマケに付いているとでも思ったのか、「少子化対策」も織り込み済みの基本的な予算編成が終わっているのも御存じなく、勝手に「出産無料プラン」などと記者会見で口走ったのは、本当は閣内不一致で小泉内閣に甚大なダメージを与えていたに違いない大失点でした。これを元気な蓮ホー議員に捕らえられ、追及されたのでした!絵に描いたような「役人作文」を、上智大学をクビになったショックで練習不足になったのか、棒読みどころか、録音テープそのままでトンチンカンでブッキラボーな歴史に残る珍答弁を演じてくれましたなあ。再録するもの恥ずかしい馬鹿馬鹿しい無内容な答弁でした。

■この程度の人物でも大学教授が務まるのか?務まるのです。こんな世間知らずの老けた小娘みたいな人に、米国の有名大学は博士号を与えるのか?与えるのです!泣いて喚いてオネダリすれば、「米国では教鞭は取らない」と約束すれば…。そんな世の中を舐め切って生きて来たちょっと草臥れた御嬢ちゃんを立候補させて大臣に就任させただけでも内閣の命取りだたのに!嗚呼!永田スットコドッコイが馬鹿をやらなければ、民主党がねちねちと集中的に質問を浴びせ続けて、面白いように失言と前言撤回を繰り返させて、任命者の小泉総理も火達磨になったはずなのに!

■スットコドッコイは、好物の自棄酒でも煽って「脱水症状」を楽しんでいれば良いのでしょうが、民主党はとても野党第1党とは思えない愚にもつかない下らない質問を、しろどもどろでオッカナびっくり続けるしかないのですから、其の罪万死に値しますぞ!本当に残念です。パンチを好き放題に打ち込める隙だらけの自民党内閣がタコ踊りをしているというのに、そのリングシューズを舐めたり磨いたりするような質問しか出来ない。これは大変なことです。首の皮一枚でニヤついた顔をぶら下げて歩き回っている前畑オタノシミニ代表は、オバチャンたちとストレッチ集会に出席したのだそうですなあ。


自民、公明両党は6日、国会内で国対委員長会談を開き、国会議員への懲罰制度を見直すことで一致した。偽メール問題で国会を混乱させた永田寿康衆院議員の懲罰に関連し、「最も重い除名と次の登院停止30日では落差がある」との意見を踏まえたもの。登院停止期間延長や一定期間の議員歳費カットなどが検討される見通し。
毎日新聞 - 3月6日

■ほんの数分間、いい気になって捏造メールを御丁寧に紙に印字して持ち込んだ永田スットコドッコイ議員は、ホテルに引き籠もるわ、入院騒ぎは起こすわ、やっとのこのこ出て来れば、未練タラタラで自分の「確信」を確信しているのでした。謝り方も下手くそだから、時間ばかりが流れて、あのほんの数分間のスットコドッコイ質問のお返しは、こうして「懲罰制度」の見直しなどという、武部さんなどは鉛筆の芯が蜜の味に思える気分で、あれこれと改正案を書き出しては大笑いしているのでしょうなあ。ついでに、次男坊さんにも「こんなんでどう?」などと電話しているかも知れません。

■このまま進むと、前畑オタノシミ代表も、あちこちから突きまわされて、ごみメールばかりでなく、「中国は現実的脅威だ」発言も撤回してお詫びするハメになるかも知れません。松下政経塾と言う所でどんな軍事関連の講義を聞いて来たのかは分かりませんが、開戦必至と誰しも思う時でさえ使えない「現実的脅威」などという空恐ろしい表現を、軽率に口走る程度の「次の総理大臣」を選出する民主党に将来など有りませんなあ。苦難の国会が終われば、連座制で前原オタノシミ代表にくっついていた茶坊主集団も粛清されるでしょうから、その時までは、殴られたり蹴られたり、ツバをはき掛けられ嘲笑冷笑されて政界と世間の厳しさと冷たさを「お勉強」するしかないでしょうなあ。

■新しい懲罰制度は「永田制度」と呼ばれるでしょうし、前原オタノシミ代表は、この後何十年も、国会で恥の上塗りをした阿呆としてその映像は繰り返し繰り返し引用され続けるのです。武部さんの「我が弟、我が息子」映像よりも遥かに陰湿で冷酷な扱われ方をするのを、御本人はまだ知らないようです。


民主党は6日午前、「送金メール」問題で自民党の武部勤幹事長の二男が要求していた全国紙での謝罪広告掲載の要求に応じることを決め、武部氏の二男側に伝えた。同党と永田寿康衆院議員の連名での謝罪広告となる見通しで、今後、細かい内容について調整する。
毎日新聞 - 3月6日

■三馬鹿トリオが頭を丸めて御遍路さんコスチュームに着替えて「お詫び広告」写真でも掲載するのでしょうか?まさか、電子メール形式で謝罪文を編集して掲載するくらいの悪あがきをして見せるのでしょうか?それとも、まだまだ未練他らしく「疑惑」だの「信憑性」だのと使い方を知らない日本語を並べて作文を書くのでしょうか?今回のヤング・エリート集団の無様さを見ると、ライブドアの終焉と重なって仕方がありません。時代遅れの証券取引所がベンチャーだったら何でも良い!とマザーズとか言う証券市場を後先考えずに開設し、「若手」と「ベンチャー」を名乗ればフリー・パスで上場させるような信じられない事をやったのが発端だっと言われています。今回の民主党のスットコドッコイ事件で恥を晒した顔ぶれも、「二大政党」とさえ叫んでいれば誰でも良い、「若手」なら文句なし!京都大学出身か松下政経塾出身なら大抜擢だ!とハシャイダのがそもそもの間違いなのでしたからなあ。

■それを見過ごした民主党の年長者達は、ライブドア問題が噴出した時に東京証券取引所がシステム・ダウンした時に、「似ているなあ」と直感しなかったのは迂闊でした。

為らぬ堪忍するが堪忍 其の参

2006-03-06 20:59:45 | 外交・情勢(アメリカ)
■そんなに簡単にイラクに新しい国家が生まれて、皆仲良く連合軍の駐留部隊に感謝をしながら涙ながらに見送ってくれるなどと思っているとエライことになるかも知れません。

イラクでは次期政権の首相候補である移行政府のジャアファリ首相への反発が強まり、初の国民議会招集がずれ込むなど、新政権発足に向けた動きが停滞している。政府筋は4日、「混迷が深まっている。新政権の姿がまったく見えない中で撤収開始に踏み切るのは難しい」と語った。外務省幹部も同日、「最も気になるのは、各派による『ジャアファリ降ろし』の動きだ」と懸念を示した。

■ブッシュ大統領の自画自賛を真に受けていると大変な事になりますぞ!確かにニューヨーク攻撃では日本人も犠牲になってはいますが、日本には復讐どころか「交戦権」も「集団的自衛権」すら認められていないのですから、アルカーイダの残党狩りなど出来ませんし、直接的にサダム・フセインに憎しみを持つ関係でもないのですから、あの「全面的支持」が正しかったのかどうか?妙に運の良い小泉さんが、後々歴史に書かれる段階になって、「あれが最初だった」と言う裏話がゾロゾロと出て来るのかも知れません。石油の旨味を知ったアラブの人々を操って国を作ったり壊したり自在に出来ると思っている米国は、歴史を見誤っているかも知れないのです。


政府は、陸自撤収の前提として、新政権樹立など政治プロセスの進展、多国籍軍の主力である米英などの了承、サマワ住民の理解などを挙げている。政府内では「今の段階で最も重要なのは、イラクの政治プロセスだ」(防衛庁幹部)とし、想定していた「3月末開始―5月完了」の撤収日程を再検討せざるを得ないという見方が広がっている。小泉首相も3日夕、首相官邸で記者団に、「総合的に判断しなければならない」と述べ、撤退時期を慎重に見極める姿勢を強調した。

■誰も本当の意味を知らない小泉さんの「総合的判断」を、どの新聞もしつこく追い掛けないのは不思議ですなあ。今回の民主党の永田スットコドッコイ議員の自爆によって、小泉総理もブッシュ大統領を見習って、最後の国会を舞台にして自画自賛を始めて気持ち良さそうなのは、問題ですぞ!


政府が3月中の撤収開始を目指す大きな要因となっていた、サマワを含むムサンナ県の治安を担う英、豪軍の撤収計画も、流動的になりつつある。2月24日にロンドンで開かれた日米英豪4か国の外交・防衛当局の実務者会合でも、「任務完了のめどがついた」とする英、豪両軍に、米国が「イラクが安定しなければこれまでの活動は無駄になる」とクギを刺し、「部隊の撤収時期はイラク情勢を見て最終判断する」方針を確認した。このため、政府は「自衛隊の撤収時期がずれ込んでも、英、豪軍の撤収に乗り遅れる心配はない」と見ている。

■英豪両国には、米国の思惑に反して独自の判断で行動する自由は残されていますが、日本は完全に米国の手に手綱を握られているのですから、「総合的判断」はそのまま「米国の胸先三寸」と同義です。


首相は、今月中にも撤収時期を最終判断したい考えだが、当面はイラク情勢の推移を見守るしかない状態となっている。
読売新聞 - 3月4日

■3月末から撤収を始めるのは、新年度の予算を執行させるのに便利だからではないのでしょうか?そして、5月に撤収が完了すれば、国会の会期中でも有りますから、小泉内閣の判断と実行力は世界に認められた!と正当性を大声で宣伝するのに丁度良く、対米従属外交をそのまま次期政権に丸投げ型で継承させられる、これが外務省と自衛隊幹部の読みではないでしょうか?参議院選挙との絡みも計算に入っているのでしょうが、そんな「家庭の事情」が通るほど今の国際情勢は甘くはないですぞ!最後の最後に、運を使い果たした小泉政権が先送りして来た諸問題が深刻化して噴出し、その対応に追われている間に正真正銘のスキャンダルがまとめて発覚したりしたら、自衛隊撤収問題は後回しにされてしまうでしょうなあ。

■強引に日本だけが撤収を決定したら、それこそ米国の謀略によって政権が瓦解、スットコドッコイ民主党には政権移譲は無理ですから、米国の注文通りの後始末内閣が組まれるような事になれば、撤収どころか急転直下で「増派」やら「長期化」も議題になる可能性も出てきますぞ。


ペース米統合参謀本部議長は5日、FOXテレビに出演し、イラク駐留の米英軍が1年以内の全部隊撤退を計画しているとの英紙報道は「正しくない」と否定するとともに、治安情勢を見極めて駐留軍の規模を判断する方針を改めて示した。時事通信

■ハンバーガーやらステーキが大好きになってしまった日本ですから、ちょっと心配な牛肉を我慢して輸入するくらいは仕方が無いでしょうが、中東で戦争などしたくない日本は我慢してイラクやアフガニスタンで標的になる謂われは有りません。そこのところを、米国に一言告げておくべきだったのに、帰る段になって今更そんな話は聞いてもらえないでしょうなあ。インドに外務大臣を送って米国政府に対する口利きを頼みますかな?最近の日本は、イラクをすっかり忘れているように見えるのが心配です。

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為らぬ堪忍するが堪忍 其の弐

2006-03-06 20:59:11 | 外交・情勢(アメリカ)
■ブッシュ大統領はイラクの形は付いたような顔して外遊しているようですが、イラクの中にはイランやパレスチナと連携して米軍を追い出そうと頑張っている連中が、まだまだ元気なのではないでしょうか?

中東の衛星テレビ、アルジャジーラは5日、国際テロ組織アルカイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者とされる映像を放映、同容疑者はイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画について、イスラム教徒に対する挑発が目的だったとの見方を示し、欧米を非難した。同容疑者は風刺漫画に関して「預言者ムハンマドやイエス・キリストではなく、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)や同性愛が彼らにとっては神聖なのだ」と強調。また、パレスチナ評議会選で圧勝し、組閣を要請されたイスラム原理主義組織ハマスへの支持を表明する一方、これまでのパレスチナ自治政府はイスラエルとの和平路線で「パレスチナを売った」と批判した。共同通信 - 3月5日

■イラクの中に潜入しているのか、隣国に拠点を構えているのか、神出鬼没のザワヒリは祖国のヨルダンの立場を悪化させる事ばかりやっています。ハマスを欧米側に寝返らせないために、脅迫して見せるだけなら良いのですが、実際にイスラエルに対するテロを率先垂範して始めたりすると、お株を奪われたとハマスの血が蘇って寝た子を起こすような事になり兼ねないですから、ご用心、ご用心。


パレスチナ評議会(国会に相当)選挙で勝利したイスラム原理主義組織ハマスの政治部門指導者メシャル氏をはじめとする代表団が3日、モスクワを訪れ、ラブロフ露外相らと協議した。ハマス代表団が選挙後、和平を仲介してきた主要国を訪れたのは初めて。ラブロフ外相は同日夜、報道陣に、米、露、欧州連合(EU)、国連の4者が1月に発表した声明に基づいて「イスラエルの生存権を認めるべきだとの立場をハマス側に伝えた」と強調した。メシャル氏はこれに対し、「(イスラエルによる)占領が続くなら和平はあり得ない。パレスチナには人民を守る権利がある」と述べ、従来の強硬姿勢を崩さなかったという。

■イランと言い、ハマスと言い、交渉を決裂させるのが仕事だと思っているような連中が揃っているので、ロシアも面子を潰されるのを我慢して世界に自分の大きさを示すことだけで満足するしかないでしょう。またその内、困って泣きついて来たら、その時はウンと高く吹っかけてやろう、と思っているのでしょうなあ。まったく外交というものは喰えない連中がやっている仕事なのです。とても日本のヘッポコ役人では相手にならないでしょうなあ。


ただ、露外務省によると、ハマスは、2005年1月末から続けるイスラエルとの停戦について、同国の暴力停止を条件に堅持する方針は確認した。代表団の訪露はプーチン大統領の招待によるもので、5日まで滞在予定。同大統領は、招待に不快感を示す米国やイスラエルに配慮し、代表団とは会わない見通しだ。読売新聞 - 3月4日

■プーチン大統領も情報のプロですから、うまうまとハマスのチンピラ?に点数を稼がせたりはしません。何処かの副首相オバサンにドタキャンを喰わされても苦笑いしている小泉総理とは迫力が違いますなあ。


政府が、イラク南部サマワで活動する陸上自衛隊の撤収時期を決めかねている。撤収の前提となるイラクの本格政権発足が、長引く宗派の対立で大幅に遅れる可能性が強まっているためだ。当初想定していた3月末までの撤収開始は困難だとする見方が支配的となっており、米英豪3か国と連携を保ちながらタイミングを慎重に探る構えだ。

■事の起こりは米国の立場を我らの小泉総理が「全面的に指示」した事でだったのですが、それをまだ覚えている日本人はどれほど居るのか心配です。日本に派兵させるまでは「知日派」を並べて外堀、内堀を埋めるように、あれこれと説教させたのに、話しが付いたらホワイトハウスから知日派が消えてしまったのは、小泉さんが舐められているという事なのではないでしょうか?(其の参に続きます)

為らぬ堪忍するが堪忍 其の壱

2006-03-06 20:58:20 | 外交・情勢(アメリカ)
■イラクに殴り込みを掛けてしまったブッシュ大統領は、イスラム諸国をまとめて敵に回しても平気なようですが、そんなムチャがいつまで通るのか、今のところは分かりませんが、アルカーイダの組織が死滅したとしても、二度と米国の世界戦略に挑戦するイスラム原理主義組織が現われない保証は有りません。しかし、名乗りを上げて本土を攻撃した敵を見逃す事は米国大統領には許されません。それは、ロシアを支配する物がイワン雷帝以来拡張して来た領土を一欠片でも失う事が許されないとの同じ使命です。チャイナの支配者には世界から絶対に笑われてはならない、という厳しい使命が有ったり、ミニ・ロシアとミニ・チャイナの合成物として生まれた北朝鮮も同じです。

■多くの国の支配者には絶対に破ってはならない不文律が有るようです。日本の支配者にも何かの使命が有るはずなのですが、誰が支配者なのかが判然としない長い時間を織り込んで流れて来たユニークな歴史が有るので、何が使命なのかは良く分からないようです。大和朝廷には大陸からの「独立」という使命が有ったようですし、それは見事に果たされたと言えそうです。距離を保って貿易をしたりしなかったりの温和な外交史ばかりが長いので、明治政府が乾坤一擲、日清戦争と日露戦争に勝ったのは驚天動地の歴史的転換でしたなあ。その後始末がうまく行かずに、最後は対米戦争を避けられなくなって徹底的に敗北したのですから、やはり、戦後の日本政府が考えねばならないのは、日米友好同盟貿易関係の維持という事になるのでしょうなあ。しかし、何事にも限度というものが有りますぞ!

■欧米諸国と折り合いを付けて共存しようと言うイスラム穏健派が存在している故に、対イスラム世界大戦は起こらずに済んでいますが、チェチェン問題で絶対に妥協しないロシアは、イランの原爆開発に関して微妙な匙加減で自分の存在を見せ付けようとしているようですが、急に仲良くなろうとしても、カスピ海を挟んで睨み合っている長年の不信感が強くて、簡単にロシアの仲介でイラクが大人しくなるはずはないでしょうなあ。逆に時間稼ぎをしながら交渉を決裂させて、責任を一方的にロシアに落ち着けて面子を潰してやろう、と思っているとも考えられます。ロシアとしては、中央アジアまで米軍基地を引き寄せてしまっているので、これ以上南側の「柔らかい腹」で米国が我が物顔で振舞ってもらっては困るので、イランに米国が攻め込む理由を無くしてしまいたいだけなのでしょうなあ。

■EU諸国はトルコの加盟申請を持て余している段階で、ムハンマドの諷刺画問題を抱え込んで身動きが出来ない状態が続いていますから、日本が連携出来る相手はなかなか見つかりそうも有りませんなあ。小泉総理は、「総合的に判断」して独自の外交政策を進めるような事を言いながら、米国が掻き回し続ける国際情勢に振り回され続けるしか無いでしょう。イラクに駐留している陸上自衛隊の皆さんを引き上げさせると言い出したものの、日本の事情だけで簡単に決められない苦しい立場には変わりは無いので、まだまだ米国のムチャな注文には耐え忍んで良い顔をしていなければならないのでしょうなあ。パキスタンの次は日本が我慢する番になるかも知れませんぞ。


パキスタンを初訪問したブッシュ米大統領は4日、ムシャラフ大統領と会談、共同記者会見で「両国の戦略的関係の中心はテロとの戦いでの緊密な協力だ」と述べ、「対テロ戦」の同盟国としてパキスタンを引き続き支援していく意向を表明した。ブッシュ大統領は一方、インドに提供することで合意した民生用核技術をパキスタンにも提供するようムシャラフ大統領から要請されたことを明らかにした上で、「両国の歴史、エネルギー事情は異なる」として、パキスタンへの協力は行わない方針を明確にした。パキスタンはカーン博士による「核の闇市場」を通じ、北朝鮮やイランに核兵器開発技術を拡散した過去があるため、インドとは差をつけた形だが、パキスタン側の反発も予想される。共同通信 - 3月4日

■インドとパキスタンをわざとらしく並べて差を付けて見せる、何とも分かり易い外交をやったものです。その内、中国と日本を並べて差をつける米国外交がまた始まるかも知れませんなあ。ムシャラフさんも無駄を承知で一応はオネダリして見せるしかないなかったのでしょうが、国内の米国に対する反感は必ず強まりますぞ。イランは原爆も原発も駄目だけど、パキスタンは原爆は認めてやっているのだから、有り難く思え、という訳なのでしょうが、宿敵インドには大盤振る舞いですから、腸(はらわた)は煮えくり返っているに違いありません。大サービスを受ける事になったインドでも、国内の共産党系の団体が大規模な抗議デモを展開したという報道が有ります。

■裏側に北京政府の影響力が働いているかどうかは分かりませんが、インドは明確に米国と手を組む決断をしたのですから、それをそのまま認めたくはない国内の対立が顕在化する可能性が有る事が分かりました。これは注意が必要です。万一、米国が中国とインドを露骨に並べてインドだけと手を結ぶような事をすると、面子を潰されたと人民解放軍が猛り狂って暴発するかも知れませんからなあ。

■ブッシュ大統領を歓迎する目的なのか、アフガン国境地帯では血生臭い事件が起こったそうです。


アフガニスタン国境に近いパキスタン北西部の部族地域、北ワジリスタン地区で4日、アフガン旧政権タリバン派の武装住民と治安部隊が衝突、銃撃戦となり、武装住民ら少なくとも46人と兵士3人が死亡した。AP通信が伝えた。死者は80人以上との情報もある。部族地域には、国際テロ組織アルカイダやタリバンの残存勢力が潜伏しているとされ、アルカイダ幹部などを標的にした米軍の空爆などで民間人が犠牲になるケースが相次いでいる。同通信によると、同地区のミランシャーでは、国境警備隊の基地がロケット砲などで攻撃され、軍が応戦したという。共同通信 - 3月5日

■この報道が事実なら、アルカイーダが自らの健在をアッピールしようとしたとも考えられます。テロとの戦いは成果が上がっていると自画自賛しているブッシュ大統領ですが、非対称の戦争はそんなに簡単に終わりはしないでしょうし、サウジにしろパキスタンにしろ、国論が統一されている訳ではないので、政府代表が協力を約束していても、米国は常に相手に対して疑惑を持ったままで協力体制を宣伝するしかないでしょうなあ。その点日本はまだまだ自民党政権が続きそうですから、安心なのでしょうが、日本だけに貧乏籤を押し付けるようでは困りますぞ!(其の弐へ)

全国人民代表大会が始まった 其の四

2006-03-06 13:46:10 | 外交・情勢(アジア)
■役人の親分は子分を増やす事に熱心で、同時に私腹も肥やしたいのですから、住民は何をされるか分かったものではありません。

温首相は汚職対策も強調したが、官僚の資産公開など具体策は示さなかった。04年秋の党中央委総会(4中総会)で執政能力強化を決議した後、逆に汚職事件は増え、党の支配下にある司法の独立や報道の自由を保障、監視機能を強化すべきだとの議論が高まった。しかし胡錦濤政権は、一党独裁を堅持する決意を示し、社会主義の思想教育を提唱している。産経新聞 - 3月6日

■思想教育によって人格と思考を完全に変えてしまえるというのが社会主義ですから、専門の部署から出される奇怪な作文を空きっ腹を我慢して暗誦し、記憶しなければなりません。社会主義国にも「成人教育」や「生涯教育」が有りますが、それは徹底的なイデオロギー注入の手段として行なわれています。この大いなる無駄を止めてしまえば、役人の数は半分以下になるでしょうが、そうなったら党が持ちません。誰も信じていない文書を必死で覚えるために費やされる労力と時間は膨大なものです。勿論、これを拒否したり馬鹿馬鹿しい!などと口走ったらエライことになりますから、人民の皆さんは生気を失った表情で、訳の分からない文書を暗記するのです。ご苦労様です。


温家宝・首相は5日、第10期全国人民代表大会第4回会議で「政府活動報告」を発表。情報公開に力を入れ、腐敗を根絶する意気込みを示した。5日付で新華社が伝えた。温・首相は、「マスコミなどへの情報公開の強化を通じて、行政機関の透明性を高め、業務効率も向上させる」などと発言。また、行政機関に対して、責任を明確にすることにより、政府の実行力を高め、多くの信頼を得るように求めた。さらに、腐敗を一掃し、クリーンな行政体系の構築を目指すことも明言。土地の売買や政府調達などでの贈収賄に対して徹底的な取り締まりを行うことを宣言した。不正を追放し、中国各地でみられる教育分野での違法な資金徴収や高騰する医療費などの問題を解決する意向だ。サーチナ・中国情報局 - 3月6日

■教育や医療は原則無料となるのが社会主義国家の売り文句ですから、表向きの制度はそうなっています。しかし、そんな制度に従っていたら、病院に行ったら見殺しにされるし、学校で授業も受けられない仕組みになっています。急患で担ぎこまれて呻いている人に、治療代が払えるのか?と冷たく聞いて追い返す医者が沢山いる事を、現地の人は教えてくれますなあ。医療保険制度も有るには有りますが、保険料がきれいに支払われた話より、何くせを付けられて加入料だけ騙し取られた話ばかり聞かされますなあ。「腐敗を一掃する!」と10年以上叫んでいるのですから、その凄まじさが良く分かります。

■毎年起こる暴動が8万件を超えているとか、地方から中央政府に直接訴えるために命懸けで出て来る人民が4万人とも5万人とも言われているのですから、第三次天安門事件が起こるのは時間の問題でしょうなあ。これだけ国内に「矛盾」が蓄積されますと、建国の父・毛沢東の『矛盾論』などの著作を勉強し直して、本当の社会主義革命を叫ぶリーダーが出て来るかも知れません。本家争いは得意な人達ですから、真正社会主義を主張する大論争でも起きはせぬかと、心配なことです。

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全国人民代表大会が始まった 其の参

2006-03-06 13:45:29 | 外交・情勢(アジア)
■大型の軍事予算を注ぎ込まないと、全国的な規律が保てないのではないか?と要らぬ心配もしてしまいますが、軍閥化が始まったら国家の分裂は止められませんぞ。今のところは、小遣い稼ぎを黙認する事で軍閥化を止めているようですが、軍部の腐敗などが摘発されるような事にでもなれば、あの国の主人が誰なのかが分かる大事件が起きそうですなあ。人民解放軍だけは別扱いする傾向が目立つ大会のように見えるのは、その恐れが十分に有り得るからではないでしょうか?
 
同局長はさらに中国軍近代化の他の焦点として(1)近代的な戦闘機の開発と取得(2)遠洋海軍の整備(3)水陸両用能力の強化(4)サイバー戦争の研究(5)情報戦争のドクトリン樹立-などへの着手を報告した。中国がなぜ軍拡を続けるかについては上院軍事委員会側のジョン・ウォーナー議員が「どの国でも自国の安全保障のための一定の軍事力保持の権利があるが、中国の場合、なぜかその必要性をはるかに超えている」という疑問を提起。これに対し、証人側のマイケル・ハイデン国家情報次官は「中国の軍拡が自国の安全保障の域を超えていることは明白で、その動機は台湾攻略の能力保持だけでなく、アジア地域、ひいては国際的な場での影響力の拡大を意図してだろう。中国側には大国となれば、自動的に軍事力を強大にしなければならないとする思考があるようだ」と答えた。
産経新聞 - 3月5日

■北京政府は本気で米国と対等の国力を手に入れられると信じて強引な政策を進めているようですから、その目的に見合う軍事力を持つのは当然の事と考えているのでしょう。日本には『平和憲法』を永久に保持してもらって、改憲だの交戦権の回復などが話題にならないようにマスコミ工作やら情報操作やら、これからも熱心な活動が続くのでしょうなあ。しかし、威勢の良い事ばかり言っている訳にも行かない「内憂外患」の内憂の方が酷くなる一方です。国内に渦巻いている不平不満の暴発は絶対に認めるわけには行かないので、ガス抜きもしないで混乱や暴動は徹底的に押し潰すつもりのようです。


全国人民代表大会(全人代)に提案された政府活動報告や第11次5カ年計画(2006-10年)草案からは、現状に対する胡錦濤政権の危機感がうかがえる。高成長路線の下で、格差の拡大などの矛盾、問題が深刻化しているからだ。このため胡政権は、新5カ年計画で、社会の安定を重視、農村対策への重点投資など、和諧(わかい)(調和のとれた)社会を目指す方針を示したが、成長路線は基本的に維持するため、格差の拡大や腐敗の蔓延(まんえん)に歯止めをかけられるか疑問視されている。

■社会主義の看板を掲げている限りは「計画」の形で政策を説明しなければならないのが辛いところです。数値目標ばかりが先行しますから、どうしても問題が単純化されて数値は水増しされて妄想に近いものになります。刻々と広がっている経済格差を、どの時点で停止させて逆転させる心算なのか、「5年間」という長いようで短い時間に刻み目を付ける事は困難でしょうなあ。


全人代に先立ち、共産党機関紙「人民日報」電子版が実施したネットアンケートでは、格差是正と腐敗撲滅が最大関心事に挙げられた。格差問題は、地域間、職種間など多岐にわたるが、最も深刻なのが、都市と農村の格差。4、5倍とされる所得差だけでなく、教育、医療、衛生など社会生活全般で格段の差がある。1990年代以来、大都市や沿海部の発展の陰で、内陸部農村の相対的貧困化が進んだ。8億強の農民のうち2億人は出稼ぎに出、都市の発展を支えているが、農村は働き盛りを失い停滞した上、農業税のほか地方政府による各種の費用徴収に苦しめられてきた。

■現在の凄まじい格差を生み出している農村から都市部への巨大な人口移動が始まる前に「一人っ子政策」が断行されているのですから、人口ピラミッドの全国的な変容は凄まじく、そこに改革開放が進められているのですから堪りません。国内が難民で溢れ返るような騒ぎが起こっています。働き手が出稼ぎに流れ出した後の地方には、仕送りを待つ家族が残っているだけでなく、各地方政府に居座って動くに動けない役人という難物が自力で実入りを良くする算段を考えているのですから、地方と都市部の経済格差は広がる一方です。役人はあれこれと名目を付けて住民から搾り取るしか収入を増やす方法が無いのですから、豊かな都市部の役人に負けないようにするには不正だろうが暴政だろうが、構わずにムチャをします。


胡錦濤政権は2004年以来、3年連続で年頭の「1号文書」で三農(農業、農村、農民)対策を最重要施策に指定、幾つかの具体策をとってきた。温家宝首相の政府活動報告や新5カ年計画は、財政支援など包括的な対策を打ち出した。背景の一つには、開発業者と結託した地方当局の農地強制収用などに反発した農民暴動の頻発があるが、地方当局にとっては、土地の収用・売却は主要な財政収入源である上、開発によって経済成長を維持する手段にもなっている。

■中央政府が「5か年計画」を打ち出すなら、地方政府にも「計画」が有るのは当然で、農地を手放さないために出稼ぎに行った人達が仕送りをしても、そのカネが搾り取られるばかりか、肝腎の農地まで奪われては農民は生きて行けません。中央が農村対策に支出する予算にしても、何処に消えるのか誰にも分かりません。


胡錦濤政権は、収用問題や資源の浪費、環境破壊を招いた「発展モデル」からの転換を提唱。新5カ年計画期間中の年平均成長率を7・5%に設定したが、外資企業、私営経済が成長をリードする一方、雇用対策上の必要もあり、成長路線は変えられない。これは過去3年、10%前後の高成長が続いた理由だった。温首相の報告では、行政の効率化、厳格化を打ち出す一方で、政治改革には言及しなかった。むしろ党の執政能力の強化をうたい、文化・芸術や報道などでは社会主義原則の下で統制を強める姿勢をのぞかせた。

■計画には、立案する役人と実行に移す役人が必要ですから、あれこれと新しい政策が打ち出される度に現場には新しい部署が増設され縁故採用された役人が際限も無く増え続ける構造になっているようです。ですから「行政の効率化」など絶対に不可能だと首相だって分かっているのです。(其の四に続きます)

全国人民代表大会が始まった 其の弐

2006-03-06 00:35:32 | 外交・情勢(アジア)
■実質的には軍事費の総額は公表されている額の3倍だの5倍だのと噂されている人民解放軍ですが、広大な領土に展開するだけでなく、ちょこちょこと海を越えて出て来る仕事も増えているので、予算は幾ら有っても足りません。団体行動など一切出来ない人達ですが、軍隊だけは命令系統が維持されて統率されているので、内職が盛んなようです。どちらが本職か分からない部隊まで出現しているそうですから、民主党の前原代表のように「現実的な脅威」などとは言えない段階と考えた方が良さそうです。旧ソ連に面倒を見てもらっていた時代の遺物がごろごろしているような軍備をスクラップしてしまうのに、後何年掛かるか分かったものでは有りません。

姜報道官は国防費の伸びについて、▽軍人の給料・福利の増加▽国際的な石油価格上昇による軍用燃料費の増加▽人材確保への投資増▽(戦闘能力向上のための)一部装備関連経費の増加-の4点を理由に挙げた。中国は海空兵力の近代化を急速に進めるなかで、優れた人材の確保や教育・訓練を強化しており、国防費増の要因の一つになっている。この背景には、東アジアにおける日米安保協力の強化や米軍の太平洋戦力の増強に対抗すべしとの軍部からの圧力がある。また、胡錦濤政権は、台湾の陳水扁政権の「独立」志向を牽制(けんせい)する上で、国防力の増強は不可欠としており、米国などからの「中国脅威論」には「内政干渉」との立場をとっている。

■人民解放軍の装備について報道される場合、どうしても「数」を比較するので、恐るべき軍備に見えてしまいますが、数が物を言う戦争は既に過去のものとなって武器の性能と信頼性という「質」が問われる時代ですから、本当は第4項の「能力向上」に予算を集中させたいのでしょうなあ。しかし、第1項に兵の待遇を持って来なければならないのが現実なのでしょう。貧困地帯では軍に職を得られれば大喜びなのですが、沿岸部で増え続ける富裕層との比較で低賃金が目立つようになると、第3項の「人材確保」が難しくなりますから、是非とも待遇面で弱みを見せるわけには行きません。通常の給料以外の役得もたっぷり稼げる特典も御用意しております、と大きな声で宣伝したいところでしょうが、余り商売熱心な軍隊だと敵国から甘く見られるので我慢しているのでしょう。


姜報道官は、昨年の国防費の国内総生産(GDP)に占める割合は、1・36%で、米国の3・6%などと比べ、「世界的にも低水準」と強調したが、弾道ミサイルや空・海軍の兵器調達費は科学研究費に計上されており、「実際の軍事費は公表額の2、3倍に達し、米露に次ぐ軍事大国」(米国防総省報告)とみられている。
産経新聞 - 3月5日

■「科学研究費」だけでなく、別の予算にも軍事費が付け替えられていると考えた方が良さそうです。人民解放軍は建国の母であり父であると教育現場でも教えている国ですからなあ。公共投資などと言っても、どれが純粋に社会インフラなのやら、区別は難しいでしょう。軍需工場と純粋な工業製品を製造している工場との区別もどこまで可能やら……。


中国が大幅な軍事力増強を進めるのは、台湾攻略の能力確保のほかにアジアでの影響力を拡大するためだとする見解が、米国政府情報当局の責任者たちから表明された。中国は米国本土に届く戦略核ミサイルの増加のほか、遠洋海軍の建設や部隊の遠隔地投入能力の強化など広範な分野での軍事力増強に国家資源を投入しているという。
こうした見解は上院軍事委員会が2月28日に開いた「脅威評価」の公聴会で表明された。ブッシュ政権を代表して証言したジョン・ネグロポンテ国家情報長官は中国について「グローバルな規模でパワーを拡大し、やがては米国にとって同等の競合相手となりうる」と述べる一方、「中国の経済拡大が世界での政治的影響力だけでなく遠隔地への兵力投入能力を増強する軍事近代化をあおっている」と強調した。

■建国後は革命を防衛する国内軍として発展しながら、チベットや内モンゴル、ウイグルや旧満洲を併合して領土を拡張して来た陸軍国家ですから、指呼の距離と思える台湾への侵攻には一度も成功しておらず、朝鮮戦争当時もやはり陸上を移動する作戦行動しか採っていませんでした。大陸間弾道弾の性能はロケット技術と共に向上して行きますから、既に有人飛行に成功している中国は世界中の何処でも理論的には核攻撃が可能となっています。しかし、台湾への軍事侵攻となれば、膨大な人員と物資を輸送する能力も無く、完全に制圧するまでの兵站は短期間に切れてしまうだろうと言われています。この輸送力と補給力の整備が本格化しない限り、中距離ミサイルによる単発的な攻撃によって台湾に変心を迫る事しか出来ないと考えれているようです。


同長官は中国軍近代化の内容について「兵器全般の近代化、戦術、地域レベルでのより効果的な作戦ドクトリンの推進、訓練、後方支援、動員などの改善」を列挙した。マイケル・メープルズ国防情報局長はとくに中国軍の近代化の最優先項目の一つが米国本土を攻撃できる戦略核ミサイルの規模、命中精度などの拡大だと述べ、中国はこれによって米国への抑止力を高めようとしている、と指摘した。メープルズ局長は「中国軍は潜水艦発射の射程8000キロのミサイルJL2を開発中で、現在すでに発射テストを終え、数年中に配備へと進む一方、台湾に近い地域などでの中・短距離弾道ミサイルの配備を一貫して増強している」とも証言した。

■潜水艦の能力向上を急いでいるのは分かりますが、太平洋はまだまだ米国海軍の池同然ですから、台湾から南沙諸島に掛けての内海化をこつこつと進めるつもりなのでしょうが、その一端に尖閣諸島が浮かんでいるので、だらだらと日本と交渉を続ける裏側で、あれこれと軍事施設を設置して既成事実を積み上げるのでしょうなあ。日本はエネルギー政策や商売の頭しか無いので、どんどん打つ手が後手に回り続けるしかないでしょうなあ。(其の参に続きます)

全国人民代表大会が始まった 其の壱

2006-03-06 00:34:46 | 外交・情勢(アジア)
■国内に難問山積で暴動やらデモやら、賑やかなチャイナですが、近代化に欠かせないIT産業の育成にはインターネットの普及が急がれますが、世界的に有名な検索システムを呼び込んで、共産党の番犬にしているそうですなあ。米国も「日銭稼ぎ」に熱心で、共産党御用達の「検索サービス」が完備されたようです。まずは、軍拡についての記事を確認しておきたいと思いますが、その前にちょっとしたニュースを見つけましたぞ。


日中戦争中に旧日本軍が中国・重慶市を空爆した「重慶大爆撃」で肉親を失うなどした被害者約40人が、日本政府に損害賠償を求める訴えを今月30日、東京地裁に起こす。請求額は1人1000万円の予定で、第2次提訴も含め原告は計約100人になる見込み。重慶大爆撃は、旧日本軍が1938-43年、要衝の重慶に首都を移した蒋介石政権を狙い、航空機で繰り返し焼夷(しょうい)弾などを投下、多数の市民が死傷したとされる。最近の中国側の研究では、死者計約2万3600人、負傷者計約3万1000人との数字もある。原告団長は、妹を40年7月の爆撃で失った高原さん(77)。遺族のほか、けがをして障害を負った人も加わり、年齢は70-80代が中心。共同通信 - 3月5日

■靖国神社のネタも賞味期限が近付いて、新たなネタを仕込んだのでしょうが、南京虐殺のホラ話では無理が有るので今回は比較的事実に即した裁判を起こそうというのでしょう。日中友好条約で賠償請求権を放棄しておきながら、その後の経済援助に味をしめて、手を変え品を変えて急がしいことです。ODA削減などが真面目に取り上げれるようになって、藪を突いて蛇を出してしまったと慌てている様子が良く分かる話です。ついでに、ヴェトナムの友達も誘って米軍の絨毯爆撃やら枯葉剤作戦の賠償請求を手伝って上げたらどうでしょう?その時は、日本にも一声掛けて頂いて、東京大空襲やら広島・長崎から原告団を送り込みましょう。しかし、今の北京政府にそんな悠長な事をやっている余裕など無いでしょうなあ。


温家宝・首相(写真)は5日、第10期全国人民代表大会第4次会議で「政府活動報告」を発表。既報のとおり、GDP(国内総生産)の成長率を8%前後、GDP成長1ポイントあたりにかかるエネルギー消費量を05年と比べて4%前後削減とするなどを含む06年の経済成長に関する主要目標に言及したほか、八つの施政方針を示した。
1.経済の安定したかつ比較的速い発展を維持する
2.社会主義の新農村の建設を確実に進める
3.産業構造の調整を進めて資源節約と環境保護に注力する
4.地域間の協調的発展の推進を継続する
5.科学技術と教育による国家振興戦略と人材強国戦略を実施する
6.改革開放をさらに一歩推進させる
7.群衆の切実な利益に関する問題の解決を高度に重視する
8.民主政治建設と社会的安定維持を強化する

■「安定」と「速さ」などと危なっかしいコジツケを「比較的」を挟み込んで誤魔化しているようで苦しい作文ですなあ。「新農村」などのように「新」が付けるのが大好きな党ですが、「確実に」と念押ししているのは「新」が軒並み失敗に終わっているからでしょうなあ。農業問題は既に危険水域に達しているというのに、まだ「社会主義」の看板を下ろせないのが苦しいところです。「資源節約」と「環境保護」などと、秦の始皇帝以来、一度も成功したことのな目標を掲げても、その意味を理解する人民は居ないでしょうなあ。

■「協調的発展」を掲げねばならないほど、地域間の格差と対立が限界に近付いているのだと分かりますなあ。「人材強国」を目指したら地域間の抜け駆け競争が激しくなって手が付けられなくなりそうです。第6項目は意地を示すために挿入されたのでしょうが、既に暴走を始めている経済の混乱を更に「一歩推進」させて大丈夫なのでしょうか?この「改革開放」が最初に出せないところが指導部の苦しい本音を表わしているのでしょうなあ。第7と第8項が最も重大な意味を持っているように見えますぞ。「切実な利益」「高度に重視」とは並々ならぬ危機感が溢れていますなあ。第8項になると、苦しさが度を越して既に冗談の域に達していますぞ!

■「社会的安定」を維持する為に「民主的」な行動を暴力的に圧殺するしか方法が無い政府が、「強化」しようとしているものがさっぱり見えません。


いずれも若干の言い回しの変化はあるが、05年10月に中国共産党の第16期中央委員会第5回全体会議(五中全会)で採択されたコミュニケの内容に含まれるもので、今回の施政方針のために06年の課題として抽出したものとみられる。また、台湾問題について、「両岸関係は平和的安定、WinWinの方向で発展すべきことは、人心の赴くところであり、この大きな趨勢を破壊しようとするいかなる人も必ず失敗する。最終的に祖国統一という大業を完成することが、全中国人の共同の願望であり、いかなる人も阻止することはできない」とし、台湾の陳水扁政権が2月、中国大陸との統一に向けた「国家統一綱領」と総統の顧問機関である「国家統一委員会」を実質的に廃止したことをけん制した。サーチナ・中国情報局 - 3月5日

■香港、マカオと着実に領土を回復した勢いで、チベットと同じように「祖国復帰」を歓迎して台湾を飲み込む政策は永遠に不変なので、江沢民さんがやり残したこの大仕事を果たせば、胡錦涛政権は不動の地位を獲得しますから、「全中国人の共同の願望」など無くても構いません。日本に対する憎悪では国内がまとまらなくなれば、台湾に失敗覚悟で手を出すのでしょうなあ。


中国の第十期全国人民代表大会(全人代=国会)第四回会議を前に、姜恩柱報道官が4日記者会見し、2006年の国防予算が前年実績比14・7%増の2830億元(約4兆1100億円)になることを明らかにした。18年連続の2ケタ成長(当初予算比ベース)で、「中国脅威論」に拍車をかけそうだ。5日開幕の全人代で提案、審議される。国防費は、前年当初予算比では14・5%の伸び。財政支出に占める割合は7・4%とほぼ例年並みだが、実績比は05年の伸び率12・6%と比べ高い伸び率を示した。
(其の弐に続きます)