■テレビ朝日が公開している公式サイトに、『朝まで生テレビ』がこれまでに扱った問題と概略を紹介するバック・ナンバー(朝生過去データ)が掲載されている。しかし、1996年5月「激論!死刑制度の是非?!」以降のデータしか残っていないのは何故だろう?
これが情報の限界となってネット百科事典の『ウィキペディア』も、まったく同じ回からのデータしか掲載していない。
1996年、つまり、その前年にオウム真理教の毒ガス・サリン事件が起こった影響が、テレビを代表とするマスコミに今も深々と残っている証拠なのではなかろうか?
■テレビ朝日だけを責めても仕方がないのは当然だが、「幸福の科学」と「オウム真理教」という当時の若者向け新興宗教の代表格を土俵に上げて、「宗教討論」を見世物にしたのは『朝まで生テレビ』だけである。このイベントが日本のテレビ史に刻み込んだ意味の大きさを、企画・制作・放送した自分達が一番良く知っているとしか思えない。
「救済」「悟り」「あの世」「神秘体験」等々の、お茶の間テレビには最もふさわしくない危険な用語を一晩中垂れ流しにして、オウムの一方的勝利を演出してしまった責任は重い。
この深夜の似非「宗教議論」が、オウム真理教に社会的認知を与え、マスコミとのタイ・アップから政界進出へと雪崩れ込む「弾(はず)み車」の役目を果たし、ワイド・ショーから娯楽番組にまで「最終解脱者」を玩具のように出演させて、お布施ならぬ出演料を支払っていたのは民放各局である。
1995年3月、そこに日本のテレビ史から決して消えない亀裂が入っている。この前後を平然と押し渡って今もテレビで「仕事」をしている人々の言動には注目していなければならない。
何でも、TBSというテレビ局は、弁護士一家を皆殺しにした共犯となって「死んだ」らしいけれど、いつの間にか生き返って、今でも「死んだ」テレビ局で、「死んだ」人が、有り難い「法話」を放送して下さっているらしい。
そして、当の『朝まで生テレビ』は、1996年5月以降、オウム事件に関しては沈黙を守り続けて、2004年の3月になって、1月の「激論!今、なぜ憲法改正か?」、2月の「激論!崩壊?日本の年金制度 」に続いて、3月になって「激論!オウム・連合赤軍は終わらない?! 」と題したまるでまとまりの無い、学生運動を懐かしむような奇妙な番組の切っ掛け作りに使われただけであったと記憶する。
■そして、サリン事件から10年目の今年、あれだけ儲けてハシャイだ自らの姿を検証する番組は、少なくとも新聞のテレビ欄には現れなかった。毒ガス被害者の実情を、少しばかり同情気味に伝える番組が散見されただけで終わった。この事に驚愕する日本人は、どれほどいたのだろう?既に、テレビは家具の一部、それも無くても良い物になり果てているのではなかろうか?誰も真剣に相手をしてくれないのに、虚しいだけの「視聴率競走」を今も続けるテレビ業界に未来は無いと想うのだが……。
あの恐ろしい事件が起こって、米国の情報担当者が大挙して来日していた時も、日本のテレビは何事も無かったように放送を続けていた。
「最終解脱者」を名乗る男を、今盛んに使われる「公共」の電波に乗せて、日本の津津浦浦に楽しげな笑い声と共に紹介したテレビは一つや二つではなかった。
個人的に、今、株買占め騒動の渦中に有る某テレビ局では、当時若者に大人気だったトンネルズという二人組みと、麻原某を共演させて、その一人に
「麻原さんは、その髪の毛を何で洗っているんですか?」
「ベビー・シャンプーを愛用しています」
という「特ダネ」を手に入れて、スタジオ中が大笑いしていたのを、私は決して忘れない。
■奇妙な擬似裁判イベントを放送したNHKと、それを妨害した政治家や管理責任者の問題が出たり消えたりしているけれど、これもウヤムヤの中に忘れ去られるだろう。
今年の紅白歌合戦の放送時間をすべて潰して、問題のETV特集を「圧力前」の状態で全国放送(地上波と衛星放送)して見せれば良いのである。民放テレビの看板キャスター(この正体が今もさっぱり分からない)や、活字メディアの代表者と関連する政治家を一同に集めて、『朝まで生テレビ』をNHKが制作して生放送すれば、全ての問題は解決する。その出来が良ければ、受信料の不払い運動も収まるだろうに……。誰も見ていない番組を巡って、「報道」全体の問題が論じられるのは、実に奇妙である。
オウム事件の後始末もせずに、次のオウム事件を待っているようならば、テレビはデジタル化する前に消滅するのではないのか?既に、老人と小中学生しか観なくなったテレビを、今世紀に生き残らせるのは至難の業だと思う。「フジテレビが無くなってしまう」と叫んだのは、業界内の人々だけだったではないか?圧倒的な支持を得ているはずの人気テレビ局を守ろうと、何処かで視聴者のデモが起こったのだろうか?寡聞(かぶん)にして知らないのは私だけだろうか?
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雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし) 3/29開設。仏教の支流と源流のつまみ食い
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これが情報の限界となってネット百科事典の『ウィキペディア』も、まったく同じ回からのデータしか掲載していない。
1996年、つまり、その前年にオウム真理教の毒ガス・サリン事件が起こった影響が、テレビを代表とするマスコミに今も深々と残っている証拠なのではなかろうか?
■テレビ朝日だけを責めても仕方がないのは当然だが、「幸福の科学」と「オウム真理教」という当時の若者向け新興宗教の代表格を土俵に上げて、「宗教討論」を見世物にしたのは『朝まで生テレビ』だけである。このイベントが日本のテレビ史に刻み込んだ意味の大きさを、企画・制作・放送した自分達が一番良く知っているとしか思えない。
「救済」「悟り」「あの世」「神秘体験」等々の、お茶の間テレビには最もふさわしくない危険な用語を一晩中垂れ流しにして、オウムの一方的勝利を演出してしまった責任は重い。
この深夜の似非「宗教議論」が、オウム真理教に社会的認知を与え、マスコミとのタイ・アップから政界進出へと雪崩れ込む「弾(はず)み車」の役目を果たし、ワイド・ショーから娯楽番組にまで「最終解脱者」を玩具のように出演させて、お布施ならぬ出演料を支払っていたのは民放各局である。
1995年3月、そこに日本のテレビ史から決して消えない亀裂が入っている。この前後を平然と押し渡って今もテレビで「仕事」をしている人々の言動には注目していなければならない。
何でも、TBSというテレビ局は、弁護士一家を皆殺しにした共犯となって「死んだ」らしいけれど、いつの間にか生き返って、今でも「死んだ」テレビ局で、「死んだ」人が、有り難い「法話」を放送して下さっているらしい。
そして、当の『朝まで生テレビ』は、1996年5月以降、オウム事件に関しては沈黙を守り続けて、2004年の3月になって、1月の「激論!今、なぜ憲法改正か?」、2月の「激論!崩壊?日本の年金制度 」に続いて、3月になって「激論!オウム・連合赤軍は終わらない?! 」と題したまるでまとまりの無い、学生運動を懐かしむような奇妙な番組の切っ掛け作りに使われただけであったと記憶する。
■そして、サリン事件から10年目の今年、あれだけ儲けてハシャイだ自らの姿を検証する番組は、少なくとも新聞のテレビ欄には現れなかった。毒ガス被害者の実情を、少しばかり同情気味に伝える番組が散見されただけで終わった。この事に驚愕する日本人は、どれほどいたのだろう?既に、テレビは家具の一部、それも無くても良い物になり果てているのではなかろうか?誰も真剣に相手をしてくれないのに、虚しいだけの「視聴率競走」を今も続けるテレビ業界に未来は無いと想うのだが……。
あの恐ろしい事件が起こって、米国の情報担当者が大挙して来日していた時も、日本のテレビは何事も無かったように放送を続けていた。
「最終解脱者」を名乗る男を、今盛んに使われる「公共」の電波に乗せて、日本の津津浦浦に楽しげな笑い声と共に紹介したテレビは一つや二つではなかった。
個人的に、今、株買占め騒動の渦中に有る某テレビ局では、当時若者に大人気だったトンネルズという二人組みと、麻原某を共演させて、その一人に
「麻原さんは、その髪の毛を何で洗っているんですか?」
「ベビー・シャンプーを愛用しています」
という「特ダネ」を手に入れて、スタジオ中が大笑いしていたのを、私は決して忘れない。
■奇妙な擬似裁判イベントを放送したNHKと、それを妨害した政治家や管理責任者の問題が出たり消えたりしているけれど、これもウヤムヤの中に忘れ去られるだろう。
今年の紅白歌合戦の放送時間をすべて潰して、問題のETV特集を「圧力前」の状態で全国放送(地上波と衛星放送)して見せれば良いのである。民放テレビの看板キャスター(この正体が今もさっぱり分からない)や、活字メディアの代表者と関連する政治家を一同に集めて、『朝まで生テレビ』をNHKが制作して生放送すれば、全ての問題は解決する。その出来が良ければ、受信料の不払い運動も収まるだろうに……。誰も見ていない番組を巡って、「報道」全体の問題が論じられるのは、実に奇妙である。
オウム事件の後始末もせずに、次のオウム事件を待っているようならば、テレビはデジタル化する前に消滅するのではないのか?既に、老人と小中学生しか観なくなったテレビを、今世紀に生き残らせるのは至難の業だと思う。「フジテレビが無くなってしまう」と叫んだのは、業界内の人々だけだったではないか?圧倒的な支持を得ているはずの人気テレビ局を守ろうと、何処かで視聴者のデモが起こったのだろうか?寡聞(かぶん)にして知らないのは私だけだろうか?
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