The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

1999 ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ キュベ・デュヴォー・ブロシェ DRC

2017-08-21 22:51:02 | ワイン
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社のワインが神格化されている理由の一つに全てのワインがグラン・クリュだということがある。
1999年、聞くところに寄れば何と69年ぶりに、その決まりは覆された。
すなわち表題のヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュがリリースされたのだ。
とは言っても、実はこれもグラン・クリュの畑から生産された物である。
すなわち、グラン・クリュ畑の若い木で、最初の収穫を見送られた葡萄の実からこのヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュは造られたのだ。



ところでこのワインが、とんでもないシチュエーションで登場した。
それは六本木ヒルズのケヤキ坂の一軒家のあのフレンチで、こともあろうに一ヶ月遅れの合同誕生会の席上で開けられたのだ。

熟成期間は18年、確かリリース直後は香りはクローズ気味で果実は辛く押し黙っていたのだが、さて今は?

飲んでみて思うのは、今も果実は辛く引き締まっており、肉付きの良いタンニンと充分な酸味の下支えをみせている。
すなわち総体的には寡黙でシリアスなワインだ。
香りは正にリリース当初と同一線上にあるのだが、薔薇やスミレの花系は優雅でエレガンスを湛え、黒系のアロマに僅かに垣間見せる赤系が心地良い。

DRCの清水系のプルミエを飲んで、皆はどう思うのであろうか?
69年ぶりにプルミエを造るこの意味合いを・・・

まだこのワインは熟成の高原部のちょいと手前に位置しているのだろう。
すなわちほとんどのDRCと同じように、そのワインの本来の熟成状態にはいまだ至らずなのだ。

それでもその夜は素晴らしく楽しめた、その理由はこうなのだと思う・・・
それは他のグランクリュとは違って、このプルミエこそガストロノミックな力が充分に発揮できるワインであると言うことなのだ。



その日のメインの料理との相性の見事さは説明するまでもない。
料理とは関係なく、ラ・ターシュやリッシュブールだけ飲んで、ハシを休めるのも一興。
しかしながらこのワインは違う。
それはむしろいろんな意味で、このワインこそ、心置きなくディナーの主役になれるワインだと言うことなのだ。