土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

明王院、比叡山北限無動寺の奥の院です。

2017年10月10日 | 滋賀の古寺巡り





(2017.10.08訪問)


錦秋の彩りがチラホラ感じられる京大原から途中越えのトンネルを越え、国道367号を北へ。この道は数あるさば街道の東端の道、
比良山系の山あいを高島を経て小浜に向かうなかなか味のある街道です。なんと云っても鯖ですもの塩味が効いてます。やがて比良
武奈ヶ岳の麓、旧坊村懐かしい地名に到着。比良山系を歩き回っていた頃、琵琶湖側からやこちら側から武奈ヶ岳アタックのベース
としてよく通った所です。約半世紀後の今は坊村の表情もすっかり変わりましたが、道沿いに流れる安曇川は遠い姿そのままに綺麗
な水の流れを見せています。葛川息障明王院、通称明王院はそんな国道367号沿いを少し入った所にあります。この道は幾度も通っ
ている道ですが、チラチラ見える朱色を横目に走るのみで今まで訪ねたことはありません。





            ▼参道入り口には自然石を刻した石碑が建っています。                                    






            [ 明王院 ]
            ●山号 北嶺山 (ほくれいざん)
            ●寺号 明王院 (みょうおういん) 正称 葛川息障明王院 (かつらがわそくしょうみょうおういん)
            ●宗派 天台宗 (てんだいしゅう)
            ●開創 伝 貞観元年 (859年)
            ●開基 伝 相応和尚 (そうおうおしょう)
            ●本尊 不動明王立像 千手観音立像 毘沙門天立像
            ●近畿三十六不動尊二十七番札所
             琵琶湖百八霊場湖西名刹十八番札所
            ▲拝観 境内自由 朱印300円
            ▲時間 9:00~16:30
            ▲滋賀県大津市葛川坊村町155 Tel.077-599-2372
            ▲http://www.biwa.ne.jp/~k-katura/
            ▲JR湖西線「堅田駅」からバスで40分 「坊村」下車から徒歩で3分
             湖西道路「真野IC」からR167を車で30分 葛川市民センター前





▼近畿三十六不動尊二十七番札所、琵琶湖百八霊場湖西名刹十八番札所の木札が。







明王院縁起
明王院は比叡山無動寺の奥の院です。貞観元年円仁上人の師弟である相応和尚が厳しい修行の末生身の不動明王を感得、その木像を
安置したのが始まり。相応は天台座主円仁 (慈覚大師) の弟子で、比叡山東塔の南に位置する無動寺谷に住したが、修行に適した静寂
の地を求めてこの地に移ったという。





▼明王滝川にかかる赤い橋、三宝橋を渡ると境内です。







▼明王滝川の景観、晩秋には紅葉の一大名所、凄いことになると聞きました。







▼それではレッツゴー。これ全部もみじ!







▼石段を上がると左手、寺務総取り扱い政所の表門が見えます。







▼がっちりと石垣に囲まれた立派な山門(重文)です。一間一戸、切妻造、銅板葺、大永六年(1526年)建立。
 ご朱印はこちらで戴きます。







▼政所前がスグ境内、境内には山門はありません。







▼手水龍の水口。残念ながら水涸れ、不浄の身を清めることは出来ませんでした。







▼弁天さんも祀られています。







▼護摩堂(重文)。桁行三間、梁間三間、宝形造、杮葺。宝暦五年(1755年)建立。







▼護摩堂三間正面は蔀戸、左右は火頭窓。この日蔀戸は〆切、中を窺うことは出来ませんでした。







▼それでは本堂へ。







▼石段先に見えるのが本堂。ムム、何やら異型の感じ。







▼本堂(重文)。桁行五間、梁間五間、入母屋造、杮葺、正徳五年(1715年)建立。
 引きが少なく正面の堂形が撮れなくて判りにくいですが、入り口が右端のみ正面側には入口を設けていません。一間向拝が付いて
 います。







▼息障明王院と書かれた本堂扁額。







▼向拝貫の蛙股の獅子の彫刻。これのみ色付き、よく目立ちます。







▼本堂外陣。







▼外陣長押に奉納絵馬がギッシリ飾られています。







▼外陣と内陣は格子で仕切られています。







▼格子の一マスから覗いた内陣の様子。須弥壇中央にお不動さんが、この像はお前立ちか。







▼お前立ちお不動さんの後ろに立派なお厨子が。この中に本尊三尊が祀られているのでしょう。







            ▼お前立ちお不動さん。火焔の造りがリアルですネ。







▼本堂屋根。







▼境内の一角に三社、祭神確認忘れました。







▼宝蔵。







            ▼胴が丸い、これも宝篋印塔か。







明王滝川を渡った対面に明王院の鎮守社、地主神社が鎮座、行ってみましょう。

地主神社由緒(滋賀県神社庁HPから)
比叡山延暦寺と深い関係にあり、平安時代前期に相応和尚が息障明王院の鎮守、守護神として創建されたものである。創建時は明王
院背後の山腹に鎮座されたが室町時代文亀二年に現在地に遷座した。





▼参道石段。







▼拝殿と本殿だけの小さな境内、石段を上がるとスグ右手に拝殿。拝殿から本殿です。
 拝殿 入母屋造 間口三間 奥行二間三尺。







▼拝殿扁額。







▼本殿。屋根とお堂の造りが複雑な形、魅力のある社です。祭神国常立尊。三間社隅木春日造 間口二間 奥行二間三尺。







▼本殿横景。







▼垂木の向きとアール付き垂木、ユニークな形状ですネ。







▼本殿。







▼ご朱印です。







明王滝川に架かる朱色の三宝橋を渡ると雰囲気が一変、厳とした精神の聖域がそこにあるような感覚です。叡山北限無動寺の奥の院
と云うことで、狭い境内ですが凛とした空気とお不動さんの気魄が感じられるとっても気持ちのイイお寺ですヨ。
明王院 オ シ マ イ

叡山お膝元、坂本のお寺をこれから訪ねます。





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