(2016.1.09訪問)
弘仁寺は正暦寺から南西に約3kmほんのご近所、虚空蔵山の山懐に1200有余年の法灯を灯し続けています。
奈良盆地東に連なる大和青垣の丘陵を鶯じゃないけれど谷渡り、新春の長閑な田舎風景と古刹を巡るの相性はすこぶる良好、しかし鄙
の風情を残すこのあたりも最早正月風景を見ることは出来ません。
県道から山に向かう参道は細い一本道、虚空蔵山と云っても標高182m、五分もあれば山門到着です。
▼参道途中に建つ寺号碑。
[ 弘仁寺 ]
●山号 虚空蔵山(こくうぞうさん)
●寺号 弘仁寺(こうにんじ)
●宗派 高野山真言宗
●勅願 嵯峨天皇(さがてんのう)
●開山 小野篁(おののたかむら)
●開創 弘仁六年(815年)
●本尊 虚空蔵菩薩坐像
▲入山 200円 本堂拝観 400円 朱印 300円 駐車場無料
▲時間 9:00~17:00
▲奈良県奈良市虚空蔵町46番地 電話0742-62-9303
▲http://www.kouninji.org/
▲JR、近鉄奈良駅から奈良交通バス米谷線「高樋町」下車、徒歩5分。
JR奈良駅から奈良交通バス天理線「窪之庄南」または「森本町」下車 東へ約3km。
▼東門前に庚申塚がひっそりと、新しい花台に新しい花が、寂の中に少しばかりの華やぎが。
弘仁寺縁起 (弘仁寺HPから抄出)
弘仁寺の創建に関しては二つの物語が伝わっています。一説には、嵯峨天皇の夢に老人があらわれて「奈良の南に霊山がある、もろも
ろの仏があらわれてお経の声がたえない、ここに寺をたてて衆生を利益されたい」と申された。夢から目覚めた嵯峨天皇がその地を探
されたところ現在の虚空蔵山にあたる場所がわかり、お喜びになった嵯峨天皇が建立されたという物語。 他説には虚空蔵山に流星が落
ちるのを見た弘法大師が霊山として開基したという物語。もとより千二百年を経た現在となっては、確かめるすべはありませんが、弘
仁寺は平安初期に創建された寺院であります。中世には華厳宗の寺院であった時期があり、東大寺の書物に弘仁寺の記述が見られます。
その当時の弘仁寺は多くの堂宇が立ち並ぶ修業道場であったようです。 戦国時代、松永久秀の兵火により伽藍の大部分が焼失してしま
い、江戸時代に宗全によって再興されました。現在の建物はその当時のものです。 戦災により荒廃した時期もありましたが、平安時代
初期から現在に至るまで、法灯を守り続けております。
▼東門。こちらが弘仁寺の正門と思ってましたが、その実、裏門なんです。
▼東門からの境内は実に静か、あの正暦寺の賑わいはここにはありません。そりゃそうですワ、拝観者はボク一人です。
▼右手を見ると少し高台に、手前明星堂、向こうに本堂が雄として寺観を高めています。
▼明星堂。
本尊木造明星天子立像(重文)、像高134.5cm、一木造、平安初期。一説に弘法大師作と伝わるそうです。
方三間、宝形造、桟瓦葺、弘仁五年(814年)建立。
現在本尊明星天子立像はここにはいらっしゃいません。奈良博に出張中。
▼ズバリ明星堂と書かれた扁額。
▼本堂。
重層寄棟の素晴らしい堂形、この地にこれだけのものが残るは地場の信仰心の高さか。
桁裄五間、梁間四間、重層、寄棟造、本瓦葺、一間向拝付。弘仁五年(814年)建立。
現在の本堂は寛永六年(1629年)再建。
本尊虚空蔵菩薩(秘仏)、伝弘法大師作、厨子内に安置されています。
本尊虚空蔵菩薩は古来「十三詣り」で知恵授かりや厄除開運祈願にもご利益あらたかで、地域に根ざした強い信仰があると云い
ます。
▼寺号が書かれた本堂扁額。
▼正面外廊天井から吊るされている本尊提灯。
▼須弥壇の様子です。
▼相当時代がかったお厨子ですが、本堂再建時のもので、この中に本尊虚空蔵菩薩が安置されています。
▼もう一度堂々たる本堂を。
▼本堂正面の常夜灯。
江戸享保期に作られたもので、竿に享保十一丙午歳の銘が刻されています。
▼星供祈願会の柴燈大護摩の準備なのか、常夜灯の横に護摩木が井桁に組まれています。
▼護摩木の一本にこんな茸が。
▼星供祈願会柴燈大護摩法要とはこんなんです。
星供祈願会は毎年二月十三日挙行。厄除、開運、家内安全を祈願して大護摩を焚きます。
(写真は弘仁寺HPからお借りしました)
▼明星堂から見た庫裏と寺務所。
▼境内西に臥龍松。真に龍のごとくですネ。
▼本堂横にボケ封じ地蔵尊。最近至る所故障発生、思い切り撫で回りました。
▼鎮守社。主神に事代主大神と大国主大神が祀られています。
▼境内東の高台に鐘楼。
▼石段途中にお稲荷さん。
奥の院へは山門を出てスグ左、石段を下ります、これがまた薄暗い。
▼黄泉の国へ吸い込まれそうな奥之院への石段。
普通山寺の奥之院は上へ上へがボクの印象ですが、ここは下って行きます。
下り石段124段、暗くてゾクゾクしますが、なんと云っても下りはラクチン! けど帰りがねェ。
▼奥之院の縁起。
▼不気味な暗さの奥之院。(写真は思い切り明るくしてます)
▼不動堂。余りの簡素なお堂に唖然! お堂じゃないですワ、まるで木の囲い。
▼石龕が組まれ、お不動さんの石像が祀られています。(写真は思い切り明るくしてます)
▼御朱印です。
ご住職の案内で本堂拝観。
堂形からは考えられない本堂外陣の狭さ、須弥壇の前でご住職と並んでお話を聞くことに。
このご住職がまた超早口で殆ど聞き取れず、当方ただただ頷くのみ。
ご住職も「こいつ分かってんかな」と云うような顔をされてました。
ハイ、全く分かっておりません。
と云うことで新春初のお寺巡りこれにてオシマイ。
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