土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

西国三十三観音霊場第一番札所、青岸渡寺です。

2012年11月13日 | 和歌山の古寺巡り


(2012.11.10訪問)

秋の良き日、「蟻の熊野詣」の向こうを張って、熊野三山と青岸渡寺を一日で巡るハードプラン決行の日。
近畿道から南阪奈道そしてR24号からR168号で奈良県南北を縦断、途中谷瀬の吊り橋でスリルを味わい、
和歌山県新宮市へ。熊野本宮大社→熊野古道を歩く→熊野速玉大社→補陀洛山寺(お隣同士)熊野三所大
神社→那智の大滝→青岸渡寺(お隣同士)熊野那智大社→妙法山阿弥陀寺→R42号→阪和道、白浜で立ち
寄り湯、サッパリして帰阪というアホと云われても仕方がないプランを強行。ヤッパリアホでした。

とりあえず、西国三十三観音霊場第一番札所、青岸渡寺レポートです。

[ 青岸渡寺 ]
●山号 那智山(なちさん)
●寺号 青岸渡寺(せいがんとじ)
●宗派 天台宗(てんだいしゅう)
●開基 裸形上人(らぎょうしょうにん)
●開創 四世紀末(正確には未詳)
●本尊 如意輪観音菩薩坐像
●西国三十三観音霊場第一番札所
●平成十六年(2004年)「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録。

青岸渡寺縁起 (青岸渡寺HPより抄出)
開基は仁徳帝の頃(4世紀)印度天竺の僧、裸形上人が那智大滝において修行を積みその暁に瀧壷で八寸の
観音菩薩を感得し、ここに草庵を営んで安置したのが最初です。 その後、推古天皇の頃、大和の生佛上人が
来山し、前述の話を聞き一丈(3m)の如意輪観世音を彫み、裸形上人が感得した八寸の観音菩薩を胸佛に納め
勅願所として正式に本堂が建立されたのです。
平安朝中期から鎌倉時代は、「蟻の熊野詣」といわれ、熊野三山の信仰が盛んになり、六十五代花山法皇が三
年間山中に参籠され那智山を一番にして近畿各地の三十三観音様を巡拝されましたので、西国第一番礼所と
なりました。

▼寺標。根本札所西国第一番 なちさん霊場と刻されています。




▼山門。扁額は山号が揮毫されています。
 重層楼門、十二脚、三間一戸、銅葺。昭和八年(1933年)再建。




▼三門を固める阿吽両金剛力士。像高3.2m(両像とも)、湛慶作と伝わるそうです。




▼手水延命水。那智大滝の水が引かれています。




▼本堂(重文)。桁行九間、梁行五間、入母屋造、柿葺、向拝一間、堂高18m。天正十八年(1590年)建立。
 朱色鮮やかな境内で、古色蒼然、貫禄の本堂です。




▼本堂扁額。天台座主の揮毫で山号が記されています。




▼本堂。観音霊場第一番札所として、中では御朱印を戴く人たちでイッパイでしたよ。




▼本尊。 如意輪観音菩薩坐像(秘仏) お厨子前に御前立ち像。(青岸渡寺HPよりお借りしました)
 本尊がこのお前立ち像と同じであるかどうかは定かではありませんが、お前立ち像小さいながらも六臂像
 で半眼のお顔がまた上品、条帛や天衣のドレープが一定方向を目指しているようで心地いい感じがします。
 宝冠が大きく重そう、お顔を傾げているのはそのせいかも。
 須弥壇奥は薄暗くお前立ち像は小さく見にくいですが、そこは双眼鏡の威力、やはり必携。




▼本堂大鰐口。 天正18年(1590年)本堂再建の際、豊臣秀吉より寄進された日本一の大鰐口。
 直径1.4m、重量450㎏。鰐口には秀吉の願文が刻まれているそうです。




▼鐘楼。梵鐘には元亨四年(1324年)鋳造名が刻されています。




▼宝篋印塔(重文)。塔高4.3m、元亨二年(1322年)造立。




▼如法堂(大黒天堂)。馬頭観音、大黒天、六福天をお祀りしています。




▼写経蔵。




▼三重塔。平安末の建立も天正期の兵火で焼亡。昭和四十七年(1972年) 四百年ぶりに再建。
 塔高25m、鉄筋コンクリート外装は木造。




▼本尊。千手観音菩薩坐像(飛瀧権現本地仏)。




▼三重塔から見る那智大滝。ここから見る大滝は、真近で見るのとはまた違った表情に見えます。




▼裏参道の古道。ご婦人がお一人黙々と上っていかれます。表参道はお店などが並び参拝者の数も多いです
が、この裏参道はこんな道がつづきます。




那智山山腹、横長の青岸渡寺境内には、朱色眩しい新しいお堂が建ち並び、悠久の歴史を感じにくいお寺で
すが、なんと云ってもこの熊野の地は熊野信仰の発祥の地。記紀にも記されているように神武東征から修験
奥駈道として、天皇貴族の熊野詣、補陀洛浄土への渡海信仰といろんな形の信仰が入り交じり、熊野三山を
はじめ神仏習合の最たるこの熊野の地は一つの信仰世界を形作っています。
熊野の地を訪ねるのは初めてです。少々無理なプランでも何とかなるやろと。何ともなりませんでした。
妙法山阿弥陀寺、ここだけは青岸渡寺同様外すわけにはいかないと思いましたが×。熊野三山の熊野速玉大
社も×。熊野古道を歩く論外×。帰りの白浜立寄トンデモハップン×。

とにかく疲れましたワ、熊野詣!

次は那智大滝特集ですよ。