土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

鳳閣寺、役行者や理源大師の精神が息づいている聖域。

2012年04月23日 | 奈良の古寺巡り


(2012.04.21訪問)

奈良県のへそと云われている吉野郡黒滝村に初めて入りました。役行者が国家安穏祈願の修験道場として開
山したと伝え、鬱蒼の森、重なり合う山襞、季節の彩が織りなす深山幽谷と云う言葉がピッタリ。陰翳の変
化に富む百貝岳の中腹に建つまさに山岳寺院鳳閣寺。小角さんや聖宝さんの高邁な精神の聖域は、歩につれ
て杉の落葉を踏む音しか聞こえず、わずかな距離しか離れていない吉野のあの雑踏はここにはありません。

▼国道309号から百貝岳を目指す県道138号沿い黒滝川の名残の桜。



[ 鳳閣寺 ]
●山号 百螺山(ひゃっかいさん)
●院号 真言院(しんごんいん)
●寺号 鳳閣寺(ほうかくじ)
●宗派 真言宗鳳閣寺派大本山
●勅願 伝天智天皇
●開山 伝役行者小角
●開創 白鳳6年(678年)
●勅願 宇多天皇
●中興 理源大師聖宝
●中創 寛平7年(895年)
●本尊 如意輪観音菩薩

鳳閣寺縁起
白鳳6年(678年)天智天皇勅命により役小角が開山したと伝わり、寛平7年(895年)醍醐寺開山で修験道中興
の祖、聖宝が宇多天皇の大峰山復興の勅により中興したとされ、当山派修験道の寺として栄えたと云います。
真言宗醍醐派に属していたが、昭和26年(1951年)独立一派を形成、真言宗鳳閣寺派大本山となる。
聖宝の墓所として伝わる鳳閣寺廟塔が境内東方百貝岳山中にあり、重文に指定されている。

▼鳳閣寺案内板。




▼鐘楼。




▼本堂。
桁行3間、梁行4間、入母屋造、銅板葺き。外廊勾欄、正面1間向拝付き。前面に護摩壇




▼本堂扁額。鳳閣寺と揮毫されています。




▼見えるでしょうか、唐破風向拝柱の長押に龍の彫り物。




▼本堂側面。




▼鳳閣寺展望台から金剛山、葛城山や吉野山が一望できる大パノラマが展開します。
左のピークは金剛山、中央やや丸いピーク葛城山、右に二上山が見えます。




▼境内北方吉野山が一望。中央朱の屋根は金峯山寺蔵王堂です。
鳳閣寺から吉野奥千本は峰続き、約3.6kmだそうです。




          ▼境内に建つ道しるべ。




▼境内から百貝岳聖宝廟へ、杉林に覆われたこんな登山道が続きます。










▼聖宝廟。覆屋のなかに石造廟塔が建っています。




          ▼石造廟塔(重文)。理源大師聖宝さんの墓所と伝わるそうです。
          正平24年(1369年)造塔




▼百貝岳登頂はギブアップ!スゴスゴと聖宝廟から境内へ戻ります。



百貝岳山中にひっそりと在る鳳閣寺は、今は本堂と庫裏のみを残す小さなお寺です。この日は無人のようで
本堂もピッタリ閉じたまま。石造廟塔への登山道はまるで柤道、杉の落葉で埋まっています。静寂すぎると
何かゾクゾク、きつい上にコワさで、早々に戻りました。

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