土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

河内長野三山のうち、「夕照の楓」の延命寺を訪ねました。

2010年09月14日 | 大阪の古寺巡り


(2010.9.11 訪問)
河内長野三山として名高い、檜尾山観心寺、天野山金剛寺、薬樹山延命寺のうち、
この日は延命寺を訪ねました。この名刹は全山もみじにおおわれています。まだ
まだ強い陽光を通して見える緑のグラデーションは青もみじの美を余すところな
く見せてくれ、ボク達の目に潤いを与えてくれています。毘沙門堂の横でお寺の
おばさんとしばらく雑談、「本当の美は紅葉の時、言葉に尽くせない美しさです
よ、是非その時もう一度お訪ね下さい」とおばさんが教えてくれました。

[ 延命寺 ] えんめいじ
山号 薬樹山 寺号 延命寺 宗派 真言宗御室派 仁和寺末 本尊 如意輪観音坐像

延命寺縁起
草創は弘法大師と寺伝は伝えるらしいですが詳らかではありません。むしろ時代
は下がりますが、江戸初期の浄厳和尚が中興の祖としてこのお寺の発展に大きく
寄与し、薬樹山延命寺と号したと伝わります。歴代住職は学究肌が多く、民衆教
化に足跡を残した方が多いといいます。

●参道と山門。
長くはないですが、青もみじのトンネルの先に山門があります。




●山門扁額。
薬樹山と揮毫されています。当地は古来から薬草が多く、その由来から浄厳さん
が薬樹山と号したと伝えます。


●山門横に石柱。
お寺の常套句。「不許葷辛酒肉入千界内」と刻されています。


●手水舎。


●境内。奥に見えるのは毘沙門堂。


●鐘楼。


●毘沙門堂。


本尊は毘沙門天。楠木正成の念持仏と伝わります。左脇持不動明王、右愛染明王。




●本堂。
本尊は如意輪観音菩薩坐像。
この日、本堂は閉じられていました。昭和26年再建のお堂が昭和44年失火焼
失、昭和48年再建された比較的新しいお堂です。


本堂編額。大悲殿と揮毫されています。




●光明堂と慈母観音立像。




●宝物館。
清涼寺式釈迦如来像があると聞いていたのですが、拝見することは出来ませんで
した。


●庫裡。
大玄関を備えた立派な寺坊です。


●山門横の道場。


●夕照の楓(ゆうばえのかえで)
大阪府指定天然記念物。樹齢1000年、楓の巨木。空海さんお手植えと伝えていま
す。今は樹の体をなしていません。かなり酷いことになっており、幹には雑草が
宿生していますが、枝振りは堂々、凄い生命力を感じました。


●蓮池。
中央に五重の石塔を置くきれいな放生池。今はもう蓮も睡蓮もおしまい。






●境内を取り巻く遊歩道。境内は長野公園に含まれています。


●浄厳和尚のお墓。
江戸期の高僧。悉曇(梵字)学者。法隆寺伝存の悉曇を書写判読をしたものが東
博に現存。お墓は、台座に卵形の塔身をのせているところから卵塔と呼ばれるそ
うです。


歴代和尚のお墓も同じ形をしています。


●求聞持堂。
遊歩道途中にポツンと建つ虚空蔵菩薩を修する行堂。いま寺僧がお一人中に入ら
れました。


●山門を内側から。


●境内一円を青もみじが。錦秋の季節はさぞや…。


戦国、室町期を経てきた山中に点在する古刹の多くは草創時の姿は偲ぶべくもな
く、殆どが近世以後の姿になっているようです。このお寺も草創は平安初期と伝
わりますが、例外ではないようです。