裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

死んだらどうなるか?問題・13

2022年03月09日 05時36分25秒 | 死んだらどうなるか?問題

ガリレオさんに、ニュートンさんに、アインシュタインさん。
量子力学以前の物理学を「古典物理学」と言いますが、その大まかな骨組みは、ほとんどこの三人で築いちゃいました。
まずガリレオさんですが、例のピサの斜塔から重いやつと軽いやつを落としたひとです。
それ以前は、質量の違うもの(例えば、羽根と鉄)を同時に落下させたら重い方が先に落ちる、という当たり前に思える直感が信じられてきたのですが、彼は思考による論証の上に、実験によって確証を得るという方法論を取り入れたひとです。
「それっておかしくね?じゃさ、じゃさ、重いものと軽いものを結びつけて落としたらどうなるの?重いものが早く落ちようとしても、軽いものがブレーキをかけるわけでしょ。だったら、重いものよりもゆっくり落ちるってことじゃんね?だけど重いものと軽いものを結びつけたら、重いものよりももっと重くなるから、重いものよりももっと早く落ちなきゃなわけでしょ?矛盾してね?おっかしいよ〜」というわけで、ピサの斜塔の実験に至るわけです(実際には斜面に玉を転がすやり方で、どんな質量のものも同じ速度で落ちることを証明しました)。
あと、彼が言い出したもうひとつの有名なやつが「慣性の法則」で、これをかいつまんで言うと、「いったん動きだしたものは、まっすぐに同じ速さで動きつづける」「その動きを変えるのは、よそからのちょっかいだけ」というものです。
こんな当たり前なことが意外と重要だったようで、次の世代のニュートンさんがこの法則をヒントに、「すごく飛ぶ大砲で撃ち出した砲弾は、地球を一周して、ついに自分の後頭部に当たるのでは?」と言い出しました(ガリレオさんもそうですが、物理学者の思考実験は、たいてい空気抵抗を無視します)。
撃ち出された砲弾は、放物線を描いて地上に落ちますよね。
ところがこの放物線というやつを綿密に計算すると、砲弾を強く強く撃ち出せば、地球を一周させて元の位置に戻らせることもできそうなのです。
ガリレオさんが言った通りに、動きだしたものはまっすぐに動きつづける、としてですよ。
そして、動きを変える(砲弾の軌道を下向きに曲げる)のはよそからの、すなわち、地球からの万有引力が働くから、と考えたのです。
そして計算の結果、地球を一周する砲弾の軌道は、なんと地球をめぐる月の動きや、太陽系をめぐる惑星の動きにピタリと符合するとわかったのです。
ニュートンさんの「万有引力の法則」は、リンゴと地球が引っ張り合うという点だけがクローズアップされます。
しかし彼の本当にすごいところは、そこから思考を飛躍させて、地上のリンゴと宇宙空間の星々の振る舞いとを結びつけた点、すなわち「天界は神さまの霊力が司る世界ではなく、地上の引力のルールがそのまま適用されている」という、天地のルールを統一した点なのです。
ここで事実上、神さまの役割は終わり、科学が自然界の創造主として認められはじめました。
そして、いよいよ真打ちであるアインシュタインさんの登場です。
彼は、おそらくガリレオさんのピサの実験に想を得て、「箱の中に入った私」を「上空から落としてみる」という思考実験をしました。
「このとき、人生でいちばんしあわせな瞬間が訪れた」と述懐していますが、上空から箱とまったく同じ速度で自由落下をするアインシュタインさんは、箱の中で無重力体験をするのです(やっぱし空気抵抗を無視しています)。
これは、宇宙空間と完全に等質な条件です。
その箱の外側にロケットエンジンをつけて吹かしますと、地上の条件に戻るわけですね。
というわけで、ようやく前章のつづきです。
無重力の宇宙空間で、上昇加速をつづけるロケットの小部屋の中に、ぼくらはいるのでした。
床が足の裏を上向きに押し込んでくるので、Gというやつがかかって(1Gが地上の重力です)、ぼくらはずっしりと体重を感じ、まるで地上にいるように過ごしています。
そして、片側の壁から向かい側の壁に向けてレーザー光を発射し、光が下向きに曲がることを確認したのでした。
これを相対性理論は、「光が、ゆがんだ空間の二点間の最短距離をまっすぐに進んだ!」とアインシュタインさんは言い張るのです。
では、ロケット内に仮想でつくった「地上とそっくりな小部屋」でのこの実験を、実際に地上で再現してみたらどうでしょうか?
つまり、同じしつらえの小部屋(要するに、ただの掘っ立て小屋)を地上につくり、片側の壁から対面に向けてレーザー光を発射するのです。
光はもちろんまっすぐに進み、対面の壁の的の中心にピタリと当たります。
なにしろ、地上の小部屋は上昇加速などしていませんから、当然です。
・・・と思うでしょ?
ところがそうではなく、このただの掘っ立て小屋の実験でも、光はロケット内と同様に、的の中心からまったく同じだけ下方に外れるのです。
この地上の小部屋でも「光が曲がった!」のです。
地球の重力(質量による時空間のゆがみ)の影響で、光が下向きに引っ張られたわけですね。
信じられないかもしれませんが、これは現実です。
実際に、「質量があるものの周囲の時空間はゆがむ」のです。
ましてや、地球ほどの大質量の天体です(と言っても、光の曲がり幅は観測が不可能なほど微小なものですが)。
これは、日食の際に太陽の裏側に位置する星の光が(太陽の大質量によって)ゆがめられ、計算通りのずれ幅が観測されたことからも立証されています。
こうしてアインシュタインさんは、重力の正体が「質量がゆがめた時空間を果てしなく加速しつづけるやつ」「ゆがみによってずれた位置から本来あるべき位置へと引かれた最短距離の加速移動」と定めたのです。
一般相対性理論・・・理解できました?

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

コメント
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