裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

死んだらどうなるか?問題・14

2022年03月12日 13時37分23秒 | 死んだらどうなるか?問題

ニュートンさんは、ペストから逃れて田舎暮らしをした「奇跡の一年半」と言われる期間に、光のスペクトル分解、微分積分学の完成、そして万有引力の法則という三大発見をして、物理学を事実上、完成させてしまいました。
世界の成り立ちが全部わかったぜ、もう学者の役目は終わったようなもんだ、という状態です。
が、そこから250年ばかりたってから、今度は小役人として時間をもてあましていたアインシュタインさんが「奇跡の一年間」を過ごします。
光は量子なんじゃね?という量子力学の取っ掛かりをつくり(実はこっちの論文でノーベル賞)、ブラウン運動の計算で分子の大きさを割り出し、特殊相対性理論で時空間の概念と、物質・エネルギーの等価性を打ち出し、やっぱし三大発見をしたのです。
ところが今度は、完成させたはずの物理学に、新たなややこしい問題が発生しました。
ミクロの世界における物質の振る舞いが、それまでの考え方では説明できなくなったのです。
この時点で、古典物理学は終焉を迎え、世界を説明するための新たな理論の構築が開始されました。
いちばんの問題は、例によって「時間はいつからはじまったの?」「宇宙の果てって?」のやつです。
相対性理論によると(さかのぼれば、万有引力の時点でそうだったわけですが)、宇宙は永遠にその姿を留めるわけではなく、物質同士が常にお互いの重力で引っ張り合うことから、全物質が最後には点に丸め込まれてしまうことになります。
ずっと変わらない「定常状態」をキープできないのです。
砕いて言えば、星同士は近づき合ってぶつかり合い、最終的には全部がひとつに固まって、かみなりおこしのようになるはずです。
宇宙は永久不変のものであると信じたいアインシュタインさんは、この問題に深く悩みました。
ところが、さまざまな天体の観測から、宇宙は逆にひろがっていることがわかったのです。
夜空の星は、遠くにあるものほど速い速度で遠ざかっており、現在進行形でそれはつづいていたのです。
ここから導き出せる結果はただひとつ、「昔むかし、宇宙は小っちゃい小っちゃい点だった!」という、信じがたい事実です。
どんどんとひろがりつづける宇宙の成長を逆再生すれば、どんどんと縮みつづけ、最後には一点に収縮するはずですから。
それはまさに、時間が開始され、物質の種が生まれた、神さまの天地創造の瞬間と言えるでしょう。
いやいや、物理学に神さまの介入を許すわけにはいきません。
そこに逃げたら、科学の敗北ですから。
こうして、現在の物質世界がどんなプロセスで構築されたのか?の科学的研究がはじまりました。
それによれば、まずはどこかの別次元から迷い込んだ特異点によるビッグバンがありました(いちばん肝心なここんとこの説明はついていません)。
その瞬間に、現在の宇宙を構成するすべての素粒子(このお話では、これを「波」と解釈していたのでした)がばらまかれたのです。
ある波はクォーク(素粒子)となり、核力(これも固有の素粒子=波の仕業)と相互作用をして、陽子と中性子の姿になりました。
陽子は、それ一個で水素原子核なので、電子と結びついて、最初の物質である水素となりました。
水素原子同士は、やがて分子として結び合い、さらに集まり合って天体をつくり、あまりにもおびただしく集まり合ったせいで密度を上げて、かたまりの中心部で核融合をはじめます。
核融合によってくっつき合った水素は、新たにヘリウムになります。
やがて天体が生涯を終えると、力なく凝集はほどけ、散り散りバラバラになります。
バラバラになったヘリウムと水素は、再び宇宙空間のどこかで集まり合い、組成がちょっとだけ複雑な天体をつくります。
で、中心部で核融合をはじめるわけですが、今度はヘリウム同士が結び合うので、新たに炭素ができたり、酸素ができたりします。
こうした重い天体は、生涯の最後に超新星爆発をしますが、その超絶的なエネルギーでまた素晴らしい元素が生まれたりして、宇宙中がさらにさまざまな物質で満たされていきます。
それらがまた集まり合い、さらに複雑な組成の天体ができまして、最終的には鉄ができます。
鉄は、元素の中で構造が最も安定しているので、軽い元素は核融合で鉄を目指し、重い元素は核分裂でやはり鉄を目指すのです。
こうして、現在の色とりどり、多様性豊かな宇宙が築かれたのでした。
ところが、またしても神さまが介入せざるを得ない、特別極まる事象が発生します。
それが「生命の誕生」問題です。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

コメント
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