徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

空気を読んだ川崎

2009-11-05 14:39:15 | Sports/Football
ナビスコ杯の悪態問題 川崎が賞金自主返還
<サッカーJリーグ1部(J1)の川崎は5日、ヤマザキナビスコ・カップ決勝(3日、国立)で所属選手が表彰直後にメダルを外すなど態度が悪かった問題を受け、準優勝賞金5000万円を自主返還するなどの対応を決めた。武田信平社長ら役員3人は減俸10分の1(3カ月)、ガムをかんで表彰式に臨んだDF森勇介は最低1試合の出場停止処分とした。>(産経新聞 11月5日付

川崎のプレイヤーの行為はとても褒められたものではないが、こんな前例を作られるのは実に迷惑な話である。フロント、当該選手の処分はともかく、賞金の返納は本当に適切な判断なのか? 
それにも増して唯一の問題であるはずの<スポーツマンシップ>以外のアンタッチャブルな部分で彼らを批判している連中がいるのはとても気持ちが悪い。嫌な空気だ。
そういえば去年も実に<スポーツマンシップ>に欠けた発言があった。

ヤマザキナビスコ・飯島茂彰社長「清水は12年前にカップを持ち帰っているので見るだけにして、今回はぜひ大分に持ち帰ってほしい」(スポニチ10月31日付)

文句を言えない立場で煽られた方はたまったもんじゃないぜ。
フロンターレが1年かけて稼いだ賞金を返納するようなお人好しなら、オシムを獲られたジェフの二の舞になる可能性もあるかもよ。

(追記)
表彰式で“悪態”川崎 準V賞金返上
<試合後には「賞金を返上しろ!」と声を荒らげた鬼武チェアマンも「選手が返上したいと申し入れてきた。これが一番重要かなと理解した」とほこを収めた。>(デイリースポーツ 11月6日付

鬼武氏が言葉の勢いで「賞金を返上しろ!」と口走ってしまっただけならば、まだ理解できる。しかし実際にリーグが賞金の返納(辞退)を受け入れてしまったら、正直萎える。
てか、それだけはやっちゃいけない。
Jリーグは賞金を稼いでナンボのプロであり、アマチュアではないのだ。
川崎は準優勝し、シーズンを通じて勝ち取った報酬としての賞金はすでに手に入れている。返納(辞退)がフロントの一存で決められていいはずがない。
ゲームの内容について不正行為、暴力行為があったのならばともかく、今回はピッチ外での出来事だ。安易に命の次に大事な“それ”に手をつけるのはリーグとしてとても恥ずかしいことじゃないか。謝罪をモノで推し量るのはド素人でもできる。
例えば鬼武氏の「返上しろ!」が本気ならば、返納(辞退)以前に準優勝、そして賞金の権利を剥奪するのがリーグとしての正しい処分のあり方のはずだ。しかし今回の件はリーグとしての意志がまるで見えてこない。仮にこのまま川崎がバカ正直に賞金を返納(辞退)したとしたら、リーグは自らは動かない、汚れない形でクラブに恭順の意志を示させる、返納(辞退)を求めたということになる。これはずるい。こんな強権的な行為はヤクザのやり口と変わりがない。例え返納(辞退)を受け入れたリーグが、その金でスポーツマンシップの意識向上のためにどんなに“いいこと”をしようとも、それはリーグではなくて川崎がやればいいことだ。

川崎は安易に返納(辞退)する必要はないし、リーグはそれを受け入れる権利はない。
態度が問題ならば態度で示せばいいのだ。
プロリーグとして、チェアマンとしての立派な度量を見せていただきたい。
鬼武さんは<ほこを収めた>んだよね?