本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?

2019-06-15 14:54:37 | Weblog
■本
52 地方自治講義/今井 照
53 なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?/豊田 義博
54 憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI/石田 衣良

52 タイトル通り地方自治について、網羅的に学べる本です。地方に身近な課題は、国からでの押しつけではなく、当事者意識の高い地域の人たち自らが知恵を絞って考え、行動した方がうまくいくという、シンプルな論理に説得力があります。また、地方自治体が本来国がすべき事業の下請けのような状態になっていることや、地方の少子高齢化が東京一極集中とは別の理由(晩婚化と未婚化)であることを知ることができます。自治体の合併により現場を知る職員が減少し、地域のニーズに細やかに対応できなくなった東日本大震災の復興の事例などを読むと、結局は国任せせず、自分たちも声を上げたりきちんと選挙で投票したりすることが大切なのだと改めて思いました。

53 私も最近の若手社員は、社会課題に関心があり、真面目でプレゼンテーション能力や企画力も高く、とても優秀だと思っているのですが、にもかかわらず、職場でさほど楽しそうでない様子の人が少なからず存在することが気になっていたので読みました。情報化の進展によりナレッジ共有が効率化され、生の一次情報に接する機会や独自の試行錯誤の経験が減少したことが、自分独自の仕事の型を磨く機会を奪い成長実感を阻害している要因である、という指摘は若手社員だけでなく、全ての社員に当てはまる鋭い問題提起だと思いました。「キャラづくり」が巧み過ぎるなど、若手社員側だけの問題ではなく、世の中の変化に対応しきれていない会社側の問題も指摘している点もバランスが取れています。その上で、若手社員の成長に責任を持つマネージャー側の処方箋と、若手社員側の処方箋を具体的に示されている点も参考になります。職場での成長を実感できていない、全ての人にお勧めできる本です。

54 もはや事件の解決手段が、過去に用いた数パターンの焼き直しとなっている印象がありますが、なぜかたまに読みたくなります。同じような展開ですが、キャラクター設定とその時々で課題になっている時事問題との絡め方が見事で、サクサクと楽しく読めてしまいます。今回も、脱法ドラッグ、ギャンブル依存症、シェアオフィス、ヘイトスピーチ、などの当時の旬の素材を見事に料理されています。


■映画 
53 美女と野獣/監督 ビル・コンドン
54 WE ARE LITTLE ZOMBIES/監督 長久 允

53 一昨年に日本で大ヒットした記憶があったので観ました。エマ・ワトソンは、ハリウッドのヒロイン像の型にはまらない、自由で強い女性を好演していましたし、家具にされた家来のCGのクオリティも見事でした。悪役の子分の小太り男性も魅力的ですし、音楽はもちろん素晴らしいです。ただ、王子やその家来が魔女にそこまで酷いことをしたのか、というそもそもの設定が、個人的には受け入れられないので、アニメーション映画を観たときと同様に、この作品にはあまり感情移入できませんでした(浦島太郎の話が嫌いな人と同じ反応だと思います。野獣にされた王子のキャラクターも、内面の葛藤の描き方が浅い気がしますし、ストーリー的にはアニメ版を超えてはいないと感じました。もちろん、ディズニー映画らしい安定感は抜群ですが、私との相性はあまりよくなかったです。

54 こちらも観る側との相性に左右されそうな作品です。先の展開が読めない(むしろ、観客の予想を裏切ろうと意図しているようにも感じました)ストーリー展開は最後まで退屈しませんし、主演の中学生4名もとても魅力的に描かれています。両親を同時に亡くした、4人の少年少女が葬儀場で偶然出会い、バンドを結成するという設定も非常にユニークですし、レトロゲームやその音楽の使い方も含めて、細部にまでアイデアが満載です。劇中の音楽も癖になる魅力があります。これまでにない作品を創ろうという野心には、非常に共感しました。ソーシャルメディアでの加害者側への非寛容な断罪など、社会への問題提起も効果的になされています。評価は分かれると思いますが、後味もそう悪くなくポジティブな余韻も残ります。このように個人的には好きな要素が満載なのですが、全体を通してなぜか手放しで評価できないもどかしさが残りました。まだ、うまく言語化できないのですが、西原理恵子さんの「ぼくんち」では感じることのできた、救いのない社会を毒たっぷりに描いている中にかすかに含まれる、「抒情性」のようなものが欠けていたのかも、と思いました。もしくは、ラース・フォン・トリアー作品にあるような、救いのない社会を過剰に描いて笑い飛ばすようなパワーに欠けていたのかもしれません。でも、この監督は才気が迸りまくっていると思います。次回作も観たいと思います。

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