本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

2016年の週刊文春

2021-04-17 05:56:44 | Weblog
■本
31 2016年の週刊文春/柳澤 健

 今や日本のジャーナリズムで唯一無二の存在感を放つ週刊文春をテーマにしたノンフィクションです。花田編集長時代の雑誌「マルコポーロ」の愛読者だったということもあり読みました。タイトルは、ベッキーさんの不倫問題や甘利元大臣の金銭授受問題などのスクープを連発して「文春砲」という言葉も生まれた2016年を取り上げていますが、内容は菊池寛さんが「文芸春秋」を創刊したときから、現在のデジタルシフトかが進んだ状況に致るまでの文芸春秋社の歴史を描いた本です。文春の各種スクープの裏話がふんだんに盛り込まれていて、ある種の日本近現代史としても読めます。花田紀凱さん、新谷学さんというふたりの個性的な編集長の波乱万丈な企業人生を軸に話が展開され(「マルコポーロ」廃刊に至る経緯も詳細に書かれていて個人的にも興味深かったです)、読み物としても抜群に面白いです。さらに、社会のデジタル化が進み長期低落傾向にある雑誌というメディアをサバイブさせていくための試行錯誤や成功事例についても語られていて、デジタルトランスフォーメーションの参考書としても有益な視座を与えてくれます。私もデジタル化の波の影響をもろに受けている業界で働いていて、社のその対応の遅さに忸怩たる思いを持っているので、勇気づけられる思いがしました。花田さん、新谷さんの雑誌に対する熱すぎる思いを読むと、いつもの結論ですが、結局自分の好きなことを楽しんで行っている人が一番強いし、魅力的だなと改めて感じました。


■CD
2 発光帯 /ハナレグミ

 大好きなハナレグミの新作です。超名曲「家族の風景」やSUPER BUTTER DOG時代の「サヨナラCOLOR 」のような作品を望むのは酷なのかもしれませんが、新作が出るたびに期待してしまいます。今作もミドルテンポの円熟味のある楽曲が中心ですが、前作よりはバラエティに富んだ構成で、ほっこりした気分で楽しめます。昨年コロナ禍の在宅勤務時に頻繁に聴いた、fm802のキャンペーンソング「僕のBUDDY!! 」のハナレグミバージョンが収録されているのもうれしいです。これからの季節にちょうどよい、落ち着いたポジティブさに満ちた作品です。


■映画
30 シンシナティ・キッド/監督 ノーマン・ジュイソン

 スティーブ・マックイーン主演のポーカー・プレイヤーの対決を描いた1965年の作品です。新進気鋭の若者が、老練なトッププレイヤーに挑戦するという構造がシンプルでわかりやすいです。50年以上前の作品なので、最後の勝負手がオープンされる瞬間に、プレイヤーや観客それぞれの表情をアップで写し、モノローグが挿入されるベタな演出など、古臭い部分もありますが、ポーカーのルールを完全に知らない私にも緊迫感が伝わってきます。脇役の描き方は紋切り型で、カードの対決シーン以外の登場人物の日常描くシーンは若干冗長です。逆に言えば、スティーブ・マックイーンの魅力に焦点を当てた作品ということもでき、そういう観点からは成功していると思います。いかにもなエンディングも含め、古き良きアメリカ映画という印象が残ります。
コメント
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