本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Father Of The Bride

2019-05-18 06:24:04 | Weblog
■本
43 私たちの国で起きていること/小熊 英二
44 セゾン 堤清二が見た未来/鈴木 哲也

43 朝日新聞に月一で連載されていた「論壇時評」を愛読していたので、まとめて読みたくなり購入しました。ファクトをベースにロジカルに、何が問題で背景にはどういった事象の変化が隠れているのか(なぜ今までうまくいっていたかのように見えていたものが、問題として露見してきたのか)を丁寧に説明して下さるので、様々な社会課題に対する自分のスタンスを考える上でとても参考になりました。格差是正に対して最低賃金の引上げを提案するなど、賛否が分かれそうな議論に対して、小熊さんの主張を明確にされている点も、私の考えとの距離感を測りつつ思考する上で有益でした。8年間の時評を遡りながら読むと、私自身も含め、日本という国が変化への対応力がどんどん失われていることがよくわかり、かなり怖くなりました。

44 友人に面白いと紹介されたので読みました。「無印良品」が堤さんの最大の成果という風に取り上げられていますが、個人的には、「WAVE」、「リブロ」、「ロフト」、「シネセゾン」といった学生時代好きでよく通っていた店舗や施設に、堤さんのセンスや思想が存分に注入されていたことが知れて興味深かったです。渋谷という街はあまり好きではなかったですが、これらの店舗や施設は、地方から東京に出てきた私にとっても、最先端の文化に触れることが出来たような気がして、とても楽しかった記憶が蘇ってきました。最近よく考える、「人は結局好きなことでしか頑張れない」ということと、「他人の意見をどの程度採用するかの難しさ」(聞き過ぎれば尖がれないし、聞かなすぎると独善となってしまう)を学ぶ上で、堤さんの華麗な成功から無残な失敗へと至る事実は、ケースステディとして最適です。今となっては「モノからコトの消費へ」という考え方は当たり前となっていますが、それを今から50年近く前に思いつき、具体的な施策として実現した先見の明と行動力には本当に敬服します。


■CD
6 Father Of The Bride/Vampire Weekend

 バンパイア・ウイークエンドの6年ぶりの新作です。今、ベックとともに最先端のロック・ミュージックを創っているのはこのアーティストだと思います。作品を重ねるごとにどんどん優しい音になっているのですが、それでいてトリッキーなリズム展開や細かい音の工夫など迸りまくる才気が随所から感じられ、心地よくもとても刺激的です。身体に浸み込むような温かい音楽を噛みしめるように聞いております。個人的には、現時点で今年1番の傑作です。


■映画 
44 グーグーだって猫である/監督 犬童 一心
45 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー/監督 アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
46 アベンジャーズ/エンドゲーム/監督 アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

44 よくも悪くもミニシアター系っぽい作品です。ストーリーは脈絡なく、センスありげな映像やセリフが随所に挟み込まれる作家性が前面に出た作風は、観る人を選ぶと思います。原作(というよりも元ネタ)の大島弓子さんの漫画も結構癖が強いですが、こちらは個人的にしっくりとくる一方、この映画はあまり肌に合いませんでした。主演の小泉今日子さんもあまり魅力的に感じませんでしたし、大好きな役者である加瀬亮さんの存在感も希薄でした。「ジョゼと虎と魚たち」や「ゼロの焦点」など、犬童一心監督作品で気に入ったものもあるので、単なる相性の問題だと思います。井の頭公園や「いせや」など、吉祥寺愛に満ちた映像は、中央線沿線に住んでいたことがある人間にとっては懐かしかったです。

45 「エンドゲーム」を映画館に観に行くために慌てて観ました。多数の登場人物の個性を巧みに描き分ける手腕が見事です。「ドクター・ストレンジ」や「パイレーツ・オブ・ギャラクシー」シリーズなど、「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズで観ていない作品もあったのですが、すんなりとキャラクターを受け入れることができました。敵役の「サノス」の描き方も見事で、到底受け入れられないものの、彼の中には一貫した論理があることが丁寧に説明されていて、単なる凶悪・凶暴で理解不可能な悪役ではない、奥行きのある登場人物に仕上がっている点に好感が持てました。最終章へのつなぎの作品として、盛り上げ方に難しい面もあったと思いますが、十分に楽しめました。

46 「アベンジャーズ」の一応の完結編。前作の衝撃のエンディングから、敵役「サノス」のあっけない死、そして、あっという間に5年の月日が過ぎるという斜め上の展開に、どう収拾をつけるのかとハラハラしましたが、見事に納得感のあるストーリーとして完結させています。前作で出番のなかった「アントマン」の使い方に象徴的なように、各キャラクターの個性を活かした緻密でロジカルな展開が快感でした。ありがちな展開になりそうなストーリー要素に微妙なヒネリを加えつつ、ご都合主義的に陥っていないところが素晴らしいです。大迫力の映像が印象に残りますが、各キャラクターの心温まるエピソードを巧みに挟みつつ、怒涛のエンディングに向かう計算された展開の緻密さにも唸らされました。ただ、ダレずにエンドロール後の映像まで楽しめたものの、3時間の上映時間はアラフィフの人間には少し辛く、お尻が痛くなりました。
コメント
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