本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

劣化するオッサン社会の処方箋

2018-11-03 06:40:16 | Weblog
■本
87 教養としてのテクノロジー/伊藤 穰一、 アンドレー・ウール
88 常識的で何か問題でも?/内田 樹
89 劣化するオッサン社会の処方箋/山口 周

87 タイトルからもっとお堅い本だと思いましたが、AI、仮想通貨、ブロックチェーンといった最新テクノロジーを技術的側面から説明するというよりも、これらの技術が私たちの生活をどう変えていくのか、についての仮説が提示されている本です。ですので、私のような文系の方にもとっつきやすいと思います。「アルゴリズムが社会を良くするわけではない」という主張など、科学技術に対する適度な距離感も伊藤穰一さんの発言だからこそ、説得力があります。個人的には「ICO」(自社のサービスで使えるコインを投資家に買ってもらい資金調達する手法)が注目されている状況で、冷静にその胡散臭さを批判されている点が印象に残りました。最後には、東京オリンピックを通じて、日本や日本人はどう変わっていくべきか、という天下国家の話になり、その視野の広さにも圧倒されます。テクノロジーが社会をどう変える可能性があるのか、を考える上では参考になると思います。

88 内田樹さんによる時事コラム集です。基本的にはいつもの安定した内田さん節ですが、森友学園や加計学園の問題やトランプ大統領の影響などつい最近の出来事に対して、内田さんがどのように考えているのかを知ることができて興味深いです。これだけの量の連載コラムで、毎回ちょっとしたトリッキーな展開を仕込む、サービス精神とその引き出しの多さに感心しました。

89 先週読んだ「武器になる哲学」がとてもよかったので、引き続き山口周さんの本を読みました。新書らしくタイトルはかなり挑発的ですが、内容としては『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』の延長線上で、「アート・サイエンス・クラフト」のバランスの重要性と、閉鎖的な会社組織だけでしか通用しない「クラフト」(経験知や人間関係)のみにその存在意義を見出し、変化の激しい時代でその経験知自体の陳腐化が急速に進む中でも、高い地位に居座る「オッサン」を痛烈に批判しています。人生100年時代で5、60歳代でそう簡単にリタイヤできなくなりつつある中、オッサン世代になっても学び続ける重要性と、経験の量より質の大切さを強く主張されている点にとても共感しました。結論としては、オッサンも若者も質のよい経験を継続的に得るために挑戦し続け、組織外でも通用する能力を磨き続けるということになり、そう簡単に実行できない面もあるかと思いますが、少なくとも質のよい学びを得るための努力はしていきたいと思いました。


■CD
18 Suspiria/Thom Yorke

 ホラー映画「サスペリア」リメイク版のサントラです。レディオ・ヘッドのフロントマン、トム・ヨークによる作品ということで購入しました。ホラー映画は苦手なので、「サスペリア」も観てませんが、音の方もとにかくおどろおどろしく、トム・ヨークらしい神経症的な緊張感と美しさの危ういバランスが印象的です。インストだけでなく、トム・ヨークのヴォーカルが入った「Suspirium」という非常に完成度の高い楽曲も収録されていて)、一聴の価値はあると思います。


■映画 
84 ミックス。/監督 石川 淳一

 気楽に楽しめるコメディ作品です。テーマとかにはこだわらず、エンターテイメントに徹しているところが潔いです。新垣結衣さんのいろいろな表情に癒されるための映画だと思いますが(癒されました)、共演されている俳優さんも質量ともにとにかく豪華です。特に、広末涼子さん、蒼井優さんの主演を食わない範囲での、自由奔放な怪女優っぷりには圧倒されました。映画にせずともテレビでの2時間枠で十分なのでは、という気がしないでもないですが、予算のかけ方に差があるんでしょうね。映画館に足を運んでいたら同じ評価だったかは別として、家でリラックスしたいときに観るには最適だと思います。
コメント
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