本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

オーデュボンの祈り

2013-02-17 16:09:50 | Weblog
■本
12 オーデュボンの祈り/伊坂 幸太郎
13 池上彰の政治の学校/池上 彰

12 「しゃべる案山子が殺害される」というあらすじに惹かれて、ずっと読みたかった作品です。伊坂 幸太郎さんのデビュー作ということですが、これまで読んだ伊坂さんの作品の中で一番好きです。伊坂さんのウエルメイド過ぎる部分(SEらしい隙のない論理構造)が、若干苦手だったので、この作品のデビュー作らしい綻び(主人公のコンビニ強盗の動機があまりにも不自然なところなど若干バグが消されきれていないところ)が逆に魅力的でした。おそらく多くの書評でも指摘されているであろう、村上春樹さんの「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」とのその世界観の類似性も、僕はあまり気になりませんでした。むしろ、優れた作家による、無から存在感のある世界を作り出せる力量に感心しました。十分すぎるくらいカタルシスが感じられ、読後感もよく、読んでいてとても心地のよい作品でした。

13 いつも通りの池上さん節で、わかりやすく政治について教えてくれます。これまたいつもながら、政治をよくするための池上さんなりの処方箋が語られているところも参考になります。天皇陛下に新任挨拶に来る他国の外交官は皇居までの案内に車か場所を選べる、などトリビアルなネタも含まれていて読んでいて面白いです。恥ずかしながら「代議士」が衆議院議員だけに使われる呼称であることは初めて知りました。


■CD
 9 Comes a Time/Neil Young
10 ANTHOLOGY '59-'62/Phil Spector

9 ニール・ヤングは作品ごとに静と動の対比がかなりはっきりしていますが、「After the Gold Rush」や「Harvest」といった静の名作群と比べても、この作品の穏やかさは非常に際立っています。エッジが立っていないためか、世間的な評価はこの2作品には及びませんが、個人的にはこれらに並び立つ傑作だと思っています。消え入りそうな優しい声で訥々と歌われていて、胸に染み入ります。疲れているときに聴くとかなり癒されます。

10 敏腕プロデューサー、フィル・スペクター初期の作品集です。どの曲もとにかくPOPです。3枚組でamazonで900円と超お買い得です。代表曲であるロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」は1963年の作品なので、本作には含まれていませんが、全米ナンバー1ヒットのThe Crystalsの「He's A Rebel」や The Teddy Bearsの「To Know Him Is To Love Him」も収録されています。
さすがに通して聴くとお腹いっぱいになりますが、長く楽しめる作品だと思います。


■映画
 9 オペラ座の怪人/監督 ジョエル・シューマカー

 歌も日本語で吹き替えされているバージョンで観たのがまず失敗でした。決して歌が下手というわけではないのですが、無理やり日本語の歌詞に乗せられるとどうしても違和感が先に立ちます。ストーリーや各キャラクターがそれほど共感できるものではないだけに(行動の背景となる部分の心理描写が甘いので、みんな自分勝手なだけのような気がします)、歌の部分の違和感と合わさり、作品世界に最後まで入り込むことが出来ませんでした。映像自体は独特の世界観を表現しようと、モノクロを巧みに使うなど、かなり工夫されていたので残念です。
コメント
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