股関節痛は怖くない!~変形性股関節症の新しい考え方

変形性股関節症の常識には間違いが多く、怖さを抱えている人が多い。
常識の間違いを理解して人生を楽しみましょう!

維持をほめてよ!

2006-01-31 16:12:51 | Weblog
皆さん、最近ほめられたことがありますか?

私なんか患者さんにほめられると、「そんなことはありませんよ。」とか言いながらも、心の中では『ムフフ・・・』なんて思ってしまうんですよね。
そして、益々やる気が出るものです。
皆さんもほめられるとうれしくてしょうがないと思うのですが・・・・ねっ。



皆さんが病院で定期的にレントゲンを撮ったとき、「レントゲン上は変わりないですね。」と言われたことがある人は多いと思います。

もしもその先生が、「変形性は進行性だから・・・」とお考えなら、レントゲン上で変わらないと言うことは素晴らしいことではないですか?

なぜ、「レントゲン上では変わりがありません。素晴らしいことです。この半年間よく頑張りましたね。」って言ってくれないのでしょうか?
そうすれば、患者さんは、この半年間の努力が報われたんだな・・・よし、この調子で頑張ろう!と言う気持ちになると思うのですが。

患者さんも、「レントゲン上変わりがありませんね。」と言われたら大喜びをしましょう。

変わらないことぐらい素晴らしいことは無いのですから。そして、一生変わらないことを考えればいいのです。
股関節のお手入れが十分できた時、良い方向に変わる方もいます。
しかし、それは付録と考えて、とにかく維持に努めましょう。

股関節の軟骨も、骨の形状までも良くなることは十分にあります。

日本で初めての人工骨の手術にかかわり、その後手術を多く行っていた先生がいました。その先生は現在手術を積極的に行うのを止めて、手術を行わない治療法に重点を置いています。
その先生が担当している患者さんのレントゲンを診たことがあります。

股関節の変形が見事に正常に近づいていました。実際は、骨の変形は止められるし、方法によっては骨も改善するのです。

私は、この先生の方法に若干の異論がありますので、普段患者さんには積極的に勧めてはいませんので、ここでもこれくらいにしておきます。しかし、この先生のことは尊敬しています。

股関節の維持は素晴らしいことなんです。
維持をほめてほしいものです。

『維持をほめてよ!!!!』

変形性股関節症を怖がらないでね




関節の動き

2006-01-28 18:02:32 | Weblog
26日は栃木で施術してきました。
その中の1人が、2月に手術をすることになりました。私も背中を押しました。

その方は2年前に激痛がひどくて手術を希望して病院に行ったのですが、担当の先生が体調を崩され診察ができなかったため、紹介にて私のところに来ました。

手術を考えているレベルなのに、初診時に笑顔があふれていたのには驚かされました。すごい人だと尊敬しています。
診察では左の中殿筋がつってしまったような症状でした。
皆さんもふくらはぎがつったことがあると思いますが、同じような症状が左のお尻に出ていたのです。それも長期間。“こむら返し”ではなく“お尻返り”ですね。
これが筋肉の病気なのです。
中殿筋とその奥にある小殿筋を中心に施術しました。
現在強い痛みは無く、歩き方も良くなり歩行スピードがかなり改善しました。
小旅行にも出かけられるようになりました。

私はこのまま手術をしなくても、十分日常生活ができると考えていました。
しかし、この患者さんと付き合っていくうちに、この方の“生き方”として、現状では十分満足できないかも知れないと思うようになりました。

痛みが取れて、かなり動きけるようになったのですが、この患者さんはもっともっと広い範囲で動きたい人なのです。
その様に思っていた頃、『先生、私手術しようと思う。』と言ってきました。
私は、『あなたの“生き方”を考えるとその方が良いかも知れませんね。』と言って背中を押しました。
患者さんは『手術の話しをすると、先生に怒られると思った。』と言いましたが、私の基本的な考え方は、患者さんの望む施術、指導を行うことなのです。

この方は、2月中旬に、信頼している先生の下で手術をします。私は、手術前後の考え方、人工骨を長持ちさせる為の今後の方針をお話しさせていただきました。
そして、4月末に術後の施術を開始する約束をしました。
人工骨の手術をすると決心した以上、人工骨を20年も30年も長持ちさせる為に、この患者さんとはこれからも長い付き合いになると思います。

さて、本題です。
皆さんの中には、股関節の動きが悪い人がいると思います。
なぜ股関節の動きが悪くなるのでしょうか?

骨の変形の為に動かなくのでしょうか?・・・答えは、ほとんどNO!です。
変形性股関節症になると動きが悪くなるものなのでしょうか?・・・答えはほとんどNO!です。
股関節は進行性だから何をしても無駄・・・と言う考えがあるからかもしれませんが、股関節の動きが悪くなるのを誰も止めようとしないからです。

はっきり言っておきます、股関節周囲を温めてストレッチするだけでは、股関節の動きが悪くなるのを防ぐのは困難です。

私も20年以上前からの10年間は、ホットバックで温めた後ストレッチを行っていました。今でも一般的に行われている関節可動域訓練です。
これは温めた後の間接的ストレッチですから効果が小さいのです。
もしも、股関節の動きの悪さの原因が筋肉である可能性があれば、直接ストレッチを行うべきです。
(間接ストレッチと直接ストレッチについては1月20日のブログを読んでください。 )

一般的に関節の動きが悪くなるのは軟部組織の問題だと考えます。
つまり、筋肉や靭帯などに問題があると考えます。これは常識です。

軟骨のすり減りが関節の動きを悪くすることは無いでしょう。
骨と骨が当たって関節の動きが悪くなることは有り得ますが、ほとんどの人は骨が原因ではありません。

股関節に限らず、関節が硬くなる最初の原因は筋肉です。
筋肉の病気によって股関節をある方向に動かすと激痛が出た場合、ある方向に動かすと痛いものですから、ある方向には動かさなくなります。

その時に痛みを取ってあげれば、またある方向に動かせるようになるのに、その時に痛みを取ってくれる人がいないと、長期間ある方向には動かさなくなります。
この状態が、4~5年も続くと、筋肉は縮んでしまい、靭帯まで硬くなって、結果として股関節がある方向に動かなくなるのです。

筋肉をほぐしてあげると、2~3年間動かなかった関節も動くようになる場合があります。ほぐしてみないことにはわからないことですが、筋肉だけの問題で股関節が動かなくなっている人は、かなりの確率で股関節の動きは良くなります。

私は、股関節の動きを悪くしない為に筋肉の痛みを取っているのです。

筋肉の痛みが主な原因である股関節痛は、関節の動きを悪くするし、筋力も落とすし、心を蝕むんですね・・・・かといって、股関節痛をうらんだら心に悪いんですよね・・・股関節痛は一見悪者だけど、皆さんに『今はあまり無理してはいけませんよ。』と教えてくれているんだなと考え、股関節痛を許しましょう。『股関節痛、ありがとう。』という気持ちになれれば、何かが変わるのかもしれませんね・・・?無理なことでしょうか・・・?

そういえば、かつてアメリカに感覚の無い人がいたそうです。痛みも何も感じないのです。これは人間にとって大変危険な状態なのです。その人は29歳までしか生きられなかったそうです。皆さんは納得できないとは思いますが、本当は痛みを感じることに感謝しないといけないんですね。
私もかなり強い腰痛に3年間苦しんだことがあります。その時は『腰痛、ありがとう』なんて思えませんでした。ですから、皆さんの気持ちもわかるつもりです。現在、腰の軟骨がまったくつぶれてありません。第5腰椎と仙骨がくっついてしまい、大きなヘルニアもあります。しかし、今は普通に生活しています。骨が原因でしたら、いまだに激痛が続いていると思います。

皆さん、股関節の動きを今の状態で維持、改善したければ、痛みが出たらすぐに痛みを取ることを考えていただきたいと思います。

股関節の動きを悪くするもう一つの原因は、“心のトラウマ”です。
患者さんは、股関節をある方向に動かすと激痛を感じた経験が怖さとなっていることがあります。すでに痛みが取れて動かすことができるのに「またあの時の激痛が出るのが怖くて・・・」と言います。このトラウマを取り除くことは、意外と困難です。しっかりした筋肉の施術を受けて激痛が取れたなら、そう簡単には激痛が出ることは無いので怖がらないで動かしていただきたいのですが・・・。

動かしても大丈夫なんだなという経験を多く持たせて自信をつけされるのが良いのでしょうか}・・・いまだに悩んでいることの一つです。患者さんの性格にも関係してるとは思いますが・・・。

股関節の動きが悪くなっている原因の追究と、絞り込まれた原因に対する有効な治療法を見つけて行うことが重要ですね。
温めてストレッチを行うと言う古いやり方はもう考え直す時期に来ていると思います。


変形性股関節症を怖がらないでね






筋力トレーニング②

2006-01-27 00:28:25 | Weblog
実は私には別に本業があります。
これから4月にかけて、死ぬような忙しさを迎えます。
本業の空き時間に患者さんを診ています。

本業を今後10年間に全国展開するつもりですので、全国に行けるのを楽しみにしています。

私は海外が苦手で、日本が大好きです。今までに行ったところで良かったのは与論島です。小さい頃、和歌山の日高川でよく潜っていました。その影響で海で素潜りをするのが好きなもんで、いろんな海に行きました。
今は与論の海が好きですね。

では本業に戻りましょう・・・じゃない。

私は「○○の運動を何回やりましょう」と言うトレーニングはほとんど指導しません。

よほど関節の動きがよく、筋肉が正常に近い状態でないと言えないことだからです。
「筋力トレーニングをやりましょう」というには、かなりの時間患者さんの身体を診ないと言えないし、指導法によっては逆効果になります。
ですから、筋力トレーニングを重視している患者さんには私の指導は物足りない人もいるようです。

皆さんの足関節(足首)を守ってくれているのは、ふくらはぎの筋肉です。皆さんの膝関節を守ってくれているのは、ももの筋肉です。では、皆さんの股関節を守ってくれている筋肉はどこにあるのでしょう?股関節を守ってくれている筋肉をトレーニングすることが、股関節の筋力トレーニングのポイントとなります。

股関節を守ってくれている筋肉は、主にお尻にあります。
この筋肉にコリができた状態を“尻コリ”と言います・・・・誰も“尻コリ”なんて言いませんが。

“肩こり”とは、肩の筋肉にコリがある状態です。ももの筋肉にコリがあれば“ももコリ”、お尻の筋肉にコリがあれば“尻コリ”なんです。ただ、誰もそのような言葉を使わないだけです。ももやお尻に失礼です!

お尻のふくらみは主に筋肉です。脂肪も多い人がいるとは思いますが、主には筋肉なんです!

お尻の筋肉で代表的なのは、大殿筋(だいでんきん)と中殿筋(ちゅうでんきん)でしょう。お尻のことを専門用語では殿部(でんぶ)と言います。
後ろから見てお尻の大きなふくらみが大殿筋、お尻の外側で腰骨の下にあるのが中殿筋です。

一般的に、大殿筋のトレーニングはうつ伏せに寝て脚を上に挙げる運動として指導され、中殿筋は横向きに寝た状態で脚を上に挙げる運動として指導されます。

では、大殿筋と中殿筋は他の方法ではトレーニングできないのでしょうか?

大殿筋と中殿筋に対して一般的に指導されるトレーニング方法は、脚が地面についていない方法で指導されています。また、大殿筋は股関節を伸展(シンテン:立った位置で片足を地面から浮かして後ろへ動かすこと)する筋肉だと、中殿筋は股関節を外転(ガイテン:立った位置で片足を地面から浮かして外側に開くこと)する筋肉だと説明されています。

人間は地面に足を着けて歩きます。では、足を地面につけている時に大殿筋や中殿筋は働いていないのでしょうか?

右足に体重をかけた時に、右側の股関節は大殿筋や中殿筋の収縮によって守られているわけですから、いちいち足を浮かして後ろに動かしたり、横に開いたりしなくとも筋肉はしっかりトレーニングができているのです。それも皆さんの体重を支えるくらいの強いトレーニングをしていると言うことなんです。
このことは非常に重要なことです。

もっと詳しく話しをしましょう。右足に体重をかけた時に、右の大殿筋は“背すじを伸ばす”働きをします(背筋と同じ働きです)。つまり、大殿筋は足が地面から浮いている時は股関節の伸展運動を、脚が地面についている時は背すじを伸ばす運動をするのです。
同様に、中殿筋は足が地面から浮いている時は、股関節の外転運動をし、足が地面についている時は骨盤を水平に保つ運動をするのです。
一般的に説明されている足が地面から離れている時の大殿筋や中殿筋の働きに対して、足が地面に着いている時の大殿筋や中殿筋の働きをカウンタームーブメントと呼びます。
筋肉は脚が地面についているか、離れているかによって働きが変わると言うことです。

と言うことは、しっかり脚に体重がかけられるようになり、背すじが伸びて、骨盤が水平になるように立てれば、また歩ければ大殿筋と中殿筋の筋力トレーニングができていると言うことになります。

皆さんが歩いていて片足に体重をかけた時、背すじが前に曲がる人(股関節が硬くて常に曲がっている場合は別)は大殿筋が弱く、肩が左右に揺れる人は中殿筋が弱いと言えます。大殿筋は背すじを伸ばす筋肉ですから、大殿筋の筋力が低下すると背すじが曲がる(腰が曲がるとも言います)のです。

背すじが曲がると、バランスをとるために両膝を曲げるし、手を腰の後ろに持っていこうとします・・・こういう方がいますよね・・・。
大殿筋の筋力低下のために背筋が伸ばせなくと・・もう一つの背すじを伸ばす筋肉・・・背筋が一生懸命働くようになります。これが腰痛や背筋痛の原因にもなるのです。

中殿筋は、骨盤を水平に保つ働きがあると言いましたが、筋力が低下すると骨盤を水平に保てなくなる為、骨盤が上下に動いてしまい、肩が左右に揺れてしまうのです。

片脚で立った時の大殿筋と中殿筋の働きの見方

もしも痛みが少なく片脚で立てるようでしたら試してみてください。
ほんのわずかでしたら、安定のために机や壁につかまっていただいても結構です。

●片脚で立った時に背すじが楽に伸びている人 → 十分な大殿筋の筋力があります。
●片脚で立った時に両肩の高さが等しい → 十分な中殿筋力があります。

両方の筋肉が十分あるのであれば、わざわざうつ伏せで脚を挙げたり、横向きで脚を上に挙げたりするトレーニングをする必要は無いんじゃないですか?

私は上記の2つの●の運動ができない人には、大殿筋と中殿筋のトレーニングを指導することはあります、そう、寝た状態で行うトレーニングです。でもそう人は意外と少ないんですよ。

片脚に体重をかけられる身体になること、これには股関節痛が邪魔していることが多いので、私は股関節痛を取ろうとしているのです。

うまく股関節痛が取れると、大殿筋や中殿筋がしっかり働きます。脚に体重をかけると大殿筋や中殿筋が股関節を守ります。その結果、脚をかばう必要が無くなり、日常生活だけで筋肉も骨も強くなるんです。その方がが自然で簡単なトレーニングだと思いませんか?

「あー、今日もトレーニングをやらなかった・・・」なんて落ち込むことも無くなりますよ。


変形性股関節症を怖がらないでね





筋力トレーニング①

2006-01-25 23:58:23 | Weblog
株を買う人が増えていますね。
私も朝デニ中に新聞を見ていて、「買いだ!」と言う銘柄をいくつか見つけます。
しかしその度に「金が無かったんだ・・・」と思うんですよね。
これは冗談ではなく、いつもそうなんだよね・・・。
原因を追究しなくては・・・・トホホ。


気を取り直して・・・。

すべての人に筋力トレーニングが効果的ではないということはすでに説明しました。筋肉の状態(正常なのか異常なのか)によって筋力トレーニングが効果的だったり逆効果だったりするってことでしたよね。

脚が“重い”は黄色信号、脚が“痛い”は赤信号でしたよね。脚が重いときの筋力トレーニングは注意が必要です。脚が痛いときの筋力トレーニングは逆効果になる時が多いです。
また、薬で痛みを抑えて筋力トレーニングをすることは逆効果になる時が多いです。

あまり“筋力トレーニング不安症”にならないでくださいね。
皆さんは“日常生活”という筋力トレーニングを毎日行っているのですから。

これから、筋力トレーニングの考え方を説明しますが、上記のことを原則として考えください。

以下に私が説明する筋力トレーニングとは、筋肉が正常に近い状態の時に行ううえでの考え方であると言うことを前提にしています。

筋力トレーニングについて理解するには、2種類の筋肉について理解しておく必要があります。

筋肉には2種類の筋線維があります。



①赤筋(せっきん)=遅筋(ちきん) =タイプⅠ線維
②白筋(はっきん)=速筋(そっきん)=タイプⅡ線維

いろんな呼び方がありますが、ここでは覚え易いように赤筋、白筋と呼ぶことにします。この2種類の筋線維を理解できると筋力トレーニングの効果的な方法がご理解できると思います。


赤筋と白筋の特徴

赤筋と白筋は皆さんの筋肉の中に様々な割合で存在しています。その割合が一人ひとり異なるのです。このことが大きな個人差を生んでいる原因の一つです。

①赤筋
陸上で言うと、長距離選手向きの筋肉です。ジーと立ってる時や座っている時にも活躍します。
あまり強い筋力は出ませんが、収縮できる時間(回数)が長いのです。つまり瞬発力よりも持久力に向いた筋肉です。
この筋線維の割合が多い人は、筋肉が疲れにくいと言うことです。

この筋線維を鍛える為には、あまりきつくない負荷の運動、わかりやすく言うと長時間続けられる運動を行うことです。
マラソン選手には、筋肉の持久力が必要ですから長時間できる運動方法で鍛えているのです。長距離の走り込みがそれに当たります。

皆さんが行っている運動では、プールでのウォーキング、陸上でのウォーキング、自転車こぎ、軽い重りを使っての回数の多いトレーニングなどです。
これらの運動では、筋肉が太くなりにくく、脚が太くなりにくいのです。
従って、細くなった脚を太くする目的で、プールでのウォーキングをやってもあまり効果は期待できません。目的と効果的なトレーニング法が異なるのです。まったく効果が無いわけではありません、持久力を鍛える運動でも、瞬発力にも効果があるという研究報告はあります。しかし、脚を太くするという目的であれば、もっと効果的な方法はあるんですよ。



②白筋
陸上で言うと、短距離向きの筋肉です。動く時に活躍します。
この筋線維の割合が多い人は脚が太くなります。
強い筋力は出ますが、収縮できる時間(回数)が短くなるのです。
つまり持久力よりも瞬発力に向いた筋肉です。
この筋線維の割合が多い人は、筋肉が疲れ易くなります。
この筋線維を鍛える為には、強い負荷の運動、わかりやすく言うと短時間で疲れてしまう運動を行うことです。
短距離選手は、筋肉の瞬発力が必要ですから短時間で疲れるような負荷の強い運動方法で鍛えているのです。トレーニングジムにあるような重い重りを使って鍛えることもあります。

皆さんが行っている運動では、10~15回行うと限界になるような筋力トレーニングがこれに当たります。

これらの運動では、筋肉が太くなり、脚が太くなるのです。



以上は、人間の体の中の一部である筋肉のことに関するトレーニングでしたが、
もう一つ大事なトレーニングがあります。
それは全身持久力(体力)のトレーニングです。

全身持久力(体力)を鍛えるトレーニングの目的は、筋肉の持久力も関係していますが、それよりも肺と心臓を鍛えることになります。肺活量と心臓の壁の厚さ(心筋の大きさ)を鍛えると言うことです。

これは長時間できる全身運動を疲れるまで行うというトレーニングです。カロリー消費に向いたトレーニング法ですね。
マラソン選手は、全身持久力と筋肉の持久力の状態が良好な時に良い記録が出るのです。いくら肺活量があって、心臓の壁が厚くなっていても、筋肉が疲れているとレースの途中で筋肉の持久力が限界になって走れなくなるのです。
ですから、スポーツ選手も常に筋肉を正常にしておかないと、良い記録が出ませんしケガにつながるのです。

話しがややこしくなってきましたが、大切なことはトレーニングができる状態かどうかを判断することと、トレーニングの目的を明確にすることです。

病院の先生がそこまで考えて「筋力トレーニングをしてください」と言っているのであれば、私は何も言いません。筋力トレーニングができる状態かを診察で判断しないといけないのです。

また、皆さんもトレーニングをやるのであれば、現在の身体の状態をよく把握しないといけませんし、どのような目的でトレーニングするのかを明確にしないといけないと言うことです。

個人差の大きな方々が集まって集団トレーニングすることの矛盾もご理解いただけると思います。集団トレーニングを行う時は、無理にあわせないで、限界に近づいたら動きを止めることも必要です。
皆さんが集まっていろいろ話しをしながら一緒にトレーニングを行うと良い気分転換になりますから、集団トレーニングの目的も考えないといけませんよね。良い面もあるのですが、悪い面も理解しておいたほうが良いと思いますよ。

皆さんがトレーニングを行うのは、脚を太くしたいからですか?筋力を維持したいからですか?疲れにくい筋肉にしたいからですか?減量をしたいからですか?気分転換がしたいからですか?

先生に言われたから?筋肉がどんどん弱くなっていくと考えているから?トレーニングをやらないと不安だから?・・・そのような考え方は徐々にゴミ箱にポイです。
できればですが・・・。

ちょっと難しかったですかね?トレーニングについての考え方は大切ですから、後でも触れていきましょうね。


変形性股関節症を怖がらないでね





カウンセリング

2006-01-24 01:06:14 | Weblog
「モンロー研究所」「飯田史彦」「坂本政道」「スウェーデンボルグ」「生まれ変わり」
この単語をすべてご存知の方は、魂の存在を当然のように信じていることでしょう。私達の身の回りでおきることに偶然はなく、すべて必然なのです・・・ナーンチャッテね、どうしたの急に?


『人間には身体があります。その上に心があります。さらにその上に魂があります。身体を治すには心が病んでいたのでは治らない。心を治すには魂が病んでいたのでは治らない。』

私はこのような考え方を持っています。魂のことについても少しは勉強をしましたが、このことをいきなり話すと変人扱いされるかもしれないので、患者さんからそのような話が出た時だけしか話はしません。(事実変人だったりして・・・)
魂のことを潜在意識と置き換えてもいいのかもしれません。この分野についてはまだまだ勉強不足なので、知ったかぶりはやめておきましょう。


変形性股関節症患者さんは、身体に問題を抱えています。しかし、それ以上に身体の上にある心が病んでいる人が多いと思います。(一般的に心は脳の中にあると説明されています)

今まで書いてきたように、心が病んでいる原因のほとんどは病院にあったのです。
(本当は病院ではなく、あなたの心の中にあったのです・・と言う人もいるかも知れません・・・・が)

私は心理学をきっちり勉強しているわけではありませんので、参考程度と言う前置きをしておきます。

私の診察を初めて受けに来られた患者さんは表情が暗く、泣き出すケースが多々あります。
皆さんかなり心が追い詰められているのですね。そういう時には、患者さんの話をじっくり聞くようにしています。
人間は心にストレスを抱えた時、そのストレスを外に吐き出す方法を持っています。この方法が“しゃべる”と言うことです。心のストレスを言葉にして、身体から吐き出すことが効果的なストレス発散法だということです。

そういう意味では、変形性股関節症患者さんが会を作って、集まって様々な話をすることは良い事だと思います。そのような会に入っている人は、会に出席した時に自分の心にあるストレスを言葉にして吐き出しまくってくださいね。
ただ人の話しを聞いているだけでもいいのですが、できれば吐き出していただきたいと思います。

心理学では、言葉によるカタルシス効果と言い、心に溜まった様々なストレスを思い描いて言葉として表わすと、言葉と共に「心に溜まっていたストレスが排出」され、心の緊張がほぐれるそうです。
私は、患者さんの筋肉をほぐしながら心もほぐしているということですね。

私が行っている患者さんの心のほぐし方を簡単に説明しましょう。(カウンセリングのポイント)



1、聞き上手に徹する
 自分のことはしゃべらないで、聞き役に徹する。
 意見を聞かれたら手短に答える程度。
2、相手の話を肯定的に、興味を持って素直に聞く
3、相槌を打つ
 肯定的な相槌だけを使う 例)「ハイ、ハイ」「エー、エー」「ソウ、ソウ」
4、逆接の接続詞は使わない
 「でも」「しかし」「けれど」は使わない。「わかる、わかる」も使わない。
5、評論、助言は避ける。
 「その人の心は。その人にしかわからない」ので、医学的な説明以外は助言も避けるようにしています。

私は、患者さんの心を治療することの重要性に気づいた時、カウンセリングについての本を読み漁りました。その本に書いていたことは、『プロの聞き手は、聞き役に徹するために、相槌が多く、自他の区別があり、自分から話をしないものです。ベテランのカウンセラーになるほどしゃべらないものです。』と書いていました。

「なんだ、簡単なんだ。あまり難しく考えなくてもいいんだ。」と思いました。
こんなことを書くと、プロのカウンセラーの先生に怒られるかもしれませんが・・・ごめんチャイ。

ですから、皆さんも現在抱えている心のストレスを誰かに聞いてもらいましょう。

聞き上手な人っていますよね。そんな人が近くにいるといいですね。
ご主人や娘さんのような身近な人が聞き上手な人だといいですね。

人ってついつい自分のことを話したくなるように思いますが、私なんかもともと、医学以外のことは話をするのが苦手だったので、聞く方が楽です。
目指せ“相槌名人”です。

もしも、変形性股関節症患者さんが身近にいるという方は、聞き役に徹してあげてください。

皆さんも心に溜まったストレスを言葉にして誰かに聞いてもらいましょう。心に溜まったストレスをうまく排出できた時、他の患者さんの話を聞いてあげられるようになるんですよ。



変形性股関節症を怖がらないでね

 





インフォームド・コンセント

2006-01-23 10:27:35 | Weblog
先週の土曜日、東京にも雪が降りました。初めての雪らしい雪でした。
ほんの少しの雪でも交通機関が麻痺し、歩くのも大変ですね。
雪の多い地方の皆さんは大変でしょうね。尊敬いたします。
私の患者さんには札幌の患者さんが1人だけいますが、雪の多い日は脚が挙がらなくて歩けないんですよ・・と言っていたのを思い出します。

雪なんかに負けるな!



病院の先生が患者さんに様々な情報を与えて、その情報を患者さんが理解したうえで治療を行うことをインフォームド・コンセントと言います。

「インフォームド・コンセントが重要です。」と雑誌とかで言っている先生の診察が、患者よりも研修医への説明ばかり・・・なんてことがありましたね・・・。

病院の先生の中には、患者さんのためにもっと時間をとって、十分な説明をしながら診療を進めたいと考えている先生は意外と多いようです。
しかし、あまりにも患者さんが多く、一人にかけられる時間が制限されるので、先生方もかなりイライラしていることでしょうね。病院の先生もきっとつらいんでしょうね・・。
そんな状態ですからハラスメント的な言葉も多くなるのだと思います。患者さんに非常に評判の悪い先生の講演会を聞きに行くと、意外と優しそうな先生でびっくりしたことがあります。また、患者さんに評判の悪かった先生が、他の病院に移られた途端に人が変わったようにやさしくなることもありました。
逆に、私が長年付き合っていて先生の性格が優しい人だと知っていて、患者さんからも尊敬されていた先生が、病院が変わったら急に患者さんの評判が悪くなった先生もいました。病院の環境と言うか、忙しさによって先生も変わるのかも知れませんね。

これは、医療保険を扱っている以上、ある程度仕方が無いのかもしれません。
しかし、医療保険適応でありながら、診察時間をたっぷりとっている病院もあるのです。患者さんの数を制限すると言うことは、経営的には許されないことですが、
病院全体の経営能力のある病院ではそれも可能かもしれません。医療保険を扱うのであれば、病院全体として患者さん一人ひとりにかけられる時間を多くするような努力はしていただきたいと思います。

残念なことですが、皆さんも保険治療に対する考え方を変えた方が良いのかもしれませんね。保険治療に診療の質を求めてはいけない。安い医療費では、質の低い診療しかできないと・・・・どうも現代の医療現場を見ていると、そう考えざるを得ないような気がします・・・。

最近では、保険外診療の病院もできています。お金はかかります。お金をかければかけるほど良い診療が行えるとは思いませんが、納得の行く診療をしていただけるのであれば、多少高くても通いたくなる人は多いのではないでしょうか?

私も腰痛で悩んでいる時に、一度保険外治療の先生にかかりました。診療時間は確かに長かったと思います。神経ブロックをして、十分休んで帰ることができました。しかし、結果は・・腰痛に変化はありませんでした。

私も保険を使うことはできます。以前は保険を扱っていたこともあります。
保険を扱うと、ある程度数をこなさないといけない状況でした。
ところが、鹿児島や大阪から患者さんが来ると、10分~20分の診療で帰すわけにもいかず、かといって近所の方々との差をつけるわけにも行かず、不完全燃焼の施術となってしまいストレスタマリンになるので、保険を扱うことはやめてしまいました。

現在は一般の料金よりも高い施術料で施術していますが、時間を十分にかけることができ、患者さんの話をゆっくり聞く時間も十分取れるようになりました。
治療費が上がり、患者さんに怒られたこともありました。患者さんの数も減りました。しかし、私としてはこの方法を選んでよかったなと思います。
おかげで、心の治療の大切さを再認識できました。


私は、変形性股関節患者さんの施術の基本は60分~90分は必要だと考えています。
股関節の周りだけ施術すればよいと言うものではないからです。
初診の方にはさらにカウンセリングの時間を設けますので、初診時には90分~120分かけることもあります。

インフォームド・コンセントには時間を必要とします。
例え病院が混んでいても、皆さんは、時間など考えずにご理解できるまでしつこく質問をしていただきたいと思います。特に手術前後に関する情報は、しっかりご理解できるまで質問したほうが良いと思います。その為には、皆さんも自分の病気に関する情報を集めて勉強をする必要があると思います。

インフォームド・コンセントは必要です。しかし、もっと大切なことがあると思います。それはカウンセリングだと考えています。
私は最近カウンセリングに時間をかけるようにしています。患者さんと椅子に腰掛けてカウンセリングすることもありますが、施術をしながらカウンセリングを行うこともあります。
カウンセリングと言うと難しく感じるかもしれませんが、簡単なカウンセリングであれば、誰でもできるのです。ご主人でも、友達でも・・・皆さんが友達のカウンセリングもできます。カウンセリングの考え方について次回説明しましょうね。



変形性股関節症を怖がらないでね



メディカル・ハラスメント

2006-01-21 12:46:38 | Weblog
今朝、何気なくスポーツ新聞を読んでいたら、変形性股関節症に関する特集が組まれていました。
その中で治療法としては『「手術」と「保存療法」がある。「保存療法」としては、「薬物療法」「食生活の改善」「運動療法」「温熱療法」がある。』と書かれていました。

「薬物療法」→消炎鎮痛剤と筋弛緩剤
「食生活の改善」→腹八分で減量
「運動療法」→1日30分くらい歩くといい(水中とは書いていません)
「温熱療法」→ホットパックやレーザーで温める方法もある
そして最後に、筋力をつける方法として水中ウォーキングを勧めていました。

このような記事を読んで、さっそく30分ほど歩く方がいるんでしょうね?
大丈夫でしょうか・・・???
私の考えを付け加えておきます。



「薬物療法」、の消炎鎮痛剤は、免疫学的には“消炎鎮痛剤を飲むと、返って痛みが取れない身体になる”と言われていますよね。副作用のある筋弛緩剤を飲むくらいなら、筋肉を直接ほぐしたほうが良いと思いますが。筋肉の病気には意外と筋弛緩剤も効果が出ないんですよね。
 この新聞では、『単純に痛みだけを取ってしまい、痛みの無い状態で動くと、返って股関節の状態が悪化し、痛みも増えることがあるので消炎鎮痛剤の使い方が難しい・・』と書かれていました。これは重要なことです!
でも、違うんですよぉ・・・考え方が・・まず、炎症性の痛みか阻血性(循環が悪くなっている為の)の痛みかをしっかり診察しないといけないんですよ。
股関節に強い炎症があれば消炎鎮痛剤も効果があるでしょう。しかし、強い炎症があるのなら、安静が必要でしょう。また、阻血性の痛みなら“消炎”させる必要もないし、筋肉の病気があると言うことですから、痛みを抑えて動くと筋力が出ない状態で股関節に負担をかけるわけですから、股関節が傷んでしまうんですよ!阻血性の痛みなら、循環を良くする為に筋肉をほぐして温めないといけないんですよ。
「薬で痛みを抑えてどんどん運動しましょう」と指導している先生がいますが、大間違いです!こんなことしたら、どんどん股関節は悪化しますよ・・・くやしー。
私は、偏頭痛で動けないくらい痛みが出た時期がありました。イブA錠と言う薬を飲むと楽になったので、しばらく飲んでいました。しかし、一時話題になった安保先生の「免疫革命」を読んでからは薬を飲むのを止めました。その効果なのか、今はほとんど偏頭痛はありません。当時と比べてストレスが少なくなっただけかもしれませんが・・?
股関節のつらい時に薬を止めなさいとは言いませんが、痛みが取れても動く量は抑えて、冷静に股関節の触診をしてみてくださいね。

「食生活の改善」、減量は余り気にしてほしくないんですよね。と言うのは、体重が増えると筋力も増えるからなんです。体重を支えているのが筋肉ですから、体重が増えるとその体重を支える為に筋力も増えるのです。
ただ、急激に太ると筋肉の向上が追いつきませんので注意が必要です。
また、痛みなどの原因であまり動けない時期は減量というよりも、増量しないように気をつけたほうがいいですね。
実は、水中ウォーキングは筋力強化には余り効果はありませんが、減量には効果があるんですよ。専門的に言うと、“負荷が少なく長時間できる運動”では、筋力ではなく体力(心臓と肺の強化)の訓練になりカロリーが消費されるのです。
運動生理学を勉強している人には常識的な話です。
水中ウォーキングは“少し疲れるまでやる”のが目安でしょうね。30分とか40分とか時間を決めるのは危険です。日によって体調も違うし、何よりも個人差が大きいですからね。また、水中ウォーキングの欠点として体が冷えることがありますので気をつけてください。

「運動療法」、実は私も陸上でのウォーキングは良いと考えていますが、“筋肉が正常であり、生活の中(買い物とか映画を見に行くとか・・・)で行うウォーキング”しか勧めません。
筋肉が正常に近い状態であると私自身の手で確認できた人にしか勧めません。

「温熱療法」、自分で股関節を触診して激痛が無かった人(炎症の無い人)には、温めることは効果的です。しかし、強い炎症のあった人には逆効果です。温めて気持ちよく痛みが楽になるかどうかで判断してください。風呂に入って痛みが楽になる人には、強い炎症はありません。


しかし、この新聞の記事によると炎症を取る薬を飲まされたり、プールで冷やしたり・・・温めることは良いことですって言ったり・・・曖昧ですね。

有名な先生が書いているようなのですが、このような記事を鵜呑みにはしないでくださいね。

そろそろ本題に・・・
ハラスメントと言う言葉は一般的になっていますね。

数年前、内科の先生が『ドクターハラスメント』と言う本を出されましたが、皆さんは読んだことがありますか?
診察の時に先生が発する言葉の暴力による嫌がらせのことです。
ガンの患者さんでは、このようなハラスメントで精神的に落ち込み、免疫力が低下するので、ガン治療には逆効果になるのです。変形性股関節症でも同じですよ。自然治癒力が低下するんですから・・・。

私はドクターではありませんが、私もハラスメントを行う可能性がありますので、言葉には気をつけているつもりです。私としては、患者さんを勇気づけるつもりで言った言葉でも患者さんにとってはハラスメントと受け止めることがあるかも知れません。ハラスメントが皆無と言うのは無理だと思いますので、言葉を選んで患者さんを傷つけ無いようにしようとする意識を持っていることが重要です。

同じことが医学(Medical:メディカル)に関する仕事をしている看護師さんやレントゲン技師さんや様々な療法士さんにも言えると思いますので、私はメディカル・ハラスメントと呼んでいます。

診察を受ける時に、先生から言われる言葉に患者さんは結構傷ついています。
以下に実際にあった例を挙げてみましょう。


「厄介な病気になりましたねぇ。」
「いずれは歩けなくなり、車椅子になりますよ。」
「手術しか治療法はありません。手術はいつにしますか?」
「手術をしないんなら、うちの病院にはもう来ないでください。」
「あなたの股関節はあと2年しか持ちません。」
「あなたの骨には穴があいています。無理すると穴が潰れますよ。」
「今手術をしないと大変なことになりますよ。」
「手術後の経過が悪いのは、あなたに問題があるんですよ。」
自骨の手術経過が悪くて「やっぱりダメだったか・・人工の手術にしますか?」
人工の手術経過が悪くて「あなたの足は特別だったからね」

皆さんはどのような言葉に傷ついたことがありますか?
ぜひ皆さんの体験を教えてくださいね。

上記の言葉は、言葉だけの問題ではないと思います。初めての診察の時に言われたのか、何回目の診察の時に言われたのかによっても違うでしょう。
大切なのは、先生と患者さんの信頼関係ができているかどうかと言うことだと思います。
信頼関係があれば何を言ってもいいというわけではありませんが、信頼関係を築こうとする姿勢が重要だと思います。

すべて先生にお任せ、先生の言うことには逆らわず泣き寝入りする・・・患者さんの立場から見ても、そういう時代は終わっています。
心が傷ついたらはっきり言いましょう。「先生、それはハラスメントです!」
そして、そんな病院は行くのはやめて、もっと良い病院を探しましょう。

東京は病院が多いから、そんなことはできるかもしれませんが、地方では病院の選択肢が少なく、なかなかそれができないくいかもしれません。
だったら、「先生それはハラスメントです、改善してくれないと皆さんがこの病院には来れません。」と言って先生の言動を変えていくしかないでしょう。
病院の選択肢があれば、多少遠くとも良い先生を捜し求めていただきたいと思います。
私は整形外科が好きですし、今後の高齢化社会を考えると益々整形外科の必要性が高まると考えています。
しかし、病院が本来の目的である的確な診察と即効的・持続的・多面的な治療を行なえず、患者さんとの信頼関係が築け無いことには整形外科に未来は無いと考えています。

昔、西洋医学が一般的になる前にも医療は存在していました。インディアンのハーブ療法、インドのアーユルベーダ、中国の漢方、ヨーロッパのSPA、日本のあんま・・・様々な医療が一般的に行われていました。現在では代替医療と呼ばれる医療です。未来の日本では、西洋医学がなくなることは無いと思いますが、今のままでは確実に代替医療が主流になります。

私は、現在の整形外科を変えたいと思っています。このブログもその一つですが、
患者さんが病院に行って、明るく元気になって帰れる病院があるといいですよね。


変形性股関節症を怖がらないでね


筋力低下についてのお話②

2006-01-20 02:28:54 | Weblog
前回に引き続き筋力低下の原因について説明しましょう。

3、筋肉の病気による筋力低下

筋肉の病気による筋力低下は非常に重要ですので先にも説明してきました。
筋肉が病気になると、筋肉は収縮したまま固まってしまいます。
正式には筋・筋膜症候群といいますが、この病気では筋肉内に疲労物質である乳酸が溜まってしまい、やがてセロトニンなどの発痛物質(痛みの物質)が筋肉内に溜まりますので痛みが出やすくなります。

前回説明しましたように、筋肉は痛みがあると筋力があるのに筋力が出なくなります。また、痛みの原因が筋力を出す筋肉自体にあるとき、筋肉の収縮力は低下しますので筋力はさらに発揮できなくなります。
変形性股関節症で、脚をかばうことにより細くなった脚の筋肉に病気が起きると、いろいろな筋力低下の原因が重なり筋力が弱くなったようにみえるのです。

筋・筋膜症候群の代表的な症状は痛みですが、放っておくと痛みは筋膜や骨膜に沿って広がります。筋・筋膜症候群の1つである肩こりを放っておくと頭痛やめまいや吐き気が出るように、股関節痛も腰や膝の痛みとして広がっていきます。
こういう時でも、病院では膝や腰のレントゲンを撮るんですね・・・膝や腰の軟骨に少しでも異常があると、それを痛みの原因だと説明するんですよね・・・それでも、痛みを取ってくれればいいんですけど・・。なかなか痛みを理解してもらえないことが多いんですよね・・・。レントゲンに異常がない時には何と説明するんでしょうね・・・?

筋肉の病気をさらに放っておくと、異常に疲れやすくなったり、精神的に落ち込んだり、自律神経障害や免疫力の低下を招きます。
股関節周囲の筋が筋・筋膜症候群になり放っておいた場合、長距離歩けなくなったり、骨の変形が進んだり、不眠症になったり、風邪を引きやすくなったり、急に膝に力が入らなくなったり、背中が痛かったり、肩がこったり、寝違えを起こしやすくなったり、足首まで痛くなったり・・・・様々な症状が出てきます。
皆さんにはこのような症状はありませんか?

もちろん、脚の太さが違う人は脚のアンバランスな使い方を腰や背中や肩や首でバランスを補っている為に、また、杖を強くついているため腕や肩の筋肉で体重を支えている為にいたるところの筋肉を、無意識に多く使っていることも関係しています。

私が今書いたことは、私の経験にもとずく想像で書いたものではありません。
以前紹介しました、滋賀医科大学の横田先生の著書にも書かれていますし、病院でリハビリを担当する理学療法士という資格を持った先生方の間では、常識的になってきている理論です。

筋肉が病気になると、筋肉は縮んで循環が悪くなります。
ですから、筋肉の病気の治療法は筋肉を伸ばすことなんです。
筋力トレーニングは、筋肉を収縮(縮む)させる方法です。股関節痛がある時は、筋力トレーニングよりも筋肉ストレッチのほうが効果的なんですねぇ。

子供の頃、アキレス腱を伸ばす運動をした覚えがありますよね。あれが筋肉ストレッチです(下腿三頭筋:ひふく筋とひらめ筋:のストレッチです)

しかし、一般的に言われている“筋肉ストレッチ”もいいのですが、それよりももっと効果的な筋肉ストレッチがあります。それは筋肉を直接押して筋線維を伸ばす方法です。


筋肉のストレッチにも2種類あるのです。

1、間接ストレッチ→効果が低い
2、直接ストレッチ→効果が高い

自分で行う筋肉ストレッチ体操は、一見筋肉は伸びるのですが、筋肉の中の一部分に発生している筋肉のコリが伸びない可能性があるのです。
ですから、いわゆる筋肉ストレッチといわれている体操は、間接ストレッチと呼ばれています。あくまでも間接的なんです。ですから効果も低いんです。

これに対して、筋肉のコリを直接押す方法を直接ストレッチと呼びます。
硬くなった筋肉の一部(コリ)の筋線維を直接伸ばしますので効果は高いのです。
股関節は人体の深いところにありますので、やや強めに押さないと効果が出ない場合があります。極端に言うと、表面の脂肪だけ押しても筋肉の痛みは取れないということです。脂肪のすぐ下の筋肉を押しても痛みが取れないことがあります。筋肉は幾重にも重なり、関節に近い深層筋に痛みが出ることが多いのです。

表面の筋肉の病気はマッサージや指圧で取れることはあります。しかし、深層筋となるとかなり強く押すことも必要なので、なかなか皆さんの痛みを取ってくれる先生がいないのです。しかし、まったく筋肉のお手入れをしない人に比べると、マッサージや指圧で手入れしている人のほうが、遥かに筋肉の状態は良いようです。
かなり強く押すと、指は痛いし、肩はこるし、疲れますもん。これが、かなり強く押す先生が少ない理由でしょうか・・・・。

私も筋肉がコリやすいタイプのヘナチョコ野郎です。
ヘナチョコ野郎は関係ないですね。
ですから、いろんなところで施術も受けますが、なかなか満足できません。
押し方が弱いところには二度と行きません。誰か、良い先生をご存じないですか?・・・・ナーンチャッテ。


私は、薬局で快癒器(かいゆき)というのを買って、背中や腰の下に入れて寝て、自分の体の重さで押しています。
昔から、中山式快癒器というのがあって、和歌山の山の中で育った私でさえ、子供の頃すでにうちのおばあちゃんが使っていたのを覚えています。今でも薬局に置いてますよ。いろいろ工夫しながら、快癒器を使いこなしている患者さんもいますよ。快癒器友の会を作って私も頑張っています。(うそです)

また、ももが痛い時やだるい時は、ビール瓶で筋肉を叩くようにしています。(本当です)
私はけっこう強く叩きますが、皆さんは強く叩くというよりビール瓶の重さを利用して、重さで叩くといいでしょう。腕が疲れない範囲にしてくださいね。
けっこう楽になりますよ。皆さんも、痛いところを叩いてみてはいかがですか?
ただし、骨は叩かないで下さいね。骨を叩いても、コツという音だけで、まったく意味無くただ痛いだけですから。
後は、自分で触診して股関節の炎症が無ければ、どんどん温めることですね。

「筋肉を強く押すと、筋肉に炎症が起き、さらに筋肉が硬くなります。」という先生がいます。そのような先生には「先生は強く押したことがありますか?」って聞いてください。私はもう10年も強く押していますが、押すことによってよって悪化した人は見たことがありません。もちろんもともと炎症がある場所は押しませんし、押し方の上手下手はあると思いますが。

また「筋肉を強く押すと痛みが取れるのは知っていますが、そんなことをしたら指が壊れてしまうので、私は押しません。」という先生もいました。
ちなみに私の指は壊れていません。

プレート療法という治療法があります。木片を皮膚に押し付けて押す方法です。
理論は一緒ですので上手な先生を見つけるといいかも知れません。以前、私の患者さんが一度受けたました。私は付き添いのフリをして見学しました。
見学していて、「これは駄目かな・・・」と思っていたら、終わったあと患者さんが私の方を見て手で×をしました。浅いところの筋肉の押しが弱いし、深いところに力が届かなかった。とその患者さんは言いました。先生しだいだと思いますが、基本的にプレート療法で効果がある可能性はあります。

しかし、同じ押すのであれば、神経の行き届いた指や肘で押せばいいのに・・・と思ってしまうのであった。
人間の身体は利口で、私の親指や肘は筋肉の細い線維まで感じるようになりました。初めて押した時なんか、どこに何があるかわからなかったのに(解剖学はしっかり勉強していましたよ)・・・。何回も押していると、指も肘も壊れるどころか、どんどん強くなって神経が研ぎ澄まされていくのです。人間ってすごい

これは私の持論ですが、“人の心と身体を楽にする仕事の人は、自分が楽をしていては駄目だ!”

なんか変な終わり方になりましたが、筋肉の病気は、かなり筋力が低下したように見えることがあり、筋肉の病気が治るとすぐに筋力が出るようになるということをご理解いただきたいと思います。


4、脚の長さが短くなる為の筋力低下

筋肉というのは、ある一定の長さの時に最大の筋力が出るようにできています。
これは事実です。
肘を曲げる筋肉(上腕二頭筋:じょうわんにとうきん)を例にとると、上腕二頭筋は肘を伸ばしたときに最も伸びて長くなります。この時には力は出にくくなります。また、肘を深く曲げたときには最も縮んで短くなります。この時にもあまり力は出ません。しかし、肘を90度くらい曲げた時には、しっかり筋力が出るのです。てこの作用も関係していますが、一般的に人間の筋肉は、最も力が出る長さにできていて、最も力の出る関節の角度があるのです。

正常の股関節の場合、大腿骨頭(だいたいこっとう)は非常にきれいな円形をしています。しかし、変形性股関節症患者さんの場合、変形(実は修復なんですけど)のおかげで、円形がつぶれて楕円形のような形になる場合があります。

円が楕円になりますので、結果として大腿骨は短くなるのです。

皆さんの中で片脚だけが短い人がいますね、気がつきにくいのですが両方の脚が以前より短くなっている人もいますね。以前はいていたズボンなんかをはくとわかるかもしれません。


脚が短くなる理由はいくつもありますが、7つほど挙げてみます。

1、骨盤が傾いている。
2、大腿骨頭の形が楕円形になっている。
3、膝や股関節の軟骨が減っている
4、股関節か膝関節が曲がったまま伸びない。
5、手術で骨を切っている。
6、以前何らかの理由で骨折などをして骨が短くくっついている。
7、脊髄性小児麻痺(ポリオ)などによって骨に発育障害がある。

この場合も、なぜ脚が短くなっているのかという原因を突き止めないと、適切な対策はできません。仰向きに寝ると片方の脚が短いから、靴の中に中敷を入れて調整すれば良いという簡単なことでは解決できないことがあります。

上記の1、と4、は脚が短くなっているように見えるだけの可能性があります。
1、は骨盤を元の位置に戻すことが対策になります。4、は関節の動きを良くする事が対策です。
他は、脚の長さが骨や軟骨の長さの変化によって起きている可能性が高いので靴の中敷や踵を高くすることによって脚の長さをそろえるべきです。脚の長さにも左右差はよくありません。長いほうの脚の膝関節周囲に痛みが出たり、腰や肩に痛みが出やすいからです。

人間の身体は利口で、脚の長さが違う場合は体全体のバランスがとりやすいように骨盤を傾けたり、背骨が横に曲がったりするんです。脚の長さが違うとき、背骨が曲がったり骨盤が傾くのは、バランスを良くしてくれているのです。
ですから、いきなり、中敷などを高くして脚の長さを合わせると、最初は痛みが出ることもあります。曲がっていた骨盤や背骨が元の戻ろうとするからです。ですから、中敷などは徐々に高くしたほうがいいですね。

なぜ、脚が短くなる話をしてきたかというと、脚が短くなるのは骨と軟骨に何か異常が生じた時に起こるということをご理解していただいたうえで、次のことをを理解していただきたかったのです。


脚が短くなる(骨が短くなる)ということは・・・

●骨が短くなるのと一緒に、筋肉、神経、血管も短くなるということです!

このことを良く覚えておいて下さい。


5、手術による筋力低下

手術は人工的なケガです。手術をするとケガの影響で筋力が出にくくなります。ましてや、手術直後は人工的なケガの痛みによりさらに筋力が出ない状態ですね。
手術によって骨はかっこよくなり正常に近づきます。しかし、骨まで達するまでに切られた筋膜や靭帯や筋肉は手術することによって正常から遠のくのです。
よく考えるまでも無く当たり前のことですね。
長年脚が短く、筋肉や神経や血管が縮んでしまっている人が、人工骨の手術を受けると急に2~3cm脚の長さが伸びるんですよ。つまり骨を元の長さに戻すのです。これは良いことですが、手術によって筋肉や神経や血管も急に2~3cm伸ばされるのです。かなり縮んでいた筋肉などはびっくりしているでしょうね。筋肉がかなり縮んでいると、急に伸ばされた痛みも出るでしょうね。
手術後に痛みが出て先生にそのことを言うと「手術はうまくいってますよ。」と言うでしょう。レントゲン上骨は正常に近づいているのですから。手術が失敗することはほとんどありません。しかし手術後に痛みが出る人はいるのです。そのような方は「手術が失敗した」と言います。
痛みのことを何回も言って先生に怒られた人もいます。「あなたの骨が悪かったんだね」「あなたのリハビリの方法が悪いのです」と言われた方もいました。
もしも、現在そのような状態の方がいたら、骨以外のことに痛みの原因を求めてみてはいかがでしょうか?手術は成功しているわけですから、自信を持って他の治療法を探しましょう。

手術によっては、大腿骨を切って角度を変える手術をする人もいます。
この場合も筋肉の両端の位置関係が変わるので筋肉の長さが変わる可能性があります。重力のかかる位置も変わることがあります。(アライメントの変化と言います)その場合、10年後くらいに、骨盤が極端に傾き脚が内側に曲がってしまう方がいます。
手術後も、気を抜かずにお手入れは必要だと思います。病院の先生方には、長期間の追跡調査をしていただきたいと思います。手術が終わったら私の役目は終わりです・・・みたいな先生がいますが、もっての外です。一生患者さんと付き合う気持ちがないと股関節専門なんて言えないように思います。
この考え方は私の持論ですが、間違っているかもしれません。
私は、股関節を専門に診ようと決断する時に、このことで悩みましたが、一生診ると決めて決意しました。

ただ、問題が2つあります。
1、こっちはそのように決意しているのに、患者さんが去っていく・・・仕方ないですよね。!
2、患者さんより先に死ねない。先に死んだら許してね。
先に死なないように、長生きしながら後継者を育てないといけないですね。ただ、後継者に知識と技術を教えても、優しさというか・・・魂の性質というか・・・
伝えきれないものを感じます。難しいですね、皆さん誰か紹介してください・・・魂の性質の優れている人を・・・・。

最近の傾向として、入院日の短縮化、手術の傷の短小化があります。
手術の傷の短小化は、できるだけ筋肉や筋膜や靭帯を傷つけないようにすると言う意味でよい傾向だと思います。ただ、入院を短縮する為に早い時期から立たせたり歩かせたりするのはどうでしょうか?筋力の出にくい股関節に体重をかけることは良いことでしょうか?内部の切られたところに負担をかけても良いのでしょうか?

私は手術に立ち会ったことがけっこうあります。その時の先生に教わったことは「内部がしっかりくっつくには、5~6週間かかるんです」と言うことでした。
私はこの言葉を今でも信じています。表面の皮膚のくっつき方とは違うはずです。
その状態で、早く立たせる意味は何でしょうか?
入院日が早い病院ほどいい病院的な風潮があるように思います。医学は進歩しています、しかし、人間の身体は進歩していないと思うのですが・・いかがでしょうか?私の中ではまだ疑問程度のことですが、これから手術を受ける患者さんには「手術後は一生懸命リハビリはやらないで下さい」と言って私の考えをお話ししてとにかく手術前に筋肉などを柔らかくすることを心がけています。
ちなみに、人工骨の手術の入院期間は4週間になりつつあります。

  
変形性股関節症患者さんの筋力低下は、今までに説明した筋力低下の原因が2つや3つ重複していることが多いです。
筋力低下=筋力トレーニングだけではないということをご理解いただければと思います。

変形性股関節症を怖がらないでね





筋力低下についてのお話

2006-01-17 18:01:47 | トレーニングのこと
私がこの仕事をしてきて、患者さんから言われた言葉に感動したことはいっぱいあります。
『先生、私の人生を変えてくれてありがとう。』
『股関節が悪くなって良かった。』などなど・・・。
患者さんと一緒に感動のキャッチボールをしてしまい泣いてしまうことも多いですね。
股関節が悪くなったことにより、多くの人と知り合えて、他の人を思いやる気持ちが出て、自分の生き方も変わる・・・悪いことばかりではないんですね。
変形性股関節症の真実を理解できると、そのような気持ちも生まれてくるのかもしれませんね。

さて、前回まで診療の間違いを説明してきました。その中ですでに触れていますが、今回は筋力低下について説明しましょう。

皆さんは筋力低下と言うと筋力が低下することだと思うでしょう。しかし、筋力低下には、『筋力はあるのに筋力が出せない』状態もあるのです。このことはなかなか一般には理解されていません。ですから、すぐに『筋力低下=筋力トレーニング』と考えがちなんです。
筋力低下と言ってもいろいろな原因があるのです。診察のお話のところでも触れましたが、いろいろな原因を一つに絞り込もうとすることが重要なのです。


筋力低下にもいくつかの原因があって、それぞれの原因によって治療法は異なるんです。
皆さんも何か問題が起こったら、原因を絞り込んでくれる先生を探してくださいね。原因を1つに絞り込めると、適切な治療法が導き出されることをご理解ください。
筋力低下について理解できた時、『筋力トレーニング不安症』はなくなることでしょう。


筋力低下の原因

1、使わないことによる筋力低下
2、痛みによる筋力低下
3、筋肉の病気による筋力低下
4、脚の長さ短くなる為の筋力低下
5、手術による筋力低下
  


1、使わないことによる筋力低下
 
 人間の正常な筋肉は、筋肉を輪切りにした時の断面積の広さで筋力が決まります。細かく言うと、断面の1平方cmあたり5~6Kgの筋力が出ると言われています。わかりやすく言うと、筋肉の太さによって筋力が決まるのです。
病院で先生に脚の太さを計られた方もいらっしゃると思いますが、あれは筋力を測っているのです。もちろん正確さには欠けますが、すごく参考になります。


   脚の太さの計り方(計るのは他の人に頼みましょう)
   まずメジャーの使い方ですが、太さを測るとき、脚に回したメジャーを一度
   強く締めて、次に軽く緩ませたときのメモリで計ります。
    ●ももの太さの測り方です
     1、仰向けに寝て軽く膝を曲げましょう(左右同じ角度で膝を曲げる)
     2、左右の膝のお皿の上縁に印をつけましょう
     3、左右ともその印らかまっすぐ10cm上のももに印をつけましょう
     4、お皿の上10cmにつけた印の周りの太さを測ります。(左右)
    どうですか?左右差はありましたか?
    ●次にふくらはぎの太さの測り方です。
     1、ふくらはぎの一番太い部分を探し印をつけます。
     2、一番太い部分の周りを測ります。(左右)
    どうですか?一般的には細いほうが筋力が低下していると判断します。
    まれに、太いほうがむくんでることはあるんですが、まれです。

脚の太さに差があった人は、今まで脚をかばう必要があったのですね・・よく頑張られたと思います。今後は、股関節痛を取って少しでも多くの体重がかけられる様になるといいですね。

普通、人間は左右の脚を均等に使いますので、左右の脚の太さには差がありません。人間が立っている時、脚は“体重を支える”というトレーニングをしています。体重が重い人ほど支える力も必要なので脚は太くなります。

皆さん、脚が太いということは筋力があって、関節が長持ちすると言うことなんですよ。脂肪だけでは脚は太くなりませんからね。太いことに自信を持ちましょう。
また、遺伝によってはぜんぜん太くならない人もいます。このような人は、太くなりにくい筋肉がしっかりしているんですよ。
マラソンの高橋尚子さん、あんなに鍛えているのに脚は決して太くないですよね。細い脚は、持久力に優れている場合が多いのです。

もともと筋力には2種類あります。瞬発力と持久力です。
一般的に筋力と言うと瞬発力のことを指します。私がここで使う筋力とは主に瞬発力のこと指しています。
脚が太い、細いと言うときに大事なことは、その太さよりも、左右差です。脚が細くとも普通に生活ができ、左右差が無ければ正常と言うことです。

人間の脚は使う量が減ると細くなります。脚をかばうと脚が細くなるのは、脚を使う量が減るということだけです。変形があるからではないのです。

ではなぜ脚をかばうのでしょう?
股関節痛があるから?
病院では股関節痛を取ってくれないんですよね?股関節痛を理解してくれる人がいないんですよね?それなら自分で股関節痛を取ることを考えますか。

怖いから?
体重をかけると骨や軟骨がつぶれそうなイメージがあるんですよね。まして、「骨に穴があいていますよ」なんていわれている方はなおさらですよね?
骨は体重をかけないと弱くなるんですよ。脚をかばうと弱くなるんですよ。骨に穴があいたら穴の周りが硬くなってつぶれないようにしてくれるんですよ。もしも、強い股関節痛がなく、今以上に体重をかけられるようなら骨は強くなるんですよ。
筋力も強くなるんですよ。その筋力が骨を守って股関節を長持ちさせてくれるんですよ。
骨も筋肉も、皆さんが考えている以上に利口であるということを信じて怖がらないで下さい!
まず筋肉を正常に戻すこと。正常になると股関節を守る力が強くなりますので、股関節が長持ちします。
そして、股関節痛が出ない範囲で、脚に体重をかけてくださいね。

患者さんはよく言います「今日も筋力トレーニングをサボってしまった・・・このままじゃ、どんどん脚が細くなってしまう・・」と。
この考え方が『筋力トレーニング不安症』の原因なんですね。こんな間違った考えは捨ててくださいね。
確かに脚をかばうと脚は細くなり筋力は低下します。しかし、脚をかばった分だけしか脚は細くなりません。あるところで細くなるのは止まります。それまでに体重をかけられるようにするにはどうしたらいいかを考えればいいのです。トレーニングをしないと脚が細くなるといいますが、日常生活で脚に体重をかけているではないですか?それもトレーニングではないのですか?
私は特にスポーツはしていません、筋力トレーニングもしていません、階段を上らずエスカレーターを使う派です。そんなヘナチョコ野郎なのに、どうして脚は細くならないのでしょうか?脚の太さに股関節の形は直接は関係ないのです。

いけませんねぇ。言いたいことが山ほどあるので、ついつい力が入ってしまい。話がまとまりませんね。文章力の無さを感じます。

使わないことによる筋力低下についてまとめましょう。

これはあくまでも、筋肉が正常であると言うことが前提です。正常な筋肉には痛みは出ません。脚を使わなかったという経緯があり、痛みが無く脚が細く(特に左右差がある場合)なっている時は、筋力低下の原因は使わないことによる筋力低下と判断します。この場合、有効な治療法は筋力トレーニングです。しかし、痛みが無く左右に均等に体重がかけられるのであれば、放っといても脚は太くなりますよ。


     左右への体重のかかり方の計り方
     1、体重計を2つ用意して、1つに左脚、もう一つに右脚を乗せます。
     2、自然な形で立ってみましょう。
       (バランスの悪い方は、誰かに支えてもらうか、
            あまり危険そうなら無理しないでくださいね)
     3、そのときの左右の数値を他の人に読んでもらいましょう。
     どうでしたか?左右に均等に体重がかかっているかがわかるはずです。

 
大きな左右差があった方は、左右の体重計の数値が左右均等になる感覚を学習してみましょう。ただし、あまり股関節痛が強かったら無理しないでくださいね。
左右がほぼ同じ値だった方は、何も心配ありません。その状態で日常生活を送るだけでいいのです。


2、痛みによる筋力低下

 痛みの原因はさておき、痛みがあると筋力があるにもかかわらず、筋力が出ないことがあります。一見筋力が低下したようにみえるのです。

『横向いて寝て、足の先に重りをつけて脚を挙げてください』と病院ではよく指導されますね。中殿筋という筋肉のトレーニング法です。
この運動の時に股関節周囲に痛みが強く脚が挙がらない人がいます。
「あー筋力が無いなぁ・・」と言う前に、痛みがあったと言うことを自覚しましょう。そして、“痛みがあるときの筋力は信用するな”と考えてください。
人間は痛みがあると筋力が十分発揮できないんですから。

運動(日常生活も含む)している時に痛みを自覚できたら、次に痛みの原因を考えましょう。
そう、股関節の正常な位置を触診すればいいんですよね。その結果、股関節に激痛があれば股関節の炎症が原因、激痛が無ければ筋肉の病気が原因と考えましょう。
そうすると、治療法が見えてきますよね。
股関節痛を取りたいですよね。何と言っても痛みが一番いやですもんね。痛みが続くと“うつ状態”になることもありますからね。
絶対に皆さんの近くにも痛みを取ってくれる人がいるはずです。探して探して探しまくりましょう。

今回はこれまでです、最近目が疲れて・・・。
次回筋力低下の原因3~5について説明しますね。
もしかしたら、筋肉の痛みの簡単な取り方が・・・かもよ。

変形性股関節症を怖がらないでね











診療の間違い⑤

2006-01-16 10:54:42 | 診療のこと
変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①、②、③についてはすでに説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。

今回は前回に引き続き④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。について説明します。

前回、変形性股関節症の説明及び指導における“常識”と言われていることについて、その間違いを挙げてみました。



変形性股関節症の“常識”の非常識
1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。
2、変形は進行性ではないから進行は止められる。
3、脚をかばうことはよくない場合がある。
4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。
5、股関節痛は炎症ではないことが多い。
6、治療法は手術以外にも多くある。


そして、1、~3、の“常識”の非常識さについては前回説明しました。
今回は残りの4、~6、について説明します。


4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。

 皆さんは病気の時に筋力トレーニングをしますか?
筋肉の病気である筋・筋膜症候群についてはすでに簡単に説明してきました。
筋肉が病気の時に筋力トレーニングをしてもいいと思いますか?
筋は正常な状態と病気の状態の時がありますので、診察で筋肉の状態を把握したうえで、筋力トレーニングの指導をするか、筋力トレーニングはしばらく止めさせるかを判断して、患者さんに助言しなくてはならないのです。
 ところが、ほとんどの先生は「筋力トレーニングをしてください。」と言います。

 はっきり言います。筋肉が正常な時に行う適切な筋力トレーニングは効果的ですが、筋肉が病気の時の筋力トレーニングは股関節痛をはじめとする股関節の状態を悪化させます。

このように書くと、混乱する方がいらっしゃいますので、筋肉の病気の特徴と筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方を説明しますね。


筋肉の病気の特徴
1、筋力が低下する
 筋力は筋肉の太さに比例します。太い筋肉ほど筋力が強いのです。
 通常、筋力低下というと筋力が細くなることを意味します。(脚が細くなる)
 ところが、筋肉が病気の時の筋力低下は通常の筋力低下とは異なります。
 その人の持っている本当の筋力は低下していないのに、筋力を計測すると筋力が 発揮できないため結果的に一時的な筋力低下となるのです。
 皆さんも、風邪を引いている時に筋力が出ない経験があると思います。筋肉の病 気では、筋力はあるのに筋力が出ないのです。ですから、筋肉が股関節の衝撃を 吸収できなくなるのです。筋肉の病気は治療が必要なわけがご理解できると思い ます。筋肉の疲労状態なら風呂に入って休めば疲労は取れます。筋肉疲労は病気 ではありません。筋肉の中に乳酸という疲労物質が溜まって脚が“重く”感じら
 れますが 、それは誰にでもある現象です。
 
 筋肉が病気の時は、筋肉内の血液循環が悪化していて(血管が縮むから、また、
 コリによって血管が圧迫されるから)お風呂で温めても、十分な休息をとっても どんどん筋肉内に乳酸が溜まってしまい、やがてその乳酸はセロトニンという痛 みの物質に変化して痛みを出すのです。風呂や温泉で温めても、十分な休息をと
 っても症状が改善しないのです。
 
 以前、交通事故後の患者さんで以下のような経験をしたことがあります。30代 の男性でしたが、右手の握力が出ないということで私の施術を希望されて来まし た。痛みは肩にありました。左の握力は60Kgでしたが、右の握力は25Kgでし た。腕の太さを測ると、左右差がなかったので、使わないことによる筋力低下で はなく、交通事故後の筋肉の病気による筋力低下だと判断し、右肩~腕を中心に 1時間の施術をしました。交通事故から2ヶ月しかたっていなかったので、1週 間後に来られた時は、右の握力は55Kgまで回復していました。

 皆さんの中には、脚をかばって脚が細くなって筋力が低下している方が多いと思 いますが、その筋力は筋肉の病気によって更に低下している可能性があるのです
 。筋肉の病気による筋力低下については、筋・筋膜症候群について勉強した人に は常識的なことです。この事実を理解することが、筋力トレーニングをするうえ では重要なんですよ。

2、痛みが出る
 慢性的筋肉疲労の蓄積、股関節の炎症、股関節のケガ、股関節の手術などが原因 となり筋・筋膜症候群は起こります。
 筋・筋膜症候群では、筋肉内に痛みの物質が増えます。痛みの物質は筋肉内の循 環を良くしてあげると血液によって流せれますので、痛みは減るはずなのですが
 、お風呂で温めるくらいでは筋肉内の循環が良くならないところが病気なのです
 。筋肉をしっかり押して筋肉を柔らかくしてあげることが痛みを取り去るための 近道なんです。股関節は人体の深いところにあり、股関節を守っている筋肉も深 いところにあります。ですから、強めに押さないと深い層の筋肉の痛みを取るこ とができません。私の患者さんは、ありとあらゆるところで治療を受けてきてい る人が多いです。表面の筋肉だけをほぐす、残念ながらマッサージや指圧では深 い層の筋肉の痛みは取りきれません。押す力としては20Kg位の差ですが、効果
 としては大きな差なのです。
 筋肉の中に痛みの物質が溜まっていますので、最初の3回くらいは押されると痛 みを感じる患者さんがほとんどです。しかし、4~5回目くらいの治療から押さ れても痛くなくなってきます。筋肉が正常に近づくからです。この頃には、股関 節周囲の痛みもかなり楽になるんですよ。

筋肉の病気の大きな特徴は以上です。筋肉の病気というと難しく感じますが、関節痛の他には、ギックリ腰、肩こり、腱鞘炎、脚がつるといった皆さんにも馴染みの深い症状も含まれるんですよ。

次に筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方を説明しますね。


筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方
1、筋力トレーニング中に痛みがあれば筋肉の病気と考えて、筋力トレーニングを  その場で止め、しばらく筋力トレーニングを行わない。
2、筋力トレーニングの直後に痛みがある場合も筋肉の病気と考えて、しばらく筋  力トレーニングを行わない。
3、筋力トレーニング後に痛みが出て、その痛みが1週間以上取れないような場合  も筋肉の病気が考えられますので、しばらく筋力トレーニングを行わない。

この3点を参考にしてください。“しばらく筋力は行わない”というのは、個人差はありますが、2~3週間と考えます。この間に筋肉のお手入れ(治療)を行うことが理想です。
筋力トレーニングの翌日に出て2~3日で取れる筋肉痛は正常な範囲の筋肉痛です
。誰にでも起こる筋肉の痛みですので、筋力トレーニングは続けてください。

最後に皆さんが間違えやすい考え方について説明しておきます。


1、股関節痛があるから、股関節痛をとる目的で筋力トレーニングを行うという考  え方は間違っています。

 股関節痛は筋肉の病気の可能性が高い。筋肉が病気であるのに筋力トレーニング は逆効果になるからです。

2、筋力トレーニングをしないとどんどん筋力が低下していくという考え方は間違  っています。

 脚をかばうとある程度までは筋力が低下しますが、あるところで筋力低下は止ま ります。日常生活で無理のない範囲で筋肉を使っているからです。

3、筋力トレーニングはやればやるほど効果があるという考え方は間違っています  。

 効果的に筋力をつけるには、筋肉を休めることが重要だからです。皆さんも毎日 きつい仕事をすると疲れすぎますよね。ですから休日があるのです。
 筋肉も同じです。筋肉内に疲れを貯めすぎないことが重要です。
 私は週2~3回の筋力トレーニングを勧めることが多いですが、個人差がありま すので、自分の筋肉とよく対話をして決めてください。筋肉は非常にお利口さん で、疲れている時は“重い”という感じで教えてくれますし、病気の時は“痛い ”という感じで教えてくれます。筋肉の訴えをよく聞いてあげてください。
 “重い”は黄色信号、“痛い”は赤信号ですよ。
 筋肉を休めることもトレーニングなのです。
 
4、雑誌やテレビで紹介されている筋力トレーニングをそのまま行うことは間違っ  ています。

 雑誌やテレビで“股関節に効果があるトレーニング”なんて特集があっても、参 考程度として一生懸命やらないで下さいね。
 何度も言いますが、変形性股関節症患者さんの機能や症状には個人差が大きいか らです。
 特に、トレーニング回数や重りの重さ(2kgの重りをつけて、脚を挙げて7秒止 める運動を20回行う・・とか)などを具体的にした雑誌やテレビの情報を鵜呑 みにすることは危険です。4年ほど前、NHKで変形性股関節症の筋力トレーニン グを具体的に説明したことがあります。
 その直後、その通りの筋力トレーニングをやって痛みが悪化した患者さんが増え て苦労した経験があります。
 雑誌やテレビの監修を行っている○○病院の○○先生もそうですが、マスコミの 方々にも勉強が必要だと思いますよ。

5、股関節痛は炎症ではないことが多い。

一般的に、股関節痛は骨と軟骨の変形が原因であると説明されています。
骨と軟骨に変形があっても痛みを感じない人がいるにもかかわらずです。
こんな話が良くあります。「あなたの骨は変形が強いですね。あなたは痛くないと言いますが、本当は痛いはずです。」「あなたの骨や軟骨には変形がありません。あなたは痛いといいますが、本当は痛くないはずです。」信じられない話ですが、実際に先生からそう言われた患者さんがけっこういるのですよ。
骨と軟骨自体には神経がないので痛みは感じません。

先にも書きましたが、股関節の炎症と筋肉の病気が原因です。
自分で股関節の触診をして、股関節に圧痛(股関節に圧迫を加えたときの痛み)がなければ、股関節痛の原因は主に筋肉の痛みだと考えるべきなんです。

この考え方は繰り返し説明していますのでもうご理解していただきましたか?
ただし、このような説明をする先生はほとんどいませんし、このような説明をしている本もありません。
私はただ経験から想像して話をしているわけではありません。医学的な常識を並べて説明をしているだけです。皆さんが私を信じるも信じないも自由です。
私の説明を読んで納得できる部分があれば、是非信じていただきたいと思います。
その方が、ずっと心も体も楽になりますよ。
 もしも、病院の先生が骨と軟骨の変形が股関節痛の原因であると説明するのであれば、どうして変形があるのに痛みがない人がいるのかを説明してもらってください。「変形が強くなると股関節が動かなくなり股関節に負担がかからなくなるからい痛みが無くなるんですよ」と、もっともらしい説明をする先生がいるとは思いますが、そんな時は「変形が強くなくても痛みがない人がいるのはどうしてですか?」と聞いてみてください。
人間は、骨折すると激痛が起きます。これは骨の痛みではなく、骨を包んでいる骨膜の痛みです、事実骨折によってずれた骨を、元の位置に戻すだけでうそのように痛みは無くなります。
股関節の骨膜があるという人もいますが、骨膜の痛みは激痛です。歩けないとかそういうレベルではありません。寝返りさえできない激痛です。筋肉の病気でも、筋肉がつると激痛が起こる場合があります。もしも股関節に激痛のある方は、急いで筋肉の治療をしてみてください。激痛になってあまり時間がたっていなければ1回の治療で治る可能性があります。
皆さん、レントゲンの結果におびえないで下さいね。


6、治療法は手術以外にも多くある。

患者さんは変形性股関節症の治療に様々な要望をお持ちです。
治療法も選択肢が多いと良いですよね。

例えば、手術はできるだけ延ばしていずれは手術したいと言う要望に対する治療法。手術は絶対にしないと言う要望に対する治療法。手術の前に股関節周囲をお手入れしていきたいと言う要望に対する治療法。手術をしたけど現状をできる限り長持ちさせたいと言う要望に対する治療法・・・・・。

私は、手術をすることに反対ではありません。ただ、手術は最終手段であるべきです。
私は医師ではありませんので手術はできません。しかし、手術現場の見学経験は多くありますので、手術に関するお話はできます。手術の上手な先生を何人か知っていますし、人間性の優れた先生も何人か知っていますし、何よりも患者さんに評判のよい先生を何人か知っています。ですから、私が患者さんに手術を必要と判断した時は、患者さんに何人かの先生を紹介します。

筋肉の治療ができると、手術以外の患者さんの要望にこたえられるようになります。
定期的な筋肉のお手入れだけが必要な患者さんや、積極的な筋力トレーニングができる患者さんや、痛みが出たときだけ筋肉のお手入れが必要な患者さんなど、一人ひとりに合った指導ができます。
最近、都内にトレーニングジムを備えた整形外科で、しっかりしたトレーニング指導者がいるクリニックができました。変形性股関節患者さんは筋肉が病気の人が多く、筋力トレーニングを積極的に行えない方が多いのですが、筋肉を正常に近い状態に戻せて、積極的な筋力トレーニングができる条件が備わっている人には、このクリニックを紹介しています。

「治療法は手術しかありません。」という言葉は嘘です。まずは、筋肉のお手入れをしてくれる先生を探しましょう。手術はそれからでも遅くないのです。

変形性股関節症を怖がらないでね



診療の間違い④

2006-01-13 08:46:09 | 診療のこと
変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①、②、③についてはすでに説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。
今回は④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。について説明します。
まず変形性股関節症の説明及び指導における“常識”と言われていることについて、その間違いを挙げてみましょう。



変形性股関節症の“常識”の非常識
1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。
2、変形は進行性ではないから進行は止められる。
3、脚をかばうことはよくない場合がある。
4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。
5、股関節痛は炎症ではないことが多い。
6、治療法は手術以外にも多くある。

すでに説明している項目もありますが、今回は1、~3、の“常識”の非常識さについて説明します。

1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。

 病院ではレントゲンを重視し過ぎるあまり、骨や軟骨の変形を悪者扱いします。
股関節の骨や軟骨には神経がありませんので、骨や軟骨の変形が直接股関節痛の原因となるわけではありません。骨や軟骨に変形が起きるときに股関節に炎症が出る場合があります。この股関節の炎症は股関節痛の原因になりますので、骨や軟骨の変形は間接的には股関節痛の原因になるでしょう。しかし、股関節の炎症はそう長く続くものではありません。
 皆さんも足首を捻挫した経験はあるでしょう。足首を捻挫すると、足首が腫れて、熱を持って、赤くなって、痛みが出るという炎症症状を起こします。そのような時は、風呂に入って温めると炎症がひどくなりますので、安静にして冷やしますね。
しかし、1週間もすると炎症は取れます。人間の身体には、自己治癒力があります。炎症くらい簡単に治してしまうのです。人間の身体はバカじゃない、とっても利口なんです。もちろん、骨や軟骨も非常に利口なんですよ。

重要なことは、股関節の炎症が去った後なんです。股関節に限らず、人間の身体全体に言える事ですが、炎症がある時には周辺の筋肉が硬くなります。わかりやすく言うと、股関節に炎症があるときは股関節周囲の筋肉がコリます。股関節の炎症がなくなった後もこの筋肉のコリは残り、尻コリ、ももコリになります。肩コリという言葉と同様尻コリやももコリも当然起きます。そのコリに疲労が上乗せされたとき股関節周囲に筋肉痛が出るのです。

これが筋肉の病気であり、股関節痛の主な原因です。交通事故によるむち打ち症(首の捻挫で炎症症状です)の後遺症と同じ考え方です。股関節の捻挫も、変形性股関節症の方には起き易いでしょうね。

筋肉の病気は炎症ではありません。炎症が去った後に残る阻血性(そけつせい:血液の循環が悪い状態)の痛みです。この痛みは、血液の循環が悪いからなので、風呂に入って温めると痛みが楽になります。
皆さんはお風呂に入ると股関節痛が楽になりませんか?
阻血性の筋肉の病気は、筋・筋膜症候群とよばれています。

1990年に発行された滋賀医科大学教授横田敏勝先生の著「臨床医のための 痛みのメカニズム」(南江堂)の中に筋・筋膜症候群という筋肉の病気について詳しく書かれています。
「臨床医のための・・・」の臨床医とは病院で働く先生のことですから、病院の先生向けに詳しく書かれている本です。
この本の中にも一部触れられていますが、1986年にマイアミ医科大学疼痛センターの研究結果では、『当センターを受診した患者さん284人の痛みの原因を調べたら、85%は筋・筋膜症候群が原因だった。』という報告もあるくらいです。

実は、人間の痛みは、炎症ではない筋肉の痛みが原因であることが多いのです。繰り返しになりますが、筋・筋膜症候群はレントゲンには写りませんし、血液検査でも異状が出ません。つまり、一般的な検査上では異状が出ない病気なのです。
触診をして、股関節痛の原因筋を突き止め、その原因筋を治療して、病気になっている筋肉を正常な筋肉に直してあげればいいのです。

筋・筋膜症候群の研究は1939年頃から始まっているにもかかわらず、日本の病院ではあまりにも筋肉が無視されています。
高齢化社会をむかえ、益々整形外科の必要性が高まっていますが、現在の整形外科の診療を見ていると今後に不安を感じます。
私もひどい腰痛で苦しんだ経験があります。その時に8人の整形外科の先生の診療を受けましたが、7人は触診どころか、私の身体に指一本触れてくれませんでした。私は将来、整形外科の先生と組んでこのような現状を変えていくつもりです。

まとめ
レントゲン写真にだまされないでください。股関節痛の主な原因は筋肉の病気による筋肉の痛みですよ。筋肉の痛みは、筋肉の治療で軽減します。股関節痛でお悩みの方で、お風呂に入って股関節痛が楽になる人は、悩んでいないで筋肉の治療を受けてみて下さい。筋肉を少し強くほぐしてくれる先生を見つけてください。私はもう10年このような施術をしています。押すのは筋肉だけです。骨にはまったく影響はありません。人工骨の人でも問題はありません。股関節に詳しい先生を選んでください。そのような施術のできる先生は、マッサージ、指圧、整骨院という看板のついた(国家資格を持つ先生)施術所にいる可能性がありますので相談してみてくださいね。


2、変形は進行性ではないから進行は止められる。

『変形性股関節症は進行性の病気で、いずれ手術が必要です』というのが一般的な常識です。しかし、皆さんよく考えてください。『進行性です・・』といった先生は、皆さんの骨や軟骨の変形の進行を止めようとしてくれましたか?進行も止めようとしないで、気安く進行性なんて言わないで下さい。『進行性』という言葉で、どれだけ多くの患者さんが恐怖や不安を抱えることになるか・・・

正確には、進行を止めるためのお手入れをしない状態では、変形は悪化します。しかし、ちゃんと手入れをしてあげると股関節の進行は止められる場合が多いのです。

股関節にかかる衝撃を吸収して股関節を守ってくれているのは筋肉ですから、筋肉のお手入れをすれば股関節は長持ちします。
この事実は、手術をしていない人はもちろんですが、手術をしている人にも当てはまります。ここで言う「筋肉のお手入れ」とは筋力トレーニングのことではありません。筋肉の病気になって縮んでしまった筋肉(股関節痛を感じる時の筋肉の状態)を柔らかくほぐしたり、ストレッチにてほぐすことです。
そしてお手入れの結果筋肉がほぼ正常(股関節痛がほとんど無くなった時)に戻ったら筋力トレーニングをすればいいのです。

私の患者さんには、病院で「あなたの股関節はあと2~3年しか持ちません。」と言われた方が結構います。
ある人は「じゃあ、あと2年がむしゃらに動いていいと言うことですね!」と言って二度とその病院には行かず、1000Km離れた私のところに来ました。
「あと2年しか持ちません。」と言われたのが平成11年のことですが、現在6年間以上経過してレントゲンにはほとんど変化がありません。本当は、少し変化がありました。その変化とは、平成17年の1月にその患者さんと一緒に山梨の某先生の診察を受けた時にわかったのですが、臼蓋形成不全で、いわゆる“股関節の屋根”があまり無かったのが、今はしっかり屋根ができていました。
一般的にはこの変化を“変形”と呼んで悪者扱いするのですが、実は骨が股関節を修復してくれた結果なのです。
骨って本当に利口なんですよ。

人間の骨が骨折して曲がってくっついても、1年もするとまっすぐな骨になるのをご存知ですか?私は多くの症例を見た経験があります。人間にとって不必要なところの骨は破壊され、必要とされる場所には新しく骨ができるという機能を骨は持っています。人間にとって悪影響を及ぼすような変形なんて考えられません。

最近私は「変形性」「進行性」「末期」撲滅運動を始めました。
「変形性股関節症は進行性で、いずれは末期を迎えます。」と言う説明で使われる3つの言葉の撲滅運動です。

変形性股関節症を英語ではOsteoarthritis of the hipと言います。of the hipは『股関節の』という意味で、Osteoarthritisは『骨関節炎』という意味です。つまり直訳すると、『股関節の骨関節炎』です。この病名の中には変形(Deformity)
や進行性の(Progressive)なんて言葉は含まれていません。いったい誰が“変形性股関節症”という言葉を使い始めたのでしょうか?いったい誰が進行性という言葉を使い始めたのでしょう?

「変形が進行すると末期を迎えます・・・」の“末期”ってイメージ悪い言葉ですよね。
股関節のお手入れをしないで長年経過している人は、骨の変形(修復)が強くなります。いわゆる末期になると、股関節は長年の修復によって安定する為、股関節痛は出にくくなるのです。

以上の理由で私は以下のような提案をします。


「変形」 →「修復」
「変形性」→「修復性」
「進行」 →「修復」
「進行性」→「修復性」
「進行期」→「修復期」
「末期」 →「安定期」


「変形性股関節症は進行性で、いずれは末期を迎えます。」と言う説明は「修復性股関節症は修復性で、いずれは安定期を迎えます。」ということになります。

長年股関節のレントゲンを眺めてきて、股関節の変形パターンは大きく分けて2通りあります。
股関節の屋根(寛骨臼蓋)が伸びて屋根ができ股関節の上下の骨の接する面積が広くなるか、大腿骨頭が象の鼻のように伸びて股関節の上下の骨の接する面積が広くなるかです。
どちらも“変形”と呼ばれて悪いイメージをもたれていますが、私には、どう見ても股関節の上下の骨が接する面積を広くして、股関節を安定させ、炎症が起き難い安定した股関節に修復がなされているようにしか見えません。

変形性股関節症の進行は止められるんですよ!

まとめ
筋肉のお手入れをすると、変形の進行は止められます。変形は実は怖い現象ではなく、修復という皆さんの味方です。
今までの修復に感謝して、今後は現状の維持に努めましょう。



3、脚をかばうことはよくない場合がある。

病院では「脚に体重をかけると、股関節痛が強くなるし、軟骨が減るので脚をかばいなさい。」とよく説明されますよね。
患者さんは、悪いほうの脚に体重をかけることを怖がり、杖を持つようになります。この日から、脚の筋力が低下して脚は細くなってしまうのです。

「脚をかばうと、脚が細くなるのでその分を筋力トレーニングで補ってください。」一見まともな説明ですが、脚をかばっていてはなかなか筋力はつきません。

脚に体重をかけると軟骨が減る(変形が悪化する)ということですが、半分は本当で半分は間違いです。

筋肉が正常かそれに近い状態では脚はかばうべきではありません。このような時は筋肉の筋力が股関節にかかる衝撃をしっかり吸収してくれるので軟骨は減りません。
せっかく股関節が長持ちするように股関節を守ってくれている筋肉の筋力を、脚をかばうことにより低下させて良いのでしょうか?

専門的に、脚をかばうなどの理由で脚の筋肉を使う量が減って筋力が低下することを廃用性筋萎縮(はいようせいきんいしゅく)と言います。廃用性とは『使わないことによる・・』と言う意味です。
極端な例を挙げると“寝たきり状態”です。脚をかばいなさいということは、“寝たきり状態”に近づきましょうと言うことですので、脚をかばうことが良いわけはありません。なぜ、正常に近い筋肉の筋力をわざわざ低下させなければならないのでしょう?
また、脚をかばうと骨も弱くなります。人間の骨は重力が加わらないとだんだん骨が弱く細くなるようにできています。骨は細くなり、骨の中の穴は広くなります。人工骨の場合、骨の中の穴に人工骨を差し込みますので、あまりかばいすぎると人工骨のゆるみにつながる可能性もあります。

皆さんがよく誤解をしていることですが、普通人間は左右の脚を5:5の割合で使っています。ですから普通は左右の脚の太さは等しいのです。5:5の割合だったのが脚をかばうと6:4の使い方になります。従って左右の脚の太さも6:4になります。かばったほうの脚は5から4まで細くなります。しかし、同じかばい方を続けていれば、脚の細さは4のままで3とか2までどんどん脚が細くなるわけではありません。ですから「筋力トレーニングをしないとどんどん脚が細くなる」なんて非常識なことは考えないでください。『筋力トレーニング恐怖症』になってしまっている人が実に多いのです。

もちろん、骨も少しは細くなりますが、細くなるのはあるところで止まりますので、人工骨がゆるむ事なんてほとんどありません。心配しないでください。
つまり、人間の骨も筋肉も日常生活上で使った分だけ太くなり、かばえばかばった分だけ細くなると言うことです。

人間の脚に体重をかけると軟骨は減るのでしょうか?もしそうなら、スポーツ選手は変形性股関節症だらけですね?それでは、骨の形が正常ではない人は脚に体重をかけると軟骨が減るのでしょうか?筋肉が正常に近い常態では、筋肉の筋力が股関節にかかる衝撃を吸収しますので、軟骨には負担はかかりませんので軟骨は減ら内のです。


しかし、股関節痛が強い時は、筋肉が病気になっていますので股関節にかかる衝撃を吸収できません。この時は脚に体重をかけると軟骨が減る場合があります。
股関節痛が強い人、歩く時のバランスが悪い人は杖をついて脚をかばってください。そして、できるだけ早く筋肉の病気を治して正常に近い筋肉にする為に筋肉をほぐす治療を受けてください。

筋肉のお手入れができて、悪いほうの脚で片足立ちをしても股関節が痛くなくなったら、脚をかばうのは止めてください。筋肉が正常に近くなり、脚に体重がかけられると、見る見るうちに脚は太くなります。

脚を使っていなかったから脚の筋力が低下して脚が細くなっているだけですから、痛みが取れて脚に体重がかけられると当然脚は太くなります。
実は、脚を太くすることに関しては“筋力トレーニング”なんて必要ではなく、重要なのは筋肉の病気を治して股関節痛を軽減させるお手入れをすることなんです!

変形性股関節症という病気が脚を細くしているのではありませんよ。


『木を見て森を見ず』こんな診療が行われています。変形性股関節患者さんの股関節だけ見て全身を見ない診療。変形性股関節症患者さんは、股関節ではありません!人間です!
全身を見ることは常識であり重要です。
脚をかばうということは、先のような問題もありますが、脚のアンバランスは腰、背中、肩、首、腕の筋肉にもアンバランスをもたらします。
変形性股関節症患者さんに腰痛、背筋痛、肩こり、頭痛、めまい、不眠症、杖を使う為の腱鞘炎が多いのも脚をかばうことが一因であることをお忘れなく。

股関節痛が取れた時、脚に体重をかけることへの恐怖が取れた時、
 
 股関節痛の増加→脚をかばう→筋力低下→股関節への衝撃吸収力低下→
→股関節痛の増加→・・・・・・と言う悪循環が無くなり、徐々に元気な股関節に、徐々に元気な体に戻っていきますよ(骨、軟骨変形の進行が止まります)

まとめ
軽くテーブルにつかまって、悪い方の脚で股関節痛が無く片脚立ちのできる人は、脚をかばう必要がありません。心と体の安定のために杖はついても良いのですが、杖に頼りすぎず、しっかり脚に体重をかけましょう。片足立ちをしようとすると股関節痛が強くできない人は、まずは脚をかばってください。次に筋肉を正常に戻すために筋肉のお手入れをして、筋肉が正常に近づき片足立ちができたら脚にしっかり体重をかけましょう。脚に体重をかけることほど、自然であり効果的な筋力トレーニングはありません。日常生活が立派な筋力トレーニングになるのです。

変形性股関節症を怖がらないでね

つづく




診療の間違い③

2006-01-12 15:45:45 | 診療のこと
変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①、②についてはすでに説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。

今回は③患者さんの心を無視した診療であること。について説明します。

堅苦しい話の前に、皆さんに質問です。
「心はどこにあるのですか?」
さぁ、どこにあるんでしょうねぇ?
胸の辺りでしょうか・・?
失恋すると「胸が痛い」もんね、そう言えば、よく失恋したなぁ・・バイクを飛ばしながらヘルメットの中で大泣きしたなぁ・・・オオオットォそんな話ではなっかですね。

おそらく心は脳の中にあるんでしょうね・・?
本当は体のどこかにいる魂の中かもしれませんが・・。
一般的に心は脳の中にあると言われています。
心は五感に不快な刺激を受けると交感神経が興奮して身体は興奮状態になります。そうなると血管が縮まって肩こりなどの筋肉の痛みを出しますし血圧も上がりますね。
また、胃腸の動きは悪くなり、便秘や消化不良が起きますね。
さらに、意識はしませんが身体が興奮しているので不眠症になりますね。
白血球の中のリンパ球が減り免疫力も落ちますね。
心の状態が悪く、身体の症状として現れることを心身症と言います。
股関節痛も心身症の一種です。

反対に、五感に快い刺激を受けると副交感神経が働いて身体はリラックスします。これが癒された状態です。
交感神経と副交感神経を合わせて自律神経と言います。
心と身体の間には自律神経が関係するんですね。
 
 つまり・・ 心→自律神経→身体  その逆も・・ 身体→自律神経→心

本来、病院は癒しを求めて行く場所なんですが・・・病院で皆さんの五感はどのような刺激を受けているのでしょうか・・・?

それでは本題に入りましょう。

③患者さんの心を無視した診療であること。

私は、患者さんが医療関係者から受ける、主に言葉による暴力をメディカル・ハラスメントと呼んでいます。

「病院に行かなきゃよかった」私の患者さんが初診時に言った涙ながらの言葉です。
その方は、初めて受診した病院で変形性股関節症の怖さについて散々聞かされたようです。
この患者さんを私が初めて診た時は、表情が暗く今にも泣きそうでした。
しかし、関節の動きも筋力も正常で、股関節に炎症も痛みもありませんでした。
現在の股関節の状態が非常に良いことを説明し、手術の必要性はまったくないことを説明しましたが、表情は益々悪化していきました。
そして、とうとう「先生、もう私の心が壊れます。手術をしようと思います。」と言ってきました。
余程のことが無い限り「手術をしたほうが良いですね。」とは言わない私も「手術をしたほうが良いですね。○○病院の○○先生と△△病院の△△先生と□□病院の□□先生の診察を受けてみて、自分が納得できる先生に手術をお願いしてみてはどうですか?」と言いました。
私の力が及ばなかったことはもちろんですが、一度心に受けた傷はなかなか癒せないこともあるのですね。
いわゆる心のトラウマですね。
メディカル・ハラスメント、無くしてほしいものです。
患者さんもそんな先生には、はっきり言っていただきたいと思います。
「先生、それはハラスメントです!」と。

患者さんはどのような気持ちで診察を受けに行くのか・・・十分配慮して言葉を選んでいただきたいと思います。
患者さんには、病気に関する認識力や理解力、心の強さに大きな個人差がありますので、その辺を良く知ってから話しても良いのではないでしょうか?
病院の初診時に、手術日まで決めようとする先生がいます。
私も多くの患者さんからそのような話を聞きました。
日本で有名な先生も多く含まれています。
私はそのような先生を名医だとは思いませんので、私の患者さんには絶対受診を勧めませんね。

患者さんは心に傷を持つと、余計な病気を抱えてしまうことになります。
診療を受けたら、患者さんが元気になるような診療をしていただきたいと思います。

うれしいことに、最近は元気になる診療を行ってくれる先生が少しずつですが増えているように思います。

皆さん、ハラスメント診療は間違っています。
ハラスメント先生の診療なんか中途でお断り、元気の出る診療のできる先生を探し続けましょう。
きっと皆さんにとっての名医はいますよ。



変形性股関節症を怖がらないでね


診療の間違い②

2006-01-11 01:05:10 | 診療のこと
変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①については前回説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。


今回は①の説明で不足していた股関節の位置について説明した後に②について説明しますね。


●股関節の位置
 皆さんは「股関節が痛い。」と言いますが、股関節の正確な位置をご存知ですか?
「股関節が痛い」と「股関節の周りが痛い」とでは大きな違いがあります。
正確な股関節の位置を知ることは、自分の股関節の触診に役に立ちますし、自分で自分の股関節が触診できることは、股関節に炎症があるのか無いのかと言う判断に役立ちます。
基本的に、レントゲン上いくら骨や軟骨に変形があろうとも、股関節に炎症が無ければ、股関節の症状は落ち着いていると考えます。
骨や軟骨の変形と股関節の炎症は一致しません。

股関節の正確な位置
皆さんが椅子に座った時に、ももとお腹の間にシワができますよね。
腰骨~股の内側までシワがあるとして、そのシワのほぼ中央(ももの上のほぼ中央)に動脈の脈を感じるところを探してください。
その脈の中に股関節があります。
皆さんが思っているより意外と内側ですよ。
皆さん股関節を軽く押してみてください。

ここが実際に痛みを感じる場所ですか?

軽く押してみて痛みを感じましたか?
どちらも「いいえ」と答えた方は、筋肉の痛みが股関節痛の原因である可能性が高いと考えましょう。
病院では股関節の痛みではなくとも「股関節周囲の痛みは、股関節から来る痛みです。」と説明されるでしょう。
その説明には根拠がありません。
筋肉痛が股関節痛の原因である可能性があれば、筋肉の治療をするべきですよね。
皆さん、よく覚えておいてください・・・

“筋肉にも病気があるのです!”
筋肉の病気について理解することは、非常に重要ですので後で詳しく説明しますね。
もしも、皆さんの股関節痛が筋肉痛であるとすれば、股関節痛は無くなる可能性があります。
実は、筋肉の病気が改善すると、骨と軟骨の変形の進行が止められる可能性もあるのです。
なぜなら、股関節への衝撃を吸収して股関節を長持ちさせるのは筋力です。
筋肉が病気になるだけで筋力が低下しますが、筋肉の病気を治療するとすぐに筋力が出るようになるのです。
正常な筋肉では、しっかり筋力が出て、股関節を守ってくれるからです。

前置きが長くなりましたが・・・次に診察の間違い②を説明しましょう。

②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
 変形性股関節症患者さんは一人ひとり症状や治療が異なります。かなりの個人差があります。



個人差
1、変形性股関節症の原因の違い
2、変形性股関節症の経過の違い
3、変形性股関節症の治療方法に対する考え方の違い
4、骨や筋肉の質と量の違い
5、心の強さの違い
6、日常生活での活動量の違い
数え上げればきりが無いかも知れませんね。

重要なことは、同じ変形性股関節症でも個人差が実に大きいと言うことを理解することです。
これは、患者さんはもちろんですが、医療従事者もよく理解しなければならない事実です。
変形性股関節症は、もともと先天性股関節脱臼か寛骨臼蓋形成不全と言う病気が原因で起こる場合が多いです。
そして、症状が子供の頃から出ている人もいれば、40才前後から症状が出ている人もいます。
手術をすぐにしてでも動きたいと思う人もいれば、手術はできるだけ延ばしたいと考えている人もいれば、手術は絶対にしないと決めている人もいます。
治療法に対する色々な希望があると言うことは、通常は病院でも色々な治療法を準備しないといけないと思います。
「この病気の治療法は手術しかありません。」と言う先生は努力不足だと思います。
私の患者さんには、絶対手術はしない!と決めている人がいます。
「あなたは手術しないんだから、もううちの病院には来ないでください。」と言われ憤慨している人がいます。
「いずれ手術をするかも知れないけど、できるだけ股関節を長持ちさせたい」と言う人もいます。
「手術をするので、その前に筋肉をほぐしていただきたいのです」と言う人もいます。
「一度手術をしたが、もう2度としたくない」という人もいます。
私は一人ひとりの希望をかなえるような仕事をしています。
患者さん一人ひとりの希望にそえる治療の選択肢があった方がいいですよね。

骨や筋肉も個人差が大きいですね。
遺伝的な要素が大きいのですが、もともと骨が太くて強い人、骨が弱くて細い人、もともと筋肉が太くて力のある人、筋肉は細いが持久力のある人・・・。
人間の筋肉には2種類の筋線維があります。赤筋と白筋です。
赤筋は鍛えてもあまり太くなりませんが、筋肉の持久力に優れている筋線維です。つまり、疲れにくい筋線維です。
一方、白筋は鍛えると太くなり、筋肉の瞬発力に優れた筋線維です。
ただ、持久力が弱く疲れやすい筋線維です。
人間は赤筋と白筋の割合が一人ひとり違うのです。
ですから、同じ運動をしても、疲れにくい人と疲れて痛みが出やすい人がいるのです。
ですから、集団で同じ運動を行うことや「2Kgの重りをつけて、足を挙げて7秒間止める運動を20回やりましょう」という運動には危険性があるのです。
ましてや、筋肉が病気の状態で運動をさせることは股関節痛を悪化させることがあるのです。
皆さんは病気のときに運動をしますか?股関節が痛いから運動をするという考えには危険性があるのです!
ご安心ください。筋力トレーニングについての考え方についても後で詳しく説明しますね。

あとは、心の強さや素直さにも個人差がありますよね。誰でも病気になると心にストレスを感じます。
心の強さとは、そのストレスが溜まりやすいか溜まりにくいかということです。
ストレスは血管を縮め筋肉を硬くしますので、ストレスだけでも筋肉が原因の股関節痛が出ることがあります。
例えば、股関節痛のレベルが10点の方がいて、治療によって6点まで改善したとします。この時に「やったー、4点も良くなったと笑顔になりストレスが少なくなるか、「あーあー、まだ6点も痛みがあると落ち込んでストレスを増やすかの違いです。

また、病院の先生の言葉なんかも心に強く影響しますよね。
中には言葉の暴力(ハラスメント)をふるう先生もいますからね・・・。
最後に日常生活での活動量にも個人差はありますよね。
仕事をしているかしていないか、ご両親の面倒をみているかみていないか、ご主人の協力が得られるか得られないか、家事を多くやらなければならないか他の人に任せられるか・・・などで生活の中での活動量にかなりの個人差が出ますよね。
このように患者さん一人ひとりの個人差が大きいということは、病院の診療では、このような個人差を良く調べながら一人ひとりに合った診療が行われなければなりません。
また、皆さんも他の患者さんと自分を比較してはいけないということですね。
皆さんの担当医は、ワンパターン診療を行っていませんか?
ワンパターン診療は間違いです。

ワンパターン診療の結果を鵜呑みにして落ち込まないでくださいね。


変形性股関節症を怖がらないでね





診療の間違い①

2006-01-09 15:39:12 | 診療のこと
変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いがあります !



診療の間違い

①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。

大きな間違いとしては上記の4点です。
このような診療の結果を鵜呑みにして、余計な不安や恐怖を抱えていませんか?
4点の間違いについて説明する前に、診察と治療の関係について説明します。

診察とは、患者さんの訴えた症状の原因を1つに絞り込む作業です。
その為に、いろいろな検査や測定を行っているのです。

股関節痛を例にとると、股関節痛の原因はいくつか考えられます。
そのいくつかの原因を、1つに絞り込むのが診察となるわけです。
診察の結果1つに絞り込まれた原因に対して治療が行われます。

ここで重要なことは、股関節痛の原因一つひとつによって治療法が異なるということです。
診察で間違った原因が導き出されると、治療法も間違っている可能性があるということを覚えておいてください。

4つの間違いの①番から説明しましょう。

①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。

 病院ではレントゲンを撮ります。
これは別に間違いではなく、素晴らしいことです。
問題はそのレントゲンの使い方です。
レントゲンだけを使うのか、レントゲンはあくまでも参考資料の1つとして使うのかの違いです。
レントゲンはあくまでも参考資料の1つであるべきです。

ところが現実はどうですか?
 診察の順番が来ると、診察室に呼ばれ先生の前に座ります。
先生はレントゲンを見ながら説明をしてくれます。
皆さんご存知のことですが、レントゲンでは主に骨と軟骨しか写りません。
つまり、レントゲンからは骨と軟骨の異常しか見つけられず、股関節痛の原因は骨と軟骨の変形だという診察結果しか導かれません。
骨と軟骨の変形が股関節痛の原因であれば、治療は「手術しかない」となってしまうのです。
骨と軟骨の変形が強度でも、痛みの無い人はいっぱいいるのに、おかしいと思いませんか?



私は股関節痛の原因は主に2つだと考えています。
 1、股関節の炎症
 2、股関節周囲の筋肉の痛み(炎症による痛みではありません)

そのわけは徐々に説明しますが、ここでは私がそのように考えているということだけ覚えておいてください。
 ここに挙げた股関節の炎症や筋肉の痛みはレントゲンには写りません。
触診をしないと見つけられない症状です。
もしも、病院で先生が椅子から立とうともせず、レントゲンだけで診察をしているようなら、その診察法は間違っています。
そして、その後に続く説明も、根拠が無くあくまでも想像で話しているということになります。
ここで言う触診とは、股関節の動きを測ったり、足の太さを測るということではありません。



触診のポイント
1、股関節を触ったか。
2、皆さんが実際に痛い場所を触ったか。
触診のポイントは上記の2点です。

後で詳しく説明しますが、皆さんは自分の股関節の正確な位置がわかりますか?
股関節を触診してもらったことがありますか?
皆さんが実際に痛い場所を触診してもらったことがありますか?

触診は診察の基本であり必要不可欠なものです。
触診を行う診察力の無い先生の説明を鵜呑みにしてはいけません。
皆さんの担当医が触診を行ってくれないようなら、触診を行ってくれるように訴えるか、堂々と他の病院に変えましょう!
皆さんの担当医がいくら有名な先生であっても、その先生は皆さんにとっての名医とは言えません。
そのような先生の診療を受けると心が傷つき疲れます。
心の傷や疲れは心身症という形で股関節の痛みにつながります。

そのような先生の、間違った診療による説明は鵜呑みにしないでくださいね。

変形性股関節症を怖がらないでね



変形性股関節症は怖くない!

2006-01-08 15:56:55 | 股関節の基礎
変形性股関節症の常識には間違った情報が多くあります。
具体的にどのようなことが間違っているのか・・・という情報を多く発信していきますね。

私は、長年変形性股関節症、特に股関節痛を取るということに携わって来ました。
整形外科病院に8年間、大学病院に10年間、整骨院に6年間、そしてここ4年間は、じっくり時間をかける形で、変形性股関節症患者さんの心と身体を軽くする仕事をしています。
 私も、初めの頃は変形性股関節症患者さんの身体のことばかりを考えて治療していました。
しかし、最近は変形性股関節症の間違った常識によって患者さんが心に大きなダメージを持っていることに気づき、心の治療を重要視しています。
変形性股関節症の常識には多くの間違いがあります。
徐々に気づき始めている患者さんも増えています。

まず、はじめに股関節痛は骨の変形や軟骨の磨り減りとは直接関係が無いということをご理解ください。

その理由は簡単です。
股関節の骨や軟骨には神経が無いからです。
人間は神経のあるところに痛みを感じるものです。
事実、軟骨が磨り減ったり骨の変形が重度でも痛みの無い人はいっぱいいます。

股関節痛があって病院に行くと、レントゲンを見て診察をしますよね。
レントゲンには主に骨と軟骨しか写りませんので、股関節痛の原因を無理やり?レントゲンの中に求めているのです。
股関節痛の原因は主に股関節の袋(関節包)の炎症か筋肉の痛みです。
関節包の炎症は、簡単な触診で判断できますが、意外に炎症がある人は少ないのです。
この結果には、西洋医学現場に長年勤務していた私が一番驚いています。
皆さんが、股関節痛で実際に痛みを感じる場所は、股関節ではないことがほとんどです。

実は、股関節痛は、筋肉の痛みが原因のことがほとんどなのです。



股関節の正確な場所を理解すること。
股関節を自分で触診する方法を理解すること。
病院の診察法や治療法の間違いを理解すること
股関節痛の本当の原因を理解すること。
人間の骨が利口であると理解すること
脚をかばうことの欠点を理解すること。
病院ではこの病気を「進行性」と言いながら、進行を止めようとしていない現実を理解すること。
この病気の進行は止められることを理解すること。
筋力トレーニングの欠点を理解すること。
治療法は手術だけではないことを理解すること。
手術の利点と欠点を理解すること。


・・・・などなどの一般的には“常識”とされていることに間違いがいっぱいあるという事実を理解できた時、皆さんの心と身体は軽くなります!

変形性股関節症に対する余計な不安・恐怖・怒りを持つことは、心にとっても身体にとっても非常に良くないことです。

このブログは、皆さんの心と身体を軽くする為のものです。

常識を疑いながら時々覗いてくださいね。


変形性股関節症を怖がらないでね