股関節痛は怖くない!~変形性股関節症の新しい考え方

変形性股関節症の常識には間違いが多く、怖さを抱えている人が多い。
常識の間違いを理解して人生を楽しみましょう!

手術後の経過が悪い時の対応法

2019-12-28 02:59:27 | 股関節の基礎

本年5月~書き始めたブログを本にしたいと考えて書いてきました。

まだ終わっていませんが、そろそろまとめたい気持ちが高まってきました。

本院の年内のご予約は12月27日で終了し、本日12月28日は院内勉強会です。

そして、業務が全て終了した明日12月29日に某ホテルに泊まりこみ本の大筋をまとめたいと考えています。

 

今までを読み返してみると、同じことを何回も書いていたり、読んでいてつまらない部分も多くありました。

いまは、内容を大幅に省略することを考えています。

そして、必ず来年には本にします。

私が本を書く目的は、レントゲン写真に写る骨と軟骨にあまりにも偏り過ぎた変形性股関節症の診療方法を変えることです。

そして、皆さんには新しい考え方を理解することで、変形性股関節症と上手に付き合う方法を身に着けて頂くことです。

 

皆さん、素晴らしく楽しい年末年始をお過ごしください。

来年、またね。

 

 

 

🍓手術を受けた方の数パーセントの方は術後の経過が遅れる場合があります。

 

手術前の一人ひとりの経過が違いますし、手術の内容も異なりますので周りの方との比較は無意味になります。

ところが、どうしても周りに順調な回復経過を示している方と比較しがちで落ち込む方が多いです。

 

おそらく、ほぼ100%の方の手術は成功しています。

レントゲン写真を見て、担当の先生からは「レントゲン上手術は成功しています。」と説明されるでしょう。

しかし、ここで考えなければならないことは、レントゲン写真に写っていない軟部組織の個人差です。

 

軟部組織、特に筋肉の硬さに個人差があることがほとんどです。

これが、手術後の経過が悪い原因です。

ここで、筋トレは厳禁ですが、おそらく多くの方は筋トレを指導されます。

「筋トレを行うと、さらに痛くなるのです。」という患者の話を多く聞きます。

 

手術後の経過が悪い時は、とにかく股関節周りの軟部組織を軟らかく改善させることに尽きます。

 

人工股関節手術後に経過の悪い方は、ももの裏のハムストリングスとももの内側の内転筋をほぐすことを試みて下さい。




また、自骨手術後に経過の悪い方は、腰骨のすぐ後ろにある大腿筋膜張筋をほぐすことを試みて下さい。




 

この方法で、全ての方が改善に向かうとは言い切れませんが、自分の痛みや違和感をよく観察して、痛みや違和感を感じる部位をほぐしてみて下さい。

 

手術後に経過が悪い方は、痛みや違和感の原因はレントゲン写真に写らない軟部組織の問題だと考えて、前向きに対応してみて下さい。

本来なら、手術をした病院が解決しなければならない事なのですが、大きな期待ができないと感じたら自分で対応してみましょう。

 

手術が成功しているのであれば、必ず問題は解決します。

 

 

 

 

 

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手術前後の過ごし方

2019-12-24 09:38:11 | 股関節の基礎

🍓『手術をしたい』と自分で決断した場合、手術前後の過ごし方を考えましょう。

手術前、手術後に必要なことは筋肉を軟らかくすることです。

決して筋トレではありません。

 

一昔前の『手術を受けた後歩けないといけないので、手術前に筋トレを行って筋力をつけておかなければなりません。』という考え方を今でも指導している先生は多いです。

手術前の股関節痛が強い状況で筋トレは股関節痛をさらに悪化させ、筋肉を硬くするだけで、筋力増強は望めないうえに手術後の経過を悪くする可能性が高まるでしょう。

人工股関節手術では、変形の為に短くなった手術側の脚を元の長さに戻すことが多いので、手術時に求められるのは脚が伸ばされることに対応できる筋肉の柔軟さです。

 

実際には、筋肉だけではなく、血管や神経などの軟部組織全体の柔軟性が必要になります。

 

私達は、深圧によって軟部組織の柔軟性を改善することによって股関節痛を改善し可能な限り手術を避けられるように努めていますが、軟部組織の柔軟性を改善しているということは皆さんが手術を決断した時にも役立つことになります。

 

手術後は、手術という軟部組織へのダメージと炎症により、軟部組織は予想外に硬くなりやすくなります。

手術後3ヶ月ほど経過し、軟部組織のダメージが落ち着いたころから、再び深圧を開始して軟部組織の柔軟性を改善し、動きやすい脚になるように努めています。

 

つまり、手術前後の過ごし方で重要なことは、筋肉を主とした軟部組織の柔軟性を維持・改善することなのです。

これは、自骨手術の場合も同様です。

 

手術後、軟部組織の痛みや違和感が無くなれば、筋トレも可能で効果的になります。

手術後の関節の動きの改善や筋力回復は、3ヶ月後からでも十分回復できます。

手術後の回復は、意外と自分の身体の治癒力が行ってくれます。

少々時間もかかりますので焦らないことが最も重要になります。

 

 

 

 

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手術療法  主な目的は痛みの改善

2019-12-21 13:38:06 | 股関節の基礎

🍓手術療法には大きく分けて自分の骨で行う自骨手術療法と人工の関節に入れ替える人工股関節手術療法があります。

それぞれ病院や医師によって考え方や手術方法が異なりますので、手術を考える場合は手術方法の確認は必要です。

手術方法についての詳細はネット上に溢れていますのでここでは詳細は省きます。

また、ここでは主に現在主流になっている人工股関節手術療法を想定して書きます。

 

人工股関節手術はもともと欧米で発達してきた歴史がありますので、洋式生活にむいた手術療法です。

しかし、最近の日本では日本の和式生活に合った手術方法が少しずつ増えてきました。

もともとあった方法を『後方侵入法』、日本人に合った方法を『前方侵入法』と考えてよいと思います。

後方侵入法では和式トイレ使用時の様に深くしゃがむ動作を禁止することが多いです。

後方侵入法は股関節の深い屈曲で脱臼を起こしやすいと言われています。

一方の前方侵入法では、深くしゃがんだり正座をしたり、床にしゃがんだり床から立つという動作ができることが多いです。

 

私は手術を希望する方には、手術後すぐから『何をしても良い』と言われている手術法を行っている玉川病院の松原先生やさいたま赤十字病院の石井先生を紹介させて頂いています。

 

手術療法の主な目的は股関節痛の改善です。

 

人工関節手術療法では、股関節の骨を人工関節に入れ替えますが、それと同時に非常に痛みを感じやすい関節包や靭帯を取り除いたり、綺麗に修復しますので股関節痛が改善するのです。

しかし、個人差もあり、股関節痛が無くても股関節の動き(関節可動域)を広めたり、脚長差を解消する(両足の長さを揃える)目的で手術療法を受ける方もいます。

 

 

 

 

 

 

 

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手術療法 手術の時期

2019-12-19 15:20:50 | 股関節の基礎

🍓今まで説明した股関節痛に対する対策として手術療法は含んでいませんでしたが、最後に手術療法にも触れておきます。

 

私は手術をすることには反対ではありません。

しかし、レントゲンだけの診断で軟部組織に対する治療がなされないまま手術に踏み切ることには大反対です。

軟部組織、特に筋肉への治療のみで手術を避けられた方々と多くお会いしてきたていますので、まずは筋肉を正常化してみることにトライするべきだと考えています。

それでも、満足がいかない時には手術を受ければいいと思います。

股関節痛の程度には個人差が大きく、自分の我慢の限界を超える股関節痛を感じる方もいます。

そのような方は、手術の適応と考えますが、自分の我慢の限界を迎える前に股関節痛が改善に向かう方も意外と多いのです。

 

 

『手術の時期は患者さん自身が決めるもの。』という考え方が一般的です。

しかし、そう言いながら整形外科の先生が手術を勧めることが多いように感じます。

 

私は手術療法の利点も理解していますので、実際に私の担当する患者さんの25%は何らかの手術療法を受けています。

しかし、私は『手術した方がいいですよ。』と話すことはありません。

 

皆さんの中で、手術療法を受けようかどうか悩んでいる方も多いと思います。

多くの方は、股関節痛が強く出ていると『手術療法を受けようかな』と考え、股関節痛が治まると『やっぱりやめた。』と考え心が揺れています。

 

私は、『手術を受ける時期を逃して手術が困難になる』ことはないと考えていますし、私が名医と思う先生もそのように患者に説明しています。

経験が豊富で腕に自信のある整形外科医は『手術を受ける時期を逃して手術が困難になる』という言葉は使わないと私は考えています。

 

手術を受ける時期は、皆さんが『手術をしたい』と思うときだけです。

 

「先生、私手術をしようと思います。」

私は担当患者からこう言われた瞬間から手術に向かう考え方を話し、患者の満足のいく手術が受けられるよう病院や先生を紹介し、手術前後の経過を良くするための深圧を行います。

 

 

 

 

 

 

 

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雑誌やテレビ等の情報を冷静に分析してみる

2019-12-12 22:58:00 | 股関節の基礎

🍓雑誌やテレビ等の『股関節に良い運動』といった情報が取り上げられると、その翌日などに股関節を痛くして通院される方が多いです。


私はテレビに出ることはありませんが、雑誌に寄稿するときはそのことに配慮して股関節に痛みが出るような運動は載せないことにしています。

運動をしないと不安という方には、実に物足りない記事になりますね。

かといって、雑誌やテレビ等の情報が嘘ばっかりなのかというと、そうでもありません。

その雑誌やテレビ等の情報が、誰を対象に情報を流しているのかということを冷静に分析してください。


特に、変形性股関節症という言葉が出ていなければ、股関節自体には問題のない方々を対象にしていると考えた方が安全です。

ただ、まだまだ変形性股関節症に筋トレを指導する専門の先生がいますので、私は注意が必要だと感じています。

私なりの雑誌やテレビ等からの情報の見分け方を書きましょう。

筋トレならやらない、ストレッチなら検討しても良い、道具を使ったほぐしの話なら行っても良い。

個人差が大きな患者さんに、筋トレを指導することは非常に難しいです。

個人差が大きな患者さんに、一般的な関節を動かしたストレッチも指導することは非常に難しいです。

とりあえずやってみて、だめなら止めればよいと考える方もいるかもしれませんが、状態が悪い時には筋肉がつって歩けなくなり、なかなか改善しないこともあるのです。


どうか、情報の選択に注意して、安全に過ごしてください。


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良肢位を意識してみる

2019-12-07 20:08:15 | 股関節の基礎

🍓全ての関節には楽な角度があります。

少し曲がった角度です。

膝関節や、股関節が悪い時、なている時にはこの少し曲がった角度を意識してみてはいかがでしょうか?

この意識だけで股関節痛が改善する方もいます。

少し曲がった角度を良肢位(りょうしい)と言います。

 

例えば、骨折などをしてギプス固定するときにも良肢位での固定を意識します。

そうすると、ギプスを外した後の治りが速いのです。

 

じゃぁ、実際どうするのか?

 

特に夜寝る時に膝の下に枕を入れて膝関節と股関節を軽く曲げてあげるのです。

そうすることで、朝起きた時の股関節の状態が楽になることがあります。

そして、股関節痛が徐々に楽になる方もいます。

 

専用の膝下に入れる半円まくらもありますが、股関節が軽く曲がるのであれば座布団を丸めるのも良いでしょう。

 半円まくら(特大)

 

良肢位、なかなか耳にしない言葉ですが、良肢位を意識してみるのも価値があると思います。

 

 

 

 

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温めてみる

2019-12-05 08:22:48 | 股関節の基礎

🍓股関節痛に対しては温めるのが良いのか?冷やすのが良いのか?

 

答えは単純で、温めてみることが重要です。

 

一般的に非常に強い炎症に対しては、冷やすこともありますが、股関節の様に非常に深い部部になる股関節に限局した炎症に対しては冷やすよりも温めた方が良いでしょう。

筋肉の病気に対しては温める方が効果的です。

 

温めることは、血流を良くして治癒力をあげることになります。

 

使い捨てカイロを使うと簡単に血流を改善することができます。

使い捨てカイロを使ってみるとわかりますが、カイロをあてた部位だけでなく全身的に温まる感じがあるものです。

 

まずは、痛みを感じる部位を温めてみましょう。

そして、反応を見ます。

股関節痛が悪化する感じがある時だけはやめても良いと思いますが、基本的に治癒力を向上させますので、温めることを続けても支障はないと考えます。

 

夏は、皮膚の状態を確認する必要が高くなるでしょうが、できれば冷房からの冷え予防のためにも夏でも温めて方が良いでしょう。


痛みが出ている場所を温めても、効果を感じないときは、股の内側に貼ったり、ももの裏側に貼ったり腰骨の裏側に貼ったりと場所を変えてみて、効果を感じる場所が無いか試してみるのが良いと思います。

これは、筋肉の病気、筋筋膜症候群の特徴である関連痛を考慮した方法になります。


私達が行っている深圧も、目的は血流改善です。


是非、治癒力改善の目的で温めてみて下さい。

もちろん、お風呂や温泉で温まることも良いことです。



 

 

 

 

 

 

 

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