みどりの一期一会

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『悪人』吉田修一の小説&映画/深津絵里さん、モントリオール映画祭で最優秀女優賞

2010-09-16 19:22:53 | ほん/新聞/ニュース
昨日紹介した『あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの』と一緒に、
京都駅の三省堂書店で、朝日文庫の『悪人』(上・下)も買ってきました。

だいぶ前に、朝日新聞の夕刊で連載されていた小説ですが、
今回映画化されたと朝日新聞で知って、読みたいと思っていました。

   
   


 小説と違う視点 ぜいたくな経験 映画「悪人」原作の吉田修一氏 
2010年9月4日 朝日新聞

 朝日新聞に連載された吉田修一さんの小説『悪人』が映画化された。脚本も自ら手がけた吉田さんは、李相日(リ・サンイル)監督と二人三脚で執筆を進めるうちに、小説と脚本の表現の違いに気が付いたという。
 映画になった『7月24日通り』『パレード』、テレビドラマになった『東京湾景』――。映像化された吉田作品は数多い。だが吉田さんはこれまで「小説とは別物」として、作品の映像化にかかわることはほとんど無かった。
 今回脚本を書いたことについて「『別物』という考えは今も変わらない。でも、小説の『悪人』を完結させたとき、書き切ったという手応えがあったので、単純に、映画になるのなら見てみたい、自分もかかわってみたい、と思った」と話す。
 『悪人』は、文庫本が上下巻合わせて120万部発行された人気作。出会い系サイトが生んだ殺人事件が物語の核になる。主人公の清水祐一と馬込光代もこのサイトで知り合った。
 脚本には2008年秋から取り組み、完成まで1年以上かけた。映画「フラガール」でメガホンを取った李監督との共同作業。終盤には、東京・神楽坂の旅館に3日間、一緒に缶詰めになった。
 李監督とやりとりするなかで、吉田さんは小説と脚本の違いを自覚したという。
 「小説では絶対書いてはいけないことを書くのが脚本だと分かった。例えば、『祐一は悲しい顔をした』という表現は、小説ではちょっと厳しい。でも、脚本ではそう書かないと分からない」
 視点の取り方も違っていた。祐一と光代が出会う場面を例にこう説明する。
 「小説だと、光代の視点から『背後から足音が聞こえ、影が近づいてくる』というように書く。でも脚本では、画面のフレームを常に頭に置き、『佐賀駅前に、光代が座っていて、祐一が近づいてくる』と書けばいい」
 監督やプロデューサーとの会議では、祐一や光代がどんな人間かを延々と議論した。原作者の意見が通らないこともあるぐらいだった。「小説になる前の出来事がまずあって、それを書き方の視点を変えて映像化したという感じ」と話す。
 映画は、祐一役の妻夫木聡、光代役の深津絵里らの演技でさらに豊かなものに。
 「ぜいたくな経験をさせてもらった。僕も『悪人』の登場人物に吸い寄せられた一人。こんな幸運な作品はそうそう無いでしょう」(西田健作)
    ◇
 映画「悪人」は9月11日から全国公開。脚本は『悪人 シナリオ版』(朝日文庫、税別500円)として出版された。 


本屋さんに行くヒマがないまま数日が経過、
そうこうするうちに、、深津絵里さんが『悪人』で主演女優賞を受賞。
よけい読みたくなりました。

 深津絵里主演女優賞の『悪人』、見どころはここだ!
本屋さんお薦め名シーン5選(シネマトゥデイ - 2010年9月8日)


小説『悪人』は、読み始めたら止まらなくて、
ひとばんで読みました。

あとは、ヒマをみつけて、映画を見たいと思っています。

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  シネマの週末・この1本:悪人 生きることの悲しさ描く

 福岡県と佐賀県の境にある峠で、保険会社に勤める女性佳乃(満島ひかり)の絞殺死体が見つかる。事件当日の夜に佳乃と会っていた大学生の増尾(岡田将生)が疑われるが、DNA鑑定で犯人でないことが判明。増尾の証言などから解体作業員の祐一(妻夫木聡)が新たな容疑者として浮上する。一方、紳士服量販店で働く光代(深津絵里)も、佳乃と同じように出会い系サイトで祐一と知り合う。光代と祐一は互いの孤独を埋め合うように愛情を求め合う。
 吉田修一の同名ベストセラー小説の映画化。祐一と光代の逃避行が切ないラブストーリーである。光代が生活する地方の国道沿い、祐一が住む寂れた漁村、そしてクライマックスの世間から孤立したような灯台など、ロケ地が2人の心情と重なり合う。女の業に迫っていく深津の演技は感動的ですらあり、セリフよりも体全体で祐一を表現した妻夫木とともに2人の代表作になるだろう。
 映画の核はもう一つある。祐一の祖母(樹木希林)と佳乃の父(柄本明)にも焦点を当て、単に被害者や加害者の家族の姿を描くだけでなく、社会にうごめく悪意とは何か、人間としてどう生きるべきかを市井の人々の視点からあぶり出したことだ。光石研、宮崎美子、塩見三省ら脇役陣も見事で、キャスティングの成功が本作を支えている。
 宣伝文句にある「誰が本当の“悪人”なのか?」といった単純な構図や描写を期待すべきではない。複雑に入り組んだ社会の中で、過ちを犯し、ひっそりと暮らす人物を丁寧に見つめることで、生きることの意味や悲しさ、つらさを生々しく描いている。祐一と光代が男女の関係になっていく場面など、李相日監督のリアリズムに徹した演出は最後まで一貫しており、作品を力強いものにしている。個人的にではあるが、本年屈指の日本映画である。2時間19分。TOHOシネマズ六本木ヒルズほか。(鈴)

 ◆もう一言
 登場人物の生活環境、彼らの不安げな表情や仕草、ロケーションの選定など、あらゆる細部に目が行き届いた作品だ。どこにでもいそうな人間たちの身に起こる悲劇が、切迫したリアリティー十分に描かれている。(諭)

 ◆さらに一言
 妻夫木がこれまでのイメージを一新して、孤独な殺人者の魂を体現。主役から脇役にいたるまで、原作を裏切りながらふくらませていった出演陣の演技と、緊張感あふれる演出に最後まで引き込まれた。(細)

 ◆さらに一言
 愛らしく腹黒い女性役を満島が好演。明るくさわやかではない妻夫木もいい。(栗)
毎日新聞 2010年9月10日 東京夕刊



モントリオール映画祭:深津絵里さんが最優秀女優賞受賞

 【モントリオール鈴木隆】第34回モントリオール世界映画祭で6日夜(日本時間7日)、授賞式が行われ、李相日(リ・サンイル)監督の日本映画「悪人」に主演した深津絵里さん(37)が最優秀女優賞を受賞した。日本人の同賞受賞は83年の「天城越え」の田中裕子さん以来、2人目。
 「悪人」は吉田修一さんの小説の映画化。深津さんは、殺人を犯した男を愛し、絶望の中に安らぎを得る女性の複雑な心理を表現した。
 授賞式で深津さんは「メルシボクー(ありがとうございます)」とフランス語でお礼を述べ、笑顔を見せた。
 深津さんは大分県出身。88年の映画「1999年の夏休み」でデビューした。以降、「(ハル)」(96年)、「博士の愛した数式」(06年)などの映画や、テレビ、舞台で活躍している演技派女優。「悪人」は11日から全国公開される。
 同映画祭では、99年「鉄道員(ぽっぽや)」の高倉健さんが最優秀男優賞、一昨年「おくりびと」がグランプリ、昨年は「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」で根岸吉太郎監督が監督賞を受賞するなどしている。
 2010年9月8日 毎日新聞 



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