みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

惜別 柳原和子×『求めない』加島祥造+『なげださない』鎌田實

2008-03-22 20:45:28 | 花/美しいもの
昨日の朝日新聞夕刊の「惜別」に
柳原和子さんが載っていた。
昨年5月に撮影したというすてきなポートレートとともに。

ノンフィクション作家 柳原和子さん
「世界と個人」同時に見通す


 最初に卵管がんを告知されてから11年、再発して「余命半年」と言われてから1年経った今月1月末。東京都内のホスピスに、友人や取材仲間ら53人が集まった。ノンフィクション作家の鎌田慧さんが「ものすごく無駄な取材が多くて、借金も多い人」と話すと爆笑が起こった。もちろん、ほめ言葉だ。・・・・・・・・・・・・・・・・・
 長期生存者の肉声や意思との対談、自らの闘病をまとめた「がん患者学」は、患者の切実なニーズに応えるとともに、医療従事者の自省の契機になった。作家白石一文さんは『世界を見通す望遠鏡と、個人にこだわる顕微鏡が共存するまれな作品。患者だけでなく、生と死の間で悩む人にこそ勧めたい」と話す。・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 「あぁ。木に出会いたい。海に出会いたい。光を浴びたい。自然を取り戻したい。贅沢な希望」
 2月初めのこれが最後の文章。日曜の朝、家族や仲間が目を離したわずかの間に、自分でその時を選んだかのように静かに逝った。笑顔だった。(太田啓之)
(2008.3.21朝日新聞)


柳原和子さんと『求めない』の著者・加島祥造さんとの
昨年12月の対談が『婦人公論』に掲載されている。

『婦人公論』3月22日号

 
『求めない』に導かれて
「たったひとつの命がこんなにも私を愛している」
加島祥造×柳原和子


柳原和子さんの強い希望によって実現したものだという。
伊那谷での再会を約して終わっているが、死を覚悟してのものだろう。

そこにつむがれている言葉は、深い。

『求めない』
(加島祥造/小学館/2007)



求めない--
すると
簡素な暮らしになる



求めない--
すると
いまじゅうぶん持っているときづく



求めない--
すると
いま持っているものが
いきいきとしてくる



求めない--
すると
それでも案外生きてゆけると知る



求めない--
すると
改めて
人間は求めるものだ
と知る




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朝のNHK「生活ほっとモーニング」では、
鎌田實さんと瀬戸内寂聴さんの対談を再放送していた。
前回の放映も見たけれど、こちらも心に染みるよい話。

 

話の中に出てきた『なげださない』もとてもよい本。
わたしは、鎌田實さんのファンなのです。
瀬戸内寂聴さんの『遺したい言葉 』(日本放送出版協会)
母にプレゼントしたばかりだ。

『なげださない』
(鎌田實/集英社/2008)



あとがきにかえて
--なげだしていいもの、いけないもの--

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なげだしてはいけないものがいっぱいある。
人は一人では生きられないから、人とのつながりはなげださない。
家族も友達もなげださない。とても大切なものだから。
現実の世界だけで生きていくのは寂しいから、夢や希望や志をなげださない。
子どもたちが安心して生きられるように、この国をなげださない。
教育をなげださない。
いのち、環境、平和をなげださない。
かけがえのないものをなげださない。

ぼくには、できないことも、いっぱいある。
カニもむけない。卵も割れない。ミカンもむけない。
りんごの皮もむけないけれど、
困っている人を助けに行くことはできる。
ぼくはぼくで、
がんばらないであきらめないで
なげださないで
生きていこうと思う。




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