みどりの一期一会

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日本復帰43年 圧政はね返す正念場 将来世代に責任果たそう/沖縄を孤立させぬ覚悟

2015-05-16 20:17:25 | ほん/新聞/ニュース
5月15日は、沖縄が日本に復帰して43年目。

43年たっても米軍基地は沖縄に居座っている。
沖縄への差別はなくならないどころか、
安倍政権は、沖縄の人たちの意思を踏みにじって、、
辺野古移設が「唯一の解決策」と強弁し続けている。

昨日の琉球新報の社説は、安倍政権への怒りに満ちた告発。
読んで、こころを揺さぶられた。

沖縄のことを忘れないために、新聞各紙の社説を
きょうのブログにアップしておきたい。

  <社説>日本復帰43年 圧政はね返す正念場 将来世代に責任果たそう  
2015年5月15日 琉球新報

 沖縄が日本に復帰してきょう15日で43年を迎えた。
 県民総所得に占める基地関連収入の割合は復帰時の1972年度に15・5%だったが、2012年度には5・4%に縮小した。基地経済から完全に脱却し、県民生活も豊かになった。
 だが、米軍基地が県民生活を圧迫し、さらなる発展を阻害する状況は続いている。その改善は国の務めだが、安倍政権はさまざまな分野の阻害要因となる新基地の押し付けを進めている。
 将来も米軍基地を県内に残すのか。沖縄にとって今が正念場である。国の圧政をはね返すことで「真の復帰」を実現したい。

政治は国民のもの
 沖縄戦では本土の捨て石にされ、米軍支配下では人権を踏みにじられ、復帰後も基地の重圧に苦しめられてきた。70年にわたってそのような状況に置かれ続けた県が沖縄以外にあるだろうか。
 復帰運動の先頭に立った屋良朝苗主席の「復帰措置に関する建議書」前文にはこうある。
 「沖縄は余りにも、国家権力や基地権力の犠牲となり、手段となって利用され過ぎました。復帰という一大転換期に当たって、このような地位からも、沖縄は脱却していかねばなりません」
 県民が復帰に求めたことは国に手段として利用されることを拒否し、基地の抑圧から解放され、人権が完全に保障されることだった。
 現状はどうか。国は日米安保を重視する手段として沖縄を相変わらず利用し、県民は基地の重圧にあえいでいる。新基地建設は今後も沖縄を利用し続けるとの宣言にほかならない。
 復帰から43年たっても「建議書」の要求事項が実現されない状況は異常である。その状況をさらに悪化させる新基地建設は安倍政権の沖縄への圧政の表れであり、許すことはできない。
 自民党の立党宣言は「政治は国民のもの」と明記する。それが正しい政治の在り方だ。だが自民党総裁である安倍晋三首相の沖縄への政治姿勢はこれに反する。
 昨年の名護市長選、名護市議選、県知事選、衆院選沖縄選挙区では米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設反対の圧倒的民意が示された。「政治は国民のもの」である以上、民意を尊重すべきだ。
 立党50年宣言には「我々は国民の負託に応え、情理を尽くして幾多の問題を克服」したとある。1996年以降、自民党が沖縄に押し付ける新基地建設のどこに人情と道理があるというのだろうか。「情理」を尽くすならば、新基地建設計画は葬るべきである。

新基地建設断念を
 安倍政権の圧政はその不条理さゆえに県内の各界、各層をまとめる結果になった。自己決定権の回復を求める大きなうねりは、安倍政権の強権的な姿勢にあらがう時代の息吹といえる。
 「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」には経済界も加わるなど、新基地建設に反対する運動はかつてない広がりを見せている。
 全国、海外からも沖縄の民意に呼応する支援が広がり、県民を勇気づけている。
 基地問題を通して沖縄から民主主義の在り方を国民に問い、実現を目指す契機にもなっている。
 新基地建設を強行する国に対し、愛知県岩倉市議会と長野県白馬村議会は3月議会で「中央と地方との対等をうたう地方自治の侵害にもなりかねない」とする請願・陳情を採択した。「沖縄だけの問題ではない」との意識の表れである。
 安倍政権は新基地建設を断念すべきだが、辺野古移設が「唯一の解決策」と強弁し続けている。思考停止に陥った安倍政権に沖縄の将来を委ねてはならない。
 県民は復帰に穏やかな暮らしと平和を求めた。それを実現することは、今を生きる県民の将来世代に対する責任である。


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  社説:復帰の日―沖縄を孤立させぬ覚悟
2015年5月16日(土)付 朝日新聞

沖縄が日本に復帰して、きのうで43年。今年ほど沖縄と政府の関係が緊張するなかで迎えた「復帰の日」はないだろう。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設準備を、多くの県民の反対を顧みず、政府が推し進めている。

 戦後70年間、基地負担にあえぎながらも日本の安全保障を支えてきた沖縄の訴えに耳を傾けるべきで、国民は沖縄を孤立させてはならない。

 昨年12月に翁長雄志氏が知事に就任して以来、会うことを拒んできた菅義偉官房長官、安倍晋三首相、中谷元防衛相の政府首脳3人との会談が、ようやく4月、5月に実現した。その機会に翁長氏が発した言葉が、沖縄の強い意思を明確に示した。

 復帰前の米軍統治下、基地建設のために「銃剣とブルドーザー」で土地を強制収用されたこと。自治権拡大を「神話」と言い放ったキャラウェイ高等弁務官のこと。軍用地の一括買い上げを狙ったプライス勧告のこと。翁長氏は県民にわだかまる記憶を次々とすくい上げ、現政権と二重写しにしてみせた。

 翁長氏の発言は、昨年の名護市長選、県知事選、総選挙と繰り返し示された辺野古移設反対の民意が無視され続けていることへの怒り、そして今の沖縄の政府に向けた行動が米軍政下の自治権獲得闘争と同質であるとの見解の表明である。

 中谷防衛相との会談では、翁長氏が那覇市長時代の2年前、自民党の参院議員から「本土が(基地受け入れを)嫌だと言っているのだから、沖縄が受けるのは当たり前だ。不毛な議論はやめよう」という言葉を投げかけられた経験を明かし、本土側の意識を痛烈に批判した。

 一連の会談をきっかけに、国内世論が次第に沖縄に共感を示し始めたことは注目される。朝日新聞など多くの報道機関の世論調査でも、政府の姿勢を評価しないとする声が増えた。

 移設阻止を訴えるために県議や地元経済界が設立した「辺野古基金」の共同代表に映画監督の宮崎駿氏らが就くなど、問題への関心が高まっている。

 翁長知事は今後、米政府をはじめ国際世論にも広く働きかける戦略を描く。

 復帰後も、「本土並み」という願いは踏みにじられてきた。

 「沖縄が再び国の手段として犠牲になってはならない」。琉球政府主席で復帰直後の沖縄県知事、屋良朝苗(やらちょうびょう)氏はこう訴えたという。今またわれわれは沖縄を犠牲にしようとしていないか。本土の国民は改めてこの問いを受け止める必要がある。 


  社説:沖縄の自治は神話か 復帰43年に考える 
2015年5月16日 中日新聞

 沖縄県民の多くが反対しているにもかかわらず、政府は新しい米軍基地を造ろうとしている。沖縄の自治、自己決定権は「神話」にすぎないのか。

 四月五日、那覇市のホテル・ANAクラウンプラザ沖縄ハーバービュー。翁長雄志県知事は記者団が見守る中、沖縄を訪れた菅義偉官房長官に、こう述べた。

 「官房長官の『粛々と』という言葉がしょっちゅう出ると、キャラウェイ高等弁務官の姿が思い出され、重なり合う感じがする。私たちの(戦後の)この七十年間は何だったのかなと率直に思う」

琉球政府の上に君臨
 宜野湾市の米軍普天間飛行場返還のため名護市辺野古に新しい米軍基地を造る「県内移設」に理解を求めようと沖縄を訪問した菅氏と、県内移設阻止を掲げて初当選した翁長氏。翁長氏がキャラウェイ氏の名前を引用したのは、強烈な反撃でもあった。


 ポール・キャラウェイ。米陸軍軍人で、一九六一年から六四年まで琉球政府の上に君臨した高等弁務官だ。

 高等弁務官は現地軍司令官の軍事権限に加え、行政、司法、立法の三権を有する琉球列島統治の最高責任者。中でも強権的として県民の記憶に残るのがキャラウェイ氏で、政治手法は「キャラウェイ旋風」とも呼ばれた。

 それを象徴するのが六三年三月の演説だ。キャラウェイ氏は「現在の時点では自治は神話であり、存在しない」と、当時、高まりつつあった沖縄自身による自治権の拡大要求を拒絶したのだ。

 翁長氏は、自身をはじめ、多くの沖縄県民の反対に耳を傾けようとせず、辺野古への「県内移設」に向けた作業を「粛々と」進める菅氏を、キャラウェイ氏の強権ぶりと重ね合わせたのだった。

首脳には届かぬ思い
 この演説があったのが米将校クラブ「ハーバービュークラブ」。翁長、菅両氏が会談したホテルはクラブの跡地に立つ。

 翁長氏がこの地で、キャラウェイ氏の名を挙げて日本政府の基地押し付けに抵抗したのも、こうした歴史と無縁ではあるまい。

 菅氏に続いて、翁長氏との会談を拒んでいた安倍晋三首相も首相官邸で、会談に応じた。

 翁長氏は「知事選、衆院選で辺野古移設反対の圧倒的民意が示された」「私は絶対に辺野古に新基地は造らせない」と、沖縄の「島ぐるみ」の反対を、オバマ米大統領にも伝えるよう要請した。

 首相は、翁長氏が反対している事実はオバマ氏に伝えたが、同時に「辺野古移設が唯一の解決策」との立場は揺るがないとも強調、両首脳は県内移設推進の方針に変わりないことを確認した。

 翁長氏の思いは結局、日米両首脳に届かなかった。首相の言動は予想されていたとはいえ、翁長氏には裏切りにほかならない。

 沖縄の施政権は四十三年前のきのう五月十五日、米国から日本に返還された。本土への復帰だ。

 六十万県民の四分の一がなくなった苛烈な沖縄戦、日本の独立回復後も続いた米軍による過酷な統治。米軍はこの間「銃剣とブルドーザー」で民有地を強制収用し、米軍基地を拡張していった。

 本土への復帰は、人権無視の米軍統治から、基本的人権の尊重や戦争放棄をうたった日本国憲法への復帰のはずだった。

 しかし、在日米軍基地の約74%は今も沖縄県に集中し、県民に過重な負担を強いる。訓練に伴う事故や騒音、米兵の事故や犯罪、憲法よりも、米兵らの法的特権を認めた日米地位協定が優先される現実、そして何より、米軍の戦争に加担する精神的重圧。

 世界一危険な普天間飛行場閉鎖のためとはいえ、同じ県内での基地「たらい回し」では、抜本的な基地負担軽減にはならない。だからこその国外・県外移設なのだ。

 県内移設阻止を掲げる県知事が誕生し、県内容認の自民党候補が県内四小選挙区のすべてで敗北しても、日本政府は県民の選択を無視し、聞き入れようとしない。

 沖縄に自分たちのことを決める自己決定権、憲法で認められた地方自治は存在しないのか。

基金に県外から連帯
 沖縄では辺野古移設阻止を目的とする「辺野古基金」が十三日、発足した。アニメ映画監督の宮崎駿、ジャーナリストの鳥越俊太郎両氏も共同代表に就き、これまでに集まった寄付件数のうち七割が県外からだという。

 過重な基地負担を強いられ、法の下の平等や基本的人権の尊重など憲法の理念が実現されていない沖縄の状況に、県外に住む私たちが、同じ日本国民として関心を寄せつつある証しだろう

 沖縄の状況を改善することが、日本全体をよくする力になる。そう信じて、本土から連帯のメッセージを送り続けたい。 


『沖縄うりずんの雨(戦後70年、沖縄は問いかける)』公式サイト

 沖縄の叫び聞け 米国人監督がドキュメンタリー映画 
2015年5月16日 東京新聞

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設問題で沖縄が揺れる中、米国人の映画監督が、沖縄県の近現代をテーマにした長編ドキュメンタリー映画を製作した。戦争を体験した沖縄の人たちに加え、基地に勤務経験のある元米兵計20人に話を聞き、米国人の視点を盛り込んだのが特色だ。沖縄県の本土復帰から15日で43年。「基地問題には、日本政府が取ってきた沖縄への差別的扱いが投影している。沖縄県民の静かな叫びを聞いてほしい」と話している。 (編集委員・五味洋治)

 この映画は「沖縄 うりずんの雨」。うりずんは、沖縄の言葉で、三~五月ごろを指す。沖縄の人たちはこの時季に、米軍との間で行われた一九四五年の沖縄地上戦を思い出すという。

 監督したジャン・ユンカーマンさん(62)は、米・ミルウォーキー生まれ。二〇〇五年には日本国憲法をテーマに製作した映画が公開されている。

 高校時代に日本に留学。大学を卒業した一九七五年、沖縄に半年間暮らした経験などを通じ、「米国人は沖縄のことを知らない。実態を伝えたい」と考えていた。

 今回の映画の準備に入ったのは二〇一一年。十二歳の女子小学生への集団暴行事件(一九九五年)を起こした元海兵隊員の一人に粘り強い折衝の末、証言を引き出した。

 映画の中で、元海兵隊員は事件の夜を「友人が『犯罪を犯そう』という話を始めた。それからすべてが起きた。一巻の終わりだった」と淡々と振り返った。

 沖縄地上戦の記録映像などを挟みながら、幾人ものインタビューが続く。

 ベトナム戦争のさなかにあった六九年に沖縄に配属された元米陸軍憲兵隊員は「沖縄ではレイプはいつも起きていて、大したことだとはされていなかった。捜査もほとんどされていなかった」と証言した。

 ユンカーマンさんとともに沖縄地上戦の跡を歩いた地元の僧侶、知花(ちばな)昌一さんは「米国の屈辱的な支配から逃れるためには日本に復帰するしかないと思った。しかし、復帰後も基地は残ることになり『こんな復帰だったのか』と失望した」と話した。

 映画は六月二十日から岩波ホール(東京都千代田区)をはじめ、全国で公開される。英語字幕を付け、米国での公開も準備中だ。

 公開を前に、ユンカーマンさんは「日本政府は沖縄の負担を軽減するというが、現実は全く違う」と力を込める。「沖縄は『米国の戦利品』扱いであり、沖縄を安全保障政策のための捨て石にする日本政府の姿勢も変わっていない。沖縄の人たちは、もう我慢できないと声を上げ始めている」


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