みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

『世界』6月号~今大地晴美さん、谷口真由美 さん、三浦まりさん /読みたい本『教団X』(中村文則)

2015-05-14 21:54:20 | ほん/新聞/ニュース
朝日大病院に歯のメンテナンスに行った帰りに、
カルコスに寄って、『世界』6月号を買いました。


『世界』6月号には、友人の今大地晴美さんの対談「やはり司法は生きていた」と、
WANの総会シンポでご一緒する谷口真由美さんと三浦まりさんと、
打越さく良さんと北原みのりさんの座談会
「「北京会議」から20年 「女の運動」をいま作り直す」が載っているので、
ぜひ読みたいと思っていました。

 『世界』6月号 目次   
特 集 安保法制と「戦後」の変質
【“軍事”統制の新局面】
安保法制は何を転換させようとしているのか
  青井未帆 (学習院大学)
【論点整理】
安全保障法制の焦点
  集団的自衛権問題研究会【執筆者からのメッセージ】
【インタビュー】
文民統制をどう機能させるか
  北澤俊美 (民主党副代表、元防衛大臣)
【提  起】
「戦後」日本の岐路で何をなすべきか
  渡辺 治 (一橋大学名誉教授)

世界の潮
● 世界の炭素ビジネスに地殻変動
  石田 力
●「親の賠償責任」はどこまで問われるのか
 ──最高裁新判断の意義
  川村百合
特別対談
日本の歴史認識とアジア外交の未来
  村山富市 (元内閣総理大臣)、河野洋平 (元衆議院議長)
講 演 録
住民投票なくして「辺野古新基地建設」はあり得ない
  木村草太 (首都大学東京)
座 談 会
「北京会議」から20年 「女の運動」をいま作り直す
  打越さく良 (弁護士)、北原みのり (作家)
  谷口真由美 (大阪国際大学)、三浦まり (上智大学)

金融史の転換?
長期化する経済低迷とアジアインフラ投資銀行の意味
  倉都康行 (RPテック代表、エコノミスト)
国際情勢の地殻変動
中国は世界秩序を変えうるか──陸と海をつなぐ「一帯一路」構想の一環としてのAIIB
  温鉄軍 研究グループ
  要約=黄徳興、訳・解説=羽根次郎 (明治大学)
座 談 会
激動する中東と日本のゆくえ
  長沢栄治 (東京大学)、栗田禎子 (千葉大学)
  黒木英充 (東京外国語大学)
座 談 会
孤立する加害者家族に社会ができること
  名越康文 (精神科医)、藤井誠二 (ルポライター)
  松原拓郎 (弁護士)
驚きの愚策
入試制度改革で分断される若者と日本社会──着々と準備される学制改革の意味
  中嶋哲彦 (名古屋大学)
検定から検閲へ
教科書は政府広報ではない
  俵 義文 (子どもと教科書全国ネット21)
公共性の回復のために
NHKの再生はどうすれば可能か
  上村達男 (早稲田大学)
対  談
やはり司法は生きていた
  今大地晴美 (大飯・高浜原発運転差止仮処分申立人代表)
  水戸喜世子 (同副代表)

緊急座談会
山動く日、来たる──高浜原発再稼働差し止め仮処分をめぐって
  河合弘之 (弁護士)、海渡雄一 (弁護士)、鹿島啓一 (弁護士)
逆境に抗して
晩年の吉野作造──敗戦日本の焦土に遺された「一粒の麦」
  三谷太一郎 (東京大学名誉教授)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰ってからさっそく読みましたが、他の記事も含めて読みでがある雑誌です。
とはいえ、
全体に字が小さいし内容が堅くてむずかしい(笑)。

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いっしょにかったのは、前から読みたくて気になっていた『教団X』。
中村文則さんの書いた本は、けっこう読んでいます。

選挙の季節も終わって、ちょっと時間に余裕ができたので買ったのですが、
それにしても567ページもの分厚い本。
読み始めるには、気合が要りますね。


  教団X [著]中村文則  
[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) 
[掲載]2015年03月01日  朝日新聞

■思索と欲望、人間の底抉る戯画
 狭義の「文学」の範疇(はんちゅう)には留まらない話題作、問題作を連発している中村文則だが、彼のキャリアにおいて最も長大なこの小説は、極めつきの問題作と言っていいだろう。
 とつぜん消えてしまった恋人、立花涼子の行方を追って、楢崎(ならざき)透は松尾正太郎という人物を教祖とする新興宗教の拠点を訪れる。松尾は一風変わった老人で、哲学と宇宙論と脳科学が入り交じったユニークな説法で信者を集めていた。楢崎は松尾の教えに興味を抱くが、涼子はすでにそこには居なかった。確かに以前は出入りしていたが、彼女は実はもうひとつの宗教、松尾と旧知であるらしい沢渡という男が教祖のカルト教団「教団X」のスパイであり、何人かの松尾の信者を引き連れて今は沢渡のもとに戻っているというのだ。程なく「X」の方から楢崎は接触され、教団が所有するマンションに連れていかれる。そこで彼を待っていたのは、時間感覚さえ失われるほどの性的な快楽の日々だった。「X」は一種のセックス教団であり、公安にもマークされている。楢崎と涼子、そして「X」に所属しつつ秘密の計画を進めようとしている高原、松尾の信者でありながら高原を深く愛してしまった峰野、以上の四人の男女を軸に、物語は展開してゆく。
 松尾は「思索」を、沢渡は「欲望」を象徴している。だが二人(の教え)は対立しているわけではない。むしろ思索と欲望がお互いに、否応無(いやおうな)しに貫通し合うさまが、ここには描かれている。中村文則の小説の登場人物は、混乱と苦悩に責めさいなまれながらも、こと重要な場面になると、直情や本能に進んで身を任せるようにして、みずから過激な運命へと飛び込んでゆく。楢崎たちも例外ではない。その行動原理は奇妙なまでに切羽詰まっていて、時として戯画的でさえある。だが、この戯画は「人間(性)」の底を抉(えぐ)っているのだ。
    ◇
 集英社・1944円/なかむら・ふみのり 77年生まれ。「土の中の子供」で芥川賞、『掏摸(スリ)』で大江健三郎賞。


 『教団X』 中村文則著 
評・尾崎真理子(本社編集委員)
2015年02月16日 読売新聞

世界映す「総合小説」
 あり得ないフィクションを現実化したオウム真理教の地下鉄サリン事件から20年。

 年月は、カルト教団を動かす教祖や信者らの物語を束ね、世界の全景を描き出そうと試みる、この「総合小説」を生み出す時間ともなったようだ。

 科学が神の領域に近づく時代に呼応した、「教祖の奇妙な話」が序盤に長く続く。教祖の松尾いわく、最新の宇宙生成論はインド最古の聖典「リグ・ヴェーダ」の記述と合致する、質量不明の人間の意識は三次元世界の枠外にある、そして人間とは、<過去から現在の膨大な原子の絶え間ない流れの中に浮かぶ物語です>。含羞にみちた高齢の教祖は、なかなか魅力的だ。対して、引き寄せられる側はいかにも危うい。

 <僕は、自分の人生を侮蔑するためにここに来ました>と語る青年楢崎、かつて松尾の同志で、今では性の享楽によって若者を集める教団「X」の教祖、沢渡、そのナンバー2の高原。彼らは人を見殺しにしたりされたり、飢えた記憶に苛さいなまれ、世界を憎悪している。

 なかでも紛争地域のNGOで活動中に誘拐された高原の体験は、イスラム過激派が人質を惨殺する現実の衝撃と重なる。<私は日本人で、安全な暮らしをしていて、善意によってここに来たのだから、そんなはずはないだろう?>

 大国間の策略、あえて放置される貧困。聖戦を掲げる職業テロリストが、<何の躊躇ちゅうちょもなく人を急に殺し、人を殺し続け、自分達も殺されてまた別の人間が殺されるこの無造作な何か>。それを目の当たりにして帰国した高原は、国家も、日本人も、教団さえ信用せず、<死者を出さないテロ>を企てるが……。

 フィクションの世界を突き破る勢いの、カルトの闇の連鎖。作者は人間への信頼を懸命に持ちこたえようとしながら、結末へ駆け抜ける。生き急ぐ作中の彼ら同様、書き急いだ感もある。だが、2015年、今この困難な時代に、本作が間に合ったことを心強く感じる。

 ◇なかむら・ふみのり=1977年、愛知県生まれ。著書に『銃』『土の中の子供』(芥川賞)『掏摸(スリ)』(大江賞)など。
 集英社 1800円


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