福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

現代人に必要な「いやし」(5) 健康食品等の広告も、医療も不安を増幅している?

2018年03月19日 18時07分39秒 | 医療、医学
 生老病死、一生は動的なもの。
 いかに健康であって生きているうちは体調に「ゆらぎ」があり、やがては老化し衰えて行く。そんな基本的なことに、いちいち理屈をつける。研究者は幸せな方だ、と思う。

 健康を保つための選択肢は数多くある。それぞれの人に合った方法かあり、同じ人でも育ち、人生観、死生観、年齢や体調などによって状況は変わる。これは検査などでは知り得ない。

 自分のが積み重ねてきた人生経験は何だったのか。まず頼るべきは自分の五感。健康を保つため画一的なルールなど不要。他人に判断をゆだねる「依存」は健康に限らず、さまざまな分野に広がっている。そこには流される自分がいる。

 わが国には勝れた医療保険制度がある。ちょっと用いられ方に問題はあるが、より困った状態、自分の弱さを自覚して八方塞がりになった場合には解決する道は用意されている。

 最近、科学的知険を隠れ蓑にした健康産業が台頭してきている。消費者庁からの認可などが売りになっていて、健康不安を持つユーザー達の気持ちを苛んでいる。広告の中に一見科学的判断をいれた資料を提示してカモフラージュしている。

 TVの広告はすさまじい。見るものをその気にさせるキャッチコピー、有名人を何人か登場させて経験談を熱っぽく語らせる。更に、「あと30分!!!」と時間限定での健康食品、トクホなどの大安売り。しかも、送料無料と来る。今ここで、購入を申し込まなくていいのか!! いい条件ではもう買えないのか??ユーザー達は見るたびごとに不安が増強する。

 効果がなかった、と言う意見を集約したデータは、恐らく有効だったとの意見の、これは根拠がない私の感想であるが、数100倍は集まるのではないだろうか。それに、送料無料と言うサービス、たとえ値段のなかに送料が含まれていようとも、宅配業に従事する方達の意欲をそぐ表現である。送料無料に安易に飛びついてはならない。送料を払っても欲しい・・ならば前向きに考えよう。

 現代医療にも当然限界があり、患者もみずからの判断でその限界を察知し、自分の人生を決めて行かなければならない。そう言うプロセスを踏めば、たとえそれが死に向かう方向であっても、癒やされる、と思う。

 近代医学は、伝統医学が伝えてきた、不安に対する「いやし」を忘れてしまった。

 ただ、現代医療の中に「いやし」効果を求めるなら、医学的評価は比較的甘いこととなりやすい。だからこそ、客観的に曖昧でない説明を十分しなければならない。

 近代医学の担い手である医師が、知識至上主義に偏って、個別の患者への対応がおざなりになっている例が散見される。実際の診療の場で患者から信頼を得る過程を自ら崩しているように思えてならない。
 医師は近代科学的に得られた手法で患者の苦痛を取り除くのは当然であるが、病気を持った人問として全人的に治療するのが当たり前である。その中に「いやし」も含まれる、と私は思う。
 それが出来ていないから、日常の受診を通じても患者は不安を抱え込んでいく。
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