福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

お詫びとお知らせ

2024年09月20日 04時59分06秒 | 近況・報告
 本ブログ休止に関していろいろコメントいただいております。
 ご心配いただきありがとうございます。

 9月中旬より気管支炎、喉頭炎を中心とする体調不良に陥りました。
 なかなか改善傾向が乏しいのですが、体調も徐々に戻ってきております。

 実質的に、相対的に日常の業務量が増え、時間の確保が困難になりつつあります。 
 具体的に業務には穴を開けておりませんが、責任ある仕事を任されている以上こちらを優先せざるを得ません。
 
 状況が変わるまで一時的にブログを休ませていただいております。
 先のことはなんとも言えませんが状況が改善したら再開したいと考えております。
 
 「延命治療」に関してはまだまだ中途半端です。なんとか完成させたいと考えております。
 
 また読んでいただける日を楽しみにしております。  
 
 ありがとうございました。

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現代日本人の死生観(13) 延命治療(11) 経静脈的栄養補給の適応と管理

2024年09月09日 06時09分10秒 | コラム、エッセイ
 自力で口から食事摂取ができなくなった場合、水分・栄養補給には、基本的には消化管機能を利用するのがいい。

 しかしながら、様々な状況によって、消化管が使用できない、あるいは使用すべきではない、経消化管ルートだけでは補給が不十分と判断した場合、経静脈的に栄養が補給される。

 静脈栄養には中心静脈栄養法と、末梢静脈栄養法の2種類がある。

 中心静脈栄養法は、鎖骨下静脈、鼠蹊部静脈、上腕静脈などを経て中心静脈と言われる部位にカテーテルを留置し、高カロリー輸液などの準完全な栄養を、静脈的投与する。5大栄養素である炭水化物、タンパク質、アミノ酸、脂質、ミネラル、ビタミンのすべての栄養素を、中心静脈から注入します。

 末梢静脈栄養法は、上肢や下肢の末梢静脈に簡易的に注射針を留置して行う方法で、主に水分電解質の補給、10%以下のブドウ糖液やアミノ酸製剤、脂肪乳剤を使用する。1日あたりおよそ1,000Kcal程度のカロリーを投与することも不可能ではないが、それ以上のカロリーを投与すると、浸透圧性の血管炎を起こす可能性がある。7~14日程度の短期間で済む様な場合に適応される。

 中心静脈栄養法では、カテーテルを長期間挿入していることによるカテーテル感染の可能性がある。血管や血液への感染によって、敗血性ショックを起こす可能性もある。そのため、挿入部の発赤、腫脹、熱感、発熱の有無の観察は、重要な観察項目となる。カテーテルを固定するときは、活動範囲に合わせた長さを考慮し、固定をする。

 末梢静脈栄養法では、注射針や留置針は感染予防の観点から、72~96時間程度で交換することが推奨される。挿入部の明らかな腫脹が見られた場合は、別の血管へ再挿入することになる。

 我が国の中心静脈栄養法施行患者数は私が調べた範囲で信憑性のあるデータは見つからなかった。私が療養病棟でお世話している患者は胃ろう施行患者よりは中心静脈栄養法が多い。

 私がお世話している中通リハビリテーションの療養病棟の入院患者の大部分は中通総合病院から紹介されて入院する。入院時には既に胃ろう中心静脈栄養法が行われている状態で転院してくる。問題は前主治医によって延命治療の意義とか経過について十分説明を受けていない状態で開始されており、私は受身的立場で患者の延命治療に参加することになる。

 延命治療に積極的立場ではない私は内心穏やかではない。


コメント (5)
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現代日本人の死生観(12) 延命治療(10) 胃ろう(2) のぞむ患者は少ないが26万人

2024年09月08日 08時40分19秒 | コラム、エッセイ
 延命治療には、輸液や栄養投与が含まれる。

 本人が希望する終末期ケアについてはは、事前に書面で意思表示をしておくのがいい(事前指示書)、と・・とされるが全然普及していない。「食事や水分を十分摂取できなくなった時は、自然な看取りをしてください」といった記載をしておけば、病院や施設が中心静脈栄養や経鼻栄養などの延命を目的とした栄養補給を行う必要もなくなる。

 厚労省『平成29年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査結果』によれば、「人生の最終段階における医療について家族と話し合いをしたことがある割合」は42.2%、実際に「事前指示書」を作成している人は3.2%にとどまる。私が診ている患者の場合は前者も後者もほぼゼロである。

 厚生労働省が2014年にまとめた『人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書』は、疾病別の延命治療の希望割合を示しているが、患者の希望が最も少ないのが胃ろうであった。
 末期がんでは、意識や判断力が正常な場合、点滴希望61.1%、中心静脈栄養18.8%、経鼻栄養12.7%、人工呼吸器11.1%、胃ろう7.9%だった。
 認知症末期で衰弱が進んだ場合、点滴希望は46.8%、中心静脈栄養13.6%、経鼻栄養は10.1%、人工呼吸器は8.7%、胃ろう5.8%だった。 

 胃ろうは2000年以降、急速に普及し、全国の胃ろう造設者数は約26万人と推計される(全日本病院協会)。

 病院や介護福祉施設における胃ろう造設者の割合は、急性期病院が7.2%、慢性期病院が29.6%、ケアミックス病院が21.1%、介護老人福祉施設が9%、介護老人保健施設が7%、介護療養型老人保健施設が28%と極めて多い。

 胃ろう造設には大きな延命効果があり、造設者の平均的余命は約3年と言われている。しかし、胃ろう造設患者は、ほとんどの場合、膀胱留置カテーテル、おむつをつけ寝たきり状態で余生を過ごすことになる。胃ろう造設者の9割は寝たきり状態にあり、胃ろうは本人の意思よりも医療関係者の看護や介護の都合で造設されている可能性ある。

  よく言われるQOL(生活の質 Quality of Life)には、「いのち」「生活」「人生」という意味がある。「人生」とは、「誕生」から「死」までの期間である。QOLは、本人の人生経験に本人が決めるものであって他人が決めるものではない。だからこそ、「自分の終末期ケアのあり方を自分で決めること」は当たり前である。

 現在、多くの高齢者が希望しない延命治療を受けている。その背景には、日本人特有の「死について語らない・・・」ことと関係がある。その結果、社会に対する甘えが当たり前となり、社会保障費が増える要因にもなっている。

 高齢者は突然高齢になるわけではない。生涯を通して死生観の育成が必要であり、終末期を過ごす場所を、医療機関に限らず、介護施設や高齢者住宅に広げていく施策も必要である。
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現代日本人の死生観(11) 延命治療(9) 胃ろう(1)

2024年09月06日 09時46分46秒 | コラム、エッセイ
 口から食べられなくなった人、意思疎通が難しくなった寝たきりの人などに対する栄養補給方法としては、以下の3つがある。
  • 経静脈栄養(点滴)
  • 経鼻胃管栄養(鼻から胃に管)
  • 胃ろう
 そのうちで、胃ろうとは、手術によって胃と腹壁をつなぐチューブを通して栄養剤を注入するもの。

胃ろうの目的
 自分で食べられるようになるまでの一時的サポート、という考えもあるが、ほとんどはそうはならない。私の環境の中ではうまく離脱できる患者は少なく、ほとんど延命治療が目的となる。

 生命の維持と栄養状態の改善を考えて、胃ろうを推奨する病院が増えている。

胃ろうのメリット

(1)経鼻胃管栄養は、鼻からカテーテルが通っているので、患者に痛みや不快感を与える。
一方、胃ろうは患者が感じる不快感を軽減させることができる。

(2)嚥下訓練によって口から食べることができるようになる場合もある。

(3)カテーテルが抜けにくい。それでもたまに自己抜去がある。

(4)入浴も可能

胃ろうのデメリット

(1)手術を要する
(2)唾液、胃内容逆流でで誤嚥性肺炎になる可能性もある
(3)口腔ケア、たん吸引の体制が必要
(4)胃ろう周りの観察  胃ろう刺入部の皮膚が腫れあがり盧出血るといった症状が起こり、悪化すると膿が出ることもある。
(5)定期的にメンテナンスを要する
(6)施設によっては、入居を断られることもある。
  • 介護職員への研修が進んでいない
  • 看護師の日中もしくは24時間の常駐がない
  • 胃ろう患者の安全性を確保できていない
(7)自己抜去することもある。

 ある統計によると、我が国で胃ろうを増設している患者は25万人にも登るとされている。
 胃ろうそのものの数以上に、胃ろうを介した延命治療がこれだけの方が受けていることに私は愕然としてしまう。

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現代日本人の死生観(10) 延命治療(8) 心肺停止時に蘇生・救命処置をしない選択

2024年09月05日 13時23分03秒 | コラム、エッセイ
 DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)は心肺停止時に蘇生、救命処置を試みないことを意味する。
 心肺蘇生とは心臓マッサージや人工呼吸、心臓に対する電気ショック(AED)、心拍再開のための薬剤投与を行うこと。

 状況不明のヒトが心肺停止状態で倒れたりしている場合には、救命を試みるべき。このような機会に何時遭遇するかわからないので医療関係者でなくとも蘇生について心得ておく必要がある。特にAEDの使用法を経験しておくことはとても大切である。

 私が話題としていま取り上げるDNARは、特に患者が高齢の場合やがんなどの持病が進行した場合のことで、上記の救急蘇生の場合とは異なる。

 私は現在療養病棟で患者のお世話をしている。殆どの患者が延命治療として栄養補給等を受けているが、それでも限界は来る。そのような場合、心肺停止をきたしても私は蘇生は行わない。

 患者本人に確かめることはないが、上記の場合にはご家族と何度も面談し「心肺蘇生を行わない」ことに予め了解を得ている。
 最初の頃は家族は私の話にショックを受けるようだが、懇切丁寧に説明を繰り返す音によってDNARを受け入れる。

 高齢者やがんが進行して心肺停止になってしまった場合は、仮に蘇生できたとしても一時的であり、かつ蘇生前の状態より良い状態になることはない。肋骨は折れ、植物状態になることが多い。

 ご家族の方がこのような時にも心肺蘇生を希望すれば患者が一層不幸な結末になる。私は時間の許す限りご家族と面談の機会を作ってDNARのお話をする。


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