延命治療に関して判断に困る問題に対応するため、厚労省では治療指針を作っている(改訂版平成30年)。
それには延命治療は「本人による意思決定が基本」としている。
本人の意思確認ができない場合は、家族が判断することを許しているが、家族とてなかなか判断ができない。大抵は延命治療を望む。だから、望まない延命治療を避けるためには本人が元気なうちに予め家族や主治医に意思伝達をしておく必要がある。でなければ、生きながら地獄を味わうことになりかねない。言うは簡単だが実行は困難である。
私の場合を例として提示する。
私は2007年8月に膀胱頚部切開術+憩室切除術を受けた。あれから17年も経つが、50年近く悩んできた排尿困難は術後現在に至るまで問題がなくスムーズである。この手術で私の人生は一変した。
当時、中通総合病院の院長であったが、手術の経過が十分予測できないために副院長に管理者の代行をお願いした。
その際、私から代行に「お願い」を提出した。
以下がその文書である。これは今日まで改定していないが今でも同じ考えである。
その後も種々の疾患に罹患し入院治療を受けたが、その度ごとにこの内容について家族に再確認し、不測の事態に備えてきた。
■2012年10月腸閉塞 内ヘルニアで腹腔鏡手術
■2012年11月心原性脳塞栓 後遺症なく改善
■2017年9月右下腹部鼠径ヘルニア手術
■2022年10月大腸憩室から出血。内視鏡的止血術
■2023年4月急性鬱血性心不全
■2024年5月不明の食欲不振 十二指腸潰瘍
幸い、今まで不測の事態は生じていないが、膀胱手術の際にちょっとしたトラブルがあった、という。鎮静剤を投与後手術室に運ばれたが、途中廊下で呼吸停止し、麻酔科医が呼ばれ気管内挿管を試みたがうまく入らず、呼吸器科医師が呼ばれ、気管支鏡を用いて気管内挿管が行われた、という。私は意識がなかったのでこの過程を全く知らないが、私の診断名に「気管内挿管困難症」と追記された。
大事には至らなかったが、このようなアクシデントは医療上稀ながら生じうる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます