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1時間だけの夫、レンタルの友達(2)

2013-10-10 | ラジオ
親戚ないし友達レンタルについて、モスクワの心理分析研究所のアリナ・チモシキナ氏は、問題をカモフラージュするための試みだと語っている。
チモシキナ氏は、こうしたサービスの現れはロシアにおいても日本においても、自分の生まれや家族環境に根の深いコンプレックスを抱く人たちが多くなっていることを示しているとして、次のように語っている。

「これは感情的な虚無を満たしたいという欲求の表れだ。心理分析ではこれは一過性の客体といわれる。小さな子どもにはお気に入りの人形やクマのぬいぐるみがあって、子どもは寝るのもどこに行くのも、これと一緒に過ごすが、こうした一過性の客体は虚無感を埋め、恐怖感や母を恋しがる気持ち、近しい人を求める気持ちを満たしてくれる。
しかし小さな子どもが、これを求めるのは普通のことだが、成人がこうした一過性の客体を求めるとなると、いったいこの先長い付き合いを行う力がこの人物にあるかどうか、疑問が沸いてくる。
これはいったい何が原因で起きているのだろう。これは大都会に特有の情報のリセットや分離状態から来ている。この結果、人は孤独になり、または孤独感、虚無感、寂しさに苛まれ、没個性化、現実逃避が始まる。これに続くものは何だろう。人と人の心の結びつきが失われ、愛着心や感情的な悩みという状態が薄れてくる。1時間だけの友達、結婚式用のパパ、葬式用の親戚をレンタルするというのは、こうしたサービスを必要とする人がいるのだとは理解できるが、彼らは完全な家族像という虚構を作り出し、子ども時代に満たされなかった気持ちをお金で買おうとしている。
しかし、これは問題のカムフラージュの域を出ないものだ。レンタルするという事実自体、人間そのものが大事なのではなく、お金を払って買うことで、その人が果たす機能が価値があるのだということを物語っている」
チモシキナ氏のコメントだ。

ロシアでも日本でも最近は男女ともども、家族や夫婦の価値に、懐疑的な態度を示す人が増えている傾向が伺える。日本で18歳や34歳を対象に実施された世論調査の結果では、回答者の4割が夫婦の意味が見出せないと答えており、男性の45%が異なる性とのデートに興味がないと答えている。
ロシアでも、棺に入るまで貫かれる愛を信じる人の数は減っている。キャリアアップを選び、セックスパートナーを見つけはしても、婚姻を結ぶ意味までは見出せず、同棲関係で十分と考える人が増えている。
最近の国民調査では、結婚している女性は結婚している男性より数百万人も多いことが分かった。市民婚、同棲状態の女性の92%が自分は結婚していると思っているのに対し、市民婚の男性の85%は独身だと考えている。

父親になれない男性が生まれ、何でもお金で買えると思いこんでいる子どもの世代が登場したのは、誰の責任なのだろうか。
親戚縁者をレンタルしたい人がいたとしても、悪いのはこのサービスを提供している会社ではないことは明らかだ。

何で世論調査を18歳や34歳を対象に限定したのか理解不能

人間関係が「しんどい!」と思ったら読む本
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10月1日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル