1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

ダボスでの世界経済フォーラムを振り返って

2009-02-06 | ラジオ
スイス東部山岳地の保養地ダボスで開かれていた、第39回世界経済フ
ォーラムがその幕を閉じた。
フォーラムでは世界に広がった、極めて深刻な金融経済危機からの脱出
法が真剣に模索されたが、まさにそれは生みの苦しみといって良いもの
だった。

今回の経済フォーラムは参加した人、国の数などあらゆる面で記録を塗
り替えるものとなった。
43ヶ国の大統領および首相そして有力な政治家、実業家、学者さらには
世界を代表する社会組織のリーダーなど2500人が参加した。
これだけのレベルの人々が、世界経済が陥った容易ならざる状況を討議
するために、ダボスに一堂に介したわけだ。

今回ロシアの代表として初めてフォーラムの開会式で、プーチン首相が基
調報告を行い、そのなかで危機の原因を分析するよう提案し、危機克服の
ため可能な脱出策そして新しい金融経済関係の構築策を示した。
プーチン首相は公正でかつ効果的な、世界経済構造が作られてはじめて、
地球全体が将来、幸せな暮らしをおくることが出来るだとの考え方を示し、
次の様に続けた。
そうした公正かつ効果的なシステムのなかで、全ての国々はその生活を
保障する上で必要不可欠な資源、および新しいテクノロジーや国の発展の
原動力になるものを、確かに手に入れられるような手段を持つべきである。
そのほか将来世界経済は金融通貨システムも含めて、多くの玉を持った世
界を前提にすべきだ。
この様に指摘したプーチン首相は同時に、グローバルな金融危機のなかで、
全面的な孤立主義や保護貿易主義、そして経済への国の過剰な介入が生
じる危険性に付いても警告している。

専門家達はプーチン首相はまさに共通の病に付いて語り、世界を西側がよ
くするように良いものと悪いものに分けるような事はしなかったと指摘してい
る。

ロシア・グローバリゼーション問題研究所所長は、ロシアの声からのインタビ
ューに対し次の様に答えている。
「プーチン首相は誰かが愚かであるためではなく、古い考え方のタイプが、も
はや機能していないことから生じている問題や、誤まりに付いてダボスで語
った。
ダボスで当然のことながら、新しい考え方のタイプを作りだすというのは困難
だ。あまりにも大きな課題だからだ。
しかしフォーラムの参加者達は、そうした新しい思考タイプを作り出す必要の
あることを理解した。
彼らはそのことを公然とは認めていないが、そのことを理解したと私には思わ
れる。
私の見解からすると、まさにこのことが今回のダボスフォーラムを、これまでの
なかで最も重要かつ最も実りあるものにしているのだ」
ロシア・グローバリゼーション問題研究所所長は、このように指摘した。

もう一人ロシアの著名なエコノミーストの見解を紹介したいと思う。
政治的なハイレベルの二国間コンタクトの、チャンスを作ったと言う点にも、今
回のフォーラムの持つ意味を見ている。
「フォーラムは面と向かって会うチャンスを与えているという、まさにその意味で
有益かつ必要だ。会談では世界経済全体、そしてそれぞれの国の経済もまた
陥ってしまった、困難な状況を克服に向けた共同行動や相互支援策も含めた、
具体的かつ実用的、実際的な諸問題が挙げられている」
ロシアの著名なエコノミーストは、このように述べた。

ダボスでの討論は現在の世界が抱えている諸問題を直ぐに解決する、いわゆる
即効性のある療法を模索するものでなかったが、世界の政界実業界のエリート
達を、人類の前に立ちはだかっている課題が共通なものなのかという理解に近
づけたということによって、こうしたフォーラムが単に有益なだけではなく、必要
不可欠なものであることを示すものになった。そういって然るべきだと思う。

(?)は聴き取れず

世界経済30分でまるわかり〈2008年版〉

高橋 進
高橋書店


このアイテムの詳細を見る

2月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル