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いじめの提言に沿った正規の教員を増やし少人数学級の実現を

2014-03-11 22:04:19 | 教育・子ども

3月7日、区議会予算特別委員会での私の質問を報告します。

●質問=この現状から区教委の学力向上対策が現場の実態や教職員の認識とかみ合った施策なのか検証する必要があると思う。
26年度は新規事業として、そだち指導員配置、教育養成講座(イーラーニング)、や中学校での補充授業を次長組織からの要請で実施することになった。
まず、学力向上対策として確認しておきたいが、昨年二期制に関して文教委員会で講演会を開催した。

講師の早稲田大学の浅田匡教授は文科省の付属機関である国立教育研究所や中央教育審議会の委員をしていた方であるが、授業時数を増やすことについて、次のように述べた「日本の学校は、授業時間ということを余りにも考え過ぎている、先生は授業の準備をしないといけないんです。授業時間がふえれば、それだけ準備の時間がかかるんです。その時間が確保されていなかったら手抜きになりますから、時間が幾らふえても学力向上にはつながりません」と答えていたが、この指摘について区教委はどう考えるか?

○答弁=おっしゃる通り授業の準備は必要だ。だが、足立区の子供の実態を考えれば基礎学力を身につけさせる。そのためにはそれなりの授業時数の確保は重要だと思う。
浅田先生は文科省の委員もしており、根拠に基づいて話をしている。子どもたちの学力が低いからと言っても、ある程度の授業時間を確保すると言ってもそれを保障する教員の教材研究をする時間を保障されなければ効果がないと指摘をしている。その認識を聞いたのだが、これについては教育委員会の幹部の方たちも話を聞いているので、認識は共通になっていると思う。

●質問=先ほどの二期制の講演会で文教委員長が少人数学級より、習熟度別少人数指導の方が学力向上に役立つのではないかという質問を浅田先生にしました。
かえってきた回答は「国立教育政策の研究では、習熟度別のいわゆる能力別ということなんですが、要するに同質集団になってしまうんです。これは教え合いというのがないんです。現状の学習理論では、いわゆる教え合い、あるいは学び合いという、つまり他者とどう相互作用するかが非常に重要だといわれているので、同質集団でやるほど余り効果がないんです。むしろ異質なほうがいい。そうすると、必ずしも習熟度別がいいとは限らないということです。なので、習熟度別も余り私は勧めません。

要するに普通のクラスの編成の中で、どうやって子どもたちの学力を上げるのかという点に関しては、日本の教師は世界ナンバーワンです。つまり40人の学級で、これだけの基礎学力をつけてきた国はありません。それなので、日本の教師は超優秀なんです。」と回答された。私も同感なんですが、区教委はどう思うか。

○答弁=以前にも話したが同じ早稲田大学の安孫子先生の長年の研究成果で、2011年に出した著書の中で、研究者としてこれまで習熟度別授業には否定的な見解を取らざるを得なかった。但し現実の実態であまりにも多くの学校でそれが実行され、成果を収めている。そういう実態を踏まえれば今までの見解を変えざるを得ないと述べているように、一定の学ぶべき内容によっては極めて習熟度別授業が効果を発揮すると言うことは、十分検証されている。そのような意味では足立区においての厳しい子供たちは、やはり習熟度別で徹底的な基礎を教えるには有効と考える。

●質問=その研究というのは文科省のエビデンス(科学的根拠)を得た著書なのか。私は違うと思う。これは個人的な見解、ある意味ではエビネンスのない教育次長の見解だと言わざるを得ない。文科省が公式にそのことを文科省のエビデンスがあるものと確認できたら後で教えてもらいたい。

塾が「習熟度別指導」を採用しているのは根拠があることだと思っている。塾は進学塾であれ補習塾であれ、私的な営利団体です。子どもや親のニーズに応えるサービスを提供するのが塾の目的だ。塾が「習熟度別指導」を導入するのは、親と子どもと塾自身の三つのニーズに応えるためです。「学校よりも進んだ内容で有名校をめざすニーズ」「学校よりも遅れた内容で学業の補習を求めるニーズ」そして「進学実績をアピールして塾の営業実績をあげる必要」の三つだ。

 しかし、学校はサービス機関でも営利団体でもなく、塾とは異なる責任と使命によって成立しています。学校は一人ひとりの子どもの学ぶ権利を保障し、一人ひとりの学びの可能性を開き、所定の条件のもとでもっとも高いレペルの学びを実現することに責任を負っている。だから浅田先生も日本の教員は世界1だと言っているのはそうした公共的使命を担って頑張っているからだ。さらに学校は、競争と差別を克服し平等で民主主義的な社会を実現するという公共的使命を担っている。「習熟度別指導」は「学校の塾化」に拍車をかけるものだ。

●質問=次にいじめの提言について聞く。足立区がかかえている教育課題、いじめの提言はすばらしい示唆をあたえていると思う。いじめや不登校対策はもちろんのこと、学力向上対策や教員の指導力向上でも役に立つと思うがどうか。

○答弁=提言については教員の負荷の問題、こともたちのいじめ防止策等示唆に富んだ提言をいただいている。真摯に受け止め可能な限り実現をしていかなければとの認識だ。
●質問=次に学力向上策のうち、たとえば、補充教室を中学校の学力向上のために、全校に実施するよう要請した。ねらいは学力テストで低位のこどものつまずきを解消するために、放課後、これらの子どもに補充教室を実施することを要請、実施方法は各学校に委ねたと聞くがどうか。

○答弁=学力調査で低位ということでは必ずしもない。当然学ばなければならない内容が身についていない子供については、可能な限りやってほしいということだ。その一つが中学校の場合は業者テストを使ったりして必要な子どもをピックアップしたということだ。

●質問=ところが、いくつかの学校ではすべての子どもを対象にして、補充教室を実施するとした。これは平日、7時間目をつくるようなものということで、教員の多忙化に拍車をかけるような事態だ。区教委は是正に乗り出したが、意見が一致しない学校が生まれている。なぜ、現場で混乱が起きたのか。先日の質疑でも次長は「校長会を開き、何度も趣旨を説明したが、理解してもらえない校長が数名いた。」と答弁している。
こうした矛盾はなぜ、生まれるのか。区教委は学力向上を至上命題にして、学力テストでの到達率や正答率をあげるために様々な手立てを講じてきた。二期制を導入し、授業時数を増やしてきたが、校長の中には授業時数を増やすとともに、ドリル学習を全員にやらせたい。補充教室をやっても意味がないなどいろいろな考え方があり、区教委の方針に同意できていないからではないのか。

〇答弁=教育委員会がお願いしているのは、基礎の基礎を身につけるということだ。校長会の説明でも決して学力調査の順位ではないと申し上げてきた。最低限の学力が付いて70番なら胸を張って70番でいいだろうということも言ってきた。ご指摘のように37校中4校が7校時の授業に匹敵するような提案をしてきたが、即座に却下した。

課題がある子に朝晩、朝晩ドリルをやってあるいは小テストをやればその子は本当に参ってしまう。そのような子には1人の教員が寄り添うような形で、わかる喜びを与えていく。そのような意味での補充教室だということは繰り返し申し上げてきたが、残念ながら聞く耳を持たない校長には通じないということだろうと思う。

現場の声を聞かず、上からのトップダウンの押しつけ

●質問=認識を聞いているのではない。どうしてそのような校長が生まれるのかということだ。次長の言う、学力テストで低位のこどものつまずきを解消させたい。せめて高校に入学して中途退学になるようなことはさせたくないという気持ちは理解できる。問題は、現状の教職員や学校のかかえている困難の原因を取り除くことなしに解決しないと言うことだ。原因は、区教委の施策が現場の声を聞かず上からの方針を押しつけるやり方にある。その典型例が新任教員への教員養成講座(イーラーニング)だ。

早稲田アカデミーが塾講師のための作成した講習ビデオをスキルのない、新任教員に見てもらう、そこで教師としてのスキルを学べるように24時間いつでも学べる研修だといって取り入れた。私もビデオの一部を見たが、いわゆる教え方のマニュアルだと思う。この講座ではレポートの提出をしないと次のステップにいけないと聞くが、これは教員のあらたな多忙化をつくることになるのではないのか。

〇答弁=研修の一環と考えている。したがって教員がどこでどのような形で、自分自身勉強をし、その進捗状況を測るために必要と考えている。

●質問=先ほども言ったように学校現場は本当に大変だ。一瞬見ると好きな時間に見られるからいいというが、研修時間にカウントするということならば、初任者研修のどの科目のどの時間を研修に位置付けるのか決まっているのか。

○答弁=初任者2,3年目の教員については校内で研修を行うことが東京都より義務付けられている。その研修を校内やるときに事前にビデオを見るなりして、公開授業等をやるときの時間数にカウントできると考えている。

●質問=私が聞いた時には決まっていなかった。この制度を始めると言った時には決まっていなくて、後から決めたのか。

○答弁=研修については、指導室の研修係と担当指導主任と協議をし決めた。委員に話した時点ではまだ回答がなかったので話さなかった。

指導室と次長組織という二重権力が生まれている

●質問=そこが問題だ。この養成講座を採用するにあたって、教員を指導する指導室長の意見を聞かず、要綱は渡したと聞いたが、予算案がプレス発表され、私が聞き取りしたときまで、指導室長はビデオを見ていなかった。教員を指導する権限をもっているのは、指導主事のトップである指導室長でないのか。このように大事な決定をするときに指導室長の意見が反映されないのはおかしいのではないか。

○答弁=そもそもイーランニングについては、たとえば初任の先生が教室に入るのに右足から入るのか左足から入るのか、そのようなことも解らず悩んでいる。そういう基礎、学習空間づくりを徹底的に初任の先生に学んでもらうという意図でやっている。また、内容については現場の先生にも見てもらっているし、我々も見ている。校長経験者も見ているし、私どもにも統括指導主事もおりますので、一緒に見て協議をしている。当然学校指導室長とも協議をして進めていることで、決して指導室がうんぬんということではない。

●針谷=指導室長が見ていなかったのは事実だ。確認もしている。私が問題にしているのは指導室長の意見も聞かずに、この政策をやろうと決めたことだ。次長組織の矛盾を昨年の予算委員会でも指摘したが、区教委の中に二重権力みたいなものが出来ている。次長組織と指導室という2つの組織から指示がされる実態がつくられている。
 しかも、区の学力向上対策の多くを学習塾の指導内容にたより、公教育の上において、教員を指導することは本末転倒でありと指摘しておく。これまで明らかにしてきたようにいじめの提言が言う多忙化の解消どころか多忙化に追い打ちをかける上からの押し付けばかりと言わざるを得ない。、

●質問=次に24年から区教委は講師謝礼など校内研修予算を削減したが、どうしてか。

○答弁=基本的には財源が厳しくなっている中で、どういったせ施策を生かしあるいは拡充し、どういった事を縮小しようかという流れの中で、小中連携がなかなか進まない原因が、小学校中学校相互が同一の日程調整がほとんど不可能な実態がある。モデル校での検証結果だが、小中それぞれの校内研修の時間を一緒に合わせて、そこで小中連携をすることを組み立てたので、当面小中連携が軌道に乗るまではその時間を使う。したがってその時間を活用するわけだから今まで使っていた校内研の予算はそれには適用しないということだ。

学校研修予算を削減をやめ、講師謝礼など予算増やせ

●針谷=これも学校現場の意見を聞かない実態の典型だ。いじめの提言では「各校の教師を一堂に集めて実施する研修よりも、校内研修の機会などを活用し、教師自らが考える機会を設定する。自校や他校で実際に起きた事例の情報を共有し、具体的な事例にそくしてどのような指導や対応が効果的かを教師どうしで話し合い、教師が主体的に考察することを資質向上のための方策の基本とする。」としているが、この指摘の通りではないのか。校内研修は充実させなければならないと思う。26年度は講師謝礼も含めて予算を復活すべきだがどうか。

○答弁=現時点で復活する余裕はないが、小学校でやっと基礎学力が充実あるいは取り組みが定着しつつあるので、次年度は活用力型のモデル校を設置して取り組みたいと考えている。そのモデル校の中で、外部講師等の活用も中身も検討していきたいと考えており、全校一斉の復活は考えていない。

●質問=それが先ほど次長自ら言ったいじめの提言は負の教育課題を解決するのに役に立つと言った答弁に矛盾することをやっているということだ。
提言は「教育委員会は「副担任講師配置事業」実施しているが、講師の場合、時間数や校務分掌上の制約もあり十分とは言い難い、具体的には、現在の事業をさちに発展させ、正規教員を区独自で配置する。」としているが、区独自の正規職員を配置する考えはあるか。

○答弁=本会議答弁の通り、教員の配置の任命権限は東京都であり、都に要望したい。

正規の教員を足立区独自に採用して35人学級の実現を

●質問=提言には要望につても書いてあるが、区独自の教員採用をと言っている。すでに品川区では正規職の教員を採用し新年度予算でさらに増員するが、品川区の独自採用教員は主幹教員や副校長になれ、都採用の教員と身分的な違いはない。問題は子ども重視の区政運営の立場に本当にたち、提言の内容をやるかどうかだと思うがどうか。

○答弁=指摘の提言はいじめに関する課題から出発し、その背景には教師の多忙化や指摘の点もあるが、それらも含めて学力の問題も含めて、区独自の教員の採用という方向ではなく、副担任やスクールカウンセラーの増員といった方法で当面、対応していきたい。そのことで提言の趣旨に応えたいと考えたい。

●質問ーまさに提言を無視だと指摘し質問を終わる。