8月5日、日本共産党創立94周年記念講演会が北区王子の北とぴあで開催されました。
志位和夫委員長が「野党と市民の共闘と、日本の政治の展望」と題して講演。昨年9月19日の安保法制=戦争法の強行後、広がった野党と市民の共闘の意義と成果を振り返り、今後のたたかいの課題と展望を明らかにしました。シールズの諏訪原健さん、ママの会の西郷南海子さん、「市民連合」の広渡清吾東大名誉教授が来賓あいさつ。舞台上に参院選をたたかった候補者が勢ぞろいし、初当選を果たした武田良介、岩渕友、山添拓の3氏があいさつしました。
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志位氏は冒頭、東京都知事選で、野党と市民の統一候補として奮闘したジャーナリストの鳥越俊太郎氏が134万票を獲得したことについて「大健闘だった」と述べ、同氏に敬意を表しました。
今後につながる二つの成果として、(1)鳥越氏が都民の願いに応えた政治の転換の旗印を堂々と掲げたこと(2)参院選で大きな成果をあげた「4野党+市民」という共闘の枠組みが首都・東京の知事選でも発展したこと―の意義を強調しました。
参院選の結果
野党と市民が全国的規模の選挙共闘を行うという歴史的選挙戦となった参院選の結果について、志位氏は、野党共闘の勝利と日本共産党の躍進という二つの大目標にてらして語りました。全国32の1人区のすべてで野党統一候補が実現し、11の選挙区で勝利したことは「極めて重要な成果であり、初めての挑戦としては大きな成功を収めた」と強調しました。
また、日本共産党が、比例代表で601万6千票という史上2番目の得票を獲得、東京選挙区でも議席を獲得し、改選3議席を6議席へと倍増させ、非改選とあわせて14議席に前進したことなどを報告。「二つの大目標にてらして、全体として大いに健闘したといえる成果を収めることができました」と述べました。
野党と市民の共闘について
(写真)記念講演する志位和夫委員長=5日、東京都北区
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志位氏は、この選挙戦から今後に生かすべき教訓の第一として、「野党と市民の共闘」を取り上げ、3点から「豊かな教訓」を明らかにしました。
第一は、野党と市民の共闘が、「1+1」が「2」でなく、それ以上となる“共闘効果”が発揮された点です。32の1人区のうち28で野党統一候補の得票が4野党の比例票の合計を上回ったことや、投票率が合区を除く30の1人区のうち26で前回を上回ったことをあげ、「野党が一つにまとまったことによって、『政治は変えられる』という希望が広がったことを示すものです」と強調しました。
第二は、11の1人区で勝利を勝ち取った意義はきわめて大きいという点です。志位氏は、自民党が「重点区」とした1人区のほとんどで勝利するとともに、その中でも、東北、福島、沖縄という安倍暴走政治との矛盾がとりわけ集中している地域で勝利をおさめ、暴走政権への痛打となったことを力説しました。
第三は、全国どこでも、他の野党、市民運動の方々とともに選挙をたたかう中で、新しい連帯と信頼のきずなが広がっていることです。
志位氏は、激戦をたたかった野党統一候補が“この共闘なくして勝利はなかった”と実感をもって語っていることや、ともにたたかった市民から「あきらめない」「今からが次のスタート」と熱いエールが寄せられていることを紹介。「こうした連帯と信頼のきずなは、その一つ一つが宝です。このきずなを大切にし、大きく育てていく」と決意を表明しました。
志位氏は、日本共産党が1961年の綱領路線の確定以来掲げている統一戦線の方針を振り返り、全国規模で初めて現実のものとなった統一戦線が「まだ始まったばかりで、さまざまな未熟さを抱えていますが、大いなる未来を持っている」と指摘。「わが党綱領の統一戦線の方針が国政を動かす新しい時代が始まっています」と力説し、「野党と市民の共闘をさらに前進させるために、あらゆる知恵と力を注ぎましょう」と呼びかけました。
野党共闘攻撃、共産党攻撃とのたたかい
今後に生かすべきもう一つの教訓は、野党共闘攻撃、共産党攻撃とのたたかいです。
志位氏は、安倍首相自らが先頭にたった今回の参院選での共産党攻撃が「野党共闘に本格的に踏み込み、政権打倒に全力をあげるわが党に対する、支配勢力の強い危機感、恐怖と憎悪を示すもの」であり、「『野党共闘を推進する共産党の足をどうしても止める必要がある』という切羽詰まった危機感に突き動かされてのもの」と述べました。
志位氏は、「野合」攻撃に対して「野党は『立憲主義を取り戻す』という国民的大義のもとに結束している」と断固として反撃してきたことを紹介し、憲法と自衛隊をめぐる論戦について、綱領と大会決定にもとづいて、2点にわたって強調しました。
第一は、憲法と自衛隊との矛盾をどうやって解決するかについてです。
志位氏は、国民合意のもとで憲法9条の完全実施に向けて段階的にすすむ綱領の立場を丁寧に解明しました。
第二は、いま問われているのは、自衛隊が違憲か合憲かではなく、憲法解釈を変えて自衛隊を海外の戦争に派兵することを許していいのかどうかという点です。
志位氏は「『こんなことは許せない』の一点で、野党と市民は、自衛隊違憲、合憲の立場の違いを超えて結束しています。日本共産党は野党共闘に自衛隊についての独自の立場と政策を持ち込まないという立場を最初からとっています」と強調。「『海外で戦争する国』づくりの道を暴走し、自衛隊員の命を軽んじているのは安倍首相ではないですか」と厳しく批判しました。
そのうえで、自衛隊問題を利用しての共産党攻撃が、「海外で戦争する国」づくりを許していいのかという真の争点をそらし、野党共闘の分断を図るものであると解明。「わが党の反撃は、日本国憲法の本旨にかなったものであり、自衛隊に対する国民感情にも即したものだと確信するものです」と語りました。
この中で、軍事費をめぐる党幹部の誤った発言にふれ、「中央の指導部の援助の問題として、今後の教訓としたい」と語りました。
志位氏は、参院選での野党共闘攻撃、日本共産党攻撃の全体を振り返り、「重要なことは、私たちが攻撃に対して正面から断固として反撃することによって、相手の思い通りの結果にはさせなかったことにある」と指摘。「今回の前進は、かつてない激しい野党共闘攻撃、共産党攻撃と正面からたたかって勝ち取ったものであるところにとりわけ大きな意義があります」と強調しました。
安倍暴走政治を止め、政治の転換を
続いて志位氏は、安倍暴走ストップ、政治の転換をめざす今後のたたかいについて話を進めました。
志位氏は、参院選で安倍・自公政権が得た多数の議席は、国政の大切な問題について隠し続けるという不誠実な態度によって得た議席だと批判。「真の争点を隠し続け、『隠す選挙』にしてしまう。ここには、政権党としての政治的堕落とともに、深刻な行き詰まりが表れている」と厳しく指摘しました。
その上で、選挙が終わったとたんに、安倍首相の口から本音が次々に語られているとして、憲法、暮らしと経済、沖縄の問題について、安倍政権の「だまし討ち」ぶりについて縦横に語りました。
この中で、安倍首相による改憲のたくらみについて、首相が選挙戦を「憲法隠し」でやりすごし、選挙が終わるや、「国民の信を得た」とばかりに、自民党改憲案を「ベース」にした改憲に着手しようとしていると告発。「このような『だまし討ち』の暴挙は絶対に許してはなりません」と力を込めました。
また、安倍政権が憲法改定に野党を巻き込むため「改憲先にありき」の策略をとっていることを指摘し、「野党がこうした危険な土俵に引きずり込まれないことが大切です」と強調。「日本国憲法の全条項を守り、平和的民主的諸条項の完全実施をめざす党綱領の立場こそが抜本的対案です」と訴えました。
志位氏は「このような『だまし討ち』の政治は決して長続きしないし、長続きさせてはなりません。憲法、経済、TPP(環太平洋連携協定)、沖縄、原発―あらゆる分野で安倍政権の暴走を止め、政治の転換をめざすたたかいに新たな決意でのぞもうではありませんか。各分野のたたかいを発展させ、大合流させ、安倍政権を打ち倒そうではありませんか」とたたかいを呼びかけました。
野党共闘の課題と展望
野党共闘の今後の課題と展望について志位氏は、(1)それぞれの地域で、野党と市民の共闘の成果と教訓について語り合い、さらに発展させるための努力をしていくこと(2)野党共闘が掲げた共通政策の実現に向けて、中央段階でも、それぞれの地域でも、共同のたたかいを発展させること(3)こうした野党と市民の共同のたたかいを前進させながら、来るべき総選挙で野党共闘をさらに発展させる、パワーアップさせるために全力をつくすこと(4)日本共産党綱領を日常的に語り広げる活動を思い切って強めていくこと―の4点を強調しました。
志位氏は、今度の参院選ほど日本共産党の綱領そのものが熱い焦点になった選挙はないと強調。「日本共産党綱領が現実政治の熱い焦点になっているいま、ここにあらためて光をあて、綱領を語り、日本の未来を語り合う運動に大いに取り組もうではありませんか」と呼びかけました。