自治体学校第2日目、分科会「TPPと私たちのくらし」に参加しました。講師は徳島大学名誉教授の中嶋信さんの講演と「TPPを迎え撃つ地域からの取り組み」元新潟県議の福島富さんのリポート、「TPPと全自治体と懇談」三重自治労連の新家さんの報告でした。
Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの略で、日本語では「環太平洋戦略的経済連携協定」、「環太平洋パートナーシップ協定」ともいう。参加国の間で関税(輸出入にかかる税金)を一切なくそう、関税以外でも経済のあらゆる国境を取り払おう、という協定。はじめはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の間で交渉が始まった。それにベトナム、チリ、オーストラリア、ペルー、マレーシア、アメリカが加わって、現在9か国で交渉が進められている。
アメリカから日本がモノを買わされるようになる。オバマ大統領は、「今後5年間で輸出を倍増する」と2010年1月に宣言している。アメリカがTPPで輸出を大きく伸ばすとしたら、その相手は日本以外にあり得ない。
交渉内容はとても幅広く、24もの分野に渡っている。
1 首席交渉官協議
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2 市場アクセス (工業)
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3 市場アクセス (繊 維・衣料品) |
4 市場アクセス (農業) |
5 原産地規則
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6 貿易円滑化
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7 SPS(検疫、及びそれに付随する措置) |
8 TBT(貿易上の技術的障害) |
9 貿易保護
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10 政府調達
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11 知的財産権
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12 競争政策
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13 サービス (クロスボーダー) |
14 サービス (電気通信) |
15 サービス (一時入国) |
16 サービス(金融)
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17 サービス (e-commerce)
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18 投資
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19 環境
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20 労働
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21 制度的事項
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22 紛争解決
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23 協力
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24 横断的事項特別部会(中小企業,競争,開発,規制関連協力)
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TPPに入ると「関税」を撤廃するだけじゃなく「非関税障壁」も撤廃しなくてはならない。これが一番の問題だ。ところで「非関税障壁」とは?
「関税」があると値段が高くなってモノが売りにくくなる。外国にモノを売りたい人にとって、「関税」以外の邪魔モノが、すべて「非関税障壁」になる。
「健康保険」というサービスを日本に売り込みたいアメリカの保険会社にすると、日本には国民皆保険制度がある。会社員やその家族は「社会保険」に、自営業の人は「国民健康保険」に入っているから、これ以上健康保険なんて必要ない。だから、アメリカの「健康保険」なんて誰も買わない。アメリカの保険会社にとっては明らかに商売の邪魔。
TPPに加盟すると、アメリカの保険会社が、「国民皆保険制度を廃止せよ!」言ってこないとも限らない。日本政府が国民皆保険制度を廃止しないとアメリカの保険会社は日本政府を裁判で訴えることができる。その判定をするのは世界銀行の中に事務局がある「国際投資紛争解決裁判所」だ。この裁判所の判断基準は、自由貿易のルールに則っているかどうかだけ。それが日本人のためになるかどうかなんてまったく考慮してもらえない。そして、日本政府が負けたら、賠償金を支払うか制度を変えなければならないんだ
このようにアメリカと日本経団連の要望がTPPである。
このようにTPPは国家主権をアメリカに奪われるだけでなく、憲法に反するものである。
内政干渉、国家主権の事実ー韓国とアメリカのFTPで明白
勤労の権利、職業選択の自由も侵す
農業・地域経済の不安、国民生活の隅々に打撃となる。
プロジェクターをつかって講演する中嶋信教授
TPPはとめられる対抗軸はアジア共同体構想(TAC)もひとつ。
政治を変えれば、TPPは止められる。
「TPPを迎え撃つ地域からの取り組み」元新潟県議の福島富さんのリポート、