昨日、区議会本会議で安保法制(戦争法)の廃止を求める討論を行いました。
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安全保障関連2法の廃止を求める意見書の提出を求める請願に対する討論 2016.3.23 針谷みきお
ただいま議題となりました受理番号28の2「安全保障関連2法の廃止を求める意見書の提出を求める請願」について、委員会の不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。本請願は民主党、共産党、維新の党、無所属の4会派の議員が紹介議員となり、提出されたものでありますが、その趣旨は、安全保障関連2法は、憲法違反であり、区議会として国に対し、安全保障関連法の廃止を求める意見書の提出を求めたものです。
安全保障関連2法は11の法律からなっており、国連平和維持活動(PKO)法、周辺事態法が重要影響事態法に変更され、日本周辺の有事から世界中に対象を広げるとともに、武力攻撃事態対処法の改定で武器・弾薬の輸送を可能とし、米軍等行動関連措置法で米兵の救出も可能となり、自衛隊が戦後初めて、日本が直接攻撃を受けていなくとも「存立危機事態」という概念で武力行使できるようにした法律です。
歴代の自民党政権が憲法上できないとしてきた集団的自衛権の行使、「戦闘地域」での武器や弾薬などを補給する兵站(へいたん)活動、戦争状態の地域での治安活動など、憲法9条2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」に反するものです。
昨年6月4日、新安保関連法案について、参議院憲法審査会において、自衛隊合憲論者の小林節慶応大学名誉教授、笹田栄治教授など憲法学者3名全員が「憲法違反」と述べています。
とりわけ、自民党・公明党推薦の長谷部恭男早稲田大学法学学術院教授は「集団的自衛権の行使が許されることは、従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがすもので憲法違反だ。自衛隊の海外での活動は、外国軍隊の武力行使と一体化するおそれも極めて強い」と述べました。安倍政権は国会審議でこれらの指摘に全く答えられず、周辺事態の有事についても、ホルムズ海峡の公海上の機雷の掃海をあげましたが、ホルムズ海峡には公海がないことが判明し、完全に破たんしたのであります。
しかも、河野統幕長が事前にアメリカに行き、安保関連法を8月に成立させ、今年2月には施行させることまで約束していたことも判明しました。なぜ、こんなことができるのか、それは昨年3月安倍政権によって「防衛庁設置法」12条が改正され、自衛隊の統幕長ら制服組が防衛大臣に直接、軍事的作戦計画を進言できるようになったからであります。当時の東京新聞は日本型文民統制(シビリアンコントロール)の崩壊と書きましたが、安保法制と一体となった自衛隊の暴走がアメリカの軍隊と一体する恐れも極めて高いことをと見事に証明したのであります。
安倍政権は、国会の質疑も地方公聴会の報告も行わないまま、9月19日、特別委員会で採決を強行しましたが、議事録には採決した記録がなく、連続して参議院本会議でも強行採決したのです。まさに常軌を逸した暴挙の連続だったのであります。
違憲の法律は憲法98条で「その条規に反する法律の全部又は一部は、その効力を有しない。」として無効を宣言しています。
行き詰った安倍政権はそれだったら「憲法改正」すればいいと、居直っており、参議院選挙で憲法改定を争点に浮上させようとしています。
自民党憲法改正草案には「緊急事態条項」が書き込まれていますが、この「緊急事態条項」を加えることによって、総理大臣に権力を集中し、法律と同等の政令を出し、「戒厳令」を導入し、国民の基本的人権を制約することを狙っているのです。
3月29日、安保法制を施行することが閣議決定されました。すでに横田基地には、米軍と自衛隊との「共同統合運用調整所」設置がされ、「平時」から「戦時」まで切れ目なく、米軍と自衛隊が情報を共有し連携する仕組みがつくられました。さらに米政府が特殊作戦機CV22オスプレイを2017年後半まで10機配備し、要員430人を横田基地に常駐させると発表しています。
また、2月22日、戦乱状態にあるアフリカの南スーダン共和国に展開している自衛隊のPKO部隊に、武力行使を認める「駆けつけ警護」の新たな任務をあたえることや、生物・化学兵器などによる攻撃に対処する特殊武器防護隊が派遣されていることを防衛省がわが党の調査に事実だと答えています。
審議した総務委員会で公明党委員は「専守防衛」はかわらない、水爆実験、北朝鮮の弾道ミサイルなどをあげ、我が国の存立を脅かすときというきびしい条件をつけた上での自衛措置、そういう安保法制だと主張し、請願を不採択にしました。しかし、これはまったく、事実に反する矛盾したシュームレスな議論です。北朝鮮の弾道ミサイル実験に対しては国会でも足立区議会でも全会一致で抗議決議をあげ、国連が一致して制裁決議をしている問題であり、急迫不正の侵略に対して自衛の措置をとることは個別自衛権の問題であり、当然ですが、これを理由に集団的自衛権行使の根拠にはなりえません。
元公明党二見伸明副委員長をはじめ、多くの創価学会員が安保法制に反対するデモに参加していることをみても国民を欺く議論はやめるべきです。
また、板橋区選出の元自民党都議の稲葉真一さんは「安保法制は自衛隊が海外に出て武力を行使するものでまさに戦争法です。今の自民党は安倍さんにものをいう人がいなくなってしまっている。」「戦争法を一刻もはやく廃止してもらいたい」と語っています。
さらに国を守るために宣誓をし、命を賭して日本を守ると決意している自衛隊の中からも安保法制(戦争法)に異議をとなえる人も生まれています。
このままでは、自衛隊員の中から、戦死者がでかねない中、一昨日、NHKニュースで防衛大学校の卒業生の11%(昨年の2倍)が自衛隊への任官を辞退していることが報道されています。
政府の行為によって二度と戦争はおこしてはなりません。この事態はまさに地方自治体にとっても住民の生命、財産、自由、私たちの幸福追求が根底から覆される立憲主義の真正の危機を迎えており、自治体の議会として反対の態度を示す時ではありませんか。
いまからでも遅くありません。立憲主義、平和主義、地方自治を守るかどうかが問われる大問題であります。議員の皆さんが、この問題にしっかり向き合い、足立区民の選良として、本請願を採択されるよう求めて討論とします。