住民自治と地方自治体や国のあるべき姿を追求している自治体問題研究所主催の第51回自治体学校が東日本の自由民権運動の地、埼玉県大宮市で開催されました。
私も毎年、参加して勉強させてもらい、議会論戦に生かしています。
埼玉県での開催について、秩父自由困民党に代表される、脈々と受け継がれてきた自由民権の魂と自治への思い、北関東地域は公害闘争の原点になった足尾鉱毒事件をリードした田中正造に代表される運動を東京では勝海舟が支援したという話もあり、歴史というのは学べば楽しいものと思いました。
私は障害者福祉と介護保険という分科会に参加して新たな発見がありましたが、議会質問にするのであとのお楽しみ。
全体会は基調講演で専修大学教授の白藤博行教授による「地方自治を破壊する潰憲型地方分権改革」として主に地方自治体の合併、道州制、憲法との関係の話がありました。次に「新自由主義的構造改革が壊れはじめた」自治の現場から変革期の共同と連帯を考えるというリレートークが弁護士の尾林芳匡さんをコーディネーターに行われました。勉強になった企画でした。
ちょっとだけふれると「自治体での「構造改革」は「構造改革特区」「指定管理者制度」「市場化テスト」などが各地で破綻し、社会教育法改定では国会が指定管理者制度の運用の見直しを付帯決議するなど、公務公共業務の市場化・民営化が行き詰まり見直しが迫られています。
多くのマスメディアが「官製ワーキングプア」が担う公務労働を取り上げ「コスト一辺倒の安易な民間委託のツケは結局市民に回ってくる」という問題意識で取り上げはじめました。不安定で劣悪な処遇の自治体非正規雇用・公務公共関係労働者が労働組合を結成し、声をあげ各地で「雇用止め」を撤回し処遇の改善を勝ち取っています。
また、全国町村会は「平成の合併」は結局、住民サービスの低下や、行政と住民相互の連帯の弱体化、財政計画との乖離、周辺部の衰退など様々な弊害が顕在化してきたと指摘し、「市町村合併はいかなる形であれ強制しないこと、合併強制につながる道州制導入に反対」と決議しました。
「三位一体改革」により自治体財政が困難を極めるなか、さらに「財政健全化法」が自治体の手足をしばっています。政府は、「経済対策」名目の「ばらまき」をすすめています。「経済危機対策」の財源は雇用対策やセーフティネットの構築、地域活性化に役立てることはもちろんですが、しかしそれは、地方交付税の復元など、本来の地方財政確立とは縁もゆかりもないものです。そればかりか、財政確立を求める地方自治体の声を巧みに利用し、社会保障財源と合わせて消費税の大増税に道を開く危険なものといわざるを得ません。
このように私たちの運動が「構造改革」を追い詰め、破綻への流れは大きくなっています。今こそ全国の闘いの教訓や取り組みを学びあい、「地域とは」「自治体・自治体労働者の役割とは」を問い直し、「構造改革路線」から憲法の理念に立ち返った政策の転換を求めていこうではありませんか