騎馬戦型から肩車型へ移行と脅しの論理
近藤区長は新年度予算を「明日のために時代の変化に挑む」と特徴づけ、その象徴に生きがい奨励金の削減を上げていますが、事業総額が4億円を超えていることや人口減少社会の到来と高齢者が増え、ピラミッド型の人口構造がこれまでの騎馬戦型から肩車型にかわり、扶助費が増え続ける。そうしたことを含めて痛みを伴う改革もやむを得ないとしています。
しかし、人口構造が高齢者一人を3人で支える騎馬戦型から高齢者一人を一人で支える肩車型になると予測しているのは、48年後の2060年で、今、そうなっているわけではありません。しかも、政治の努力によって人口減少に歯止めをかけたフランスのることを放棄した考え方にもとづくもので、「時代に変化にただ従う」消極的な姿勢であります。
高齢者就労人口が増えて支え手2人に1人は変動なし
1999年の厚生白書は「高齢者の労働意欲は、少子高齢社会に対する悲観的な見方を変えていくだけの力がある」と明言しています。
1999年当時の65歳以上の労働力人口は475万人、2010年は585万人に増えています。野田総理がいう「騎馬戦から肩車型」はまやかしにすぎません。
単純に20歳から64歳までを生産年齢人口として、高齢者人口で割っているからです。しかし1人の働き手は、高齢者だけでなく自分と子どもなども支えています。労働力人口を総人口で割ると、1人が約2人を支えるという割合は今後も大きな変動はありません。
後世にツケ回しをしないというなら、支え手を増やすことが最大のカギです。政府与党は、労働者派遣法を骨抜き成立させ、有期雇用についての労働契約法改正案では、入口規制を外しました。不安定雇用を増やすだけではありませんか。パート労働者への厚生年金適用は当然です。必要なことは、「職場で一番ベテランになっても1円も昇給なし」などの実態を直視し、均等待遇を確立すべきです。
2035 年まで23区の人口は過去最高水準を維持
東京都の人口は、今後も当分の間、増加を続けるものと予想されると発表。10年後の平成32(2020)年頃には、1335万人程度に達することが見込まれる予測(上記グラフ参照)をしています。
人口減少社会を脅しの論理にして区民施策を削減する土台が間違っているといわざるを得ないことも明らかではないでしょうか。
エコノミストの原田泰氏は「人口が減って1人当たりが貧しくなる根拠は基本的にはありません。現実に世界を見てみれば、小さな国で豊かな国はいっぱいある」と語っています。