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足立区の学校統廃合を考える

2010-04-30 22:35:02 | 教育・子ども
無理が通れば道理がひっこむということわざはよくきかれますが、足立区の統廃合計画(適正規模・適正配置計画)はその典型のようなもの。本木東小学校を本木小学校と統廃合しようとして統合協議会を強引に立ち上げましたが、各方面から反対にあい、今度は本木東小学校だけを廃校にするという方針にしました。



この計画は、昨年5月に決定した適正配置ガイドラインにより、本木東小について「最もよい解決策」を講じることでありました。つまり当初は本木東小をつぶすことではありませんでした。具体的な計画案すら出されていない段階で、本木東小だけは説明会などを先行させ、地域ではあたかも決定事項のように説明をしてきました。その上で10月になって、本木東小学校の統廃合実施計画(案)が出されました。このように経過から言っても「統廃合先にありき」だったのです。



区教育委員会は、「本木東小は過小規模校なので解消する必要がある」と言いますが、小さい学校には小さい学校のよさがあることは、文部科学省も「小規模学校には教職員と児童・生徒との人間的触れ合いや個別指導の面で小規模学校としての教育上の利点がある」との通達を出しているように、だれもが認めることです。だからこそ、不登校児童もここ数年ゼロであり、ひどいいじめの報告もありません。さらに、本木東小は、学校と地域の共同で足立区初の「サタデースクール事業」を生み出し、人権尊重教育推進校でもあり、30年もの間、研究と実践を重ね足立区の人権教育に貢献してきた唯一の学校です。



区は、「運動会ができない」「クラスがえができない」と言いますが、「人間関係上トラブルがなってもクラス替えによる解決ができないからこそ、トラブルや不和と己が向き合うことにより、自分と違う相手を理解しようとする力・優しさ・思いやり・忍耐力・お互いを認め合う力を育てている」とPTA役員が語る本木東の教育のよさが見えないのでしょうか。「運動会だって全員が役割を持って生き生きとやっている。見に来てほしい」という声が聞こえないのでしょうか。


国連の機関である世界保健機構(WHO)も、学校は「小さくなくてはならない……生徒100人を上回らない規模」とはっきり述べており、ヨーロッパをはじめ主な国々のほとんどが、100人以下や100人規模の小規模校が当たり前となっています。児童数が100人に満たない本木東小こそが、世界基準での適正規模校とも言えます。


今回の統廃合計画は、従来の統廃合と違う点が何点もあります。
第1に、学校選択の自由化のもとでの統廃合ということです。保護者や子どもは「小さくてきめ細やかで目が届く」と小規模校であることを承知の上で本木東小を選択しているのです。小さな学校を選択肢として残すことも必要ではないでしょうか。学校選択の自由化を保障すると言いながら、その選択権を否定し、小さな学校だからつぶすというのは、区教委が学校選択の自由化で意図的に過小規模校をつくり出し、学校を統廃合しているとの指摘を免れません。


適正配置ガイドライン計画は、その前提条件が大きく崩れつつあります。人口減少社会という前提により人口推計をして計画を立てていますが、人口が減るどころか、今では66万人になり、20年後も66万人近くの人口であると区も報告しているではありませんか。古い人口推計による計画は直ちに見直すべきです。今でさえ、少人数指導やティーム・ティーチングにより教室が足りないなどの学校があります。区長も子ども重視と言っています。ましてや政権もかわり、世の中全体が子ども施策を充実しよう、30人学級も視野に入れて取り組もうというときに、30人学級を想定していない計画にしがみつき、学校をつぶす必然性は全くありません。30人学級になれば、更に教室が不足します。一度学校をつぶしたら再建するのは不可能に近く、目先だけ見てつぶそうという教育委員会の姿勢は将来に禍根を残すものです。

本木東小学校の統廃合計画は、まだ案の段階であり決定ではありません。文部科学省(旧文部省)も「学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民等との間に紛争を生じたりすることは避けなければならない」と通達していますが、このままでは、地域に重大な亀裂が生じてしまいます。いまからでも、遅くはありません。区教委に翻意を求めたいと思います。
区民の皆さんのご意見、ご要望をお寄せ下さい。