交通事故の後、うつ病となった場合に、うつ病を理由として損害賠償請求できるのかという問題があるのですが、これについて東京地裁の判決で参考になるものがありました(東京地裁平成20年6月30日判決自保ジャーナル1747号3頁)。
事故からの主な経過は、判決を要約しますと、次のとおりです。
平成13年9月 交通事故、右大腿部等の挫傷、右下肢の神経障害で入院
12月 入院していた病院を退院
その後通院していたが
平成14年8月 医師から「もうこれ以上治療しても治らない。症状は固定している。」と告げられた。自賠責からは「局部に神経症状を残すもの」として14級10号の認定しか受けられなかった。
11月中旬 かかりつけの医院で抗うつ剤をもらい、服薬するようになる。
その後、気分の落ち込みなどがあり、自殺願望もでるようになる。
平成15年5月 精神科クリニックに通院し、うつ病と診断される。
平成18年11月 自殺により死亡。
このように被害者は、事故の後にうつ病になっているのですが、うつ病と診断されたのは、事故から2年8ヶ月後の平成15年5月のことであり、これでうつ病と事故との因果関係が認められるのかという問題が生じます。
この点について、裁判所は
「被害者は、精神科のクリニックでうつ病と診断されているのであって、平成14年8月27日に症状固定と診断され、長年携わってきたオートバイ関連の仕事に従事することができなくなり、後遺障害も14級程度しか認められず、やがて、自殺願望が出るようになっていたことに照らすと、専ら本件事故が被害者のうつ病の原因となったとまで認めることはできないにしても、本件事故がその一因となったことは到底否定できないから、Aのうつ病と本件事故との因果関係は認められる。」
と判断しました。
あまり理屈にはなっていないような気もしますが、精神科クリニックでうつ病と診断されたことや、その経過から因果関係自体は認めています。
もっともこの判決は、因果関係は認めつつも
「うつ病が症状固定していたとはいえない。」として、うつ病が後遺障害となったことは否定し、自殺したことと事故との因果関係については、事故と自殺との間の時間が相当経過していることも考慮して、これまた否定しています。
事故からの主な経過は、判決を要約しますと、次のとおりです。
平成13年9月 交通事故、右大腿部等の挫傷、右下肢の神経障害で入院
12月 入院していた病院を退院
その後通院していたが
平成14年8月 医師から「もうこれ以上治療しても治らない。症状は固定している。」と告げられた。自賠責からは「局部に神経症状を残すもの」として14級10号の認定しか受けられなかった。
11月中旬 かかりつけの医院で抗うつ剤をもらい、服薬するようになる。
その後、気分の落ち込みなどがあり、自殺願望もでるようになる。
平成15年5月 精神科クリニックに通院し、うつ病と診断される。
平成18年11月 自殺により死亡。
このように被害者は、事故の後にうつ病になっているのですが、うつ病と診断されたのは、事故から2年8ヶ月後の平成15年5月のことであり、これでうつ病と事故との因果関係が認められるのかという問題が生じます。
この点について、裁判所は
「被害者は、精神科のクリニックでうつ病と診断されているのであって、平成14年8月27日に症状固定と診断され、長年携わってきたオートバイ関連の仕事に従事することができなくなり、後遺障害も14級程度しか認められず、やがて、自殺願望が出るようになっていたことに照らすと、専ら本件事故が被害者のうつ病の原因となったとまで認めることはできないにしても、本件事故がその一因となったことは到底否定できないから、Aのうつ病と本件事故との因果関係は認められる。」
と判断しました。
あまり理屈にはなっていないような気もしますが、精神科クリニックでうつ病と診断されたことや、その経過から因果関係自体は認めています。
もっともこの判決は、因果関係は認めつつも
「うつ病が症状固定していたとはいえない。」として、うつ病が後遺障害となったことは否定し、自殺したことと事故との因果関係については、事故と自殺との間の時間が相当経過していることも考慮して、これまた否定しています。