昨日、大分地裁で、自治会で共同絶交宣言(村八分)を行ったことで損害賠償が認められた判決が報道されていましたが、このような裁判例は既に過去にもでております。
一審 神戸地裁社支部平成25年3月26日判決・判例時報2220号46頁
二審 大阪高裁平成25年8月29日判決・判例時報2220号43頁
(事案)
上記判決で違法行為に問われたのは、「今後の誠意ある対応により、近隣との関係が改善されない限り町行政に関わりのない個人的な付き合いをいたしません」といった内容の申合せに同意した旨を記載した通知書を原告(被害者)方居宅のポストに投函したという行為です。
このような通知書を投かんした理由は、原告方で携帯電話会社の携帯電話基地局工事に関する情報提供及び工事業者を交えての近隣住民との懇談会に参加するよう申し入れてきたが、原告方がこれに誠意ある対応をしていないというのが被告側の言い分です。
(裁判所の判断)
このような通知書の送付は、社会通念上許される範囲を超えた「いじめ」ないし「嫌がらせ」に当たるものとして、原告らの人格権を違法に侵害するといわざるを得ない。したがって、被告らには、原告らの人格権侵害に基づく共同不法行為が成立する、と判断しています。
この事案では、通知書を送った後、最終的に撤回する旨の回答書を被告側は送っているのですが、それでも不法行為は成立するという判断です。撤回する旨の回答書を送付した行為は、慰謝料額を減額する方向では検討されていますが、それだからといって慰謝料を支払わなくてよいということにはならないという判断です。
(認められた慰謝料)
原告一人につき40万円。被告4名は連帯責任を負うこと。
なお、原告は4人家族でしたから、家族合計は160万円になります。
(注意点)
被告側からすれば、近隣に住む人で申合せをして、そこに住む家族に対して書面を交付したというだけの感覚だったのかもしれませんが、裁判所からは、”社会通念上許される範囲を超えた「いじめ」ないし「嫌がらせ」に当たる”と判断されています。
共同絶交行為は違法となりますから、そのような行為を行ってはいけません。
また、そのようにとらえられるような書面も送ってはいけません。
書面を送る場合は、近隣であっても注意が必要であるということになります。