南斗屋のブログ

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ロースクールの非常勤講師をして思ったこと~法曹養成について

2007年06月29日 | 未分類
 ロースクールで一時期、非常勤講師をしていたことがあるのですが、今回はそのときの感想などを書いてみます。

 ロースクールというのは、正式名称を「法科大学院」といいまして、大学を卒業した人が、法曹になるためには今後、この法科大学院を卒業してから、司法試験を受けなければならないのが原則という仕組みになっています。

 このロースクールという制度は、2004年4月から始まったものでして、まだ新しい制度です。

 ロースクールの教員には、法曹の実務家(裁判官、検察官、弁護士)を一定数入れなければならない決まりらしく、各ロースクールは、弁護士会に講師派遣を要請して、弁護士会の中から、講師が推薦されるという仕組みが、地方会では、一般的なようです。

 私の非常勤講師の給与は、1時間で5250円というものでした。
 この金額は、実際に講義に立ったときの時間で、講義に要する準備時間、移動時間、答案の採点時間は、一切カウントされません。

 講義をしてもそれが学生にとってどうだったのかというのは、講師の立場からするとよくわからないというのが、私が少しばかりむなしい思いを抱いた理由です。

 というのは、私は司法試験の受験前に、塾の講師をしたこともありますが、塾の講師の場合、担当の塾の生徒の成績ということで、シビアに判断されますから、緊張感がありました。

 また、弁護士の仕事も日々、相談、書面作成、法廷立会で評価されるものですし、特に法廷立会は、一種の知的な格闘ですので、かなりの緊張を強いられます。
緊張を強いられつつも、弁護士の仕事は最終的に結果がみえますので、その結果によって、喜びもしますし、また反省もするわけですが、ロースクールの講義には、残念ながらそのようなものがなく、何か一様の寂しさを覚えました。

 元銀行員から、大学教授に転身された方が、「大学は競争の全く存在しない、無動の世界のようだった。教育実績が全く評価される事のない、微温的なシステムに保護されているからだろう」(2007年6月18日付日経)と書いておられましたが、私も同感です。

 どれだけ準備をしてもそれが評価されず、時給が5250円であり(ちなみに、弁護士の場合、相談料は時給1万円が相場です)では、よい弁護士をロースクールの教員としてが獲得するのは、難しいのではないかと思いました。


コメント (1)
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