リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

現実はちょっと横に置いといて

2016年11月23日 | 日々の風の吹くまま
11月23日(水曜日)。雨が上がりそうな気配。きのうはおとといの穏やかな青空から一転し
て薄暗い雨空で、まるで前日に降れなかった分の埋め合わせをしようというくらいにじゃぶ
じゃぶ。夜、明日から始まるArts Clubの新作『The Day Before Christmas』の特別上演
に行くのに、駅まで歩くとずぶ濡れになりそうだったし、帰ってくる頃はバスが30分おきにし
か出ないので、駅の下の駐車場まで車。電車でメインストリート駅まで行って、劇場までは
フォルスクリーク沿いに歩いて10分。向こう岸に林立するタワーマンションの窓明かりとクリ
スマスライトで縁取りした建設現場のクレーンが入り混じった夜景は絶景・・・。

芝居は「クリスマスの前の日」というタイトルの通り、季節柄忙しいイベントプランナーの仕事
と家族伝統のクリスマスを両立させようと奮闘するする女性の涙ぐましいファミリーコメディ。
かまってもらえないでいるダンナさんと自分たちの計画で忙しい十代の娘と息子と、恋人と
出かけたディズニーランドへ別居中の妻と双子の娘を呼び寄せるいい加減な弟(スカイプ
の映像としてだけ登場する)。娘と息子を演じるのはそれぞれ中国系、フィリピン系の俳優
で、color-blind(色盲=人種混合)の配役はArts Clubの新ビジョンのひとつ。初めの頃の
ような違和感的な反応がないのは観客も慣れたということで、いいことだと思う。

劇団のビジョンは「コミュニティと共に」。日本の演劇界では日本の役者が日本語で芝居を
やるんだから、多民族都市バンクーバーの演劇コミュニティでは登場人物の人種に関係な
く多民族の役者を当てていいはず。というわけで、Arts Clubでは2、3シーズン前からキリ
スト役に女性、白人の少女の父親役に黒人、(ひげの)海賊の首領と相棒に女性を配して
いる。ジェーン・オーステンの『Pride and Prejudice』(『高慢と偏見』)では主人公エリザベ
スの4人の妹をそれぞれ民族系の異なる役者が演じていたけど、役の「性格」に合った配役
だったと思う。

だいぶ前にニューヨークで『ミカド』のキャストが白人だけなのはけしからんと騒いだ日本人
がいたけど、だったら、もしフランス人が(女性だけの劇団による)純日本製の『ベルサイユ
のバラ』はフランス革命の話なんだからフランス人の役者にやらせるべきだと言い出したら
何と答えるんだろう。芝居はストーリーテリング。どうしてもという場合を除いて、suspend
the realityで、話し手(役者)の肌の色も目の色もジェンダーも素通りしてストーリーを楽し
めばいいのにと思うけど。

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