リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

経済発展で事故が起きるのはどうして?

2014年05月15日 | 日々の風の吹くまま
トルコの炭鉱での爆発事故。急激な経済発展を遂げたのに、なぜ産業事故が減らないの
かと国民の怒りが全国に広がっている。現場に赴いた首相は「災害は遺憾であるが、事故
は稀なことではない」みたいなことを言ってしまったらしい。政治家になって現実世界から乖
離するというのは世界共通の現象だけど、何百人もの国民が死んだというのに、「事故は
起きるもんなんだ」はないと思うよ。(これも想像力欠如による共感力の欠如なのかな。)

急速に近代化と経済発展を遂げて来たトルコでどうして産業災害が多発するのか。その背
景にあるのは「急速な経済発展」のひと言に尽きるかな。ワタシが中学生だったときか、九
州の「筑豊炭田」にあった三井三池炭鉱で炭塵爆発が起きて458人の死者が出た。(同じ
日に横浜での鉄道事故で200人近い死者が出たのを覚えている。)あれは日本が「戦後」
を脱して、経済が急激に発展していた頃で、あちこちで公害が起き、産業災害が起きていた。
政治家の汚職事件も頻発したな。あの頃の日本の状況は現在の新興経済国と似ているか
もしれないと思う。

三井三池鉱の事故が起きた頃には、筑豊の石炭産業はすでに衰退が始まっていて、激し
い労働争議や失業による貧困の問題が起こっていた。(小学校の頃に生活に困窮した炭鉱
労働者を助ける「黒い羽根募金運動」というのががあった。)Wikipediaによると、事故の原
因には「保安を無視した生産第一主義」とする鑑定と、「不可抗力だった」とする(会社側の)
鑑定とがあって、前者に基づいて会社幹部を起訴しようとしたら、急に多くの検事が転勤に
なって、結局は事故原因の「科学的な立証」は不可能と言うことで不起訴処分になった。
(ふむ、東電の釈明みたい・・・。)

過渡期だったのだと言ってしまえばそれまでだけど、産業の急速な発展に安全や労働条件
などの法規制が追いつけなかったのか、あるいは経済成長が優先されて労働者の命を守
る法規制は蔑ろにされたのか。トルコもかっての「新興経済」日本が通って来た道の半ばに
あるのかもしれないな。そういう状況では、政府も産業も「国民」という人間の存在に疎くな
る。うんと怒りなよ、トルコの人たち。黙っていたら何も変わってくれない。みんなが声を荒げ
て怒らないと、ジェリコの壁は崩せないよ。