尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

トランプ政権に「従属」する安倍政権-総選挙を前に①

2017年10月15日 22時34分13秒 |  〃  (選挙)
 総選挙の結果を予測するとこうなるというのを先に書いたら、その後マスコミ各紙も同じような「自公勝利」という調査結果を報道した。朝日新聞も与党で「300議席超」と報じた。これは大勝利に見えるけれど、前回2014年の選挙では自民が291、公明が35、与党計326なんだから、やっぱり減ることは減るのである。定数自体が10減るけど、それを上回って与党の議席は減るのだ。

 そこを間違えてはいけない。僕ももう今回の選挙そのものを書く意味に疑問を感じて、「リベラルって何だろう」シリーズを書き始めたんだけど、もう少し書くべきことを書いておきたい。

 まず最初は、安倍政権の対米というか、トランプ大統領との関係である。テレビの党首討論で、安倍首相は安保法制について問われて、「集団的自衛権を認めた安保法制を廃止するという野党がいるが、そんなことをしたら民主党政権時代を遥かに超えた対米関係の悪化を招く」と主張した。そして、「トランプ大統領が当選する前に、安保法制をしっかりやっておいて良かった」と述べた。

 録音したわけではないので、細部の表現は少し違うかもしれないけど、おおよそ趣旨としてはそんなことを述べていた。その場では議論にならなかったけど、僕は聞いていて「これは何事だ」と強く思った。トランプ政権だろうがクリントン政権だろうが、そもそも日本の防衛論議にアメリカの政権が関係していいのか。日本は日本として自分の問題を考えることさえできないのか

 多分安倍首相はこう言いたいんだと思う。北朝鮮との緊張がさらに悪化したとして、安保法案による「米艦防護」などが出来なかったとしたら、トランプ大統領はツイッターで「日本は何もしない。そんな同盟国を守る必要あるのか」とか書き込むかもしれない。防衛問題じゃなくても、経済問題での対日批判が強まったかもしれない。トランプ大統領にへつらってると見る人もいるかもしれないけど、別荘に泊って一緒にゴルフして個人的関係を作ったことで、日本の国益が守られているじゃないか。

 まあそういうことなんだろう。それはそれで、よく判る、その首相の努力は大いに評価するっていう人もいるんだろう。だけど、それは「言うべき時にはちゃんと言う」という姿勢があって初めて納得できることだ。イランとの核合意問題に関して、英仏独の首脳はトランプ大統領をきちんと批判している。東アジアの現状でアメリカに直言するべきは、本来日本の首相の役割だろう。でも今の感じでは、トランプ氏が北朝鮮問題に何らかの判断、仮にそれが先制武力攻撃だったとしても、安倍首相は追随していくだけなのではないか。はっきりトランプ大統領に対して主張できるのか。

 トランプ大統領が11月に来日するという。拉致被害者家族の横田夫妻に会う方向で調整しているという。それを安倍首相が勧めたんだと言ってるらしい。それはいいけれど、そうやってトランプ氏に日本政府として提案できるんだったら、なんで「トランプ大統領も広島を訪れて欲しい」とは言わないのか、言えないのか。核戦争さえ起こりかねない危機にあるいま、トランプ大統領に過去の核兵器の惨害を認識してもらわないといけないはずじゃないのか。

 折しも沖縄本島北部で米軍ヘリが墜落した。人的被害はなかったけれど、日本の民有地(牧草地)に墜落した。そこで何やら「放射性物質」が検出されたとか。しかし、米軍基地内でもないのに、墜落現場には日本側は(当初は)近づけない。「日米地位協定」があるのである。僕が再々書いているように、「北朝鮮のミサイルよりオスプレイが危険」なのである。今回はオスプレイではないが、同じような問題。米軍機に限らず、日本の小型機も落ちるし、民間飛行機からも落ちて来る物体がある。それらはたまに宇宙空間を飛んでいくミサイルより、ずっとずっと危険なのだ。

 そんな判り切ったことに対して何もせず、「北朝鮮ミサイルの避難訓練」なんかやってる。ニュースで学校の様子を撮影したりしているが、そんなところでホンネも言えないんだろうが、教師も「あっという間に通り過ぎるから、そのまま何もしなくて待ってればいいよ」ぐらい言えばいいだろうに。

 日本の土地に外国軍機が墜落して、日本側が調査もできない。これに怒りを覚えないんだったら、「右翼」とは言えない。(もちろん「左翼)とも言えない。)安倍首相や自民党を「右派」と言うことが多いが、それは本当に正しい位置づけなんだろうか。ただ強いものにくっついていけばいいというだけに見えないこともない。「トランプ大統領に直言できるのか」、本来は日本のリーダーを選ぶ今回の選挙で、最初に問われるべき問題なんじゃないのか。
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