尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

高橋幸宏、ジェフ・ベック、三谷昇、龍村仁等ー2023年1月の訃報①

2023年02月08日 22時25分44秒 | 追悼
 恒例の毎月の訃報まとめ。1月は小説家の加賀乙彦を別に書いた。広い意味の芸能関係と、それ以外の学者、官僚などに分けて書きたい。最近訃報まとめが長くなりすぎて自分でも大変なので、できるだけ簡潔に。

 最初は「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)のドラマーだったミュージシャン、高橋幸宏、1月11日死去、70歳。1972年に「サディスティック・ミカ・バンド」(加藤和彦を中心に、当初は加藤ミカ、角田ひろ、高中正義で発足、角田脱退後に高橋が加入)に参加。1978年に細野晴臣坂本龍一と「イエロー・マジック・オーケストラ」を結成し、シンセサイザーとコンピューターを駆使した「テクノ・ポップ」で世界を席巻した。(83年解散。)その間、代表作「ライディーン」を作曲した。解散後はソロで多くの歌手に曲を提供したり、大林宣彦監督『四月の魚』に主演するなど多彩な活動を行った。
(高橋幸宏)
 イギリスのロックギタリスト、ジェフ・ベックが1月10日死去、78歳。1965年にエリック・クラプトン脱退後のヤードバーズに加入。67年に脱退後は、ジェフ・ベック・グループやソロで活躍した。日本ではエリック・クラプトン、ジミー・ペイジとともに「三大ギタリスト」と呼んだりする。米国グラミー賞を8回受賞した他、奏法などで多くの影響を与えた。
(ジェフ・ベック)
 ロックバンド「シーナ&ロケッツ」のギタリスト、鮎川誠が1月29日死去、74歳。福岡で活動後、78年に上京して「シーナ&ザ・ロケッツ」と結成。その後もずっと活動を続けた日本を代表するロックバンドになった。初期にはYMOの全国公演にギタリストとして参加もしたいる。また俳優としてもテレビ、映画に出演した。以上3人とも僕は全然詳しくないんだけど。
(鮎川誠)
 俳優の三谷昇が1月15日死去、90歳。劇団文学座、雲、円に所属、日活ロマンポルノを初め数多くの映画にも出演した。29歳の時に事故で右目を失明したこともあり、気の弱い男や不気味な悪役などの怪演で知られた。舞台では別役実作品に欠かせない存在で、映画では黒澤明『どですかでん』や伊丹十三監督『マルサの女2』などがある。テレビにもたくさん出ている。
(三谷昇)
 映画監督の小沼勝の訃報が2月9日の報道されたので、追加する。1月25日死去、85歳。日活ロマンポルノで、耽美的、SM的な作品を多数作ったことで知られている。1971年に『花芯の誘い』で監督デビュー。1974年に、『花と蛇』(原作者の団鬼六を怒らせたという)や『生贄夫人』など谷ナオミ主演映画で有名になった。77年の『夢野久作の少女地獄』も作った。2000年には一般映画『NAGISA』でベルリン映画祭キンダー部門グランプリ受賞。江ノ島を舞台に、ひと夏の少女のゆらぐ心情を繊細に描いている。この映画は公開当時に見たが、2019年に国立映画アーカイブの「逝ける映画人を偲んで」企画で上映されたので再見した。この時に監督と主演松田まどからのあいさつを聞いた覚えがある。(1.10追加)
(小沼勝)
 映画監督の龍村仁(たつむら・じん)が1月2日死去、82歳。龍村仁といえば「キャロル事件」である。1973年にNHKの教養部ディレクターだった龍村は、ロックバンド「キャロル」(矢沢永吉、ジョニー大倉等)に衝撃を受けてドキュメンタリーを作成、それを7時半の時間帯に放送したいと考えた。しかし、上層部が難色を示し、再編集されて半年後の昼間に放送された。龍村は上層部に抵抗して、同じくNHK職員だった小野耕世とともに、ATGで記録映画『キャロル』を製作し、その間欠勤して解雇され裁判闘争を起こした。しかし、その映画は期待したほど面白くなかった。その後、1992年から2010年にかけて『地球(ガイア)交響曲』を第一番から第七番まで製作した。全部は見てないけど、一部見た感じではこれもちょっとなあという感じの映画だった。
(龍村仁)
 イタリアの女優、ジーナ・ロロブリジダが1月16日死去、95歳。50年代にフランス映画『花咲ける騎士道』『夜ごとの美女』に出演して世界的に人気を得た。その後ハリウッドに進出し多くの娯楽映画に出たが、巨匠の名作などは少なく、演技賞などには恵まれなかった。割と知られた主演作に『ノートルダムのせむし男』『わらの女』などがある。またアメリカの女優、シンディ・ウィリアムズが1月25日死去、75歳。あまり大成しなかったが、『アメリカン・グラフィティ』でリチャード・ドレイファスの妹で、兄の友人ロン・ハワードと付き合ってた人である。二人が「煙が目にしみる」で踊っていた場面が忘れられない。
(ジーナ・ロロブリジダ)(シンディ・ウィリアムズ)
 アメリカのシンガーソングライター、デヴィッド・クロスビーが1月18日死去、81歳。クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(CSN&Y)のクロスビーである。はじめ「ミスター・タンブリン・マン」をヒットさせた「バーズ」を結成、67年に脱退後、68年に「クロスビー、スティルス&ナッシュ」を結成、70年にニール・ヤングを加えCSN&Yを結成した。傑作「デジャヴ」を残すもメンバー間のあつれきから活動停止。90年代以後、「クロスビー、スティルス&ナッシュ」として3回来日公演をしている。
(デヴィッド・クロスビー)
 アメリカの歌手、というよりエルヴィス・プレスリーの一人娘として知られるリサ・マリー・プレスリーが1月12日死去、54歳。生涯で4回結婚したが、その中にはマイケル・ジャクソンニコラス・ケージがいる。父との死別、ドラッグ中毒、子どもの自殺など過酷すぎる人生を送ったように思える。最後は心臓マヒだった。
(リサ・マリー・プレスリー)
ジョセフ・クー、3日死去、89歳。香港映画の作曲家。ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』などを手掛けた。その後、武侠映画や『男たちの挽歌』などの音楽も担当。さらに広東ポップブームのヒット曲を多く作曲した。カナダへ移住して同地で死去。
ポール・ヴェキアリ、18日没、92歳。フランスの映画監督。日本では『薔薇のようなローザ』(1985)が公開されただけだが、フランスでは作家性の強い巨匠として知られているという。
清元梅吉、20日死去、90歳。清元節三味線方として人間国宝に認定された。
向井政生(むかい・まさお)、21日死去、59歳。TBSアナウンサー。ガンを公表していた。
つばめ真由美、24日死去、62歳。歌手。双子の「ザ・リリーズ」の妹。「好きよキャプテン」がヒットした。
田川律(たがわ・ただす)、28日死去、87歳。音楽評論家。大阪労音で「関西フォーク」を支え、その後69年に「ニュー・ミュージック・マガジン」創刊に関わった。また演劇の黒テントにも関わっている。著書に『まるで転がる石みたいだった』『日本のフォーク&ロック史—志はどこへ』などがある。
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