テレビでクイズ番組をよく見る。内容も興味あるけど、ドラマやドキュメンタリーのようにずっと見てなくていいのが好きなのである。夜は大体ブログを書きながら見てるので、テキトーに時々見てるだけでも楽しめるのが大事。(それに歴史、地理系の問題なら全問正答できるから、間違えるタレントを笑って見てられる。国旗問題を除き。)
ところで、10日にあった「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」という番組で、「日本とアメリカの国会議員はどちらが多いのか」という問題が出た。これは日本の方が多いのである。日本の議員定数は最近変わったから、僕もすぐには答えられない。調べてみると衆議院が465人、参議院が248人で、合計713人。アメリカは下院が430人、上院が100人で、合計535人になる。
これだけ見ると、日本の方が178人も多いから、アメリカに比べてムダに多いような気がしてしまう。番組中では「日本の議員数は多いと聞いている」という小学生の発言があった。誰から聞いたのか知らないけど、まあ教師や親ということだろう。でも、これは内容の検討を抜きに数だけ比べたもので、本質的問題を置いてミスリーディングさせてしまう発想だ。
(人口比で見たG7各国の議員数)
上記画像を見れば一目瞭然だが、人口一人当たりで比べれば「アメリカは極端に議員数が少ない国」である。そして、日本も人口比で7ヶ国中で第6位である。7ヶ国中で、少ない方の1番と2番を比べて「どっちが多い」という比べ方はおかしい。G7で比べるのもどうかとも思うが、日本でサミットが開催されると宣伝してる年だから、今はその中で比べておきたい。
そもそも政治制度は各国で違っているので、それを無視して比べても仕方ない。例えば、世界には「一院制」の国もあるが、その方が議員数が少ないのは当然だ。例えば韓国は一院制で、定数は300名になっている。それを見れば国会議員が少ないように思うが、総人口は5173万人なので、人口あたり17万2千人に一人国会議員がいることになる。
G7各国はいずれも二院制だが、上院議員を自由選挙で選んでない国もある。イギリスは未だに貴族院(上院)議員は貴族から選ぶ。さすがに世襲貴族ではなく、一代貴族が多いということだが、貴族院議員だけで785人もいる。庶民院(下院)議員も650人だから、合計すると1435人にもなる。選挙で選ばない議員を入れて比べても意味がない。下院だけで計算すれば、イギリスの人口は6868万人なので、10万5千人に一人ということになる。
ドイツも二院制だが、連邦参議院は各州の代表で構成され、定数はわずか69人。実質的には一院制の国と言える。大統領がいるが、国会が選んで儀礼的な仕事を担い、行政は国会が選んだ首相が担う「議院内閣制」である。イギリス、日本、イタリア、カナダも同じ。アメリカとフランスだけが国民が選んだ大統領が政治を行う大統領制である。ドイツの選挙制度は「小選挙区比例代表併用制」で、定数は決まっているけど選挙結果によっては「超過議席」が生じる。定数は598人だが、現在は736人になる。人口8378万人だから、11万4千人に一人。
(日米英の国会比較)
今見ているのは、下院にしぼったうえで、「人口一人当たりの国会議員数」である。議会制民主主義では「下院優越の原則」がある。上院のあり方は各国様々で、その国の成り立ちによって大きく異なっている。それを無視して、ただ数だけ比べても無意味。例えば、あれだけ大きなアメリカ合衆国で上院が100人なのは、連邦制だからだ。各州2人ずつだから、50州で100人。人口の少ないワイオミングも、人口の多いカリフォルニアも2人ずつ。人口差は60倍以上になるが、「一票の格差」問題は起きない。
各国の人口あたりの下院議員数を調べると以下の通り。(議員一人当たり国民数が少ない順)
①イタリア 代議員定数=630 総人口=6046万 9.6万人に1人
②イギリス 庶民院定数=650人 総人口=6868万 10万5千人に1人
③カナダ 庶民院定数=338 総人口3774万 11万2千人に1人
④ドイツ 連邦議会定数=598(現在の議員数736人) 総人口=8378万 11万4千人に1人
⑤フランス 国民議会定数=577 総人口=6830万 11万8千人に1人
⑥日本 衆議院定数=465 総人口=1億2421万 26万7千人に1人
⑦アメリカ合衆国 下院定数=435 総人口=3億3480万 77万人に1人
国会議員、特に下院議員は議院内閣制の国ではとても重要である。(アメリカだけは特殊で、上院に与えられている権限が大きい。)国会議員の数は多ければ良い、少なければ良いという問題ではない。政治制度も違っているし、上院のあり方にもよるから下院だけで比べるのも本来はおかしい面がある。また国会の物理的キャパシティの問題もある。国会議員を1万人にして、東京ドームで国会をするわけにもいかない。日本の場合、イギリスのように「人口10万人」ほどにすると、1200人以上の議員になって国会議事堂に入りきれない。だけど、ヨーロッパ先進国基準で考えると、衆議院定数はむしろ少ないのである。
(イギリスの国会議事堂)
それなのに、なぜ日本では「国会議員を減らせ」という声がすぐ出て来るんだろうか。国会議員は「国民の代表」なんだから、自分で自らの代表を減らせと言ってはおかしい。減らすと少数意見が国会に更に届かなくなってしまう。だけど、何となく国会議員は何してるんだと思うのは、「党議拘束」の縛りが強いからだろう。自民党、公明党が話し合って、その議員たちが全員決まったとおりに賛成する。だから、国会で野党の質問に答えるより、与党同士の裏の話合いの方が重要になる。
いま問題になっている「LGBT理解促進」とか「選択的夫婦別姓」とか、与党の中でも公明党は賛成である。自民党内がまとまらない、ただそれだけで国会に提案もされない。自民党内にも賛成者はいるんだから、「党議拘束を外して採択」すれば成立するんじゃないだろうか。国会議員は「国民全体の代表」であり、地域代表でも政党の代理人でもないはず。一人一人が自分で判断するという人間として当たり前のことをすれば、国会議員は多すぎるなんて声も出なくなるのではないか。(なお、僕は国会議員数を増やして、その分政党助成金を減額するべきだという考えである。)
ところで、10日にあった「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」という番組で、「日本とアメリカの国会議員はどちらが多いのか」という問題が出た。これは日本の方が多いのである。日本の議員定数は最近変わったから、僕もすぐには答えられない。調べてみると衆議院が465人、参議院が248人で、合計713人。アメリカは下院が430人、上院が100人で、合計535人になる。
これだけ見ると、日本の方が178人も多いから、アメリカに比べてムダに多いような気がしてしまう。番組中では「日本の議員数は多いと聞いている」という小学生の発言があった。誰から聞いたのか知らないけど、まあ教師や親ということだろう。でも、これは内容の検討を抜きに数だけ比べたもので、本質的問題を置いてミスリーディングさせてしまう発想だ。
(人口比で見たG7各国の議員数)
上記画像を見れば一目瞭然だが、人口一人当たりで比べれば「アメリカは極端に議員数が少ない国」である。そして、日本も人口比で7ヶ国中で第6位である。7ヶ国中で、少ない方の1番と2番を比べて「どっちが多い」という比べ方はおかしい。G7で比べるのもどうかとも思うが、日本でサミットが開催されると宣伝してる年だから、今はその中で比べておきたい。
そもそも政治制度は各国で違っているので、それを無視して比べても仕方ない。例えば、世界には「一院制」の国もあるが、その方が議員数が少ないのは当然だ。例えば韓国は一院制で、定数は300名になっている。それを見れば国会議員が少ないように思うが、総人口は5173万人なので、人口あたり17万2千人に一人国会議員がいることになる。
G7各国はいずれも二院制だが、上院議員を自由選挙で選んでない国もある。イギリスは未だに貴族院(上院)議員は貴族から選ぶ。さすがに世襲貴族ではなく、一代貴族が多いということだが、貴族院議員だけで785人もいる。庶民院(下院)議員も650人だから、合計すると1435人にもなる。選挙で選ばない議員を入れて比べても意味がない。下院だけで計算すれば、イギリスの人口は6868万人なので、10万5千人に一人ということになる。
ドイツも二院制だが、連邦参議院は各州の代表で構成され、定数はわずか69人。実質的には一院制の国と言える。大統領がいるが、国会が選んで儀礼的な仕事を担い、行政は国会が選んだ首相が担う「議院内閣制」である。イギリス、日本、イタリア、カナダも同じ。アメリカとフランスだけが国民が選んだ大統領が政治を行う大統領制である。ドイツの選挙制度は「小選挙区比例代表併用制」で、定数は決まっているけど選挙結果によっては「超過議席」が生じる。定数は598人だが、現在は736人になる。人口8378万人だから、11万4千人に一人。
(日米英の国会比較)
今見ているのは、下院にしぼったうえで、「人口一人当たりの国会議員数」である。議会制民主主義では「下院優越の原則」がある。上院のあり方は各国様々で、その国の成り立ちによって大きく異なっている。それを無視して、ただ数だけ比べても無意味。例えば、あれだけ大きなアメリカ合衆国で上院が100人なのは、連邦制だからだ。各州2人ずつだから、50州で100人。人口の少ないワイオミングも、人口の多いカリフォルニアも2人ずつ。人口差は60倍以上になるが、「一票の格差」問題は起きない。
各国の人口あたりの下院議員数を調べると以下の通り。(議員一人当たり国民数が少ない順)
①イタリア 代議員定数=630 総人口=6046万 9.6万人に1人
②イギリス 庶民院定数=650人 総人口=6868万 10万5千人に1人
③カナダ 庶民院定数=338 総人口3774万 11万2千人に1人
④ドイツ 連邦議会定数=598(現在の議員数736人) 総人口=8378万 11万4千人に1人
⑤フランス 国民議会定数=577 総人口=6830万 11万8千人に1人
⑥日本 衆議院定数=465 総人口=1億2421万 26万7千人に1人
⑦アメリカ合衆国 下院定数=435 総人口=3億3480万 77万人に1人
国会議員、特に下院議員は議院内閣制の国ではとても重要である。(アメリカだけは特殊で、上院に与えられている権限が大きい。)国会議員の数は多ければ良い、少なければ良いという問題ではない。政治制度も違っているし、上院のあり方にもよるから下院だけで比べるのも本来はおかしい面がある。また国会の物理的キャパシティの問題もある。国会議員を1万人にして、東京ドームで国会をするわけにもいかない。日本の場合、イギリスのように「人口10万人」ほどにすると、1200人以上の議員になって国会議事堂に入りきれない。だけど、ヨーロッパ先進国基準で考えると、衆議院定数はむしろ少ないのである。
(イギリスの国会議事堂)
それなのに、なぜ日本では「国会議員を減らせ」という声がすぐ出て来るんだろうか。国会議員は「国民の代表」なんだから、自分で自らの代表を減らせと言ってはおかしい。減らすと少数意見が国会に更に届かなくなってしまう。だけど、何となく国会議員は何してるんだと思うのは、「党議拘束」の縛りが強いからだろう。自民党、公明党が話し合って、その議員たちが全員決まったとおりに賛成する。だから、国会で野党の質問に答えるより、与党同士の裏の話合いの方が重要になる。
いま問題になっている「LGBT理解促進」とか「選択的夫婦別姓」とか、与党の中でも公明党は賛成である。自民党内がまとまらない、ただそれだけで国会に提案もされない。自民党内にも賛成者はいるんだから、「党議拘束を外して採択」すれば成立するんじゃないだろうか。国会議員は「国民全体の代表」であり、地域代表でも政党の代理人でもないはず。一人一人が自分で判断するという人間として当たり前のことをすれば、国会議員は多すぎるなんて声も出なくなるのではないか。(なお、僕は国会議員数を増やして、その分政党助成金を減額するべきだという考えである。)