綿矢りさ原作を大九明子(おおく・あきこ)脚本、監督で映画化した「勝手にふるえてろ」は評判通りに面白かった。もともとミニシアター向け公開だったけど、面白いと評判を呼んでシネコンでも上映された。何しろ主演の松岡茉優が圧倒的に素晴らしく、面白いことこの上ない。松岡茉優のコメディエンヌとしての才能を十分に発揮させたスタッフの力と企画が素晴らしい。
24歳、某会社の経理で働く雪国育ちの江藤良香(ヨシカ=松岡茉優)は中学2年生の時から「脳内交際」(つまり勝手な片思い)を一途に続けている。彼の名前が一宮だから、それが「一」。ところが、ところが、人間関係に不器用で、「彼氏いない歴人生全部」のうら若きエトウヨシカを「発見」した男が同じ会社に表れた。「人生初告られ」に舞い上がりつつも、やっぱり私は「イチ」が好きと思い、その霧島クンは「二」と命名してスマホに登録することにする。
一人暮らしのアパートで、ネットを見ながら「絶滅した生物たち」を検索するヨシカ。絶滅になぜかひかれ、ついにはアンモナイトの化石を買ってしまう。しかし、現実に出現した「二」は現実にお誘いを掛けてくるのに対し、脳内に生息するだけの「一」はどこにいるのか? この深刻な疑問に直面して、ついには正月の帰省時に何としても「一」に会えるような「秘密工作」を開始するのだが、果たして「一」には会えるのか? 会ったとしても新展開はあるのか???
喜劇というのは、主人公が常識離れした設定になってることが多い。チャップリンの映画でもやり過ぎ的設定が多いし、寅さんが何度も何度も美人に惚れては「反省」を重ねながら、また同じことを繰り返す設定も変である。だが、そういう日常を乗り越えているような主人公がいるからこそ、われわれの拠って立つ世界を相対化できる。この映画のヨシカも、最後の頃の行動はやり過ぎだし、見てて「イタイ」という域を飛び越えて、ちょっとあんたどうすんのよと思わず突っ込みたくなる。
全体的に「脳内独り言」に周りの人も乗ってくるなど、ノリノリ的演出が面白い。オカリナを吹く謎の隣人、片桐はいりも例によっておかしい。中学時代に「視野見」(視野の端っこで見てないように見るヨシカ独特の見方」をしていた「一」とは、絶滅生物をめぐって話をすることができたけど…。一方、「二」もけっこう変なお誘いが多い。クリスマスのお誘いなんだったら、遊園地とか水族館、あるいはせめてヒットしている映画とかじゃあないですか、普通。普通じゃないとこ誘っちゃいけないことはないけど…。と「一」と「二」をめぐって揺れ動くヨシカだったが。
(前が「一」で、後ろが「二」)
松岡茉優は意外な感じだが、初の主演。「二」は渡辺大知、「一」は北村匠海。監督・脚本の大九明子(1968~)は初めて見たけど、「恋するマドリ」「東京無印女子物語」「モンスター」「でーれーガールズ」などを作ってきた人。とても元気がいい映画だけど、ヒロインに共感できるか、できないか。ちょっとやり過ぎなとこも多いと思ったけど、映画としてはよく作られている。スマホ(「ライン」)時代の恋愛模様を描いて必見の映画。だけど、こういう時代も大変だなあと思う。
24歳、某会社の経理で働く雪国育ちの江藤良香(ヨシカ=松岡茉優)は中学2年生の時から「脳内交際」(つまり勝手な片思い)を一途に続けている。彼の名前が一宮だから、それが「一」。ところが、ところが、人間関係に不器用で、「彼氏いない歴人生全部」のうら若きエトウヨシカを「発見」した男が同じ会社に表れた。「人生初告られ」に舞い上がりつつも、やっぱり私は「イチ」が好きと思い、その霧島クンは「二」と命名してスマホに登録することにする。
一人暮らしのアパートで、ネットを見ながら「絶滅した生物たち」を検索するヨシカ。絶滅になぜかひかれ、ついにはアンモナイトの化石を買ってしまう。しかし、現実に出現した「二」は現実にお誘いを掛けてくるのに対し、脳内に生息するだけの「一」はどこにいるのか? この深刻な疑問に直面して、ついには正月の帰省時に何としても「一」に会えるような「秘密工作」を開始するのだが、果たして「一」には会えるのか? 会ったとしても新展開はあるのか???
喜劇というのは、主人公が常識離れした設定になってることが多い。チャップリンの映画でもやり過ぎ的設定が多いし、寅さんが何度も何度も美人に惚れては「反省」を重ねながら、また同じことを繰り返す設定も変である。だが、そういう日常を乗り越えているような主人公がいるからこそ、われわれの拠って立つ世界を相対化できる。この映画のヨシカも、最後の頃の行動はやり過ぎだし、見てて「イタイ」という域を飛び越えて、ちょっとあんたどうすんのよと思わず突っ込みたくなる。
全体的に「脳内独り言」に周りの人も乗ってくるなど、ノリノリ的演出が面白い。オカリナを吹く謎の隣人、片桐はいりも例によっておかしい。中学時代に「視野見」(視野の端っこで見てないように見るヨシカ独特の見方」をしていた「一」とは、絶滅生物をめぐって話をすることができたけど…。一方、「二」もけっこう変なお誘いが多い。クリスマスのお誘いなんだったら、遊園地とか水族館、あるいはせめてヒットしている映画とかじゃあないですか、普通。普通じゃないとこ誘っちゃいけないことはないけど…。と「一」と「二」をめぐって揺れ動くヨシカだったが。
(前が「一」で、後ろが「二」)
松岡茉優は意外な感じだが、初の主演。「二」は渡辺大知、「一」は北村匠海。監督・脚本の大九明子(1968~)は初めて見たけど、「恋するマドリ」「東京無印女子物語」「モンスター」「でーれーガールズ」などを作ってきた人。とても元気がいい映画だけど、ヒロインに共感できるか、できないか。ちょっとやり過ぎなとこも多いと思ったけど、映画としてはよく作られている。スマホ(「ライン」)時代の恋愛模様を描いて必見の映画。だけど、こういう時代も大変だなあと思う。