尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

北海道の素晴らしい山と温泉

2015年10月15日 22時46分43秒 |  〃 (温泉)
 函館旅行について何回か書いたけれど、北海道は前に何回も行っているので、番外編として少し思い出を書いておきたいと思う。一番行ってたのは90年代初期で、夏に車で山や秘湯を訪ね歩いた。ずいぶんいろいろ行っていて、「北海道三大秘湖」(オコタンペ湖、東雲湖、オンネトー)とか道北のパンケ沼ペンケ沼ウソタンナイ砂金公園なんかまで行っている。道東でも、霧多布湿原野付半島の美しさは印象的だった。北海道ドライブは、人生の最も楽しい思い出の相当上にある。

 そんな中でも一番素晴らしいのはどこかと言えば、ためらうことなく「礼文林道から見た利尻岳」だと言いたい。礼文林道というのは、礼文島(れぶん)にある道だけど、全島が低い丘に花咲き乱れているような礼文島の中でも、最も美しい道だと思う。そこから海を隔てて、利尻島の利尻岳がくっきりと浮かび上がっている。日本の山岳景観の中でも、ベスト級の圧倒的な風景である。ちょっとふさわしい写真が見つからなかったのだが、下の写真の最初が利尻島南部から見た利尻岳、次が礼文島。
 
 この利尻岳には1993年に登っている。当時も上の方はかなりガレていたが、今は途中にあった避難小屋もなくなって、相当登るのが大変だという。でも、「日本百名山最北の山」として、山好きには一度は登りたい山だろう。僕にはもうちょっと登るのは大変そうだけど、登り口を少し歩いた「甘露泉水」という「名水百選」に入っている水は、ものすごく美味しい水でもう一度飲んでみたいなあと思う。(名水百選もずいぶん飲んでいるが、岩手県の龍泉洞の水が一番好きで、利尻が二番。)

 でも、山と言えば大雪山山系がやはり北海道で一番すごい。黒岳ロープウェイから黒岳に登って、トムラウシまで縦走したのが最高の思い出。日本アルプスなら山小屋泊りで計画するが、北海道には小屋がないのでテントを持参した。食料をいっぱい詰め込むと重くて重くて大変だった。やっぱり本を持っていかないとダメなので、テントで岩波文庫の「カフカ短編集」を読んでいた。何となく、そんなことが忘れられないのである。北海道最高峰の旭岳(大雪山)やちょっと離れた十勝岳には別の機会に登っている。十勝岳では途中でキタキツネが出てきて、付かず離れず一緒に登頂したもんだ。どこかに写真があるんだけど、整理してないから見つけられないのが残念。

 大変だったのは、あまりにもアプローチが長かった上、ハエというかアブというかがずっとまつわりついてきた日高山脈の幌尻岳が一番。車を置いてから、登り口の避難小屋までが長かった。翌日に何とか登って下りて、車を運転して、その日の宿泊地、襟裳岬にたどり着いた。温泉ではないから、とにかく部屋で風呂に入ったら、靴や服の間からハエの死骸がいっぱい出てきてがく然とした。食事もおいしくて、ほんと生き返った気がしたものだ。百名山級ではなぜか登ってない羊蹄山(シリベシ山)を除いて、大体登ってるんだけど、知床の羅臼岳は、体調不良で途中の羅臼平でリタイアしたので登ったとは言えない。斜里岳はサンハウスの平野夫妻と一緒に旅行した時に登ったけど、行動は夫婦別。

 そういう旅行に時は、大体温泉宿に泊った。大きいところから小さな秘湯まで。然別湖(しかりべつこ)の奥にあって、しばらく休業していた菅野温泉もやってるうちに泊った(ここは昨年宿泊が再開された。)十勝の最奥にある幌加(ホロカ)温泉も素晴らしい野趣だった。北海道は観光シーズンが短く、観光地間の距離が長いから、団体旅行で大きな温泉に泊りながら移動することが多い。そのため、大きな温泉地には大観光ホテルが林立している。登別、洞爺湖、定山渓、湯の川(函館)、層雲峡、阿寒湖、川湯、十勝川、ウトロ(知床)、温根湯(おんねゆ)…などなど。どれも一度は泊ったけれど、確かに似たような感じの宿が多い。まあ、どこも普通に満足できるとも言える。登別温泉の第一滝本館なんかは、温泉も素晴らしいし(登別に出る7つの泉質が全部ある)、食事や部屋も満足できた。

 でも、思い出が深いのはやはり秘湯系。ベストは支笏湖畔の「丸駒温泉旅館」(下の写真)で、湖畔の露天風呂の気持ち良さは、高峰温泉や桜島の古里温泉の古里観光ホテルなどと並ぶ素晴らしさである。(古里観光ホテルは廃業してしまったようだが。)次に道南の「銀婚湯温泉」で、この名前は大正天皇の銀婚式に日に温泉が出たことで付いたというんだけど、気持ち良い湯が大量に出ている。行きにくい場所にあるけど、それも秘湯感を増している。それこそヒマとお金がある程度できたころの銀婚夫婦がよく来るらしいけど、そうでなくても一度は行きたいところである。まあ、どこも車がないと行きにくいんだけど。行ってないのは、ニセコの秘湯や大雪高原温泉、トムラウシ温泉など。やっぱり遠いので飛行機やフェリーで行くのも大変だから、しばらく北海道に行ってなかった。函館はまあ南の端っこみたいなところだが、また北海道に行きたくなってしまったので、つい思い出話を番外で書いた。
コメント
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