工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

真岡市(ハローワーク向かい)
電話 0285(83)3182
あなたの街のはり屋さん
お灸もやってます

鍼灸師は職人である

2006年06月03日 17時48分23秒 | 鍼灸・東洋医学
真岡は商業・工業・農業という産業のバランスが取れた地域です。当院の周囲にも大規模商業施設や工場が数多く存在します。農業も盛んなわけですから、当然周囲には田んぼや畑も広がっています。
真岡は高級ナスの産地としても知られていますが、特産物は「とちおとめ」という非常に甘いイチゴです。周辺にはイチゴ農家が多いので、当院にもイチゴ農家の方々がいらっしゃいます。

最近は農業のハイテク化も著しいらしく、本日ご来院頂いたイチゴ農家の方は全面的にコンピューター管理を行う手法に切り替えたのだとか。堆肥のコントロール、水遣り、温度管理、日照時間の制御などなど、摘み取り以外の作業はほぼ全てコンピューターが自動で行うそうです。そうする事で安定した供給量を保ちつつ品質の良いイチゴを生産する事が出来るのだそうです。何だかすごいですね・・・。
「株式会社農家」という形式も出てきていますし、農業の分野はどんどん形態が変わりつつあるようです。これも時代の流れなのでしょうか。

イチゴ、たくさん頂いてしまいました(^^)本当にありがとうございます!



それでは、鍼灸の分野はどうでしょう?

近年は鍼灸を含めた代替医療の科学的な解明が非常に進んでいます。日本での研究はもちろんですが、実はこの分野の研究はアメリカが世界で最も進んでいます。ちょっと意外だと思いませんか?アメリカは鍼灸や漢方薬などの代替医療の研究に年間8000万ドルもの国家予算をつぎ込んでいると聞きました。日本とはけた違いの額です・・・。少しずつですが、なぜ鍼灸で病気が治るのかが科学的に解明されつつあります。

ですが、多くの鍼灸師は科学的に鍼灸を行っているわけではありませんから、臨床上はこの『科学的な裏付け』というものにはそれほど興味がありません。我々は臓腑の気の状態を体表の変化から察知し、それを四診(望・聞・問・切)で確認し、気を動かすために鍼やお灸を用いて加療をします。この一連の流れは科学的ではないわけです。

最近、おもしろい話を聞きました。
『腰椎椎間板ヘルニア』という病気があります。この病気は腰部の椎間板の変性によって髄核が飛び出て神経根や脊髄を圧迫する事が原因とされてきましたが、近年の画像診断の進歩によってこの常識がくつがえって来たというのです。どういう事かというと、ヘルニアがあっても症状が全くない人が大勢いるという事実がわかってきたのです。これは西洋医学の常識では説明できない現象ですが、東洋医学では元々ヘルニアの存在自体を考えませんから、正気の状態などでなぜ症状が出ないのかを説明する事が可能です。
鍼灸でヘルニアの痛みが治っても画像診断上ではヘルニアが飛び出たまま・・・というケースは多々あり、こういうケースは科学的には説明がつきません。こういう体験を重ねると鍼灸に科学を持ち込むのはナンセンスなのでは?と考えてしまいます。

治療に関しては生産効率(治療効率?)をあげる必要もありません。ひとりひとりの患者さんと真摯に向かい合い、あくまでもローテクに、地道な治療をする事が求められる分野だと思います。
伝統産業がそうであるように、鍼灸師はいつの時代も職人であるべきなのです。

という今日のひとりごと・・・。
コメント
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